DEAN FUJIOKA「ジャカルタで価値観をリセットしたからこそ今がある」モーリーと語る“インドネシアのカルチャー”

DEAN FUJIOKAがモーリー・ロバートソンと共に語る自身の経歴とアジア圏のカルチャー。ジャカルタで価値観をリセットできた理由とは?
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2019.05.06 09:00

毎週木曜日夜9時、block.fmで生配信される、国際ジャーナリストでDJのモーリー・ロバートソンさんの番組『Morley Robertson Show』。今回の番組ではDEAN FUJIOKAさんをゲストに迎え、アジアツアーや音楽生活、そしてDEANさんのインドネシアでの日々について話していました。



毎週モーリー・ロバートソンのラジオが聴ける番組は、こちらをチェック。


「Morley Robertson Show」

生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30





モーリー:吉田照美の夕やけニャンニャン!じゃなくてモーリー・ロバートソンです(笑)。今日はスタジオにDEAN FUJIOKAさんをお招きしております。イエーイ!


DEAN:よろしくお願いします! やったー!


モーリー:やったー!


DEAN:夢が叶った(笑)。


モーリー:ありがとうございます。もう本当に光栄でございます。


DEAN:いや、こちらこそ。願えばやっぱり夢は叶うんですね。


モーリー:私は吉田照美さんとかが、あれはいつだったかな?80年代とか90年代にラジオをやってた人たちの番組をAMで聞いていたんですよ。それでなんとなく憧れて。それで90年代になったら自分もラジオ番組を持った時に「やった!憧れの職業に就けた!」とか言って天国のような気持ちだったんですね。ところが、まあ3ヶ月くらいすると裏の汚れたドロドロが見えてきて(笑)。


DEAN:アハハハハハッ!


モーリー:それ以降、「このマスコミは邪悪なものだ。滅ぼさなくてはいけない!」みたいなことを続けていたら、玉手箱を開けて30年経っちゃった。あ、まだ27年だ。うん。大変です!だからDEANさん、あなたもがんばって!みたいな(笑)。


DEAN:フフフ(笑)。


モーリー:エメラルドシティのいちばん奥に行ったら、そこに実は悪いエンペラーが……なんて言うんだっけ?あの『スター・ウォーズ』の?


DEAN:ビッグイーブルみたいな?


モーリー:それと結局戦わなければいけないくなったみたいな。「知らなきゃよかった……」みたいな。


DEAN:ああ、すごいところから始まりましたね!答えからスタートみたいな(笑)。


モーリー:そうですね(笑)。今日は全編アドリブでお届けしますので、よろしくお願いします!みたいな感じなんだけど。この前、NHKホールで日本ツアーの最後の日でしたっけ?見せていただいて。


DEAN:ありがとうございます。


DEAN FUJIOKA『History In The Making』


モーリー:で、まあいろんな面白い演出をされていて。なによりも、特にファンの皆様のDEANさんへの愛情の強さを感じた。どうやって1人の人間にここまで惹きつけられるのか?っていう。みなさん、心を開いていましたよ。


DEAN:それ、嬉しいですね。やっぱり音楽を通して同じ空間で一緒に共鳴できたらいいなと思ってやっているんで。


モーリー:みんなの心のビームみたいなものがひとつの場所、DEANさんの立っている場所に集中しているのが観客席から見えました。


DEAN:おおーっ!見えるはずのない何かが見えてしまったっていう?


モーリー:そうね。もしかしたら、レーザーを照らした時にそれが「ああ、これなのか」って思っただけなのかもしれないけど(笑)。


DEAN:アハハハハハハハッ!


モーリー:だけど、そういうのは感じとれたし。終わりの方でDEANさんがずっと3階の客席も見てたっていうのが分かり。そこが逆に驚きだったですね。


DEAN:ああ、そうですか?


モーリー:全部を見渡していたっていう。3階って奥の方の席でしょう?だから「ああ、そこまで全部を見てるんだ」と思って。


DEAN:全部見ています。全部見えます。


モーリー:ああ、立っている場所から?ふーん!


DEAN:どこのホールとか会場であっても1階も2階も3階も……。


モーリー:わかった。だからそういう特別な場所に立つと全部が見える特異点があるんですよ。つまり、オーディエンス側なり、舞台袖にいる人はみんなある部分は見えてるけれども、全体像が見渡せる場所は1ヶ所だけなんですよ。そこはたぶんね、Point of Powerなんですよね。


DEAN:なるほど。でもなんか、やっぱり「見えてるな」っていう感覚がある時の方が自分的にすごくいいパフォーマンスというか、ショーができたなっていうのにすごく比例している感じがしますね。


モーリー:だからね、いま俺、思ったんだけど。僕の人生っていうのは、そういう場所に近づいて、そこの周りにある邪悪な暗黒の力とですね、ひたすら戦って。傷ついて、残った生命力を全部そこに……それで最後は抱きついて一緒に自爆みたいな感じですよ。


DEAN:アハハハハハハッ!


