iTunesが終わる? Apple Musicの重役Jimmy Iovineが語るダウンロードと音楽ストリーミングの未来とは

Apple Musicの重役がBBCに対し、今後のストリーミングサービスの在り方や噂になっているiTunesダウンロード販売終了についての考えを語った。
SHARE
2018.03.28 03:00

運営する音楽サービスのひとつである「iTunes LP」が2018年内に終了することが取り沙汰され、話題になったのも記憶に新しいアップル。そんな矢先、同社の音楽ストリーミングサービス「Apple Music」の重役であり、Dr. Dreとともにオーディオ機器ブランドのビーツ・エレクトロニクスを設立したことでも知られるJimmy Iovine(ジミー・アイオヴィン)が、今後のストリーミングサービスの在り方や噂になっているiTunesダウンロード販売廃止について考えを語った。  


■関連記事:iTunesがジャケットや歌詞、ライナーノーツの文化的価値を見捨てる日がくる!?


Apple Musicの重役が考える現在の音楽ストリーミングサービスの問題点  


イギリス国営放送のBBCが行なったインタビューで、Jimmy Iovineは、音楽ストリーミングサービスの今後の在り方について、いずれのプラットフォームも利用料金が9.99ドルであり、同じ音源カタログを配信していることを指摘。今後、生き残っていくためには内容の多様化は避けられないという考えを示した。  



多様化については、動画ストリーミングサービスのNetflixが大金を費やして制作しているオリジナルコンテンツがユニークな動画カタログになっていることを例に出しながら、自分の好きな曲を聴いてプレイリストを作成するだけでは、ユーザーそのうちそれに満足できなくなるため、今後はアーティストとリスナーの関係をよりインタラクティヴにしていく必要があると語った。しかし、現実問題として、音楽レーベルはどのプラットフォームでも同じカタログを配信したいという考えがあるため、そこがプラットフォーム側との摩擦部分にもなっているようだ。


アーティストとファンの交流の場としての音楽ストリーミングサービス 


 Apple Musicは、これまでにDrakeの『View』、Frank Ocean『Blonde』など、大物アーティストの音源を独占配信。その試みは一定以上の成功を収めたが、そのことはApple Musicの利用者以外の強い不満を引き起こしていた。しかし、最近は、Apple Musicは、Carpool Karaokeシリーズや人気アーティストが番組を持つBeats 1 Radioといったすでに知名度がある人間が関わるコンテンツに対し、投資戦略上は距離を取り始めている傾向があるという。  


最近、Apple Musicの最大のライバルであるSpotifyは、これまで独占配信を行うことを避けていたものの、Nina Nesbitt、Charlotte Lawrence、Sahsa Sloanといった新進気鋭のポップスミュージシャンのコラボ音源をオリジナルコンテンツ「Spotify Singles」として配信。デジタルレーベルとしての一面も見せ出した。




このライバル企業の動向は、音楽ストリーミングサービスが、"未だ限定的な範囲の中にあるもの"だと主張する元大手レーベル「Interscope」の創業者であった彼の「音楽を手にいれるだけでは十分ではなく、リスナーを動かし、文化を持たせることが重要だ」という考えに近いのではないだろうか? なぜなら、それはアーティストとリスナーの関係性をよりインタラクティヴにしようとする試みのように思えるからだ。しかし、業界の現状は、彼が考える理想的な状態にはまだ達しておらず、音楽ストリーミングサービスは今後、もっと多くのアーティストとファンが交流する場になることを目指していく必要があるそうだ。


iTunesダウンロード販売終了は時期が来ればやってくる 


そして、噂されているiTunesダウンロード販売終了については、アップル自体は否定しているものの、「販売終了の動きは近い将来、避けられなくなる。その時期は人々が音源の購入をやめた時にやってくる」と語っている。


なお、アメリカのレコード産業における2017年の収益額は前年比16.5パーセント増の87億ドル(約9196億6173万円)だという。しかし、そのうちの3分の2はストリーミングによるもので、ダウンロード販売収益は、CDやアナログレコード販売収益よりも低いことが明らかになっている。  その結果を知り、ふと音源をダウンロード購入する必要について考えてみた。現状、一般的なリスナーに比べてそれが必要なのは、例えば、クラブやフェスで音源をプレイするDJたちだ。


DJ業界では、まだまだその人口から一般リスナーに比べて絶対数は少ないものの需要があるダウンロード購入。しかし、最近は「djay」のようなSpotifyから好みの音源を直接ロードできるDJソフト/アプリも登場していることから、近い将来、アナログ盤からCD、データの入ったUSBに移行した時のように音源のフォーマットが変わり、DJでさえ、音源のダウンロード購入をすることなく、音楽ストリーミングサービスから機材に直接ロードしてプレイするスタイルが主流になる日がやって来るかもしれない。そうなると一般リスナーよりも音源を購入しているDJたちでさえ、今よりもその機会は確実に少なくなりそうだ。(もちろんプロDJが現場で使用するには音質やネット接続問題などの解決が必要になってくるとは思うが)




また一般リスナーにしても最近は世界的なトレンド化もあり、形として所有することに意義を持ち出した若い世代の間でアナログレコードやカセットといった昔ながらのフォーマットが人気にもなっていることはすでによく知られている。しかし、このままそのアナログ回帰が定着、拡大し続ければ、今後、ダウンロード販売の需要はさらに減っていくかもしれない。そう考えるとダウンロード販売終了の時はもうすぐそこまで迫ってきているのかもしれない。


確かにiTunesのダウンロード販売終了は気になる問題だが、それよりも今はJimmy Iovineが思い描く音楽ストリーミングサービスの今後、その進化の形が気になって仕方ない。そう思えるインタビュー内容だった。果たしてApple Musicは今後、どのようにアーティストとファンを結ぶプラットフォームになっていくのだろうか? その未来に関する続報に期待したいところだ。


参考:

http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-43515185

https://japan.cnet.com/article/35087987/


Written by Jun Fukunaga

Photo: freestocks-photos




SHARE