block.fmが選ぶ、2019年下半期ベストUSヒップホップ

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written by BsideNews
block.fmにてヒップホップ/R&Bを中心にニュースを書いているライターのスズキです。グラミー賞を来月に控えた2019年の暮れに今年を振り返るとUSのヒップホップは幅広い意味で豊作の年だったと感じますね! 来年以降も活躍してくれるであろうアーティストから大ベテランの復活まで話題の事欠かず、長年のヒップホップファンから最近ヒップホップを好きになったリスナーの皆さんまで満足のいく年であったのではないでしょうか。この記事では今年の総括も含め、下半期に話題となった曲をなんとか3曲に絞って紹介していきたいと思います!
チャート上位にヒップホップが登場することが当たり前のようになり、SNSや音楽配信サービスのお陰で様々なアーティストに脚光が当たるようになった近年のヒップホップではさらに移り変わりが激しくなっている。2019年の下半期ではどのラッパーが世界中のヒップホップファンを盛り上げてくれたのだろうか、今回はUSのラッパーだけにフォーカスして振り返ってみよう。
Lizzo「Truth Hurts」
ラッパー兼シンガーでもあるLizzo(リゾ)。今年の上半期がLil Nas X(リル・ナズ・X)ならば下半期にチャートを騒がせた代表といえば彼女だろう。出世作である「Truth Hurts」は2017年にリリースされたものだが、動画アプリTikTokで曲が使われたことにより注目を集め、今年になってチャートに入る逆転劇を演じた。ビルボードチャートにて9月に1位に輝きビルボードのチャート史上女性ソロラッパーの曲としては3曲目となると、その記録を7週連続にまで伸ばし続け、女性アーティストとしてもIggy Azalea(イギー・アゼリア)の「Fancy ft, Charli XCX」が樹立した記録に並ぶほどの快挙を成し遂げた。「Truth Hurts」だけでなく2016年にリリースされた「Good As Hell」もまたビルボード チャートで最高3位にランクインし、リリース後数年経ってのチャートインという珍しい現象を2度も巻き起こす結果となった。
また彼女はここ数年で世界中で話題となっている”プラスサイズ”と繋がりを持つ「ボディポジティブムーブメント」のアイコンとも言えるアーティストであり、曲だけでなくその内側から溢れ出る個性的なキャラクターも含めて愛されているところが最大の魅力だ。来年以降も確実に活躍してくれるアーティストであることは間違いない。
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DaBaby「INTRO」
2019年も多くの新たなラッパーがブレイクしたが、その中でも人気実力そして他のアーティストからの信頼も厚い人物言えばDaBabyではないだろうか。23歳からラッパーとして活動し、今年3月にファーストアルバム『Baby on Baby』をリリースするまでに9作ものミックステープをリリースしその人気を築き上げ、多くのアーティストの曲にフィーチャリングとしても参加しヒットをアシストしている。
そんな彼が今年9月にリリースしビルボードチャートでも1位を獲得したセカンドアルバム『Kirk』のリードシングルとして発表された曲が「INTRO」だ。強面なルックスに迫力のある声が印象的な彼がこの曲ではこれまでのキャリア・過去を振り返り、家族への愛をラップしている。過去にはオムツ姿で歩き回り動画が話題となり”イロモノ扱い”もされていた彼が今までのイメージを払拭するには十分すぎる1曲となった。あの『Rolling Stone誌』をして、「彼はこれでもまだ才能の一部しか見せていないだろう」と言わせるほどの「INTRO」は、開始数秒に込められた成功と悲痛な叫びがリスナーの心を掴んで離さない。アルバム収録曲の中で話題となった曲ではないかもしれないが、それでもDaBabyの魅力を表すには今の時点では最高の1曲であろう。
Gang Starr feat. J.Cole「Family and Loyalty」
前述したLizzoやDaBabyのようにチャートを騒がしていなくとも、今年のヒップホップを語る上で外せない話題といえばGang Starrが16年ぶりにシーンに舞い戻ったことだろう。ラップ担当であるGuru(グールー)は2010年に他界しているものの、DJ/プロデューサーのDJ Premier(DJ・プレミア)は健在で、Guruによる過去の未発表ボーカルとDJ Premierによる新たなトラックを合わせた新曲で作り上げられたアルバム『One Of The Best Yet』がファンや関係者に与えた感動は計り知れない。その中でもやはりJ. Cole(J・コール)がフィーチャリングで参加し、リードシングルとして発表された「Family and Loyalty」に関しては2019年抜群のインパクトを残した。
Guruが「ダイアモンドは家族や絆のように永遠だ」とラップすれば、J. Coleは「Guruの存在もダイアモンドのように永遠に輝いているんだ」とお涙頂戴ものの展開が繰り広げられる「Family and Loyalty」。この曲をJ. Coleは”最後の客演仕事”と位置付けるほどの情熱の注ぎ込みようだった話も長年のファンとしては感動せざるを得ない。もちろんアルバム全体が素晴らしいのだが、やはり1曲ピックアップするとすれば「Family and Loyalty」になるだろう。2019年に時代錯誤とも言える世代としては直球ストレートなヒップホップを全力でど真ん中に投げ込んでくれたGang Starrに今一度敬意を表したい。
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今回紹介した以外にも来年以降楽しみなアーティストは多い。激動の2010年代が終わり新たな時代にヒップホップがどのように成長していくのか、引き続きblock.fmで伝えていきたい。
Photo:Facebook/Lizzo,Facebook/DaBaby,Facebook/Gang Starr