モーリー:そこで俺が飛び散った後に、そこで「DEANさん、今だよ!」って言うから。その時に僕が開けた全てが見渡せるスポットにDEANさんが立って、そこで世の中を瞬間的にパッと愛で満たせば、宇宙の戦争がとりあえず数十年は終わるんだよね。


DEAN;いやー、モーリーさん、めっちゃ深いっす、それ!


モーリー:次の戦争はまあ来るけど。でも、少なくともひとつの、その座に座ってる間は大丈夫みたいに。そしたら最後はDEANさんがそうやって世の中をきれいに、みんな清らかに心がよくなって治めたんだけど、いちばん信じていた人たちがなんか見えないところで少しずつ権力への意欲を持って。で、最後はまたなんか裏切りの動きがあり、星雲同士の激突……みたいなね。


DEAN:うんうん。まあ、世の常ですね。


モーリー:そうそう。で、ジョージ・ルーカスがいなくなってもJ・J・エイブラムスがそれを引き継いで(笑)。「前よりも映画、いいじゃん?」みたいな(笑)。


DEAN:フフフ、世代交代が(笑)。


モーリー:そう。それがきっとね、これ宿命なんだわ。うん(笑)。


DEAN:なるほど。まあそういうもんですよね。そうやって前に進んで行くっていう。


モーリー:そうそう。だから、DEANさんの活動でそういう風に光を放って、そして愛情を聞いてる人たちと循環させて。それで一方、同じ日に自分が何をやっていたか?っていうと、Twitterで炎上して憎しみを一身に受けてたんです。それで翌週バラエティーに出て、それを逆転させたのね。まあ、細かいことは別にDEANさんのファンは知らなくていいです。心が汚れるので(笑)。俺はいま、そういう世の中に……だから海賊っぽく(笑)。


DEAN:ああー。でも、このモーリーさんの話を、なんて言うんだろうな?いや、僕はモーリー教徒なので。教徒のみなさん、教祖の隣に座ってまーす!(笑)。


モーリー:じゃあ、DEAN教徒のみなさんはDEANさんの後にちょっと隙間をおいてついてきて、DEANさんの向かう方向に行ってください。その先には崖があるんだけど、DEANさんだけ羽が生えて飛んでいくから。みんな一緒に僕とダイブしましょう!


DEAN:フハハハハハハッ!


モーリー:ということで、1曲どうぞ。『Crash & Burn』です。クラッシュとバーン。イエーイ!


DEAN:ああ、めっちゃ面白い(笑)。


Tweekacore & Darren Styles ft. Giin『Crash & Burn』


モーリー:Yeah! Tweekacore & Darren Styles ft. Giin『Crash & Burn』を聞いていただいております。今日はスタジオにDEAN FUJIOKAさんをお招きしております。


DEAN:Rock'n'Roll!


モーリー:Rock'n'Roll! で、こういう感じでいつもやっております。いやー、もう今日、自分の言いたいことはほぼ言い切ったので……。


DEAN:フハハハハハハッ!


モーリー:あとはDEANさんに(笑)。あの、日本ツアーを終えられて、次はどこに行かれたんですか?


DEAN:次は中華圏ですね。上海にまず行って、明後日から今度は香港で。その次が台北で、その次がインドネシアのジャカルタです。


モーリー:すごい!色んな質問がそこで湧いてくるんですけども。例えばジャカルタでは、来るオーディエンスの方はインドネシア人が中心なんですか?それとも、例えば華僑とか? 


DEAN:たぶんマレー系とそういう華僑(プラナカン)の人たちと、あとはそういう日系の方々という感じになると思いますね。あと、もしかしたら日本から飛んで来られる方もいるかもしれませんね。


モーリー:すごい!ああ、そうか。そういう時代だもんね。それでほら、DEANさんに僕、前に自分で言ったかもしれないけど、飛行機が怖いシンドロームがあるために、そんなにしょっちゅう移動するのが信じられないというか。大丈夫なの?


DEAN:いや、僕も移動はあんまり好きじゃないんですけど。なんかこう、気づいたらそれをせざるを得ない人生になってしまって。だから、横移動は諦めたんですね。とにかくもう縦だけ。時差がダメだから。ロングフライトは我慢するとして、そのGMTの+7から+9の間で生活とか仕事を収める努力をこの10年、やっていた感じですね。


モーリー:そうなんだ。じゃあ、だから要はヨーロッパとか北米はとりあえず入れないで、アジア中心にっていう?


