1回でもコカインをやってたら薬物擁護派なのか? モーリー、日本の推定無罪なし・魔女狩り体質を語る

モーリー・ロバートソンがピエール瀧逮捕やカルロス・ゴーン再逮捕に見られる日本の魔女狩り体質を語る。
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2019.04.09 08:00

毎週木曜日夜9時、block.fmで生配信される、国際ジャーナリストでDJのモーリー・ロバートソンさんの番組『Morley Robertson Show』。今回の番組ではピエール瀧さんの逮捕やカルロス・ゴーンさんの再逮捕の話題から、推定無罪の原則が無視される日本の魔女狩り体質について話していました。



毎週モーリー・ロバートソンのラジオが聴ける番組は、こちらをチェック。


「Morley Robertson Show」


生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30





モーリー:こんばんは。モーリー・ロバートソンです。主にあったかくなっていく日々なんですけども、その前にですね、なんか最後の名残惜しい極端な寒さが襲ってくる東京の中で暮らしております。それで今日はね、日中あったかかったんだけれども、春が始まったぞと思いきや、夕方以降日が沈んでまた寒くなってきたんですね。で、自分はもう朝の6時にタクシーに乗って日テレに行って『スッキリ』に出たので、まだ寒い時間に革ジャン着て外に出ました。


それでその後、日中はあったかかったんだけど、そのほとんどの時間帯をテレビ局の中に居続けたんですね。それで出てきたのはもう日が沈んでから。そうすると、また寒くなっていて。さっきblock.fmの近くを歩いてたら、やっぱりまた夜、寒くなっていたんですよ。それで自分が過剰にちょっと厚着すぎる着こなしをしていた投資がペイオフしたなということで。俺、なんて賢くなっちゃったんだろうという、自分の要領のよさにですね、驚き呆れてしまったんですね。


で、「要領がいい」と言えば、まあ先週もご報告したように私は2週間前のTBS『アッコにおまかせ!』というお昼の時間帯の番組でピエール瀧さんを話題にしている中、「モーリーさん、あなたは過去に何か薬物をやったことありますよね?」みたいなことを和田アキ子さんに聞かれた時に「ええ、まあコカインならやったことありますよ。1回ですけど」みたいに言ったら、それが「うわーっ!」って芸能記事にもなり、Twitterの中でストームを起こし、まあ2000万インプレッションもいただいて。「これでもうテレビは一切出られなくなる」という宣言をですね、自分の主張に賛同しないアンチの人たちからはさんざん言われて。


1日に1回、ずっと言われ続けたんですけども。「これでもう終わりだ。ブラックリスト入りだ」とかですね、面白いツイートをエゴサして読んでまわっておりました。ところがですね、今週末にまた、『アッコにおまかせ!』に呼ばれちゃったんですよ。これ、みなさんどう思います? どうなったの? コカインをやってるんじゃないけど、コカインが体に35年前から原子……1アングストロンぐらいは入っている。とアボガドロ定数のね、10の23乗×6.02とかぐらいのモレキュールですよ。


コカインに関するモレキュール、あるいはその分子がどっか脳内のレセプターと呼ばれる受容体の中にね、もう35年間ずっとそこにあるコカイントリップ、そのデジタルな……物理的にもないし、尿でも出てこないけれども。「ああ、ストローで鼻から」って……あ、あの時に俺、ストローでやったのかな? どうやったかな? 短冊状に銀紙を、友達の売人がそれをやったやつを30ドルか40ドルで買って。うーん、ストローでやったかな? スプーンで? 覚えていないんですよね。


それかもう銀紙を鼻にこすりつけて「スーッ!」ってやったのかな? あの、くしゃみをするのと逆方向。逆噴射くしゃみみたいに。「クシュン」じゃなくて「スーッ!」なんですよ。それで「うわーっ!」ってなって。冬場だったと思うんですよね。ボストンのハーバードの近くのケンブリッジのとっても寒い冷房も暖房も効いていない煉瓦造りの古い地下鉄があるんですけども。そこを寒い中歩いてても寒さが妙に面白く感じられたっていうか。そういう記憶があるけど、それがあまりにも急速に来て、ある種の多幸感があって。


