自宅で聴きたいLo-fi Hip Hop。クロノ・トリガーのトリビュートなど注目の3作品

まさかの名作RPG使いのdropp、西海岸ディープ&ミニマルなAhwlee、ベルリンの深遠なLo-fiサウンド、b&dbbbの3アーティストを紹介。
SHARE
2020.04.09 09:00

Lo-fi Hip Hopのディープエリアをディグってみる特集・第二回目は、ゲームネタで突き抜けた鬼才、ストイックすぎるLAビート、そしてベルリンのビートメイカーを紹介する。


■関連記事 : 

Lo-fi Hip Hopがさらなる進化 正統派から新潮流まで注目の3作品





dropp - 時之翼 epoch


最初に紹介するのは、カリフォルニア在住の叙情系ローファイビートメーカーdropp(ドロップ)だ。

2020年3月11日にリリースされた彼の最新アルバム『時之翼 epoch』は、1995年に発売された名作RPGクロノ・トリガーのトリビュート作品となっている。

ちなみにクロノ・トリガーの楽曲は現在もゲーム・ミュージック・シーンの第一線で活躍を続けている作曲家、光田康典氏のデビュー作であり、ゲーム・ミュージック史に残る名作として知られている。

 


ループされるメロディや効果音は原作のゲームからサンプリングされた音源が中心で、そこに重なる荒々しくも暖かみのあるドラムパートが心地よい世界観にひたらせてくれる。元々ローファイヒップホップ自体がゲーム文化と深い関わりを持っているもので、ゲームの効果音が散りばめられた楽曲は少なくない。こういった楽曲は多くは一発ネタ的なものだが、今作はアルバム丸々一つのゲームからのサンプリングという徹底ぶり。


時代やジャンルを超えてリサイクルしても素晴らしい元ネタの力は確かにあるが、限定された音源からのサンプリングでは無理の出る曲も生まれるのが普通だ。そこをピッチダウンなど利用しながら、全曲をLo-fi hip hopとして成立させてしまうdroppの技術よりもセンスで突き抜けた仕上がりになっている。


 その中でも一際特異な楽曲が10曲目の「クロノトリガー / chrono trigger」。ドラムンベース〜四つ打ちのジャンルを超えた新しい試みに成功している。クロノ・トリガーファンはもちろん、原作を知らなくてもエモーショナルな刺激を求めている人であれば必聴のアルバムだ。

 

Ahwlee - coolist


次にカリフォルニアのロングビーチから、ストイックなチルサウンドを届けてくれるAhwleeを紹介。

彼が2020年3月18日にリリースしたアルバム『coolist』は、5曲入りのビートテープだ。彼のBandcampのプロフィールには「リスナーの集合的無意識(ユングの分析心理学における概念、無意識の深層にある先天的な領域のこと)とつながる音」と、インテリジェントなメッセージが書かれており、そのサウンドもミニマルで知的なディープさを感じさせる。


 

『Coolist』の1曲目、「worthwile」は太く温かいベースラインと耳を心地よく刺激する高音の優しい響きが特徴的だ。無駄な展開や飾り付けを一切省き、ストイックに磨かれたビートはずっと聴いていられる。集中が必要な作業のBGMとしてもぴったり。

乱暴に分類するなら同じく西海岸のFlying Lotus(フライング・ロータス)のような純芸術肌なサウンド。

 

YouTubeでは2016年のLAでのライブを見ることができる、再生後すぐに見られる彼の笑顔がピースフルなヴァイブスを伝えている。


 

b&dbbb - stay healthy


最後に紹介するのは、ベルリンから深遠なローファイサウンドを響かせるb&dbbb。 

2015年以来Bandcampで7作品をリリースして来たb&dbbbはプロフィールを見ると音楽グループのようだが、基本的にAli Whales(アリ・ウェールズ)が中心のプロジェクトである。今回2020年3月23日のリリースは、曲のタイトルにあるようにギター中心のトラックとフェンダーローズ中心の2トラックの作品だ。タイトルには現在のコロナウィルスの状況に対する願いが込められているのだろう。



Lo-fiサウンドでお馴染みのレコードノイズをリズミカルに配置したグルーヴが、一気に非現実の世界に誘い込む。ビートの揺れに加え、楽器のピッチの揺らぎが時間感覚さえも支配するような不思議な感覚を与える。時折ただようモジュレーションのかかったコーラスも非常に独特。空気感を醸し出すノイズと一体になって絶妙な陶酔感をバックアップしている。ギター、ローズ共にメランコリックな哀愁が味になっており、なんとも自然体でチルなムードに満ちた作品である。一聴すると派手さはないが、通しで何回か聴いてみてほしいトラックだ。

 

2015年の作品ではあるが、Youtube上でMVも見ることができる。


 

Lo-fi Hip Hopが認知され始めたのが2016年あたりであったことを考えると、大胆な展開をするビートも実験的。ある程度Lo-fi Hip Hopに耳が慣れた今、丁度いいサウンドに感じられる。



■関連記事 : 

Lo-fi Hip Hopがさらなる進化 正統派から新潮流まで注目の3作品


written by Yui Tamura


source:

https://dripdripdropp.bandcamp.com/album/epoch

https://bumps.bandcamp.com/album/coolist

https://soundcloud.com/bobbie-die-boomboxbande

https://aliwhales.bandcamp.com/album/b-dbbb-stay-healthy


photo:

https://dripdripdropp.bandcamp.com/album/epoch

https://bumps.bandcamp.com/album/coolist

https://soundcloud.com/bobbie-die-boomboxbande

https://aliwhales.bandcamp.com/album/b-dbbb-stay-healthy





SHARE