DEAN:そうですね。やってみて、もう自分は体が持たないなと思ったんですよね。縦軸だと横の移動がない分、ベストパフォーマンスのタイミングが狂わないから。まあ、例えば東京とジャカルタでオンラインで打ち合わせとかをやっても、いろいろ物事が進んで行くタイミングがズレなくて済むから。体的にも脳みそ的にもいいなって思って。


モーリー:ああ、すごい!そういえば自分がかつて80年代にアメリカに住んでいた頃っていうのは通訳とかの下請けをよくやっていたので、日本のテレビ局とか出版社から連絡がくるんですけど、相手が自分の午後1時とかに電話をしたがるじゃないですか。そうすると、こっちは朝の3時とかになるんですよね。それで本当におっしゃった通り、体のリズムがメンテナンスできなくなるというか。だから、そういう風にリアルなところで垂直っていうのは要はノース・サウスってこと?


DEAN:縦軸で。そうですね。赤道を……。





モーリー:で、ジャカルタでライブされる時は、例えば日本だったら英語、中国語、日本語だったんですけど。どうなるんですか?


DEAN:ちょっとだけバハサを入れると思いますね。例えば「こんにちは」とか「みんな、来てくれてありがとう」とか、そういう簡単な言葉ぐらいはバハサにして。あとはたぶん英語になると思いますね。


モーリー:はー!すごい。その、もちろんマレーシアとかインドネシアっていうのは多民族ですよね。そもそも歴史的にもそうだし。そうなってくると、みんなそういうこともあって他言語の音楽のショーに対してオープンなんですか?例えば自分のわからない言語で歌われたり、話されたりすると引いちゃうとか。そういうことは問題は全くない?


DEAN:それは大丈夫だと思いますね。もっとこう、音っていうものにすごく直球というか。もちろん、言葉の意味を大事にして聴くような音楽との付き合い方もすると思いますけど。どっちかっていうと、グルーヴっていうか。


モーリー:そうか。あと、NHKホールで中国語で歌われていた時も、一応中国語の表記と日本語の訳の歌詞が両端の画面に流れてましたよね。


DEAN:そうですね。日本語しかわからない、中国語がわからないお客さんがもしいたとしたら、それで拒否反応があったら嫌だなと思って。


モーリー:やっぱり、16小節くらいまでは我慢できるのかな?知らない言語は。なんか、人間の脳に……。


DEAN:ああ、そうですね。もう「わかんない。自分と関係ない」ってなっちゃうかもしれないですよね。


モーリー:特にね、思いを込めて歌ってる時に、何を言ってるのかわからないけど思いだけがあると、どうなんだろうね?そこをブリーチしなきゃいけない作業が。


DEAN:そうですね。でも、やっぱり漢字圏じゃないですか。日本も。自分としては中国で今までずっと仕事をしてきて、いろんな所に行くとそれぞれの地方の言葉があって。で、お互いに何を言ってるのか全く分かんないけど、普通語で喋るとお互い分かるみたいな感じで。せっかく日本のその言語の中に漢字っていうフォントがあって。カタカナとかひらがなっていうのがあるから、漢字にもう一歩踏み込めば中国語、普通にみんな分かるようになるんだろうにな……って。


モーリー:ああ、そうかそうか。やっぱりね、DEANさん。それだわ!俺が自爆した後でやって。というのは、なんの話をしているのか説明します。1977年、いまから40年前?ヤバい……その頃、僕はティーンエージャーだったんだけど。その時に、アメリカのサンフランシスコにいて、香港から移民した家族のアメリカ生まれの中国人。ABC(American Born Chinese)のかわいい子。ジーンズのつなぎのダンガリーみたいなのを着て。で、髪の毛もものすごい長いから、ダンガリーも一体化してるし、髪の毛や体と繋がってるみたいに長い、ある意味お人形さんだったんですよ。


DEAN:はい。


モーリー:で、その人に惚れて「デートしてくれ」って言ってデートして。そこまではよかったの。で、帰りに「お父さんに挨拶してって」って言われて、彼女の家まで行ってお父さんに話しかけた時に、「Are you Japanese?」って聞かれたのね。で、「そうなんです。もう私は漢字も読み書きができますし、みなさんと同じ文化圏なんですよ。だから仲良くなれるよね?」みたいに。そしたら翌々日に「お父さんが日本人と付き合っちゃダメだって」って言われて。戦争の思い出があったんですって。そういうのがあって。歴史がね。当時、まだ70年代って戦後30年ぐらいだから、ちょっと生々しいわけですよ。だからまだそれがあったんだよね。


DEAN:うんうん。ですよね。きっと。


モーリー:でも逆にね、今のDEANさんの話を聞いてると、その荒くれた時代に比べて今は相当にみなさん、分かり合えてる?


