日本庭園とアンビエントが幽玄的に交わったRed Bull Music Festival Tokyo 2019「花紅柳緑@浜離宮恩賜庭園」レポート

東京の名所のひとつ浜離宮恩賜庭園が気鋭のミュージシャンたちによって美しく幽玄的な空間に演出された。
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2019.04.26 03:00

4月20日(土)にRed Bull Music Festival Tokyo 2019のフィナーレを飾る「花紅柳緑@浜離宮恩賜庭園」が行われた。


浜離宮恩賜庭園が気鋭のミュージシャンたちによって美しく幽玄的な空間に


当日の会場になったのは東京の名所のひとつであり、徳川幕府時代の遊興の場として知られる浜離宮恩賜庭園だ。付近を高層ビル群に囲まれた同所においては、夜間にイベントが開催されることは珍しく、日中とはまた違った雰囲気があった。



photo: ©︎Suguru Saito/Red Bull Content Pool


会場内には暗闇が満ちており、足元をRed Bullのロゴが入った小さい行灯が照らす。入り口で来場者に配布された小さなポケットライトの明かりとそれらを頼りに歩を進めると、そこには幻想的な照明で彩られた見事な庭園の姿が。その幽玄的な演出に来場者は思わず見惚れたのではないだろうか?


当日は庭園内にある「潮入の池」を囲む「鷹の茶屋」、「中島の御茶屋」、「富士見山下」の三箇所にステージが設置され、日本のアンビエントミュージックの先駆者であるINOYAMALANDをはじめ、Red Bullとは縁が深いHaioka、Kate NV、Nami Sato + Loradeniz、Yosi Horikawaらが出演した。



photo: ©︎Suguru Saito/Red Bull Content Pool


日本アンビエントの先駆者INOYAMALANDらのパフォーマンスが来場者を魅了


多くの来場者が今回のイベントで目当てにしていたであろうINOYAMALANDのライヴでは、柔らかいエレクトロニクスが時に童謡のように響くシーンが多分に見受けられた。そのゆるやかで美しい音楽の洗練された調べは、まさに浜離宮恩賜庭園の”都会のオアシス”という風情にぴったりと合致しており、気分的にも癒しを感じた人も多かったことだろう。


またNami Sato + Loradenizは、深いドローン的なアプローチの曲や重いビートが効いた曲までを奏でたり、池の上に浮かぶ「中島の御茶屋」から聴こえるHaiokaの美しくも時に儚いアンビエントや、マレットサウンドなど柔らかい電子音で構成されたKate NVのポップなアンビエントなど出演者それぞれに色がある電子音楽が来場者の胸を打ったことだろう。



photo: ©︎Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool


photo: ©︎Yasuharu Sasaki_Red Bull Content Pool


Yosi Horikawaが奏でた日本の様式美と重なり合う流麗な世界観


その胸を打つということに関していえば、今回、最も感銘を受けたのは、2度のライヴパフォーマンスを行ったYosi Horikawaだ。特に富士見山下ステージのオープニングを飾った最初のセットには、独自のフィールドレコーディングで集めた音の素材を元にして作る音楽に耳を傾けるために早々に多くの来場者が集まっていた。当日は春になったといえ、少し肌寒い夜。しかしながらそのどことなく澄んだ空気と溶け合うように鳴るメロディーとビートが心地よく、30分間のライヴからは日本の様式美と重なりあうことで生まれる流麗さに満ちていた。



なお、Yosi Horikawaは、会場で録音した音を使ってイベントのアフタームービーのBGMも手がけている。




今年も倉庫や東京ドーム ローラースケートリンクのような意外な場所を会場にしてユニークなイベントが開催されたが、今回のイベントでは会場の演出含め、東京を舞台にした音楽とアートの都市型フェスである「Red Bull Music Festival Tokyo」を締めくくるにふさわしいものになっていたと感じる。去年に引き続き、趣向を凝らしたイベントで我々を楽しませてくれた同フェステイバル。来年はどのようなイベントが開催されるのだろうか? 少し気が早いが今から楽しみでならない。


written by Jun Fukunaga


photo: ©︎Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool



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