「ああ、この遊びは面白いけど、これめっちゃ高いし。この気持ち良さがほしくて生きていたら俺、絶対もう依存するわ」とか思って、二度と行かなかったですね。で、1回だけその後にその売人が持ってる……そいつは激しく売人をしていたんですよ。学生に向けて。それで、なんて言ったっけな? これ、1980何年の話なんで覚えてないんだよね。具体的な会話は。それであのなんか「余ってるんなら頂戴」みたいなことをダメ元で言ったら、「お前にやるわけないだろ! 商品価値高いのに!」とかって言われて。


それでそこから、自分はある時に急に考えが変わって。「遊びでもこういうことをやったら、お前が将来捕まるぞ」とかって言って、そして足を洗わせたんだ。私の友達に。一緒にジャムセッションとかバンドをやってたから。それで、そのコカインが資金源で彼はバンドのツアーにも車を出して貢献できてたんで、ある意味僕らのバンドは間接的にドラッグマネーで動いていたのかもしれないね。


全く売上ゼロ、レコード1枚も売れなかったバンドだし。ギャラもずっとゼロ円だったんだけど、ボランティアでやっていたその自分のアーティスト集団のひとつの資金源を彼が提供していた。彼がその一翼を担っていて。まあ、そういうのがあったんだけど、その頃のあの1回が自分の中に……血流には残留してないですよね。残念ながら。どう調べても、うん。いまの現代医学、医療では私の35年前のコカインは出てこないんですよ。





で、しかもこれ、もしかしたら嘘をついていて。コカインのショーンKかもしれないじゃないですか。嘘をついていた、経歴詐称をしてたかもしれない。あ、そうか。ショーンさんはクロじゃないんだ。本人が認めてないから。ごめんなさーい、ショーンさん! みたいな。じゃあ、果てしなくクロに近いグレーでいいや。もし俺が、コカインを本当はやっていないのに、ウケ狙いで「やったことあるんですけど……」って言って、それでみんなが「うわーっ!」ってなっていたら、それはどうなの?って思いますよね。


だから本当にある意味、ストローマンっていうか。そこにある藁人形にみんな踊ってしまった。で、僕だけじゃなくて全てそうなってるような気がして。で、「推定無罪」っていう原則が一応法律にありまして。ピエールさんも起訴から手順を踏んで裁判に行くわけですよね。で、裁判で最終的に判決が出て……「本人が自供した」って言ってるけれども、たとえば今朝、ゴーンさんがまた捕まったんだけどね。それで、ごめん。ちょっと話がごちゃごちゃになってるんだけど、自分の中ではクラスターになってきてるわけですよ。


つまり、「自分は35年前に1回はやったことがあって、自分の同世代はハーバードの学生の平均値の方がはるかにドラッグをやっていて、俺なんか全然やってない方だよ」っていう話の導入として言ったのに、「1回でもやったことがあるなんて! うわーっ!」みたいな。で、それがいつしか尾ひれはひれがついて、「いまもやっているんじゃないか?」みたいな、その魔女狩り。


「あなたは魔法を信じてますね? だったら魔女ですね?」みたいな。「魔術を使ったら魔女」っていう線だったのが、いつか「魔術にシンパシーや興味を持ったから魔女だ」みたいな。ねえ。そこには推定無罪がないんですよ。で、それを自分が浴び続けているうちに「なんやろ、この国は?」っていうのがあったんですよね。それでゴーンさんのことがあったでしょう? あれも一応、推定無罪なんだけども、本人が記者会見をするって発表したタイミングでもう1回逮捕されていて。