DEAN:なんか僕が中華系の仕事始めた頃は、まだ中華国籍を持ってないと……まあ中華国籍というか、その基準も今考えると曖昧だったなと思うけど(笑)。


モーリー:あのね、これが本質なんですけど。本質的な問題、課題になっていくんだけど。要は知らないで先人たちの屍の上に作られた平和と友好の中で、素直に頑張れる人と、そうじゃなくて一筋縄ではいかない歴史だとか色んな不条理とか権力構造の闇と戦って、本当の力を発揮できなかったけども、ぶち抜いたっていう満足感と。どっちが大事なんだろう?(笑)。


DEAN:うーん。でも僕はそのジャカルタで、それまでの全てをある意味1回リセットして。DIYでファーストアルバムを作っていたんですけど。その時にblock.fmと出会って。その時にモーリーさんを知って。すごい遠いところから、フライトで8時間ぐらいかかる距離の赤道のダウンアンダーの方でモーリーさんの声を聞いて、「ああ、日本にこんな人がいるんだ!」っていうの知って衝撃を受けたわけですよ。なんかこう勇気をもらったっていうか。


モーリー:恐れ入ります。


DEAN:壁に蚊がバンバン飛んでいたからバシャン!とかって蚊を潰して、血の点がこんななっているところでモーリーさんの声を聞きながら、勝手に僕は士気を高めていたんですよ。


モーリー:ありがとうございます。そうだったのか。もう私自身は博多より先は飛行機なので怖くて行けないみたいな(笑)。あの、信じられないけど今まで3回、鹿児島でDJライブをやりに片道7時間半を両面やった。前の日に7時間半で行って。まあ、大阪から行った時は5時間半だったんですけど。それで寝て起きて、午後に出発して、夜中に帰るみたいな。それをやるような。だから沖縄がいちばん困るんですよ。船とかダメでしょ?だからちょっと沖縄の時はなるべく何も考えないで……。


DEAN:でも、東海岸に行っていた頃は仕事だからしょうがないな?って頑張っていたんですか?


モーリー:そうですね。アメリカに住んでた頃は大丈夫だったんですけど、何なんだろうね? なんかそれこそ本当に19年ぐらい前の話になるんですけど。中国を西の端まで横断する旅をしたんですけども。その後に中央アジア、旧ソ連のカザフスタンに行って。いわゆるローレベル、レベルが低い、次元の低いハラスメントを警察官に受け続けたんですよ。外国人が1人でいるからお金が取れるっていうんで、ひたすらロシア語でどやされるの。


「何やってんだ、こら!この部屋に来い!」って部屋の扉を閉めて、ちょっとプレッシャーをかけて。で、またしばらくして急に入ってきて。要はお金がほしいんですよ。それとずっとやりあってるうちに、誰も助けてくれないっていう恐怖の中で、まあ当時の自分がかわいらしくPTSDみたいになっちゃったのね。だからなんかね、それに近いものを飛行機の密閉空間になんか……だからある意味、自分の中のそういう魔物と向き合って。ジャカルタのライブを僕も追っかけて見に行かなきゃいけないって、しない!


DEAN:フフフ、いつか、ぜひ(笑)。


モーリー:はい。そのためにお金が必要ということでですね、『Gold Like This』というゴールドチェーンの曲を聞いてください(笑)。


Gold Top『Gold Like This Feat. Soulja Boy (Statik Link Twerk Remix)』


モーリー:はい。Gold TopとSoulja Boyの『Gold Like This』を聞いていただいております。スタジオにはDEAN FUJIOKAさんがいらっしゃっています。それで、いまちょっと曲の裏でお聞きしたんですけども。私がやってたblock.fmのもう初期の頃から?


DEAN:そうですね。第1回ぐらいから……。


モーリー:じゃあ、2012年ぐらいかな?最初に出していただいたのは。そうなんですか。いやー、すごい。


DEAN:その頃は台北とジャカルタを行ったり来たりしていた生活で。


モーリー:じゃあまだモーリーは全然テレビに出ていなかったですね。


DEAN:そうですね。なんか自分がモーリーさんとの接点っていうと、ニコ動かblock.fmか……みたいな。


モーリー:ニコ動?えっ、ジャカルタからニコ動、入れたんですか?なんかアメリカからだと入れないみたいな問い合わせがよくあったんですけども。


DEAN:ええと、入れたと思いますね。


モーリー:すごいですね。えっ、後半も全部見れた?いわゆる有料になった部分も?


