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なぜ、Night Tempoは今、”架空の都会”で女性たちの活躍を描くのか? その真意を探る
満を持してリリースされるメジャーデビューアルバムでは、幅広い世代から10人の女性シンガーが参加。架空の都会で暮らす女性たちの物語がつづられている。
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2010年代末にインターネット上で勃興したフューチャーファンクの旗手として、シーンを牽引し、近年のシティポップ・ブームにも多大な影響を与えた韓国出身のプロデューサー、Night Tempo。
2019年にはフジロックにも出演を果たし、レッドマーキーを巨大ディスコへと変えるほどの活躍を見せ、その勢いのまま行った6都市を周る来日ツアー「Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ・ツアー」も大成功を収めたことで、その知名度も上昇した。
また、プロデューサーとしては、2019年4月にリリースした初のオフィシャル・リエディット作品『Wink – Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』が大きな反響を呼び、同オフィシャル・リエディット作品はシリーズ化。今年7月には昭和アイドル・ポップスのリエディットをまとめたコンピレーション作品『Night Tempo presents ザ・昭和アイドル・グルーヴ』をリリースし、注目を集めたことは記憶に新しい。
そんなNight Tempoが、満を持して発表したのが、12月1日にリリースされたメジャーデビューアルバム『Ladies In The City』だ。
本作は10名の女性アーティストをゲストボーカリストとしてフィーチャーした、Night Tempoにとって初の全編ボーカルアルバム。1980年代後半から90年代の架空の日本の都会を舞台としており、そこに暮らす女性たちの物語がつづられている。
全12曲が収録された本作では、韓国人シンガーのCrystal Teaをフィーチャーした「Love Actually」、BONNIE PINKをフィーチャーした「Wonderland」が先行曲としてリリースされたが、そこで聴こえる音はパブリックイメージであるフューチャーファンクではなく、Night Tempoのオリジナリティが打ち出されたハウシーなトラックだった。
また、本作にはハウスのほかにもディスコ、UKガラージを取り入れた歌モノトラックが収録されているが、それらの楽曲もまた、これまでのNight Tempoの音楽にあったフューチャーファンクや昭和歌謡、シティポップの匂いは残しつつも、先述したようにNight Tempoのプロデューサーとしてのオリジナリティが確かに感じられるものとして仕上げられている。
そんな本作では"女性の声"が重要な意味を持つというが、果たしてNight Tempoはそこにどんなメッセージを込めたのだろうか? その真意とともに本作の制作の背景や来年1月からスタートする来日ツアーにかける想い、今後の展望などを探るべく、Night Tempoに話を訊いた。
ー以前からフューチャーファンクに限らず、Lo-Fi HIP HOPのオリジナル曲などもリリースされていましたが、メジャー・デビューアルバムをこのタイミングでリリースすることにした理由を教えてください。
Night Tempo:コロナ禍で外出できなくなったことで音楽制作をする時間が増えたこともあって、色々な曲を作っていたのですが、そのタイミングでレーベルからアルバムリリースの話を持ちかけられました。最初はどちらかといえば小規模なプロジェクトのつもりだったのですが、それがいつの間にかこんなにも大きなプロジェクトになってしまっていたので、当事者としては驚きもあるし、責任も感じています(笑)。
アルバム制作は今年の4月頃から開始したのですが、アイデアがスムーズに出てきたこともあって、クリエイションの部分は大体3ヶ月、全体で見ても5ヶ月ほどで完成したので制作期間自体は意外と短かったですね。ただ、スムーズにアイデアが出てきた分、アルバム収録曲の5倍以上の曲ができてしまったので、今回収録することができなかった曲は、そのうちアウトテイク集みたいな形でリリースすることも考えています。
ー今作ではシティ・ポップの匂いはさせつつも、パブリックイメージであるフューチャーファンク色が薄れたことで、よりオリジナリティのある内容になったと感じました。このアルバムでNight Tempoさんが目指したのはどのようなサウンドだったのでしょうか?