「いやいや、それはたまたまだ」っていう説もあったり、あるいは「ゴーンさんの側が次に逮捕されると分かっているからあえて、『近々記者会見をする』と発表して。その後にすぐ捕まるってわかっておきながらパフォーマンスでやったんだ」っていう勘ぐりの説もあったりするわけ。そこらへんはもう有耶無耶なんだけど、結局その人質司法っていうのは、要は取り調べをして、本人の自白を……精神的にプレッシャーをかけて。形の上では強要はしていないけど、もう肉体的、精神的に追い詰めて。「めんどくさいからもう何でもいい」って。ある種の取引ですよね。折れて自白する。


そうすると冤罪であったとしても、「本人が何かを認めたから、これで出してやる」みたいにして、一件落着っていう。その検察のカルチャーがあるということは久しく指摘されているわけですよ。それでその推定無罪がそこにはないわけなんですよね。むしろ、それを検察・特捜が動いたということで、その特捜の特オチ(スクープを自分だけが報道できない状態になること)をしたくないテレビとか新聞のメディアがひたすら追いかけて回って。それを批判的に書いてるのは結構部数の少ない東京新聞とかそういうところぐらいで。あとはみんな、基本的に「乗るっきゃない!」になっちゃうんですよね。





それが、もちろんゴーンさんとピエール瀧さんとでは全くスケールが違うし、それよりもさらに小さなスケールの俺がいるんだけども。どっかマトリョーシカ人形みたいにそれが同じにちょっと見える部分があって。「ああ、やっぱり魔女狩り、みんな好きなんだわ」っていうのがあったのね。それで一方、トランプさんはアメリカの特捜こと特別検察官にこの前、レポートを出されたんだけども。それを共和党がほとんど公開しない状態でうやむやに葬り去ろうとしている。


しかも、その検察をですよ、司法省の傘下にあるんだけども。トランプ大統領本人が「これはWitch Hunt(魔女狩り)だ!」って言って、司法そのものを揺さぶろうとしているわけね。だから本当に2つのエクストリームがあって。アメリカでは大統領本人が三権分立を完全に踏み越えて。もうそのルール違反ぶりたるやクロなわけだけれども。「司法なんて俺にとっては関係ない!」って自分が王様である。王権神授説みたいなことを言っているわけよ。


それで日本では「お上」っていう存在が社会の中に無意識に定着していて、そのルールを破った人間をとにかく罰しなくてはいけない。だから、あとはもう形の問題であって「ルールを破った不届き者がいる」っていうこと。そして「その人を罰すれば、あたかも自分の生活が良くなる」っていう風にすごく素直に感じている、脊髄反射的な反応社会の底流が日本に感じられるんですよ。


それで自分が受けた「お前はコカインをやったのか。だったらもうコカインに対して話すことは全て擁護だな!」みたいな。そうじゃねえから。俺、いちばん最初に『スッキリ』でコカインについて語った時は「カルテルがいかに危ないか知っているか? コカインをいまの時代にやることがいかに人の貧困と苦しみと殺戮に加担することになるのか。本当にフェアトレードのもっとエクストリーム版の問題があるんで、そこは本当に考えるべきだし、いまのいまコカインをやるっていうことはダサいっすよ!」っていうことを言ったはずなのよね。


ところが、そこのコンテクストかまったく抜け落ちていて、とりあえず魔女狩りをしたい人たちが自分たちのゲームに素直に乗ってくれないとそこは怒るみたいなのがあって。だからなんかね、変な話ピエールさんの気持ち。そしてゴーンさんの気持ちをとっても遠くのリバーブ程度、残響が聞こえる程度なんですけども、俺も感じちゃったのよ。それでいつしかね、電気グルーヴ応援団になっちゃったんだよね。ということで今日の番組は引き続き、そういうテクノ界を応援していきます。今日もよろしくお願いします。『Morley Robertson Show』です。私の出した新曲を聞いてください。『Ultra Funk Killa』! ウェーイ!