DEAN:そうですね。一応、貢いでいたんで。


モーリー:すごい!はい、みなさん。DEANさんのファンの方。全員モーリーのニコ動の方に……あっ、ニコ動やめちゃったわ!みたいな(笑)。


DEAN:アハハハハハハッ!ヤバい!いやー、あれは伝説ですよ。あれは本当に素晴らしい……もう終わってしまうっていうのを聞いて悲しかったですよ。


モーリー:ありがとうございます。そうね。今、あのニコ動を……DEANさんがお聞きになっていたあのコンテンツとかあのクオリティーを例えば今の今、もう1回再開すると、もう明らかに地上波に出ている仕事とぶつかるというか。いろんな問題が……問題の火を消すよりもつけている頻度の方が高いみたいになっちゃうので。


DEAN:海賊スタイルでしたもんね。


モーリー:ですよね。まあ、じゃああれを一緒に味わった人たちの思い出にしていただいて。


DEAN:はい。墓まで持っていきます(笑)。


モーリー:フハハハハハハッ!すごい(笑)。そうか。それで、いろいろリセットされて、それでジャカルタで、音楽もDIYでやるぐらいの気合いを入れて。そこから何が起きたんですか?DEANさんの中で。今までの間に。


DEAN:ええとですね、音楽をやりながら、それまで中華圏でエンターテイメントの仕事をやってたんで。行ったり来たりしてるうちに、とある合作の映画に出たんですが、日本も含まれてたんですよね。で、日本から俳優さんたちがたくさん来て。日本の芸能業界の方々も。そこでちょっと縁があって、「日本でも仕事をしてみないか?」みたいなオファーをいただいて。


自分としては日本の仕事ももちろん興味あるしやりたいけど、東京に住む気がなかったので、当時は。「仕事があったら呼んでください」みたいな感じでスタートし始めて。それでたぶん2013年ぐらいから、一番最初に日本でやったお仕事の一発目っていうのがあって。で、そこから少しずつフェードインしてきて。それで2016年ぐらいにもう東京で自分の部屋を借りて。東京ペースで仕事を始めたって感じですね。


モーリー:そうなんだ。そして今は比率で言うと、色んな活動しているそのジャンル別の比率で言うと何がどうなってるんですか?


DEAN:今はですね、アジアツアー中なので音楽の仕事が多いですね。ただまあ、俳優の仕事だったり報道の仕事もちょっとやらせてもらってたりとか。色々とこう、節操なくやっているんで。その都度その都度、比率が変わってくる感じで。タイミングによって。


モーリー:じゃあ、私の側からも自分の比率をちょっと話しますと、ニコ動の後に地上波に少しずつ出始めたんですよね。『ユアタイム』ぐらいから。


DEAN:「行けー!」みたいな感じでしたもん。僕は(笑)。


モーリー:初回から空中分解(笑)。空中分解している宇宙船でどこかの宇宙船に軟着陸して。酸素があるかどうかもわからないまま、とりあえずハッチを開けたような、そういう番組だったんですけども(笑)。それで、まあだからちょっといろいろといわくのある番組だったので、その番組に出続けることが毒性との戦いっていうか。自分の中の耐性をあげていかなきゃいけない。


だけど、やっぱりそういう暗黒なものと向き合うために自分を鈍感にしてしまうと……やっぱり繊細でい続けなきゃいけないのよ。状況が汚れてるのに。そこがいちばん精神力を使っちゃいましたね。その時にニコ生とかの最後の方。『ユアタイム』とかぶっていたけども。あれとかこのラジオが自分の救いになっていた感じだったんですよね。


それでその後、そこを1回上手く抜けて、日テレの『スッキリ』をベースに移った時に、今までのそのいろんなものが急激に薄まって新しい……だけど、何をやったかというと、報道オンリーからもうちょっとバラエティーとかクイズに行って。それでちびっ子狙いとかをやり始めて。


DEAN:ええ、ええ。


モーリー:それがいま1年半ぐらい経って、急にちびっ子の層を掴んでるんですね。ちびっ子、飛んでおばあちゃんに今、すごく人気がある。


DEAN:めっちゃいいじゃないですか。


モーリー:だけど、そのいわゆるまあ「毒性」という言い方を一口で言うと、要はどうしてもどの国もそうなのかもしれないけど、政治談義とか政治の議論っていう番組とかで露出をすると、賛否両論が激しくなる。で、いまソーシャルメディアもあるから、昔に比べてより賛否両論って何に関しても激しくなりますよね?で、その4、50代の男性っていうのは特に……日本社会は特に強いかもしれないけど、なんか「俺は言いたい!俺に言わせろ!」っていう傾向が強い層がいて。


その人たちがだいたい、政治番組のお得意さんなんです。ところがその右だろうが左だろうが、どっかの陣営のスイートスポットにピタッとハマるようなことを私は言わないんですよ。いわゆる右翼・左翼を超えたちょっと独立系で、まあ海賊みたいなもんなのね。そうすると結果としてですね、どっちからも時々褒められ、他の時は激しい批難を受けるっていう連続で。たとえば右系の政治番組。


もう全体のトーンが右で作ってある番組に出ると、最初のうちだけ「左じゃなくてよかった」っていう安心感があったんだけど。しばらく付き合ってくとですね、そこに出ている人たちも含めて、だんだん違和感が強まってくるのね。そうすると、いずれ番組の演出で、ヒール役にされちゃうんですよ。


DEAN:うわあ……そうなんですか?


