Drakeらも認める新たなアトランタのスターLil Baby、ストリートに固執した彼の人生とは?

Young Thugの幼馴染としても知られるLil Baby。ストリートから抜け出した新たなアトランタのスターに迫る。
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2018.05.23 11:00

突然だが、トラップミュージックとは果たしてなんなのだろうか? トラップとはそもそもドラッグを密売する場所としての呼称だったが、現在は一つの音楽ジャンルとして成立している。そして、そのトラップミュージックに関する正しい解説は今のところ見つかっていない。なぜなら、現在もトラップの起源に関連するビーフや言い争いが収まる気配がないからだ。しかし、トラップがアトランタから始まり、ここ数年で最盛期を迎えている事実に異を唱える者はおそらくいないだろう。まったく不思議な音楽のジャンルである。



受け継がれるアトランタの血、新たなスターLil Baby




T.I.が2003年に『Trap Musik』をリリースしてからGucci Mane、Young Jeezy、Future、Rich Gang、2Chainz、Migosと、受け継がれてきたアトランタのスターとしてのDNAは、新たなニューカマーが引き継ごうとしている。


先日『Harder Than Ever』をリリースしたLil Babyは、まさしくアトランタのリアルを映し出したラッパーだ。Young Thugと幼馴染であり、Gucci Maneを発掘したコーチKの近所で育ち、その裏ではストリートにすべてを捧げてきた人物である。まさしくアトランタのど真ん中で生活をしていたLil Babyだが、最終的にはドラッグ売買が原因で2年間刑務所に送られることとなる。当然の報いだろう。


その一方で、彼のラッパーとしてのキャリアがここからスタートしたのも事実である。彼の才能を既に見抜いていたコーチKはLil Babyが出所するとすぐに歩み寄り、音楽に集中するよう語りかけた。彼のアドバイスに耳を傾けたLil Babyは刑務所時代に得たインスピレーションなどを糧に、猛スピードでシーンを駆け上がっている。


「やればできるさ、Young Jeezyでさえラップをしたことなかったんだから」


2017年は4つのプロジェクトをリリースし、ハードワーカーとして知られているLil Babyだが、ラップを始めた当初は知らないことで溢れていた。コーチKは彼のストリートに固執する姿勢に惹かれ、ラップを始めることを勧めており当時の様子をこう語っている。


「コーチKはいつも俺にラップをしろと言ってきたけど、その度にラップのやり方なんてわからないと返したよ。そしたら彼は『Young Jeezyだってラップをしたことなかったんだ、やればできるさ』って言ったんだ。それから家に帰ってちょっと試してみたよ。それ以来はずっとうまくいっているね」


コーチKと共にQuality Control(レーベル)を立ち上げたPeeも彼の才能について「Lil Babyはアトランタのリアルそのものだ」と有名になる前からずっと話していたそうだ。彼が音楽を始めてからは「Lil Babyの音楽を聞くと、Gucci Mane、Young Jeezy、T.I.を感じさせる。アトランタの新たな姿だ」と語っており、彼らの感じた思いはしっかりとトラップファンの元に届いていることだろう。


「Lil BabyはSoundCloudラッパーではない」




彼がチャートを登り始めた当時、「Lil」がアーティスト名についているラッパーが同時に4人、人気を集め始めていた。Lil Xan、Lil Skies、Lil Pumpだ。彼らは一括りにSoundCloudラッパー、もしくはインターネットラッパーと呼ばれ、楽曲の他にも日頃の派手な生活もラッパーとしての一部になっている。SoundCloudラッパーはヒップホップの影響をあまり受けてない新たな層として、常に批判の的になっているのも事実だ。


Peeは彼らとLil Babyの違いについて「(Lil Babyは)まったくもってインターネットラッパーではない。SoundCloudに影響を受けてないし、ただそれに乗っかっていただけだ。実際にはそこからもう抜け出しているし、着実にキャリアを積み上げているところなんだ」Lil Baby自身も認めており、「実際のところSoundCloudラッパーについてよくわかっていない」と付け加えている。


Lil Babyという名もSoundCloudラッパーそのもののようなステージネームだが、幼少期に自分より年上と過ごすことが多かったため、周りからそう呼ばれていたことが由来だそうだ。流行からは少し距離を起きつつも、流行を上手く利用していたかのようにも感じ取れる。ストリートで培った能力なのだろうか。



『Harder Than Ever』に収録されたDrakeとのコラボ曲はアルバムの最後のピースとなった




今回リリースされたLil Babyの新アルバムは今までの彼のアルバムで最も豪華な客演陣だろう。幼馴染のYoung Thugはもちろん、Offset(Migos)、Gunna、Hoodrich Pablo Juan、Lil Uzi Vert、そしてカナダの怪物ラッパーDrakeと共演した全17曲のアルバムになっている。彼のスタイルは、Peeが話していたように、Gucci ManeやYoung Jeezy、T.I.を思わせるようなトラップビートに、抑揚をつけて喋るようにラップを乗せるのが特徴だ。一度聞いたらクセになること間違いない。


アルバムに参加したDrakeもLil Babyの才能を認めており、歌詞の中でもLil Babyの名前をレペゼンしている。ちなみに「Yes Indeed」はアルバムの締め切りの4日前に提出したらしく、少しでも遅れていたらアルバムには入っていなかったかもしれないそうだ。


現在の流行のSoundCloudラッパーとは一線を画す新たなアーティストは、これからさらにメディアへの露出も増えていくことだろう。アトランタで育ちアトランタに育てられたLil Babyが次に担うべきは、アトランタの顔に違いない。果たして新たなスターをシーンは歓迎するだろうか? みなさんの耳で判断して頂きたい。




written by Yoshito Takahashi


source:

http://www.complex.com/music/2018/05/lil-baby-harder-than-ever-interview 

https://noisey.vice.com/en_ca/article/9k8yy3/lil-baby-harder-than-ever-interview-2018 

http://www.xxlmag.com/news/2017/09/lil-baby-interview-the-break/ 


photo: Lil Baby Facebook

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