【レビュー】映画『ライオン・キング』でBeyoncéも認めたアフリカンアーティストを聴く

話題の超実写版『ライオンキング』インスパイアードアルバムにはGqomやアフロビーツのアーティストが参加している。
SHARE
2019.08.12 09:00

8月9日(金)よりここ日本でもこの夏の話題の映画、超実写版『ライオン・キング』の公開がスタートした。同作は90年代の大ヒットアニメ映画のリメイクで、メインキャラクターの声優を今年のコーチェラでヘッドライナーを務めたChildish Gambinoことドナルド・グローヴァーとBeyoncéが務めており、公開前から音楽好きの間でも話題になっていた映像作品だ。  


またオリジナル版は、音楽スコアを映画音楽の巨匠Hans Zimmerが手がけていたことや、Elton Johnが歌う「Can You Feel the Love Tonight」も当時大ヒット曲になったことに加えてアカデミー賞では主題歌賞、作曲賞も受賞するなど音楽的にも評価が高い。



そんな作品だけに今回の超実写版でも音楽面にも強いこだわりがあり、サントラのほかにBeyoncéがプロデュースする映画のインスパイアードアルバム的作品『The Lion King:The Gift』が先月リリースされ話題になった。 


同アルバムではBeyoncéのほかに、先述のChildish GambinoやBeyoncéの夫であるJay-Z、Pharrell、Kendrick Lamar、若手で現在、注目のアーティストとして活躍の場を広げている070 ShakeやTierra Whack、近年、アフリカンミュージックに急接近していたMajor Lazer、さらにはBeyoncéの愛娘であるBlue Ivy Carterらが参加。豪華な参加アーティスト陣に注目が集まった。 


しかし、『The Lion King:The Gift』には、すでによく世界中に知られた人気アーティストだけでなく、現在のアフリカの音楽シーンを支えるアーティストたちも多数参加しているところは注目すべきポイントだ。今回はアルバムの中でも特にチェックしておきたいアフリカンアーティスト参加曲をピックアップしてご紹介する。



「My Power」 - 南アフリカ発のダンスミュージック”Gqom”の雄、DJ Lagが参加した話題曲 


『The Lion King:The Gift』がリリースされることが発表された時から、もしかしたら一部のアフリカンミュージックに興味がある人の間では、収録されることが期待されていたかもしれない、南アフリカ初のダンスミュージックのジャンル”Gqom(ゴム)"。その期待は見事実現し、BeyoncéのほかにTierra Whackも参加している「My Power」は、誰もが認める”Gqom”曲に。



共同プロデューサーの1人に迎えられたのはGqomシーンの有名プロデューサー、DJ Lagという本気ぶりもさることながら、同じく南アフリカで人気のダンスミュージック”Kwaito(クワイト)”やアフリカンヒップホップシーンで活躍するMoonchild Sanellyが参加していることにも注目したい。”Gqom”は近年、Major Lazerがその要素を取り入れたことで、一気にメジャー化する期待がかかっていたが、まさか現行ポップスシーンの女王、Beyoncéが目をつけるなんて…。”Gqom”史に残る重大な出来事になった曲だともいえる。





「Ja Ara E」 - アフロビーツを代表する人気者、Burna Boyが歌うエモいアフロ曲に注目 


 『The Lion King:The Gift』では、豪華アーティスト陣が招かれているが、そのほとんどはBeyoncéとのコラボ曲だ。しかし、本作でナイジェリア出身のアフロフュージョン、アフロビーツの人気シンガーソングライターのBurna Boyは、数少ないBeyoncéなしのソロとして本作に参加している。アフリカンなトライバル風味漂うダンスホール系の曲となった「Ja Ara E」は、ゆったりしつつもボトムヘヴィー、さらにリズミカルといった感じだが、ところどころに入ってくるサックスの音色もエモーショナルで気持ちいい。



Burna Boyは、今年のコーチェラにも出演したほか、今年はBET Awardsでも最優秀インターナショナルアクト賞を受賞。これまでにUSではFuture、YG、UKではJorja Smith、J.Hus、そのほかにもMajor Lazerとコラボするなど、今後、さらなる世界的な活躍が期待されるアーティストだ。この機会に是非チェックしておこう!



「Already」 - ガーナの音楽シーンを牽引するShatta WaleがBeyoncéとMajor Lazerとコラボ 


本作にはMajor Lazerと縁が深い先述のBurna Boy、Mr Eaziが参加しているが、今回、Major Lazerがコラボしたのは、ガーナ出身のダンスホール/アウロビーツアーティストのShatta Wale(FKA Bandana)だ。Beyoncéがリードヴォーカルをとる「Already」では、Beyoncéのほかにフランス出身のプロデュサーデュオのPicard Brothers、そしてDiploがプロデューサーを務めている。



Major Lazerのファンからすると近年のアフリカンミュージックにインスパイアされた音源の続編ともいえるテイストになった本曲では、Major Lazerのお家芸であるダンスホールとアフロテイストが絶妙にブレンドされたアフロビーツになっている。これまでにガーナの数々の音楽賞を受賞してきた経歴を持つShatta Waleだが、今年もすでに「3 Music Awards」、「Vodafone Ghana Music Awards」といった賞で複数受賞とノミネートを果たすなど、ガーナの音楽シーンを牽引している。



最近では『ブラックパンサー』、『クリード 炎の宿敵』など、ニューエイジブラックムービーと呼ばれる映画作品では豪華アーティストを揃えたインスパイアードアルバムが制作されることもめずらしくはない。『The Lion King:The Gift』もまたその系譜につらなる映画界と音楽界をつなげる名盤のひとつになるだろう。お盆休みは映画館で『ライオン・キング』という人は是非、チェックしてほしい。  


written by Jun Fukunaga 


photo : Beyoncé Facebook




SHARE