第61回グラミー賞でMura Masaが受賞した“最優秀リミックスレコーディング賞” に注目。過去に受賞したアーティストは?

Mura Masaの受賞より2年前、2017年には日本人アーティストStarRoがノミネートされた“最優秀リミックスレコーディング賞”を振り返る。
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2019.02.13 08:45

イギリス王室属領・チャンネル諸島の「ガーンジー島」出身の若き天才プロデューサーMura Masa(ムラ・マサ)こと、Alex Crossan(アレックス・クロッサン)が先日行われた第61回グラミー賞にて“最優秀リミックスレコーディング賞”を受賞した。




Mura Masaが“最優秀リミックスレコーディング賞”を受賞。 過去にはSkrillexや日本人アーティストも。


昨年末にツアーで来日したことも記憶に新しい、サウンドクリエーター/プロデューサー Mura Masaが第61回グラミー賞で“最優秀リミックスレコーディング賞”を受賞した。


第60回ではアルバム『Mura Masa』が最優秀レコーディング・最優秀エレクトロニック/ダンスアルバム部門の2部門にノミネートされるも受賞には至らなかったが、今年、ついにWinnerを勝ち取ることができた。


この部門では、その名の通り楽曲のリミックスを手がけたアーティストと作品がノミネートされ、審査される。Mura Masaはアメリカの三姉妹インディーロックバンドHAIM(ハイム)の楽曲をリミックス。HAIMのアンニュイなグルーヴ感はそのままに「Walking Away(Mura Masa Remix)」はMura Masa特有のオリエンタルなサウンドとエモーショナルなボーカルカットアップが印象的な1曲となっている。




Mura Masaの他、ノミネートされていたアーティストは下記の通り。


Cid 「Audio (Cid Remix)」performed by LSD

Maurizio Colella 「How Long (EDX's Dubai Skyline Remix)」performed by Charlie Puth

Stefan Bossems & Claus Terhoeven 「Only Road (Cosmic Gate Remix)」 performed by Gabriel & Dresden ft. Sub Teal

Ryan Raddon 「Stargazing (Kaskade Remix) performed by Kygo ft. Justin Jesso


SkrillexやDavid Guettaも過去に受賞


ノミネートと受賞アーティストをご覧いただければ分かる通り、この部門ではエレクトロダンスミュージックのプロデューサーが多くノミネートされている。(クラシック音楽については、別カテゴリで同名の賞が設定されている)


クラブではヘタしたら、オリジナル楽曲よりもリミックス音源の方が鳴っている割合が多いのではないだろうか。過去の受賞アーティストを見ても、block.fmリスナーと親和性が高いメンツがズラリと並ぶ。


ちょうど10年前の2009年は、今年グラミー賞で最優秀ダンス/エレクトロニックアルバムを受賞したJustice(ジャスティス)が、エレクトロポップバンドMGMT(エムジーエムティー)の「Electric Feel」をリミックスし、この賞を受賞している。4月に来日公演も控えたJusticeについての記事を今こそ読んでほしい。


関連記事:グラミー賞最優秀ダンス/エレクトロニックアルバムを受賞したジャスティスは、なぜ評価されたか?


 

翌2010年、2011年はDavid Guetta(デヴィット・ゲッタ)が連続受賞。2010年は「When Love Takes Over(Electro Extended Remix)」、2011年はMadonna(マドンナ)の「Revolver(David Guetta's One Love Club Remix)」でAfrojack(アフロジャック)とともに受賞している。


そして2012年、2013年はリミックスの帝王と言っても過言ではないSkrillex(スクリレックス)が「Cinema (Skrillex Remix)」、「Promises (Skrillex and Nero Remix)」で2年連続の受賞を果たした。





Skrillex大好きっ子な筆者はこの2曲を聴くと、Skrillexが2012年に初単独来日公演をSTUDIO COASTで開催した際、圧巻の演出と音に感動して泣きそうになりながらモッシュしまくっていた思い出が蘇る。




2017年は日本人アーティストStarRoがノミネート


今年のグラミーでは「This is America」の主要部門受賞により、MVを監督したヒロ・ムライ氏にも大きな注目が集まった。日本の地上波でも大々的に放送されたが、ネットでは“最優秀アルバム”に選ばれ、パフォーマンスをしたCardi B(カーディ・B)のバックダンサーチームに日本人ダンサー島津藍さんが参加し、グラミーの舞台に立ったことも話題に。