Night Tempo:アルバム制作では最初に、どういう音楽であれば架空の日本の都会にマッチするかを考えました。そして、色々なジャンルの音楽をリサーチしている中で、ディスコやハウス、UKガラージなら、そのイメージにピッタリだなと思ったんです。
ただ、そういうジャンルのオリジナルに忠実というよりは、例えば、アニメ声のボーカルをディスコ調の曲に入れてみたり、1曲に色々なジャンルの要素を盛り込むことで、なんとなくディスコっぽい、ハウスっぽいと感じる中にNight Tempoなりの解釈を感じ取れるようにすることを意識して制作していきました。
ー色々なジャンルの要素を盛り込んだとのことですが、アルバム制作でどんなアーティストやジャンルにインスパイアされましたか?
Night Tempo:音楽的には少なからずDaft Punkの影響があるというか、参考にしている部分はありますね。それと意外に思われるかもしれませんが、The Beatlesも参考にしています。アルバムのコンセプトに関しては、角松敏生さんの影響が大きいです。特にテクスチャー的な部分、バイブスの部分でインスパイアされました。
ーアルバム制作ではどのような苦労がありましたか?
Night Tempo:曲を作ることよりもゲストシンガーの方とのやりとりや、レコーディングスケジュールの調整の方がどちらかといえば大変でした。これまではシンガーさんと一緒に曲を作ることがなかったのですが、今回こういう形でシンガーさんと一緒に楽曲を作り上げることができて、自分のクリエイションの幅がすごく広がったと思います。
ー今作は上坂すみれさん、山本彩さん、道重さゆみさん、竹内美宥さん、国分友里恵さん、刀根麻理子さん、野宮真貴さん、BONNIE PINKさんなど幅広い世代の日本のシンガーが参加されていますが、ゲストシンガーはどういった基準で選定されたのでしょうか?
Night Tempo:ゲストシンガーに関しては、幅広い世代のシンガーを起用することをもちろんのこと、その中でも声にキャラクターがあることを条件に選定しました。
僕は80年代〜90年代にかけて発表された日本の音楽が好きなので、国分友里恵さん、刀根麻理子さん、野宮真貴さんのことは以前から知っていたのですが、それ以外の方は今回アルバム制作のためのリサーチをしていく中で初めて知り、特に自分の曲で歌ってほしいと思う方にオファーしました。
ーアルバムには日本人シンガーだけでなく、Night Tempoさんと同郷の韓国人シンガーのCrystal Teaさんと「Love Actually」でコラボされています。Crystal Teaさんとはどのようなきっかけでこの曲を制作することになったのでしょうか?
Night Tempo:Crystal Teaさんのことは、Instagramの広告でたまたま知りました。その時に声も特徴的だったし、韓国で椎名林檎さんっぽい音楽をやっているところも面白かったので、渋谷系の曲を日本語で歌ってほしいなと思いコラボを打診してみました。
彼女は韓国のインディーバンドシーンで結構長く活動しているのですが、日本が好きだけど、日本で何かできるような機会はあまりないということで、今回のアルバムに参加してくれることになりました。日本語で歌うことに関しては、最初は少し自信なさげで戸惑っているように見えましたが、ディレクションを重ねてとても良い曲ができたと思います。
ーアルバム制作ではどういった機材を使用されたのでしょうか?
Night Tempo:基本的にはPCで作りましたが、ほかには音に味を出すために古いリズムマシンを使ったり、YAMAHAのDX100というシンセの音をサンプリングしたりもしました。そういう作り方は以前からやっていたのですが、今回はこれまでの曲作りの経験がすごく役に立ちました。
ーアルバムには「日本のトレンディ・ドラマ」の影響があるとのことですが、その影響はどのようなところにあるのでしょうか?
Night Tempo:やっぱり1番は、"都会"を感じられるトレンディ・ドラマ特有の90年代の空気感ですね。90年代って自分が生きてきた時代でもあるし、日本と韓国という国の違いはあってもすごく共通することが多いんです。だから日本のトレンディ・ドラマを見ていると色々共感したり、「そういえば、こういうことがあったな」みたいな感じで懐かしい気持ちになるんです。そういう空気感を出すためにあえて、曲のコンセプトや歌詞にトレンディ・ドラマの要素を取り入れたりもしましたね。
トレンディ・ドラマにはどこかバブリーなイメージがあると思いますが、それが今の時代からすると逆にお洒落に感じるんです。トレンディ・ドラマにはそういう不思議な感じがあるのも面白いなと思っています。
今回のアルバムでは、僕個人としてとても魅力的に感じる80年代〜90年代にかけての音楽を中心にしつつ、今の音楽の要素も混ぜ合わせたものにしたいと思いました。そして、そう考えた時に90年代という時代の空気感がぴったりだなと思ったんです。最近は自分のアーティスト写真やファッションも90年代にインスパイアされたものになっていますが、見た目からもその時代に入っていくことがコンセプト的にも大事だと思った結果、そうなっていますね。
ーちなみにNight Tempoさんのおすすめトレンディ・ドラマは?