Morley Robertson『Ultra Funk Killa』


(中略)


モーリー:日本の様々なサブカルチャーの人たちがたぶん、あまりこれまで必要性がなかったから、社会のメインストリーム、特にマスメディアみたいなものと対話をする。あるいは「マトリが嫌い」って匿名掲示板で言い合っていても、そのIPアドレスを逆算されているからっていう話で。「警察が嫌い、マトリが嫌い」じゃなくって、法律の枠組みがそもそもやっぱり現実に噛み合ってないんじゃないか。


日本は北半球と南半球の間っていうの? 先進国と後進国の間に司法があって、ゴーンさんからも見てもわかるように、麻薬の取り締まりもなんか一事が万事なんですよ。そこに向けてきっちりと、人に伝わる言葉で言うことが必要なんだよね。で、それをやらなかったっていう、まあ内田裕也世代というか先達がいるんだけど、これからの私たちっていうのはそこをきっちりと詰めていく必要があると思うんだ。それ、俺やっときますから。よろしく!


(中略)


モーリー:まあ、要するにね、その推定無罪が守られないとか、形式上を見るといろいろあるわけよ。だけどね、いちばんの問題はやっぱり群衆心理とか気分で日本が……まあ治安が良すぎるっていうこともあって、それがまかり通ってきたっていうか。上手くこれまで秩序っていうか公安秩序をまかなってこれたのよね。でね、これからはやっぱりディベートが必要になってくるんだわ。当たり前のことですけどね。いま、何を言おうとしたのか忘れちゃった。(曲を聞いて)Coke! Yeah!


Kill The Noise & Feed Me『I Do Coke』


モーリー:ええと、それですね……やっと何が言いたいか思い出した。いまのは前哨戦だったの。要は、そういう議論が成り立たない社会っていうのはともすると全体主義に流れやすい。魔女狩りに行きやすい。それはそうなんだけどね、途上国と先進国の間に日本が挟まっている。ところがそれをね、逆にハッキングすることができるんですよ。つまり、視聴率が高ければもうテレビ側は何を言ってるか、もう興味がないっていうことが最近、よくわかりました。


実はモーリー、いろいろバラエティーに出始めて、なんていうかちびっこ。小学生の視聴率が異常に高いんだって。で、なんかそこに金脈があるっていうことで、もう業界がいま、耳がピクッとなっているんですよ。なんでモーリーさんを使えば、まあポンキッキみたいな番組をもう1回大ヒットさせることができるっていうね。すごい眠った鉱山、都市鉱山があるわけよね。そうすると、その数字と公序良俗のどっちを取るか?ってなったら当然、数字じゃないですか。特にテレビ業界は衰退しつつあるわけで。


だから結局こっちはおばあさんや子供さんや主婦の心をつかんでしまえば、他で何を言っていようが、実際に尿検査で何も出てこなければ、そこには何もないんです。で、そのオールマイティーの「視聴率」っていうカードを切り続けられる限り切り続けるのであれば、厚労省に意義を申し立てることもできるわけ。それがおいらの雄弁さっていうことなんですよ。だからね、ちょっと不思議な……2つの力の間でせめぎあって波乗り中!ってな感じかな? I Do Coke, People!


実はそのフォーミュラを見つけちゃったんですよ。特に会社のお偉いさんをうっとりさせる物言いがあるんですよ。「私は日本とアメリカの間で葛藤してきました。その葛藤が私の音楽活動にも反映されており、だから片方では国際ジャーナリストをやりながら、もう片方ではクラブDJをやっているのです。私の目的は日本の人たちに世界の情報を知り得る者として、もうひとつのアングルを提供したい」。ほら、こうやって言えば……チョローリ! I Do Coke, People! 俺がコークなんだよ!



番組情報

 「Morley Robertson Show」

https://block.fm/radios/28

生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30


モーリーのアンテナがキャッチする波動は、ひと味違う。あなた自身が住んでいる「不思議の国」を味わってほしい。気が付いたら、地球防衛軍に入隊していたとしても、不思議ではない。ここでは毎日が入隊記念日。いろいろな旅をする人のための時間。いっとき、モーリーの視点から世界をのぞいてみてください。


written by みやーんZZ



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