ヒロ・ムライ氏や島津藍さんなど日本人の国際的な活躍が嬉しいニュースだが、このおよそ2年前、2017年に“最優秀リミックスレコーディング賞”に日本人プロデューサー/サウンドクリエイターStarRo(スターロー)がノミネートされたことも忘れてはならない。


StarRoはLAを拠点に世界中から才能あるアーティストが集まる気鋭レーベル、Soulectionと契約するプロデューサーである。この年に受賞したのはAndré Allen AnjosのソロプロジェクトRAC「Tearing Me Up (RAC Remix)」。Winnerにこそならなかったものの、名だたる世界的なサウンドクリエーターがひしめく本部門に日本人アーティストとしてノミネートされたこと自体が快挙である。




block.fmでも過去にそのパーソナリティを紹介している記事を紹介しており、別媒体であるが、本人によるグラミー体験の寄稿は第61回のグラミー賞を受けて再びアクセス数が増えているとのこと。


関連記事:今だからこそ知りたい。グラミー賞日本人ノミネーターstarRoってどんな人?


限られたアーティストしかその地を踏むことができない、グラミーの生の空気感をパッキングした体験記は一読の価値がある。







グラミーの看板は地に堕ちた? 批判よりも“あえて楽しむ”


毎年の恒例行事となっているグラミー賞への批判の声は年々大きくなっている気がする。性差別問題、人種差別問題が叫ばれるなかで、Kendrick Ramar(ケンドリックラマー)、Childish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)、Drake(ドレイク)はグラミーのパフォーマンスを辞退した。


パフォーマンス辞退はしたものの注目が集まったDrakeの受賞スピーチ。「賞をとることが大事なんじゃない。君たちにファンがいるならそれはすでに、成し遂げられている」と子供たちに向けたメッセージは、賞批判とみなされたのだろうか、途中で切られてCMへ移行するという珍事が起きた。


グラミーは保守的。グラミーは時代遅れ。グラミーは差別的。ネット上は審査のあり方を審査する審査員であふれている。まるで日本における年末の芸人の賞レースみたいだ。確かに、実質はそうなのかもしれない。っていうかそうなんだけれど。


しかしそれでも、Lady GaGa(レディガガ)とMark Ronson(マーク・ロンソン)の共演したパフォーマンスや、司会を務めたAlicia Keys(アリシア・キーズ)のダブルピアノ演奏は圧巻だった。(ボルボのCMで2台のトラックの間で開脚するジャン・クロード・ヴァンダムを思い出して興奮したぜ)このようにグラミーでしか見られないアーティストの素顔や声、コラボレーション、パフォーマンスはファンやオーディエンスの心を豊かにしてくれるものに違いはない。


筆者が思うのは、問題は問題として捉え、それらを踏まえた上で、視点を変えて楽しむ寛容さも必要なのではないだろうか、ということ。


例えば、この“最優秀リミックスレコーディング”部門は、最先端のダンスミュージックがどれだけ一般的に認知されたかが分かるバロメーターとして機能していると思う。


ダンスミュージックにおいて“リミックス”はとても重要な要素である。原曲の特徴や魅力を損なうことなく、リミックスを手がけるサウンドクリエイターのエッセンスを注入することで、新たな楽曲性を引き出すのだ。


リミックスする側もされる側も、アーティストにとっては、自身の名義以外のアイデンティティとなる。ネット上でバイラルも起こしやすい。すなわち“リミックスワーク”の重要性はアーティストにとって、年々大きく重要なものになっている。


主要4部門、BIG4は確かに予想通り過ぎて退屈だったが、こういった賞に目を向けて見ることで、音楽シーンの本質的なトレンドを切り取ることが出来る。


一部の音楽ファンだけでなく、賞とともに世界的な認知度を獲得するグラミー賞において、2018年は年初と年末、2回も来日公演を行い、名前やバックボーンに日本と縁が深いMura Masaが受賞したことは、とても嬉しいニュースである。



2018年初頭の来日公演のライヴ後、写真撮影に気さくに応じてくれ、ライヴで使ったドラムスティックにサインしてくれた。これは自慢である。Congratulation Mura Masa!! 次は仕事で会いたい。


written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


source:https://www.grammy.com/


photo:Mura Masa Instagram











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