Night Tempo:最近見た中では『同・級・生』ですね。このドラマはものすごくドラマチックな展開がある作品ではないのですが、だからこそずっと見ていられるというか。三角関係や、登場人物たちの恋愛模様がすごく沁みてくる。そこが良かったですね。
"女性が活躍する街"を舞台にした理由
ー改めて『Ladies In The City』とは、Night Tempoさんにとってどんなアルバムなのでしょうか?
Night Tempo:以前からプロデューサーとして、女性の声を使った表現にチャレンジしてみたいと思っていたのですが、今回のアルバムではそれが実現しました。
80年代〜00年代までの文化は女性が牽引してきた部分も大きいと思うのですが、そのことがもっと評価されてもいいと個人的には思っていて。だから今作では女性の声を使うことで、カルチャーにおける女性の貢献についても明確に伝えたいと思い、"女性が活躍する架空の日本の都会"を舞台にしたアルバムを作りました。
ー女性の活躍を表現したいという考えが生まれたきっかけは?
Night Tempo:現在は以前より、女性たちをエンパワメントしていくことが社会的にも求められています。ただ、そのような主張の中には一部ラディカル過ぎるものや二項対立でどちらか一方だけを正しくしようとしすぎているように思えるものもあります。
女性にしろ、男性にしろ、行きすぎた主張になってしまうよりも、それぞれの良さを認めあってお互いに理解していくことができれば、極論をぶつけ合うような争いも起こらないと思うんです。その部分を音楽の力で少しでも変えていけたらという思いも、今回のアルバムには込めています。
ーリスナーにはどんな風に今作を楽しんでほしいですか?
Night Tempo:音楽って"アイドル曲"とか、"昭和歌謡"とか、ほかにも"J-POP"だったり、どうしてもカテゴライズされがちじゃないですか? でも今回のアルバムでは、そういったカテゴライズの"壁"を壊してみたいと思っていたので、渋いディスコの曲でアイドルが歌ったり、ハウスの曲をヒップホップっぽくしてみたり、固定観念やジャンルの境界線を失くすような形の曲を作りました。だからリスナーの方には「このジャンルの曲は絶対こうでなければいけない」みたいな先入観なく聴いてもらえたらと思っています。
ー来年は再び昭和グルーヴ・ツアーを開催されるとのことですが、ツアーでは何を期待されますか? また意気込みを聞かせてください。
Night Tempo:コロナ禍の間に昭和歌謡が色々なテレビ番組に取り上げられたことで、今は昭和歌謡ブームがジワジワと広がり始めていると思いますが、このツアーでは僕が橋渡し役として、さらに昭和歌謡の魅力を皆さんに紹介していけたらと思っています。その中で、懐かしい音楽というだけでなくクラブでも聴けるような新しさもあることを、若い世代に限らず色々な世代の方に知ってもらえたらうれしいです。
ーNight Tempoさんが火付け役の1人となったシティポップ・リバイバルも今ではずいぶん定着した感があります。現在は、その影響を受けた新しいポップスを作る若いアーティストも増えていますが、Night Tempoさんとしてはこの先、どのような活動に取り組んでいきたいですか?
