元祖音楽系SNSのMySpaceが2003〜2015年にアップされた楽曲をすべて永久消失

エレクトロムーブメントや大物アーティストのキャリアの原点を支えた2000年代を代表するSNSの音源データが永久に失われることになった。
SHARE
2019.03.19 03:00

現在では、ミュージシャンがファンと交流するためのSNSは多数存在するが、2000年代にその役目を担っていたサービスといえば、Myspace。全盛期にはデビューやキャリア飛躍のきっかけを掴むために世界中のミュージシャンがどうサービスを利用し、自らの音源を公開。実際にLily Allen、The Arctic Monkeysといった現在の大物アーティストは、Myspaceを通じてブレイクするなど、まさに音楽系SNSのさきがけだった。




有名ミュージシャンやSNS発のムーブメントを生んだMyspace  


またMyspaceから生まれたクラブミュージックのトレンドの最たるものは、当時世界中で大流行したエレクトロムーブメントだ。思い起こせば、Justice、Digitalism、Simian Mobile Discoといった現在ではベテランと呼ばれるようなクラブミュージックの大物たちもMyspaceページを持っており、彼らのページには公開されている音源を聴くために多くの音楽ファンがアクセス。さらにEd Banger、INSTITUBES、Kitsuneなどエレクトロの主要レーベルが注目され、膨大な数のフォロワーが誕生。その中には音楽ファン以外にもミュージシャンやレーベルも含まれていた。また日本でも80Kidzや彼らが当時主宰していたKidz Rec所属アーティストや、THE LOWBROWS、Dex Pistols、Kaz NishimuraなどがMyspaceを通じて、その存在を日本だけでなく海外にも知らしめていた。



さらにこの当時のMyspaceが生み出したもので代表的なものといえば、音楽ブログ文化だ。世界中の音楽ブロガーがMyspace上でミュージシャンやその楽曲をディグし、ブログに掲載。数々の有名ブログが誕生し、影響力のあるブログにピックアップされることは、その後のミュージシャンのキャリアを拡大させる意味でも大きな意味を持っていた。



しかし、そんなMyspaceも、その最盛期を過ぎると当時”改悪”と多くのユーザーに言われたアップデートを重ね、徐々に勢いを失くしたことと同時に類似サービスのSoundCloudが台頭したこともあり、いつの頃からかほぼ使用されることがない廃墟的SNSになった印象を受ける。おごれる者久しからず。そこにはただ、栄枯盛衰があり、当時の筆者も諸行無常を感じたものだ。



これまでになかったネットを通じてのキャリア拡大を実現できるサービスだった  


振り返ってみるとMyspaceは当時、無名だったミュージシャンにとっては、チャンスを掴むための必要不可欠なツールであり、例えば実際に日本で全く知名度がなくても、それまでならデモテープをフィジカルに海外レーベルに送るという作業を行わなければならなかったところをカット。Myspaceのメッセージ機能を通じて、レーベルに音源を聴いてもらう機会を創出したり、またはアーティスト間でのリミックスオファーのやりとり、さらにはMyspaceの楽曲アップロード機能を利用してのリミックスコンテストも行われるなど、本当に当時のMyspaceにはそれまでになかったミュージシャンのキャリアを拡大させるための可能性が満ち溢れていたと思う。  


2003〜2015年にアップロードされた楽曲が全て消失  


そしてMyspaceからこのほど、2003〜2015年にアップロードされた楽曲がすべて消失。しかも一時的なものではなく、永久に失われてしまったことが明らかになった。 報じられているMyspaceからの発表によると同サービスはサーバーの移行作業中に、サイト内にある大量のバックログが消えてしまったことが今回の消失騒ぎの原因だという。その結果、サーバー内に保管されていた1400万人のアーティストによる5000万曲を超える曲が失われ、しかも復元の方法はないという。 


この件に関して、Kickstarterの元CTOのAndy Baioは、「アクシデントによるデータの消失は無能さのPRではあるが、”5000万曲もの古いMP3を移行するためのコストをかけたくない”と本音をいうよりは聞こえはいい」とTwitter上で皮肉めいた持論を投稿している。




Myspaceのデータ消失は、利用状況を考えると現代のミュージシャンや音楽ファンにとっては正直なところ、さしたる影響はないだろう。ただ、Myspaceを利用していた世代からしたら、妙にノスタルジーを感じる出来事ではある。 


また現在、データ保管ややりとりの主流になっているクラウドサービスもこのようなことを考えると永久にデータをこの世に残しておける類のものではないのかもしれない。そう考えると重要なデータは、やはりローカルのハードドライヴなど複数バックアップを取っておいた方が良いと思わされる。  


平成最後の春に平成を代表する音楽SNSが去った。筆者的にはそう感じた出来事だ。

written by Jun Fukunaga


source:

https://www.trustedreviews.com/news/myspace-deleted-music-3679393


photo: Soirmag




SHARE