モーリー:「わかっていないやつ」みたいな。みんなで、例えば今日本の保守系の番組っていうのはだいたい全般的に言うとトランプ大統領が大好きな人が多いの。それはなぜかと言うと、まあ色んな理由がローカルに日本の中であって。で、実はね、これは別に異常なことではなく、中国も中国のインテレクチュアルっているじゃないですか。反体制の民主活動家とか。あと、金持ちなんだけれども、たとえば(アリババの)ジャック・マーみたいな人はお金持ちで中国政府と仲良くしているけども。逆にね、大金持ちで中国政府を堂々と批判しているマイノリティーがいるんですよ。


DEAN:ああ、オーバーシー・チャイニーズ的な?


モーリー:いや、国内でもいるみたい。オーバーシーもいる。で、その人たちの何人かはかなりトランプ大統領の応援団なの。なんでかって言うと、彼らのロジックは、トランプさんがむちゃくちゃなやり方で中国政府に圧力をかけるじゃないですか。全然ちゃんと考えてものを言わない。ケンカをしに行く。そうすると中国政府は相手がチェスをやった時はチェスがめっちゃ強いんですよ。ところがストリートファイトには実は弱いんじゃないか?っていう説があるのね。


DEAN:ふーん!


モーリー:だからトランプがガーッ!って言うと、そろそろ中国政府は怯みはじめて、改革を仕方なしにするんじゃないかという説があって。その人たちはだからトランプ・ラブなの。


DEAN:なるほど。パワープレイで押し切っちゃって、みたいな。


モーリー:そうしないと、今の中国の政権は安定しすぎている。たとえば前の政権の時は反対派の声が結構ものを言って。どっちかっていうと、デモクラシーではないんだけど、その中国の政府の中でみなさんで合議制っていうの?話し合いで落としどころを見つけて妥協があったので良かった。そのかわり今の政権は権力が集中する傾向にあって。反対意見を言えない雰囲気になっちゃったので、逆に外からトランプが自分たちの代弁者になって、無茶苦茶言ってくれた方がいいっていう奇妙な経路でトランプさんが好きっていう人が中国の政府の中にも実は隠れがいるし。日本の保守系の人はそういう人たちのイデオロギーに適うのでトランプさんが大好きなのね。


DEAN:なるほど。


モーリー:ところが私、アメリカのニュースをアメリカ人として、色々とロイター、ニューヨーク・タイムズとか入れるじゃないですか。そうするとどう見ても同じ理由で好きにはなれないわけよ。トランプさんを。「この人は危険な人だ」って思っちゃうわけね。


DEAN:うんうんうん。


モーリー:なので1人だけ、「じゃあ最後にモーリーさんはどう思いますか?」って司会者が振ってくれる。で、俺がやっぱりそういう役なんですよ。「いや、トランプは危険でしょう?」って言うとみんなは「うわっ、なに言ってんだ!」って。でね、番組が終わるとすごい僕、疲れてるっていう(笑)。


DEAN:アハハハハハハッ!


モーリー:ごめん。今のは別に愚痴で言ったんじゃなくて。だから自分はそこを最初、『ユアタイム』以降は狙っていたんだけど、そこをおばあちゃんと小学生に逆にエネルギーを向けることで4、50代の物が言いたい男性のお客さんを手放しちゃったんですよね。ちょっとある意味ニコ生が好きだった層ともかぶっている。でも、そこを少し軽くすることによって、もうちょっと愛を伝えやすくなるっていうの?(笑)。という方便です(笑)。


DEAN:なるほど(笑)。


モーリー:ということを、実はやっております。


DEAN:そういう比率なんですね。





モーリー:でも、DEANさんがやっぱり色んな……たぶん最初にリセットされた時っていうのはいろんなことがあって、必要に応じてリセットされたんでしたっけ?


