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インタビュー|“アイドル歌謡にも光を当てたい” Night Tempoが『昭和アイドル・グルーヴ』に込めた想いを訊く
海外でのシティポップブームの立役者の一人であるNight Tempoに、最新コンピレーション『昭和アイドル・グルーヴ』について話をきいた。
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竹内まりや「Plastic Love」、秋元薫「Dress Down」などシティポップの名曲をフィルターハウス的手法で再構築することで、近年の世界的なシティポップ再評価のきっかけのひとつとなったフューチャーファンク。このジャンルの人気を黎明期から支えてきた立役者の一人といえば、韓国人プロデューサーのNight Tempoだ。
そんな彼がこれまでに手がけた昭和のアイドル歌謡の公式リエディットを収録したコンピレーション・アルバム『Night Tempo presents ザ・昭和アイドル・グルーヴ』を5月19日にリリースした。
本作には既発の工藤静香、Wink、斉藤由貴、BaBeのリエディット各2曲に加え、新たにNight Tempo本人によって選曲された4曲のリエディットを収録。かねてから提唱してきた“昭和グルーヴ”を余すことなく楽しめる1枚になっている。
そんな本作におけるリエディットのこだわりや選曲の理由、制作の裏側から本作に込めたメッセージまでNight Tempo本人に話をきいた。
アイドル歌謡をよりダンサブルにアップデート
ー今作はNight Tempoさんによるアイドル歌謡リエディットのコンピレーション・アルバムですが、Night Tempoさんが楽曲をリエディットする時はいつもどのようなことにこだわっているのでしょうか?
Night Tempo:基本的に原曲を大きくは変えず、よりキャッチーになる要素を付け加えることで原曲の良さを引き出すようにしています。そうすることで古い曲でも全く雰囲気が変わって、新鮮な感覚で聴くことができるようになるんです。そこが僕のリエディット曲のポイントですね。具体的には原曲よりも強めのビートを足すことで曲に迫力を加えて、よりダンサブルなものにしているという感じです。
ー新田恵利さん、西田ひかるさん、森尾由美さん、ゆうゆさんの4曲のリエディットが新曲として収録されていますが、この4曲はどういった理由で選曲されたのでしょうか?
Night Tempo:今回のお話を頂いたポニーキャニオンさんのカタログの中から、自分が原曲として知っているものを中心に選びました。
新田恵利さんは、おニャン子クラブ時代の曲をほとんどカセットで持っているし、今回リエディットした「Deja Vu」の歌詞も元々かわいいなと思っていたんです。あとはNight Tempo色に染めやすいというか、僕のスタイルに当てはめたら良い感じになる気がしたので選びました。

Night Tempo氏の私物カセット(写真提供:Night Tempo)
西田ひかるさんの「Nice-catch!」はビートがユーロビート的というか、ディスコ的なところが選曲のポイントになりましたね。原曲はポップな雰囲気に仕上げられていますが、その印象をガラッと変えるという意味で迫力のあるビートを使い、フィルターをかけることでよりダンサブルな曲に仕上げました。
森尾由美さんの「だからタッチミー」は、原曲にレゲエっぽさがあるところを面白く感じて選曲しました。レゲエをフューチャー・ファンクにすることはなかなかないと思うので、原曲を知っている方でも楽しんで聴いてもらえるんじゃないかと思います。
ゆうゆさんの「さよなら志願」は7インチでも持っているのと、ゆうゆさんの曲は前から好きでよく聴いていたこともあって選曲しました。原曲は歌声もあまり加工されておらず、曲全体の生っぽさが魅力だと思っているので、そこには触れずほかの部分にダンサブルな要素を加えてみました。クラブでも楽しめる感じになっていると思うので、僕的には実際のフロアの反応が気になるところですね。

Night Tempo氏の私物7インチ(写真提供:Night Tempo)
海を越えて広がる“昭和グルーヴ”
ーこの4曲の歌詞の中で特に好きな歌詞はありますか?
Night Tempo:僕にとって歌は楽器のひとつという感じなので、実はあまり歌詞の意味について深く考えたり、意識したりすることはないんです。元々僕が日本の音楽を聴き出した時は今のように日本語が話せなかったこともあって、歌詞の意味を理解することができませんでした。その時の名残で、今でも歌は歌詞の意味よりも音としての響きを重視するもの、楽器的なものとして捉えている部分があると思います。
そういう意味で、もっと歌の部分にコンプレッサーをかけて音圧高めのバキバキな感じにしてみたいという考えもありましたが、そうすると歌も歌詞も聴き取りづらくなるだろうし、日本だと歌や歌詞を楽しみたい人も多いと思うので今回はあえてそこまでやっていません。
ーなるほど。日本でNight Tempoさんのリエディットを聴く人が増えている一方、日本以外だとどういった場所から聴かれることが多いのでしょう?
Night Tempo:僕の楽曲に関して言えば全体の再生数の3割以上がアメリカで、日本よりも多くの人に聴かれています。あとはメキシコ、ヨーロッパも多いですね。以前はリスナーのほとんどがYouTubeで僕の曲を見つけて聴いてくれていましたが、今はSpotifyなどでもよく聴いてもらえるようになってきました。
ー英語やフランス語など、言語によって聴こえ方に違いがあると思いますが、海外のリスナーは日本語の歌の響きをどう感じていると思いますか?
Night Tempo:僕からすると日本語は可愛らしい雰囲気の音として聞こえてきますし、日本の音楽が好きな人は同じような感覚を持つ人も多いんじゃないかと思います。最近は日本の音楽が海外でも知られるようになったので、「Plastic Love」くらい有名になった曲であれば日本語の歌詞について考える人もいるかもしれません。
ただ、歌詞の意味がわからないということは決してネガティブなことではなく、それでも楽曲の良さが国境を越えて広がってみんなで盛り上がれるという点で、やはり音楽は素晴らしいものだと感じます。
アイドル歌謡にも光を当てたい


