RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO、新宿のカラオケ館から日本音楽の未来を! 「Lost In Karaoke」レポート

ゆるふわギャング、テンテンコらのパフォーマンスが日本文化の象徴的存在カラオケボックスから配信された。
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2018.10.04 11:30

9月から東京都内の各地で行われているRED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYOの注目イベント「Lost In Karaoke」が、10月2日(火)に新宿歌舞伎町にあるカラオケ館西武新宿駅前店にて行われた。


新宿から日本の最新音楽を配信


「Lost In Karaoke」は、これまでに2014年、2015年にも開催された同フェスを象徴するイベント。2014年開催時は、公式サイトに"映画『ロスト・イン・トランスレーション』の主人公Bill Murray(ボブ・ハリス役)がRoxy Musicを歌う代わりに、東京の様々な音楽サブカルチャーを代表するクルーとアカデミー参加者が各部屋を彩る”とあったが、今回もカラオケ館を1棟丸ごとジャック。各テーマごとに振り分けられた部屋から様々なスタイルで東京、日本の音楽シーンで活躍する才能ある若手アーティストたちが熱のこもったパフォーマンスを行なった。その様子は、特設サイトから配信され、音楽ファンはそれをリアルタイムで楽しんだかと思うが、今回、筆者はその会場に潜入。実際にこの目で見た会場の様子をレポートしていきたい。



photo: Keisuke Kato / Red Bull Music Festival Tokyo 2018




7部屋から様々な音楽が発信された「Lost In Karaoke」


まず、会場となるカラオケ館西武新宿駅前店は、ご存知のとおり、普段はカラオケ店として営業している建物だ。しかし、当日は、館内の6階に遠山啓一、Tomadらの「ポコラヂ出張編」、7階に今、ネットで話題のバーチャルねこ、食品まつりとBO NINGENのTaigen KawabeによるKISEKIらの「YUZAME SHOWCASE」とモジュラーシンセを駆使するgalcidらが「MIDNIGHT FLOW」、9階にゆるふわギャングらの「FIRE IN THE BOOTH」とRBMA TOKYOの卒業生Albino Sound、テンテンコと伊東篤宏によるZVIZMOらの「PHANTOM SOUNDS」、10階にあっこゴリラ、YUKA MIZUHARAらの「NEO TOKYO」、話題のシンガー小袋成彬ことOBKRらの「Tokyo Recordings」という風に部屋が分けられていたことは、配信を見ていた人ならすでにご存知だろう。



photo: Keisuke Kato / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


photo: Keisuke Kato  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018




しかし、実際の館内は、やはり普通のカラオケ店だけあってなかなか狭い(笑)。というのも今回は、クローズドイベントではあったものの、出演アーティスト以外にも関係者や報道陣など結構な数の人間が会場にいたため、時間帯によっては通路は人でパンパンになることも。また基本的に各階には2つのブースがあり、扉が開けられていることが多かったため、例えば、エレベーター前あたりの通路にいると音が同時に混ざって聴こえてきたりとなかなかカオスな感じもした。しかし、その感じも様々なジャンルの音楽が交差するこのイベントの縮図のようにも思えてなかなか乙なものだった。



photo: Keisuke Kato  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


多種多様、個性溢れる音楽が鳴り響いたカラオケ館


そんなイベントの出演者で特に気になったのは、「YUZAME SHOWCASE」出演者のMecanika。滋賀県出身でまだ19歳という彼は、若手ながら卓越した楽曲制作スキルを持っていると噂では聞いていたが、今回のパフォーマンスでそのセンスの良さをビンビンに感じた。



photo: So Hasegawa  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018




次に「NEO TOKYO」出演者のDEADKEBAB & PSYCHIC$。以前、Luteのドキュメンタリーで見て以来、個人的に気になっていたこの2人組だが、ボクサーパンツやボクシンググローブを身につけ、エナジーフルにパフォーマンスするDEADKEBABの姿は衝撃的で正直見ていて高まった。



photo: Keisuke Kato  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


また高まったといえば、「PHANTOM SOUNDS」でのMaika Loubtéのパフォーマンス。DEADKEBAB & PSYCHIC$とは又違った意味でなのだが、メロディックなその音楽は、思わず聞き惚れてしまうほど。マーブルカラーの照明も幻想的でスタイリッシュ。個人的には「Lost In Karaoke」の優勝は彼女。



photo: Suguru Saito  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


galcidのハードでフリーキーでパワフルといった感じのモジュラーシンセを駆使したインダストリアル感抜群のテッキーなパフォーマンスも秀逸だったと思う。ZVIZMOの蛍光灯音具OPTRONとハードな音の組みわせと明滅する蛍光灯の明かりには文字どおり目が眩んだ。



photo: So Hasegawa  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018




あっこゴリラやゆるふわギャングのパフォーマンスは、さすがの超人気アーティストぶりとでも言おうか。存在感というかオーラは、個性的なラインナップとなった今回の出演者の中でも群を抜いていたように思える。あと個人的に目を引いたのがKISEKIの新宿にいる食品まつりとロンドンにいるTaigen Kawabeのリモートセッション。こちらも実験的で興味深い試みだったし、何より音がフリーキーで独特のカッコよさに溢れていた。



photo: Keisuke Kato  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018



photo: Suguru Saito  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018



photo: So Hasegawa  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


それとおそらく本イベント中もっともカルトなファンから注目を集めていたと思われるのが「ポコラヂ出張編」だろう。筆者が放送現場のブースを覗いた時には、okadadaとDJ WILDPARTYも参加し、何やらカラオケ文化に対する熱弁が行われていたような…。



photo: So Hasegawa  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018




ちなみに館内の廊下でOBKRに会った時に彼がオススメしてくれたのが、「Tokyo Recordings」に出演していたニューヨークのアーティストninjoi.。



photo: Keisuke Kato  / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


流麗なジャジーサウンドがめちゃクールだったので帰宅後、早速音源をチェックしてみたら、去年リリースされた『Benkyou』というアルバムが素晴らしい。収録曲には「Sakana」、「Natsu」、「Nishi」といった日本語が曲名になった曲もあったりするのだが、全体的にNujabesを彷彿とさせる正統派ジャジーヒップホップといった感じに仕上げられているので、スタイリッシュでチルな音楽ファンは今後、注目するべし!




思えば、イベントの元ネタとなった『ロスト・イン・トランスレーション』も映画の内容だけでなく、サントラとしても”マイブラ”のKevin Shieldsのほか、Squarepusher、Phoenix、The Jesus and Mary Chain)からはっぴいえんどまでというようにジャンルレスに良曲が多数収録された音楽的にもイケてるものになっていた。


今回の「Lost In Karaoke」も同じようにジャンルレスに日本で最先端の未来を感じるイケてる音楽が集まり発信された貴重なショーケースイベントになっていたと思う。次に「Lost In Karaoke」が開催される日がいつになるかは、現時点では定かでないが、今回の配信で何かを感じ取った人は是非次回の配信にも注目してほしい。


written by Jun Fukunaga





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