DEAN:そうですね。まあ、さかのぼると僕は香港で自分のアート・エンタメのキャリアをスタートしたんですよ。で、その時はどっちかって言うと俳優をやっていてもアート寄りの作品だったりとか、あとはファッションモデルのお仕事とか。あとは夜な夜なクラブ活動をして、パートタイムミュージシャン的なことをやったりとか。で、その後で自分が出た映画が台湾だったり、他の国の映画祭でノミネートされたりとかがあって。


で、台湾から連ドラっていうんですかね?そういう、よりエンタメっぽいお仕事のオファーがきて。で、そのタイミングで香港から台湾に移って。初めてそういう芸能マネージメント会社みたいなところとサインして。で、最初2年間ぐらいどっぷりと台湾でそういうアイドルっぽいことというか、芸能界のお仕事をしてたんですね。だからまあそこで、より大きな規模感のエンタメの仕事の仕方っていうのを叩き込まれたというか。ブートキャンプみたいな日々だったんで。


それで途中で、音楽をやる、やらないみたいな話になって。自分はずっとちっちゃい時から音楽が好きで。バンドをやったり、遊びでちょっと作曲とかしてみたりとかやってたんで。自分が音楽活動をやるなら自分で作って……ただ顔と名前、声を貸すだけみたいな、そういう感じじゃなくて。自分で作りたいなと思って。仕事の仕方もそれこそ華やかなんですけど、「こういう方向性を目指してスタートしたんだっけかな?」みたいな感じになって。じゃあ自分で「DIYでちょっと曲を作ってみるか」ってなって。


モーリー:そういう一大決心で、1回本当にリセットされたんですね。


DEAN:そうですね。リセットをしてフリーランスに戻ったっていう感じですね。


モーリー:それで、ジャカルタ?


DEAN:そうですね。色々と選択肢はあったんですけども。最終的にジャカルタでファーストアルバムを一緒に作ったプロデューサーと出会って。今は違いますけど当時の中華圏って文化的によりマンダリンポップス主軸。それ以外の選択肢はあるかないかみたいなクリエイティブの土壌だったんですね。今はもうすごい、色んな音楽のジャンルでクオリティーの高いものを作ってる人たちがたくさんいますけど。ジャカルタが当時だと音楽性の幅広さだったりとか、ひとつの民族というか社会だけのために特化された音楽っていう感じじゃなくて。なんかぐっちゃぐちゃな町じゃないですか。インドネシアって。


モーリー:ああ、そうですよね。


DEAN:あんまりルールがないっていうか。それがいい方向に転じて。たとえばファンコットみたいなジャカルタ発の音楽が生まれるような、そういうコミュニティーを間近で見てみたりとか。USのトップ40みたいな曲を作る人もいれば、すごくチャイニーズ、マンダリンポップスみたいなのも作りながら、少しボリウッド、プンジャビっぽい音楽も作れたり。


モーリー:ああ、だって南アジアがそんなに遠くないんですもんね。


DEAN:だからインド大陸とかイスラム圏の文化と、そういうウエスタンのUSとかUKの感じと、あとは中華っていうものと。色んなものがぶつかって、すごくいい感じにそのセンターがジャカルタにあるような感じだったんですよね。その節操の無さが結構自分のこれまでのフラフラしてた人生とぴったりハマッた感じがして。「これをやってみよう、あれをやってみよう」みたいな。


モーリー:でも、フラフラしているんだけども、たとえばプラナカン文化みたいに1回根付くと逆に色んな影響を受けるからこそ、芯ができるというのかな?逆説的だけど。


DEAN:そうですね。やっぱりジャカルタを通ったから1本、道筋が見えたのはありますね。もしかしたら、だから迷わず日本で仕事をすることにあたって前向きに向き合えたのかもしれないし。今やっていることもどこかで、それまでは世渡りっていうか、生きていく技術みたいなことを色々……まあアメリカへ留学してた時も、中華圏で色々やっていた時も、色んなそういうのを学んだなと思うんですけど。ジャカルタにいた日々って自分とってすごく不思議な日々だったっていうか。もうちょっとスピリチュアルっていうか。なんか価値観を1回、全部ぶっ壊して。もう1回、なにが大事か自分の中の優先順位っていうものをはっきりさせられたという感じでしたね。


モーリー:あのね、いまお話を伺っていて、私もジャカルタに1、2回は昔、行ったことがあるんですけども。飛行機があまり怖くなかった頃。


DEAN:アハハハハハハッ!


モーリー:その時もなんかね、トロピカルレーンの中を飛行機が着地して。ガッタンガッタンで降りて、恐怖心があった(笑)。それしか今、思い出せない。「なんの話だっけ?」みたいな。いや、それで本当に雑多でぐっちゃぐちゃでミックスですよね。ところが、文化というか政治形態は結構厳し目に道徳的じゃないですか?


DEAN:まあ宗教、信仰を持たなきゃいけないですね。法律で。みんなだからIDに「何を信仰してるか」っていうのを書かれるぐらい。


モーリー:ああ、そうなんだ。だからやっぱりそういう多民族・多宗教を仕分けていくシステムが結構強いし、あとはやっぱり風紀にも多少イスラム系の国のそういう風土ってありますよね?


