自宅で聴きたいLo-fi Hip Hop。世界に羽ばたく日本人ビートメイカー特集

Pitchforkで取り上げられたlee (asano+ryuhei) 、東京で活躍するKAZUMI KANEDA、OIL WORKSのリリースでおなじみArμ-2の3アーティストをピックアップ。
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2020.05.02 07:00

Lo-fiヒップホップのディープエリアをディグするシリーズ第3回目。今回は日本国内で活動するLo-fiヒップホップのアーティストたちの中から、おすすめのリリースを紹介して行こうと思う。




lee (asano+ryuhei) – she kills me



最初に紹介するのは北九州小倉在住の「lee (asano+ryuhei)」(リー・アサノリュウヘイ)だ。日本人でありながらアメリカの主要な音楽メディアPitchfork(ピッチフォーク)でも取り上げられる彼は、1月にOIL WORKS(オイルワークス)からアルバムnoneをリリースしたばかり。音楽だけではなくアートの分野でも精力的に活動し、常に独自の感性を開拓しているアーティストである。

 

ではサウンドの話に移ろう。一聴すればすぐに感じてもらえると思うが、いわゆるジャズネタのサンプリングを中心としながら、圧倒的に独創的でアグレッシブな質感のサウンドだ。

質感としては確かにLo-fiヒップホップなのだが、とにかく音の質感だけで完全に自分の世界を表現してしまってる感がある。


サウンドの質感はある程度やりつくした感があったLo-fiヒップホップだが、未踏の領域を切り開いてくれるleeには期待しか感じない。

 

4月10日にBandcampで公開されたfxl名義の「i」と言う作品は、DARAHABEATS(ダラハビーツ)から2019年2月に発売されたものだが、内容は福岡アンダーグラウンドのレジェンドであるRAMB CAMP(ランブキャンプ)のラッパーFREEZ(フリーズ)とlee (asano+ryuhei)のコラボ作品になっている。そちらもリンクしておくので、気になる人は是非チェックしてみよう。


fxl - i



KAZUMI KANEDA – Morpheme Tone


続いて紹介するのは、東京在住のKAZUMI KANEDA(カズミ・カネダ)だ。マルチインストゥルメンタリストである彼は、サンプリングベースのスタイルとは違い自分の楽器演奏をベースにビートを組み立てているようだ。彼のTwitterでは実際に鍵盤を弾く姿が動画配信されている、プレイヤー系の人はチェックしてみると参考になるかも知れない。



リリースはカナダのLo-fiヒップホップレーベルInner Ocean Records(インナーオーシャンレコーズ)から。Inner Ocean RecordsはLo-fiヒップホップがジャンルとして確立する前から「Bsd.u」(ビサイドユー)などこのジャンルの先駆者をカセットテープなどでリリースしてきたレーベルだ。KAZUMI KANEDAは2016年からこのレーベルでリリースを重ねている、ある意味で彼もLo-fiヒップホップのオリジネーターとして独自の立ち位置を確立していることが感じられる。

 

キーボードとタイトなドラムを中心に緻密に組み立てられた演奏は、ジャズホップと言うより純粋に「これはもうジャズ!」と言いたくなる内容だ。それでいて「3Dimentionz (feat. FLOAT JAM)」のようにラッパーをフィーチャーした楽曲からは、しっかりとヒップホップへの愛が感じられる。


生演奏ならではの表現の豊かさで、万華鏡のように変幻自在に展開される音世界は、いつまでも飽きが来ず聴き入ってしまう。自宅で良いサウンドシステムでじっくり浸りたい作品だ。


 

Arμ-2 – bootleg flowers


最後に紹介するのは埼玉県川口市出身のArμ-2(アルツー)。2013年のOIL WORKS(オイルワークス)からのリリースで知ったと言う人も多いかと思う。最初に紹介したlee (asano+ryuhei)とは2014年のTANHAや2018年の「2PAC」で競作を重ねており、非常に近い関係のようだ。


 

画家でもあるlee (asano+ryuhei)と共鳴するかのように、Arμ-2はコラージュアートも制作しており、彼独自の精神的な表現を追求しているようだ。Tumblerで作品を見る事ができるので、リンクを載せておこうと思う。彼の緻密でシュールな世界をチェックしてみて欲しい。

 

Aru-2.com

 

今回公開されたbootleg flowersは新旧入り混じったアメリカのラッパーやシンガーの楽曲を、Arμ-2がリミックスした全15曲。基本的に鍵盤の演奏とドラムのプログラミングで製作されており、元ネタが分からなくてもすんなり耳に馴染む聴きやすいヒップホップアルバムだ。部屋でかけっぱなしにして時間を過ごすには最適のチョイスだろう。このbootleg flowersはフィジカル盤も流通しているがデジタル配信の売り上げは全額、クラブやライブハウスなどに寄付されるとのことだ。


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Lo-fi Hip Hopがさらなる進化 正統派から新潮流まで



written by Yui Tamura


source:

https://leeeeee.bandcamp.com/album/she-kills-me

https://kazumikaneda.bandcamp.com/album/morpheme-tone

https://aru-2.bandcamp.com/album/bootleg-flowers

photo:

https://leeeeee.bandcamp.com/album/she-kills-me

https://kazumikaneda.bandcamp.com/album/morpheme-tone

https://aru-2.bandcamp.com/album/bootleg-flowers





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