スーパーボウルハーフタイムショーで、プリンス追悼のパフォーマンスを行ったジャスティン・ティンバーレイクに賛否の声

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現地時間2月4日に、アメリカはミネソタ州ミネアポリスで、第52回スーパーボウルが行われた。毎年恒例、アメリカンスポーツの一大祭典ではハーフタイムショーが行われているが、今年はJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)に白羽の矢が立った。
最新アルバムから「Filthy」を披露したり、往年のヒット曲「Cry Me A River」と「Love Me」をマッシュアップしたりなど、会場は大いに盛り上がり、盛況のうちに幕を閉じた。そんな中、パフォーマンスの一幕でPrince(プリンス)の「I Would Die 4 U」が演奏された。ピアノを弾くJustinのすぐそばには、Princeを映し出すスクリーンが。
Princeはホログラムをその開発以前から嫌っていた
「I Would Die 4 U」は8:53から。
Princeは1998年、インタビューの際に「ホログラムは想像できる限りのものの中で、最も悪魔的なものだ… 実物を映し出すものはすべてね」と応えていた。
ホログラムを使ったステージングで、記憶に残っているのは2012年のコーチェラフェスティバルでDr. Dre(ドクター・ドレー)が2Pac(トゥパック)を呼び込んだシーンだ。
とても精巧で、彼がとる仕草もまさに健在当時そのもの、実際にこの世に蘇ったような気にさえなってしまうほどだ。このシーンを見て、興奮する方もいれば、何かいわれもない気持ち悪さを覚える方もいるだろう。
実はこのハーフタイムショーが行われる前に、JustinがPrinceのホログラムを使用して、トリビュートの演出を考えているのではないか、という情報がリークされていた。
これを受けて、長年Princeと親交があり、バックバンドでドラムを担当していたSheila E(シーラ・E)がJustinと会談し、ホログラムを使わないということを確認しあった、とツイートした。
その結果、Justinはプロジェクション技術でPrinceを映し出すという手段をとった、というわけだ。
これには、多くのメディアを始め、Princeの熱狂的なファンも「Justinは誰も望んでないことをやってしまった」と、彼の行動をバッシングしている。
2007年のPrinceのハーフタイムショーと比較して、Justinはショーの内容そのものがPrinceに劣っているとするメディアもある。
直後の番組出演で「ミネアポリスのために何かしたかった」と説明
Jimmy Fallon(ジミー・ファロン)の「The Tonight Show With Jimmy Fallon」にゲスト出演したJustinは「(Princeの出身地である)ミネアポリスで公演できることは幸運のめぐり合わせだと思ったよ。彼は、世界中どこでもだけど、特にこの地にとってはとても特別なものだと思ってる。だからこそこの街のために、彼のために何かしたかったんだ。それが、時代を問わず偉大なミュージシャンである彼への、最大の敬意の示し方だと思った」と、自身のトリビュートパフォーマンスを解説した。
Sheila Eも、ハーフタイムショーののち「今回のショーが執り行われる以前に、こうした論議が生まれてしまった。私たちの社会では当たり前になりすぎてるけど、賞賛すべき時に不安や怒りで対立が起きてしまってる」とした上で、「Princeの音楽や人生に賞賛を送りましょう」とこの騒動を総括した。
今回の騒動は、故人を偲ぶ人々それぞれの思いの丈がありあまるゆえに起きたことだ。互いに間違いがあることではない。今や亡くなってしまったPrinceの真意さえもわからない。ただ、これだけ多くの反響があったということは、彼を慕っている方が世界中にいることを示している。それぞれの強い想いはきっとPrinceに届いているだろう。
参考元:
https://www.thefader.com/2018/02/03/prince-hated-holograms
Written by Kenji Takeda
Photo:NME