【レビュー】ポジティヴなパワーに満ちたニューリリースをピックアップ

ONJUICY、Primula、SUSHIBOYS、SIK-K&Jay Park、CHILI×STEEEZOの新曲を紹介。
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2020.06.09 08:00


Written by Tomohisa Mochizuki


コロナショックに人種差別問題、悲しいニュースが続いていて精神的に食らってる日々。そんな生活の中にちょっとした希望というか暗闇の中にそっと光を当ててくれるのもまた音楽だったりする。この記事では、日常に希望を与えてくれる楽曲を紹介したい。





ONJUICY、Primula、SUSHIBOYS、SIK-K&Jay Park、CHILI×STEEEZOポジティヴなパワーをくれる5月リリースの新曲をピックアップ


信じた者のみが幻想を現実に変えることができるのかもしれない:ONJUICY/Fantasia



UKプロデューサーRoskaとのコラボ曲「Get That Juice」、YUNGYUとの「このまま二人」をリリースし、自身のレーベルから「Go」をリリース。精力的に活動するONJUICYはグライムに軸を置けども、ジャンルや国を飛び越えてさまざまなクリエーター、アーティストとコラボする。Mars89が主宰する「プロテストレイヴ」にも参加し、社会、日常、音楽をシームレスに繋ぐ貴重な存在だと思う。「Fantasia」では静岡出身のサウンドクリエーター/プロデューサーisagenとコラボ。スローでリラックスしたフューチャーベーストラックの上で、日常と心情を如実に描写している。そこには現実や自分と向き合うONJUICYの強い意志を感じる。


配信URL:https://linkco.re/vC01cHPS


ありのままで生きていれば、ただそれだけでいい:SUSHIBOYS/必要ない



ふざけているようで、地に足着いてるSUSHIBOYSが好きだ。“みんな死んだら骨”。もうこれ以上ない真理を突く「死んだら骨」さながらに「必要ない」では“ありのままでいい”というシンプルなメッセージを投げかける。無理して手に入れる個性や夢、そもそも生きることに理由はいるのか。“いやいらないっしょ 俺には君が必要だし”とFARMHOUSE、 SANTENAの2人が等身大の正直な気持ちをラップする。「生きてるだけでいいじゃん」と言ってもらえたら人の心はどれだけ救われるだろうか。シンプルだけに響く楽曲だ。爽やかなブラスが鳴るイントロ、オートチューンボイスを新鮮に聴かせるフックのボーカルもイケてる。



なぜ? どうして? 負の輪廻から脱する禅的楽曲:CHILI x STEEEZO / DOして。



「CHIC CITY」や「AISATSUなんて IRANAI街で。」など、さまざまな楽曲で共演してきた山梨出身のラッパーCHILIと、北海道出身の電子音楽家STEEEZOコンビによる新曲。CHILI x STEEEZO、田我流のライヴDJとしても活躍するサウンドクリエーターMAHBIE、stillichimiya/OMKのYOUNG-G、MMMが参加したコンピレーション的作品「PERFECT WORLD」に収録されている楽曲である。stillichimiyaと縁深い青木ルーカス監督によってMVが公開された「DOして。」は日々の出来事に疑問を問いかけつつ、どこか悟りを開いたような達観した価値観を感じさせる。浮遊感のあるトラックと深みのある声に、瞑想に近い感覚が味わえる。タイトル曲「PERFECT WORLD」はYOUNG-Gが手掛け、MVも近日公開される予定とのことでこちらも楽しみ。


配信URL:https://www.tunecore.co.jp/artist?id=408573


不穏な日暮れに、踊り出したい衝動に駆られる:Primula/Into Yu



山梨発のレーベルNeguse Group、DÉ DÉ MOUSE主宰のnot records、XXX//PEKE//XXXなどさまざまなレーベルから音源をリリースしているプロデューサー/DJ、Primulaの新曲。言葉はなくともどこか懐かしい風景の匂いを感じさせ、感情を揺さぶるトラックメイキングがPrimulaの十八番。叙情的インストグライムと銘打たれた「Into Yu」は故郷や大事な記憶への回帰と、それに相反するかのような衝動的、激情的なダンスへの欲求、感情の混在から生まれたという。ノスタルジックなメランコリック・シンセと、ハードなドラム・プログラミングによる「静と動」の一連のストーリーを感じさせるトラックとなっている。途方に暮れてどうにもならなくなったとき、逆に高揚して気持ちが抑えられなくなったとき、踊りたくなる、そんな気持ちなんとなく分かるでしょう? (実際踊るかどうかは別として)。いろいろ考えて考え過ぎて、もう何もしたくなくなったら感情に任せて河原や海辺、空き地や公園で踊っちゃおう。


“H1GHRMUSICは不正との闘いを支援し、すべての人に平等を求める”:Sik-K, pH-1, Jay Park, HAON/GANG Official Remix 



RAIN(비)の「GANG」は2017年リリースの楽曲だが、今年Tik Tokムーヴメントを受けて再ヒット。ネット上でミーム化したが、直近で韓国のヒップホップレーベルH1GHRMUSICの面々がオフィシャルリミックスとしてリリースした。m-flo「tell me tell me」での共演も記憶に新しいSik-Kや、Sik-Kを見出した代表のJay Parkまで出張ってきて、Sik-Kと同じくバイリンガルのpH-1と2000年生まれの若きラッパーHAONに加え、ネタ元のRAIN(비)もMVに登場。失礼だけど本家越えのクオリティでエンターテイメント性あふれる作品となっている。大事なのは冒頭に#BlackLivesMatterと#JusticeforGeorgeFloydとタグを付け、


「H1GHRMUSIC supports the fight against injustice and wants equality for all.(H1GHRMUSICは不正との闘いを支援し、すべての人に平等を求める)」


と明確なメッセージを掲げていることだ。これに対し「すごいなあ! 」と書くのもなんだか情けない話なのだが、韓国系アメリカ人であるJay Parkにとっては当然の行動であるし、そもそも韓国の音楽産業とアメリカの音楽産業は明らかに日本よりも距離が近い。ショービジネスであるということを鑑みても、「Black Lives Matter」に対してスタンスを明確にするという点とそのスピード感はやはりさすがだなと思う。この曲はリリース初日に韓国チャートで1位になったそうだ。韓国は抗議活動を活発に行う国で、デモ文化が民衆に根づいているとも聞く。いろいろと考えさせられるが、同じアジアンとしては勇気づけられた曲である。Sik-Kは6月11日にアルバム『2nd LP』をリリースする。「2020年はアルバム2枚以上出したい」ってインタビューしたときに言っていたから楽しみだ。有言実行、かっこいいね。


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photo:

https://twitter.com/onjuicy2/status/1265296850413744128

https://youtu.be/yvby-F5Av78

https://twitter.com/STEEEZO_946/status/1268934042818207744

https://youtu.be/Mn3qh0XrLcc






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