「自殺したくなることもある」と驚きの言葉も。成功を手にしたように見えるアーティストたちが抱える苦悩とは一体?

UKが世界に誇るミュージシャン・James Blake（ジェイムス・ブレイク）が、国際的な学術組織である芸術医学会（PAMA:Performing Arts Medicine Association）のシンポジウムにゲストスピーカーとして登場し、自身のある病状について赤裸々に語った。
<module-adv></module-adv>
<h2>「ツアー中、自殺衝動に駆られるときがある」</h2>

20代に差し掛かった頃、EP『CMYK』で華やかにデビューを飾り、世界中を回るツアーに出ることとなった彼は巡業中に抑うつ病にかかってしまったという。

「僕は、まだ自分の人格が半分も形成されていない年齢で、普通の生活から根本的に離れないといけなくなってしまって、（ツアー中の）他人との関係が表面上のものばかりになってしまった。一日街にいる間に、知らない人間から最近どうだとか、何かいいものを作ってるのか、だとか色々と尋ねられるんだ。そういうもののすべてに、僕が不安に思ってることや飽き飽きしてることは何ひとつ含まれちゃいないのに」と、道中でのファンとの応対で精神的に疲弊してしまうことが多いことを明かした。

遠征中の食生活の乱れで、希死念慮が芽生えたこともあるそう。「ダイエットしたせいで、化学物質のバランスが悪くなったり、体調が悪くなることはかなりあった。それが原因でうつが発症したし、自殺願望さえあったしね。食物不耐症になってしまってたから、日常的にうつの状態だった。ちゃんとした食事をするようになってからは、毎日何の問題もないよ」

また、こういった症状の対処法として、BlakeはEMDRという心理療法を活用しているとのこと。EMDRとは、PTSD患者などが自身のトラウマを解消するための治療法。精神的に苦しんだエピソードを頭に浮かべながら、治療者が左右に動かす腕を目で追う、という単純な運動だが、「トラウマだったり抑圧感情を完全に取り去ってくれた」とBlakeは話している。

<h2>Noと言えることの大切さ</h2>

Blakeは、恋人の存在が彼に良い影響をもたらしていること、悪い影響を及ぼす可能性のある人間との付き合いは極力避けるべきだということを強調している。

「正直にいうと、いろんな人に『くたばれ』っていうことで、精神的にすごく落ち着くんだ。ノーということもそう。長続きするツアーにはノーっていうし、お金ももう十分だしね」

今年の5月にアップロードした新曲「Don't Miss It」に対する反響が多かったことを受け、男性であれば誰もが抱える悩みについてツイートしている。

<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="en">
Please read. I've wanted to say this for a long time, and now seemed as good a time as any. <a href="https://t.co/1fSPt7SJnx">pic.twitter.com/1fSPt7SJnx</a>
— James Blake (@jamesblake) <a href="https://twitter.com/jamesblake/status/1000228403998425088?ref_src=twsrc%5Etfw">May 26, 2018</a></blockquote>

自身の楽曲が&quot;sad boy（悲しい少年）&quot;のようだと表現されていることについて、「男性が自分の気持ちを正直に話す上で、不健康だし、問題のある言葉だ」と強く非難。

「デリケートな部分やオープンになることに対して疑問を投げかけられることで、僕ら男性が傷つけられているのはもう十分承知だろう。頭で考えていることを伝えるのはいいことに決まってる」と、一般に強い存在であると見られがちな男性にも、繊細な感情があることを代弁している。

「Don't Miss It」にも同様の趣旨のリリックが盛り込まれている。聴く者の心を震わせる力強い作品だ。
<div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/sdnD09M5uj0" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen=""></iframe></div>
<module-adv></module-adv>
<h3></h3>
<h3>「僕らの世代が変えていかないといけない」</h3>

「僕らは、ドラッグに走ったり、度が過ぎる行動をしたり、そういう破壊的な業界の仕組みを繰り返してきた多くのミュージシャンたちを見てきた世代だ。近年、注目を浴びているたくさんのアーティストたちが自ら命を断ってる。だからこそ、僕らはそういうことについて話す責任があるし、そんな兆候を取り除かないといけないと思うんだ」と語り、この講演を締めくくった。

最近では、稀代のヒップホップアーティストとして期待されていたLil Peep（リル・ピープ）がオーバードーズにより命を落としたり、多忙を極めていたAvicii（アヴィーチー）が自殺してしまうなど、若手アーティストたちの訃報が絶えない。2016年に実施されたMusicTank主導の調査で、71%のミュージシャンが強迫観念に駆られたり、パニック症状に襲われる経験をしているとの結果が示されている。また、うち65%は抑うつの症状に悩まされている、と答えていることからも、音楽産業に従事することの過酷さがわかる。今回のBlakeによる提言が、今後音楽家を目指す若者たちにとって良い手助けとなれば幸いだ。

written by Kenji Takeda

source:&nbsp;<a href="http://www.dazeddigital.com/music/article/40574/1/james-blake-suicidal-thoughts-mental-health-on-tour">http://www.dazeddigital.com/music/article/40574/1/james-blake-suicidal-thoughts-mental-health-on-tour</a>
<a href="https://www.theguardian.com/music/2018/jul/03/james-blake-speaks-out-about-struggle-with-depression">https://www.theguardian.com/music/2018/jul/03/james-blake-speaks-out-about-struggle-with-depression</a>
<a href="https://www.helpmusicians.org.uk/news/latest-news/can-music-make-you-sick">https://www.helpmusicians.org.uk/news/latest-news/can-music-make-you-sick</a>

photo :&nbsp;<a href="https://farm6.staticflickr.com/5516/9948691966_6382b24a19_b.jpg">https://farm6.staticflickr.com/5516/9948691966_6382b24a19_b.jpg</a>

block.fm

James Blakeがうつ病と闘いながらツアーに臨んでいた事を告白

この記事をシェア

NEWS

RADIO

新着エピソード

block.fm

NEWS / ARTICLES

RADIO PROGRAMS

FOLLOW US

SEARCH

注目のキーワード

この記事をシェア