James Blake「孤独を歌えば憂鬱な少年扱いされる」”Sad Boy”問題に反論「男性の内省的な表現は恥ずべきことではない」

発表したばかりの新曲「Don’t Miss It」が”憂鬱で孤独な少年の音楽”と評されていることに対し、本人が自分の意見を主張した。
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2018.05.28 03:40

今月、新曲「Don’t Miss It」を発表したばかりのJames Blakeが、自身の音楽が”Sad Boy”と評されることに対して、自らの考えを主張する声明文をTwitter上で公開した。 


 内省的な表現をする男性ミュージシャンは”憂鬱で孤独な少年”なのか?  


「Don’t Miss It」は、音楽的にはJames Blakeらしいピアノのフレーズや印象的な早回しボーカルパートが取り入れられた曲調になっているが、これまでのJames Blake作品のパブリックイメージからか海外のメディアの多くは、曲の内容が”Sad Boy”、憂鬱で孤独を抱える少年の音楽と評した。




しかし、そういった曲に対する評価に対し、James Blakeは、男性が孤独や精神的な弱さ、弱音を音楽でオープンに表現すると”Sad Boy”と評されるが、女性が同様の曲を発表した場合、そういった評価は下されない。それは不健全な評価だと思うという意見を表明。



また現代社会は、男性が鬱になったり、自殺が蔓延するような状況があることは事実で、心の問題を抱える男性が、素直にそういった心情を他人に明かすことは恥ずかしいことではなく、世間の目を恐れ、無理やり男らしく振る舞う必要はないと主張しており、そういった風潮に自身の友人たちが苦しんできたことなども明かしている。

  

Calvin Harrisら同業者が支持するもファンの間では物議を醸す  


その”Sad boy”評に対するJames Blakeの主張はファンの間で話題になり、彼の考えに同意。その正直に自分の弱さをさらけ出すことを良しとする姿勢に改めてファンからは、「よくぞ言ってくれた」、「君の歌詞からはアーティストも同じような心の問題を抱えていることを感じている」、「隠し事は一切ない」という好意的な意見が寄せられている。




さらに同意者の中には音楽業界の人間も多く含まれており、EDMスターのCalvin Harrisや、インディーR&BアーティストのSohnらもTwitter上でコメントを寄せている。



しかし、一方では、James Blakeの声明文の中に含まれていた”女性が心の弱さを歌っても”という部分に対して、逆に「女性がそういったもがくような心情を歌っても疑問を持たれなかったことなどない」とその意見に対する反論の声も少なからずある。



”Sad Boy”評をしたPitchforkにファンからの批判的な声 


加えて、James Blakeはそういった”Sad Boy”評の例として、最近公開されたばかりのPitchforkの「Don’t Miss It」レビューとその公開を「James Blakeはまだ悲しみに暮れている」という文言付きで告知するツイートを紹介。



レビューには、”これまでのJames Blakeの豪華な憂鬱で孤独な少年的リリースカタログにもうひとつの美しくも残酷な曲が加えられた”と書かれていたことから、今回のJames Blakeによるメディアの批評に対する反論的な主張と合致。そのため、彼のファンからはPitchforkは音楽のことがわかっていないという類の批判の声も挙っている。




賛否両論に加え、飛び火によるちょっとした炎上騒ぎまで巻き起こした今回のJames Blakeの発言。確かにマッチョかつ、ストレートな男気溢れる歌詞や社会の不正を訴えるような内容の音楽で評価されるステレオタイプな男性ミュージシャンも多いが、一方でJames Blakeのように自分の中にある弱さや悩みといった内省的な内容を音楽で表現する男性ミュージシャンも決して少ないわけではない。そのため、そういった音楽を”Sad Boy”的だと論じるのは、今の時代、多様性を重視しない姿勢と見られかねないということもわかる。  


しかし、レビューはあくまでその音楽を聴いた人間が感じたことを文章として表現したものであるため、ファンからすれば仮に的を得ていないものだとしても、過剰に否定するような類のものでもないとも個人的には思う。そのレビューには確かに先述のように”Sad boy”という表現があったが、曲の内容をこき下ろすような内容ではなかっただけに、書き手にとっては皮肉な話だと感じた。  


最近ではマッチョな歌詞が多いヒップホップシーンにおいても、故Lil PeepやXXXTentacion、Sucide Boysなど鬱や自殺衝動といった自身が抱える精神的な問題をテーマにした音楽を発表する若手男性ミュージシャンたちがその知名度や人気を高めている。



ステレオタイプとは逆に内省的な音楽表現を行う男性ミュージシャンに対し、”Sad Boy”的なレッテルを張る必要はあるのか? 改めて考えさせられる出来事だ。


written by Jun Fukunaga


source: 

https://twitter.com/i/moments/1000282162694934528

https://pitchfork.com/reviews/tracks/james-blake-dont-miss-it


photo:

Bill Ebbesen




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