Night Tempo氏の私物カセット、7インチ(写真提供:Night Tempo)
ー今後パンデミックが収束して、またお客さんの前でライブができるようになったら、ステージで試してみたい演出やパフォーマンスのアイデアはありますか?
Night Tempo:今はコロナ禍でなかなか遊びに行くこともできないし、きっと我慢している人がすごく多いと思います。次に日本でライブをやるときは、日本のファンと一緒にカラオケが楽しめるようなイベントをやってみたいですね。
ーそれは楽しそうですね! SNSでも度々“早く日本に行きたい”と投稿されているのを見かけますが、次に日本に来た時はどんなことをしたいですか?
Night Tempo:仕事以外の時間がもらえるなら、日本の田舎、古い町並みが見られるようなところを旅行してみたいですね。今は関西の方にある80〜90年代に活気があった古い商店街をピックアップしてリサーチしています。そういう場所に行って感じたことをWEB記事にしてみたいんです。日本の人が忘れてしまっていること、まだ気づいていない日本の魅力を外国人である僕の視点で見つけて発信してみたいですね。
ー改めて、今作のコンピレーションを聴く人にNight Tempoさんが最も伝えたかったのはどのようなことなのでしょうか?
Night Tempo:アイドル歌謡は一時期評価されず、軽んじられていた面があります。シティポップが人気になった今でもまだあまり聴かれていない印象があるので、僕はそこに光を当てたいと思いました。
80年代はアイドル歌謡とファッションにも密接な関係があったり、言わば“アイドル文化”として一つのカルチャーができあがっていたと思うんですよね。そういう文化的な魅力を持つアイドル歌謡の良さを、この作品をきっかけに多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
ーNight Tempoさん自身も、今作をきっかけに改めてアイドル歌謡の良さを発見した部分はありますか?
Night Tempo:当時のアイドル歌謡を聴いていると、その当時は本当に贅沢に音楽を作ることができていたんだなと感じます。海外の音楽トレンドを取り入れるタイミングも早かっただろうし、さらにそれを日本のポップスの真ん中にいるようなアイドルの曲でやっていたことはとても興味深いですね。
ー今、もしNight Tempoさんがアイドル歌謡をプロデュースするとしたらどんな内容にしたいですか?
Night Tempo:それは秘密です(笑)。実は今、自分のアルバムを制作しているのですが、まだ具体的なことは話せないんですよ。この質問の答えはそのアルバムで明らかになるので、僕の答えを知りたい人はアルバムのリリースを楽しみにしておいてください!
【関連記事】
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【リリース情報】

『Night Tempo presents ザ・昭和アイドル・グルーヴ』
発売日:2021年5月19日(水)
発売元:ポニーキャニオン
CD品番:PCCA-06038
価格:2,200円(税込)
配信リンク:https://lnk.to/NT_ShowaGroove
収録曲:
1. 新田恵利 – Déjà vu (Night Tempo Showa Groove Mix)
2. 西田ひかる – Nice-Catch! (Night Tempo Showa Groove Mix)
3. Wink - 淋しい熱帯魚 (Night Tempo Showa Groove Mix)※
4. 工藤静香 - 嵐の素顔 (Night Tempo Showa Groove Mix)
5. BaBe – Give Me Up (Night Tempo Showa Groove Mix)
6. 斉藤由貴 - ストローハットの夏想い (Night Tempo Showa Groove Mix)
7. 森尾由美 – だからタッチ・ミー (Night Tempo Showa Groove Mix)
8. Wink – Get My Love (Night Tempo Showa Groove Mix)※
9. ゆうゆ - サヨナラ志願 (Night Tempo Showa Groove Mix)
10. 斉藤由貴 – 卒業 (Night Tempo Showa Groove Mix)
11. BaBe – I Don’t Know! (Night Tempo Showa Groove Mix)
12. 工藤静香 - ワインひとくちの嘘 (Night Tempo Showa Groove Mix)
※配信アルバムには未収録、CDのみ収録
【プロフィール】

Night Tempo(ナイト・テンポ)
80年代のジャパニーズ・シティ・ポップや昭和歌謡、和モノ・ディスコ・チューンを再構築し、「フューチャー・ファンク」というジャンルを生んだ韓国人プロデューサー兼DJ。米国と日本を中心に活動する。竹内まりやの「プラスティック・ラブ」をリエディットして欧米で和モノ・シティ・ポップ・ブームをネット中心に巻き起こした。昭和カセットテープのコレクターでもある。昭和時代の名曲を現代にアップデートする『昭和グルーヴ』シリーズを2019年に始動。Winkを皮切りに、杏里、1986オメガトライブ、BaBe、斉藤由貴、工藤静香、松原みきとこれまで7タイトルをリリース。同年フジロックフェスティバル’19に出演を果たし、秋には全国6都市を周る来日ツアーを成功させた。2020年2月には東京ドーム ローラースケートアリーナでバースデイ・イベントを開催。
■Night Tempo オフィシャルサイト/SNS
Official Website: https://nighttempo.com
Twitter: https://twitter.com/nighttempo
Instagram: https://www.instagram.com/nighttempo/
Facebook: https://www.facebook.com/nighttempo/
YouTube: https://www.youtube.com/nighttempo
Bandcamp: https://nighttempo.bandcamp.com/
Soundcloud: https://soundcloud.com/ntreboot
written by Jun Fukunaga
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