DEAN:ありますね。島によってやっぱり重い・軽いは違いありますけど。やっぱり西に行けば行くほどすごく、よりイスラムコミュニティもすごくこう……。


モーリー:いわゆる道徳的な側面が強くなる?


DEAN:すごい強いですね。社会の縛りも強いなと思ったし。


モーリー:ファンコットが禁止されたっていうニュースみたいなのも……。


DEAN:ああ、そうなんですか?


モーリー:うーん。未確認なんでちょっとうろ覚えなんですけど。もしかしたら一部のエリアのことだったのかもしれないけど。


DEAN:でも、やっぱりちょっと非合法な匂いがしますもんね。


モーリー:ファンコット自体がね。まあ、そういうワルの、バッドボーイの音楽ではありますよね。ファンコットって。


DEAN:そうですよね。最初、ジャカルタでコタっていう、元々はバタヴィアっていうエリアだった界隈で、ファンキーコタがファンコットになったっていう……。


モーリー:ああ、そこから来たの?ああ、そうなんだ!今知った。


DEAN:で、僕は今までそれなりに色んな国に行っていて。チャイナタウンってそれぞれの街に大体あるじゃないですか。見た中で、やっぱりジャカルタのチャイナタウンの不良具合っていうのがやっぱり群を抜いて、その無法地帯感が半端なかったんで。ゆえに、やっぱりこういうものが生まれるんだなっていう。新しいサブカルチャーってこういうところで生まれるんだなっていうのを見ましたね。


モーリー:もう20年前ぐらいになるけど、ジャイポンガンってまだある?


DEAN:いや、わかんないです。


モーリー:もうないか?ジャイポンとかジャイポンガンっていう、なんかちょっとアラビア音階風というか、インドネシアの伝統音楽が入ってるんだけど……。


DEAN:ああ、ダンドゥットみたいな感じですか?


モーリー:なんか演歌みたいな歌い方をしていて。


DEAN:はいはい、わかります。


モーリー:それの動画とかをいろいろと検索していると、どっちかと言うとそういう裏社会というか。体を売って仕事してる女性が客の気を引くための余興として歌うっていう、そういうなんていうかな?道徳的には卑しい世界の音楽として根を張っていたような。それを物好きがカセットテープとかのリリースで日本で出してたりしたんですよ。で、それがCD化された数少ないものを昔J-WAVEにいた時は、持ち帰ったそういうものを面白がってずっとかけてたの。


DEAN:さすがですね(笑)。


モーリー:歌詞の意味もわからず。なんていったかな?日本語訳の歌詞もすごくいい加減に書かれていて。なんかブレイクダンスっていう……タイトルは『Break Dance』って書いてあったのかな?で、日本語歌詞を見ると「ブレイクダンスは悪魔の踊り。こんなことをやってはいけない。ブレイクダンスのせいでほら、赤ちゃんも泣いている」とか。つまり、「家庭を顧みなくなった」っていうことなのかな?そうやって批難しつつ、なんかちょっとエロく……「ほらほら、ブレイクダンス楽しいよ」みたいな。だから歌詞は「こんなことしちゃいけないのに……」とか言っているのに、それをそそるような歌い方をするみたいな。奇妙な音楽でした。


DEAN:なるほど!面白いっすね。それ。


モーリー:思い出した。アーティスト名は「ヤーヤー・ラトナサリ」。ヤーヤー・ラトナサリっていう人が歌っていたジャイポンガンのアルバム。だからジャカルタってそういうところなんですね。



DEAN:うーん、なんかすごいエネルギーを感じますね。


モーリー:だから政治形態とか、みなさんの風紀、社会的な公序良俗は結構厳し目で建前はあるのに、裏道とかコタの方に行くともっとすごいみたいな。


DEAN:そうですね。「電気、暗いな……」みたいな(笑)。


モーリー:フフフ、わかる! だからそこであんまり変な人に客引きについて行くと、とんでもないから。旅慣れていない人は英語や日本語の……特に日本語が上手い人について行っちゃダメっていう曲です!

Bro Safari『Follow(Zomboy Remix)』。


Bro Safari『Follow(Zomboy Remix)』



トークの続きはこちら。

DEAN FUJIOKA、インドネシアの成長モデルを語る。モーリーが平和な日本のコンビニで感じたこととは?

番組情報

 「Morley Robertson Show」

https://block.fm/radios/28

生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30


モーリーのアンテナがキャッチする波動は、ひと味違う。あなた自身が住んでいる「不思議の国」を味わってほしい。気が付いたら、地球防衛軍に入隊していたとしても、不思議ではない。ここでは毎日が入隊記念日。いろいろな旅をする人のための時間。いっとき、モーリーの視点から世界をのぞいてみてください。


written by みやーんZZ



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