Night Tempo:自分が作る音楽に関しては、80年代テイストから、やっと今90年代まで拡張することができました。これからも80年代〜90年代のテイストの音楽をメインにしつつ、今の音楽トレンドの要素を盛り込むこともやっていきたいなと思っています。
プロデューサーとしては、ただ単に今流行っているとか人気になりやすいからという理由でそういう曲を作るのではなく、自分が作りたいものを作っていきたいですね。これまでの経験からも本当に自分が作りたいと思う曲の方が、結果的にリスナーの反応も良かったし、そこはやっぱり今後もブレずにやっていきたい。その時に自分が感じているものをちゃんと表現できるプロデューサーになりたいです。
【リリース情報】
タイトル:Ladies In The City
発売日:2021年12月1日(水)
発売元:ユニバーサルミュージック
収録曲:
- Intro
- Wonderland feat. BONNIE PINK
- One Way My Love feat. 上坂すみれ
- Endless Mirage feat. 刀根麻理子
- I Don’t Wanna feat. 山本彩
- Tokyo Rouge feat. 野宮真貴
- Night Light feat. 道重さゆみ
- Love Actually (Re-edit) feat. Crystal Tea
- Sentimental feat. 竹内美宥
- House Music feat. 十束おとは(フィロソフィーのダンス)
- Sweet Combination feat. 国分友里恵
- Outro
《配信》
https://umj.lnk.to/Pre_LadiesInTheCityMB
《CD》
■初回生産限定盤(UICE-9096):10インチ紙ジャケ仕様/ジャケット・ステッカー封入/¥3,300(税込)
■通常盤(UICE-1211):ジュエルケース仕様/アルバム・ロゴ・ステッカー封入(初回生産分のみ)/¥2,970(税込)
【配信イベント情報】
●タイトル:「Night Tempoが語るアルバム『Ladies In The City』」
●開催日:2021年12月3日(金) 22:00~24:00 (生配信)
●プラットフォーム:
メイン:YouTube: https://www.youtube.com/nighttempo
サブ:Instagram: https://www.instagram.com/nighttempo
●内容:Night Tempo初のメジャー・オリジナル・アルバム『Ladies In The City』を徹底解剖!ここでしか聞けない制作秘話、ゲスト・アーティストとのエピソード、アルバム収録曲の音楽的解説、等をアルバム全曲をプレイバックしながらNight Tempo本人が語り尽くします!
【書籍情報】
タイトル:Japanese City Pop 100, selected by Night Tempo
発売日:2022年2月1日(火)
判型:四六判、4C
ページ数:152ページ
定価:1,320円(税込)
発行:303BOOKS
書籍特設サイト:https://303books.jp/night-tempo
【ライヴ情報】
『Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ・ツアー 2022』
1月31日(月)東京LIQUIDROOM
2月2日 (水)札幌Sound Lab Mole
2月4日 (金)仙台darwin
2月5日 (土)東京O-EAST
2月6日 (日)大阪BIG CAT
2月8日 (火)福岡evoL
2月10日(木)名古屋BOTTOM LINE
2月11日(金・祝)京都CLUB METRO
一般チケット発売日 12月4日(土)
問合せ:SMASH https://smash-jpn.com
【Night Tempo(ナイト・テンポ)プロフィール】
80年代のジャパニーズ・シティ・ポップや昭和歌謡、和モノ・ディスコ・チューンを再構築した「フューチャー・ファンク」の人気アーティストである、韓国人プロデューサー兼DJ。米国と日本を中心に活動する。竹内まりやの「プラスティック・ラブ」をリエディットして欧米でシティ・ポップ・ブームをネット中心に巻き起こした。角松敏生とダフト・パンクをこよなく敬愛する、昭和カセット・テープのコレクターでもある。昭和時代の名曲を現代にアップデートする『昭和グルーヴ』シリーズを2019年に始動。Winkを皮切りに、杏里、1986オメガトライブ、BaBe、斉藤由貴、工藤静香、松原みき、中山美穂、秋元薫、菊池桃子、八神純子とこれまでに11タイトルを発表。2021年5月には、昭和アイドルにフォーカスした『昭和アイドル・グルーヴ』のコンピレーションCDもリリースした。オリジナル・アルバムは、『Moonrise』 (2018年)『夜韻 Night Tempo』 (2019年)『Funk To The Future』 (2020年)『集中 Concentration』 (2021年)の4タイトルをセルフ・リリース。2019年にフジロックフェスティバルに出演を果たし、同年秋には全国6都市を周る来日ツアーを成功させた。翌年2月には東京ドーム ローラースケートアリーナでバースデイ・イベントも開催。世界的なシティ・ポップ・ブームの牽引役として活躍中の彼は、地上波TVでも数多く取り上げられるなど、今最も注目される海外アーティストの1人である。
Official Website: https://nighttempo.com
Universal Music Website: https://www.universal-music.co.jp/night-tempo
Fujipacific Music Website: http://www.fujipacific.co.jp/nighttempo
Twitter: https://twitter.com/nighttempo
Instagram: https://www.instagram.com/nighttempo
Facebook: https://www.facebook.com/nighttempo
YouTube: https://www.youtube.com/nighttempo
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