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NewJeans「Ditto」が米英チャートインの快挙 考察を生むMVと“ヒットのルールを刷新する”二人の仕掛け人

2023/01/18 18:00
はらう
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PHOTO: ⓒ 2023 ADOR. All Rights Reserved.
K-POPシーンにおいてデビュー後最短期間でUS・UKチャートインするという快挙を打ち立てたNewJeans。デビュー間もないガールズグループが世界的ヒットへと歩みを進める背景を考察する。

デビューしてまだ半年、韓国の5人組ガールズグループ、NewJeans(ニュージーンズ)が世界を席巻しはじめている。

米・ビルボードが1月17日(現地時間)に公開したチャート「ホット100」で新曲「Ditto」が96位にランクイン。NewJeansにとって「ホット100」にチャート入りするのは初めてのことで、K-POPアーティストとしてデビュー後最短期間での快挙だ。

さらに、全英シングルチャートでも1月13日(現地時間)に95位に初登場。同日付けのSpotify「週間トップソング・グローバル」でも11位にランクインしている。

NewJeansは、BTSも所属する事務所「HYBE」の新レーベル「ADOR」から2022年7月22日にデビューしたK-POPガールズグループ。トレンドであるY2Kを意識したビジュアルと、90年代のR&Bに影響を受けた楽曲が韓国のみならず世界でじわじわと注目を集め、今回ついにアメリカ、イギリスでも代表的なチャートに名前を載せることとなった。

チャートに対するファンダムの影響力への賛否

上述したような音楽チャートでは、パッケージ/ダウンロードの売上だけでなく、配信サービスや動画サイトでの再生回数もランクインに大きく関わってくることをご存知の方も多いだろう。

アーティストやグループの熱狂的なファンのことを「ファンダム」と呼ぶが、K-POPシーンではこのファンダムが大きな力を持っており、好きなアーティストの楽曲をチャートインさせるために各自が再生回数を増やすといった応援スタイルも今では一般的になっている。

PRESIDENT Onlineの記事には、ストリーミング再生をし続ける“ミュス”や、無音でストリーミング再生を繰り返す“無音スミング”など、ファン全体で再生回数を押し上げる活動の例が紹介されており、ファンダムがいかに熱量を持って好きなアーティストを推しているかがわかるだろう。

そして近年では日本でもこのような活動が見られている。KAI-YOUが行ったBillboard JAPANへのインタビューでは、このような行いを“チャートハック”と呼び、「チャートハックを目的とした再生は音楽を聴いていると言えるのか」と警鐘を鳴らした。

これには「チャートを運営する側もその指標をアップデートすべき」という意見もあり、ストリーミング時代の音楽チャートの在り方には様々な議論が巻き起こっているのが現状だ。

さて、話をNewJeansに戻して、果たして彼女たちの楽曲はこういったファンダムの力だけで冒頭に述べたような快挙を成し遂げたのだろうか?

“6人目の少女”、“精神病棟でのカウンセリング”…様々な考察を生み出すMV

NewJeans

チャートの指標には「動画の再生回数」も含まれると述べたが、今回のNewJeansの快挙には「繰り返し観たくなるMV」が大きな貢献を果たしたのでは、と筆者は考える。

12月に公開された「Ditto」のMVは公開後79時間で1000万回再生を突破。さらに年明けより配信された「OMG」のMVは公開から58時間後に1000万回再生を突破するなど、その初動にも注目が集まっていたが、その後も再生数を伸ばし続けており、コメント欄には様々な言語で感想が書き込まれるなど視聴者が世界的に広がっていることがわかる。

世界で反響を呼ぶ背景には、MVの内容に対して様々な考察がネット上で広がっていることが大きいだろう。

「Ditto」のMVは“Side A”、“Side B”の2編構成で、NewJeansのメンバーと一緒に学生生活を送る“6人目の少女”を追う内容だ。青春映画的な描写もありながら不穏な空気を感じる演出も織り込まれており、「アイドルとファンの関係性を描いているのではないか?」など、MVの中で映し出される細かな場面にまで言及するような深い考察が盛り上がりを見せている。

「Ditto」に続いて公開された「OMG」のMVは、精神病棟でカウンセリングを受けるNewJeansメンバーの一人が「私はiPhoneの中のSiriです」と発言するショッキングな場面からスタート。映像の最後には「MVの題材が不快だ」とツイートしようとする画面が映るなど、ドキッとさせられるような演出が散りばめられており、この内容に対しても様々な議論の声が挙がっているのだ。

このように、あえて含みを持たせ視聴者の想像力をかきたてるような映像が、観る者それぞれの解釈を与え、その一人ひとりの感想や考察が世界中へと伝播し、冒頭に記したようなK-POPシーン全体から見ても大きな快挙につながったのではないだろうか。チャートのために再生する、してもらうのではなく、ファンはもちろんファン以外の人でも「もう一度観たくなる仕掛け」をいかに作るか。群雄割拠のK-POPシーンにおいて、ひとつの指針となるような作品をNewJeansは創り上げたと感じる。

"ヒットのルールを刷新する”プロデューサーと映像監督のタッグ

NewJeans「Ditto」「OMG」の背景には“ルールを打ち破る”ことを信念とする二人のクリエイターがいる。一人は、NewJeansの楽曲、振り付け、プロモーションなどそのすべてを総括するプロデューサーで、所属事務所ADOR代表取締役のミン・ヒジンだ。

ミン・ヒジンは韓国大手事務所、SMエンターテインメントのアートディレクターとして少女時代やf(x)(エフエックス)など多くのアーティスト作品のブランディングを行っており、その優れた手腕と実験的アプローチで確かな地位を獲得した人物である。

NewJeansをデビューさせる際も、K-POPグループのデビューにおける基本ルールであったティーザーやメディアでのメンバー紹介などをせず、いきなりMVを投稿し大きな反響を呼んだ。

ミン・ヒジンは韓国のメディア「BE(ATTITUDE)」のインタビューで、「“このスタイルが正解だ”といった意見は苦しく感じる。世の中にある多くの良い音楽は一つのスタイルに帰結するわけではなく、多様な形を模索したい」といったことを述べており、このことからもNewJeansがK-POPの常識を打ち破るべく生まれたグループだということがわかるだろう。

そしてもう一人がMVの監督を務めた、映像制作集団「DOLPHINERS FILMS」の代表、シン・ウソクだ。DOLPHINERS FILMSは韓国で多くのトレンドを生み出している制作会社で、その独自の広告スタイルにより韓国国内や海外でも広告賞の受賞経験を持つ。

今回、初めてMVを監督したというシン・ウソクは、韓国の音楽配信サービス「Melon」のインタビューで、「最近のアイドルグループのMVはほとんどフォーマット化されている。初めて参加するからこそ、枠組みに縛られずに新しい挑戦がしたかった」と語っており、これはミン・ヒジンがK-POP業界に対し、新しいやり方で戦っていくという考えと一致する。

ヒットのルールに縛られず、自己の目指す表現を突き詰めたことによる世界的ヒット。新人ながら破竹の勢いで邁進するNewJeansとそのチームは、「毎日求められ、いつ着ても飽きないジーンズのような時代のアイコン」というコンセプト通り、まだまだ私達に新しい風を運んできてくれることだろう。
NewJeans

Text:はらう

【LINK】

NewJeans JAPAN OFFICIAL SITE
https://www.newjeans.jp/

NewJeans JAPAN OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/NewJeans_jp

Photo:ⓒ 2023 ADOR. All Rights Reserved.

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