imdkm・Miii・tomad『リズムから考えるJ-POP史』を語る

imdkmさんを迎えて著書『リズムから考えるJ-POP史』についてトーク!
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2019.11.01 06:00

毎週第4木曜日夜8時、block.fmで配信中のマルチネ放送室β。『リズムから考えるJ-POP史』の著者imdkmさんをゲストに迎え、出版に至るまでの経緯や注目のアーティスト・楽曲などについて話していました。





Miii:はい。今日のゲスト、imdkmさんです。


imdkm:どうも。imdkmです。


Miii:よろしくお願いします。imdkmさん。


tomad:今日ね、全員の総体重がヤバいんじゃないかなって思って(笑)。


Miii:ちょっと待って。いきなりそんなこと言うの? 早いよ(笑)。


imdkm:なんかもう、最初からクライマックスみたいな。


Miii:でもimdkmさん、デカくなるべくしてデカいじゃないですか。


tomad:いつからデカいんですか?


imdkm:それはもう、ずっとデカいよ。小学校からデカい。


Miii:大ベテランですから。


tomad:いや、まあそれはそうと、進めてくださいよ(笑)。


Miii:つい先日、『リズムから考えるJ-POP史』を上梓、もといリリースしましたimdkmさんが本日のゲストでございます。これ、本当に評判がすごいよいというか。いろんな感想が出ていて。すごいですね。初めての本っていうことで。どれぐらい執筆に時間がかかったんですか?


imdkm:執筆は、これは企画が上がったのがちょうど1年ぐらい前で。1年も経ってないかな? 11月ぐらいで。それで、「じゃあ1回、企画を出してみてください」って言われて見取り図を出して。プロット書いて送って。で、実際に書き始めたのは1月末ぐらいで。8月ぐらいに書き上げたんで。7、8ヶ月ぐらい?


Miii:すごいな。僕もまだ全ては読みきれてなくて。ちょっとずつ味わっているっていう感じなんですけども。本当に情報の密度と過去の文献を一文一文細かく掘っていく様みたいなのがすごい鮮やかで。あんまり僕、ポップス系の批評ってそんなに目にしないですけど。これはまさしくもう、ザ・批評だなっていうというところで。めちゃくちゃ面白いなと思って読んでます。


imdkm:ありがとうございます。


tomad:そもそも、imdkmさんって何者なんですかね?


imdkm:何者なんですかね?(笑)。


Miii:ああ、「そもそも」ですね(笑)。


imdkm:たしかに、「なんか漠然といるよね」みたいな感じの扱いを10年ぐらい続けられていたけども、最近……もともとビートを作ったり、マッシュアップを作ったりとかして。マルチネからビデオマッシュアップのを出したり。


Miii:ビデオマッシュアップのを出したんですけども。廃盤になっちゃったんですけども。


imdkm:あと、なんか他の名義でも出したりとかしつつ……あんまりコンスタントな活動ではなかったんですけど。気づいてみれば、なんかライター業をいつの間にか始めてしまい。


Miii:なんか「ライターになろう」みたいなの感じもあんまりないですよね? ヌルッと……。


imdkm:なんかヌルッと。ブログを書いてたらいつの間にかメディアに声がかかって、みたいな。


Miii:そのブログっていま、何年ぐらい続けてるんですか?


imdkm:ブログ、ライターを始めるきっかけになったブログの方はいま、1回閉じちゃっているんですけども。自分の独自ドメインの方に新しくしたんで。ただ、そのブログを書き始めたのも3年ぐらい前で。


tomad:でも、いろいろとやってるっすよね。その前のブログもありますもんね。


imdkm:何回かブログをやっていて。で、そのブログ……ポップスの話とかをガンガンに書いていたブログっていうのが2、3年前くらいから始めたっていうやつで。


Miii:なるほど。だからそういうところ、最低になって執筆活動みたいなところでやられてて。でもやっぱりマルチネからのリリースっていう意味では、すごい昔から。それこそ10年ぐらい前から僕は名前をお伺いしていたんで。なんていうか、「嬉しい話」って言うとなんかよくわからないですけども。こういう形でお話ができるっていうのが……。


tomad:初めて会ったっていうわけじゃないですよね?


Miii:僕ら、しゃべるのはでも……。


tomad:ああ、あれか。『天』とかで会ったりしているのか。


Miii:そうそうそう。dust.cでやらせていただいて。でも当時の記憶があんまりないんで(笑)。勢いがすごすぎて。


tomad:でも基本、最初、美術とかだったっすよね? アート的な……領域的には。


imdkm:どっちかっていうと、もともと僕、京都の美大に入って。制作系じゃないんですけど、芸術学系というか。アートマネジメントとか研究とかをやるみたいなところに入って。すごいアートっぽい感じの、アートマニア的な感じの立ち位置でぼんやりとやってたんですけども。書き物としては。それもブログとかですけどね。


tomad:そこから音楽に移行したっていうか、興味が移ったのか、それが広がっていったみたいなの、あったりします? それか、アートがしんどくなったみたいな……?


imdkm:割とリアルな話をすると、僕は1回京都で大学を出て、大学院に行って。それで大学院を中退しちゃって。修士を出て博士に入ったんだけど博士を中退しちゃって。1回、山形に戻ってきて。地元が山形なんですけども。それで戻って、そうすると展覧会とかあまり見れなくなるわけですよ。


tomad:ああ、まあそうですよね。物理的に。


imdkm:だからインプットがだんだんアートではなくなっちゃって。むしろ、部屋で音楽を聞いている時間の方が増えたっていう。で、その結果として「ああ、結構最近、面白いじゃん」ってなって。「この面白さを書いておこう」みたいな感じでいろいろと書いていたっていう。


tomad:それ、戻ったのってどんぐらいですか? 数年前?


imdkm:戻ったのが、それが3年前。ブログを始めるぐらい。


tomad:たしかにね。音楽は展覧会とか行く必要ないし。ライブじゃなくても聞けるっていうのがいいところっすよね。


Miii:だから音源を噛みしだいて表現していくみたいなところがあるのかなって思ったりもしますよね。


imdkm:たしかにね。だって、絵画を分析しますって言った時、まさかその絵画を剥がすわけにはいかないからね。絵の具を剥がして「ここがこうなっていて……」とかできないから。そうなってくると、実際に手元に音源があったりとか、再現が可能な……パソコンがあったらだいたいいまのポップスは理屈は再現できるっていうか。サウンドそのままはとまでは行かなくても。そういう環境っていうのは比較的、書くモチベーションをどんどん循環をしていた感じかもしれないですね。


tomad:なるほどな。今回、その音楽っていう中で、さらにポップスっていう中で、今回お書きになられた本は「リズム」というところにすごい着目されているっていうところがあると思うんですけど。そこの観点を見つけたのはどういうきっかけというか、どういう風に考えてそこに至ったんですか?


imdkm:リズムっていうのにたどり着いたのは、なんか元々、ダンスミュージックとかが好きだと、まずはドラムマシンを買って……みたいな。あるいはDAWとかでもとりあえずドラムの打ち込みをして……みたいな。で、僕は別に楽器が弾けるわけでもないし、和声の理論とかが分かるわけでもないし。そうなってくると、まずとりあえず音を出してみようとなったら「ガーン! ドンチンドンチンドンチン……♪」ってやって、「わあ!」みたいな。この原体験がまずあって。


聞く側としても、作るっていうか音楽の制作環境に触れるっていう時にも「まずはリズムがありきだよね」みたいなのがあったのに加えて、地元に帰ってきた時にもう本当にやることがなくて。本当の本当にやることがない時に、ニコニコ動画に菊地成孔さんのビュロー菊地がやっているチャンネルがあって。そこに「モダンポリリズム講義」っていう動画コンテンツがありまして。そこでは延々と20世紀以降の音楽におけるリズムっていうのがどういう風に鳴っているのか。特にジャズとかになってくるんですけど。ポリリズムの構造の話だったりとか、いまの音楽ではこういう風なリズムが発見されてるみたいなこと。めっちゃエッジーなことをやっているコンテンツがあって。それを全部見たんですよ。


tomad:へー!


imdkm:なんか80回とかあるのかな? すごい大量にあるのを延々と見ていて。「やっぱりリズムだよな」とか思って。それを見て思っていたという。


tomad:なるほどな。すごいな。ポリリズムって何ていうか、楽譜的なリズムっていうか。その線をガガガッと引いて作られたリズムみたいなところだと思うんですけども。そこのそういう講義がずっと続くみたいな。実例を出しながらみたいな感じなんですか?


imdkm:そうですね。ややこしいのが、ポリリズムって楽譜にならないんですよね。楽譜にする時に……まあ、ここでポリリズム講義を始めてもしょうがないんだけども。ポリリズムにはいろいろな形があるにしても、ここで仮にそのポリリズムを「ひとつの小節を3拍子にも4拍子でも解釈できるようなリズムだ」という風に言ったとする時に、ひとつのリズムパターンが3拍子も4拍子にもなるって言うけども、楽譜にする時にはどちらかに合わせないといけないわけですよ。


4拍子って決めたら4拍子で書かなきゃいけない。3拍子って決めたら3拍子で書かなきゃいけない。でも、DAWとかでドラムをピアノロールとかで打ち込んでる時は、単に時間軸上に位置を書くパーツの発音タイミングが表示されるだけだから。むしろピアノロール上の方がポリリズムがわかりやすいっていうか。意外と楽譜、楽理からはみ出る領域だったっていうのもある種、興味深いところだったかもしれないですね。


Miii:ああ、なるほど。そうか。そうですよね。楽譜だと書くのがすげえ大変っていうか。そもそも表せるかどうかっていう領域なんですもんね。それはそれでめちゃくちゃ面白い話になっちゃういけども……じゃあ1曲。


tomad:本にまつわる曲を。


imdkm:僕、この『リズムから考えるJ-POP史』っていう本の中では結構、宇多田ヒカルの話を最後の方で重点的にしたりしていて。それがいろいろ世に出ている感想とか評とかを見ていると、やっぱりその宇多田ヒカルの議論がクライマックスみたいな感じで評価されているんだけども。個人的にはその後に書いている三浦大知の作品が結構……もう2018年に出た『球体』っていうアルバムはかなりサウンド的にも実際に鳴っているリズムの解釈とか、三浦大知のバキバキにダンスもやって歌も上手くて……みたいな鋭敏な音楽センスがNao'ymtっていうプロデューサーのサウンドの下でめちゃくちゃ開花していて。


かつ、めちゃくちゃポップっていう作品になっていて。これはちょっとヤバいのが来たぜ!っていう感じで。最後の方で結構三浦大知の『球体』以降の展開っていうのを論じていたので。その『球体』から1曲、行きたいなと思います。


三浦大知『飛行船』


Miii:聞いていただいたのは三浦大知さんで『飛行船』でした。やっぱり展開がすごいですね。めちゃくちゃアグレッシブでしたね。


imdkm:アグレッシブでしたね。



番組情報

マルチネ放送室β

EVERY 4th THURSDAY 20:00 - 21:00



都内もしくはネット上を中心に活動するレーベル『Maltine Records』が、最近気になるアーティストを呼んでライヴとトークを繰り広げる1時間。


https://block.fm/radios/597


written by みやーんZZ





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