iri「迷いを抜けて、作ることを楽しめた」ニューアルバム『Sparkle』インタビュー

4thアルバム『Sparkle』をリリースしたiri。制作秘話からオフの過ごし方まで、m-flo ☆Taku Takahashiとトーク。
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2020.04.03 13:30

深みのあるヴォーカルに虜になっている人も多いだろう。期待のシンガーソングライター、iriがTCY Radioに初登場。ニューアルバム『Sparkle』の制作から、オフの過ごし方まで☆Taku Takahashiとトーク。




アーカイブはこちらから視聴可能。

TCY Radio

https://block.fm/radios/1



☆Taku:今日のゲストはiriさんです。アルバム『Sparkle』素晴らしいですね!


iriri:ありがとうございます。


☆Taku:鬼リピです。シングルの「Sparkle」や「SUMMER END」も聴きまくってたんですが。印象的だったのが前作のアルバム『Shade』とかなりカラーが違うなと。自分的にもそう感じますか?


iri:ガラッと変わったと思います。正直に言うと、『Shade』を作ってるときまでは自分の中で方向性に迷いが若干あって。


☆Taku:その迷いって、別のインタビューで「新しいものを取り入れていくイメージが強いけど、必ずしもそうじゃない」っていう風に言ってたことと関係ありますか?


iri:はい。“iriは今までにないものを届けてくれるよね”、みたいな部分を、一時期考えすぎてたんですね。でもそれは頭で考えて作るものではないってことが、自分の中でやっと整理できて。自分の好きなことを好きなミュージシャンやトラックメイカーと一緒にやって、作ることを楽しんだ作品が結果的に良いものになった、というのが正解なんだなと今回改めて感じました。


☆Taku:まさに“Sparkle”という言葉がぴったり。iriさんってすごく謎めいてるんですよ。インタビューを読んでも、SNSを見てても、生活感がないというか。だけど、歌詞はすごく感情が詰まってて。どんな人なんだろう?って思っていたんですが、そう言われることはありますか?


iri:あはは(笑)。確かにプライベートが謎だってよく言われるんですけど、自分としてはそうかな?って感じです。SNSとかで「今何してるよ」とか投稿しないので、それもあるのかな。


☆Taku:逗子に住んでるんですよね?僕も地元が横浜なんですけど、あまり東京には住みたくないとか?


iri:海が近くにあることが自分の中では精神的に大きいですね。意識せずとも、海があるっていう空気感によって、リラックスできたりエネルギーになってます。


☆Taku:一方で、これは僕の勝手な解釈なんですけど、楽曲は東京に住んでいない人が見る都会、東京を歌っているような。客観的に東京を見てるのかなって感じるときがあります。


iri:そうですね、客観的には見てると思います。東京も仕事でないかぎり来ないので。


☆Taku:僕もm-flo始めたばっかりの頃は横浜から通ってて。東京は都会として魅力的な部分もある。でもそのキラキラしてるものに寂しさを感じたりもする。iriさんの曲を聴いてるとそんなことが浮かんでくるんですよね。ちなみに、オフはありますか?音楽を考えない時間とか。


iri:家にいると多少は考えちゃうので、考えないために料理したり、映画を観たりしますね。


☆Taku:Netflixをよく観ると聞きました。どういう作品を見るんですか?


iri:今見てるのは「LOST」。長くてなかなか終わらないんですけど。


☆Taku:サスペンスっぽいのが好き?


iri:好きです。あとは、昔から好きな映画を何度も観たりします。「最強のふたり」って知ってます?実話なんですけど、高校3年生くらいに初めて観て、それから何度も観てますね。


☆Taku:そうやって頭の整理をしてるんですね。オフと言えば、chelmicoのMamikoちゃんとイタリアに行ったのをインスタで見ました。なんでイタリアになったんですか?


iri:最初はキューバに行こうって言ってたんですけど、2週間のオフでキューバだけはちょっと長いかなと。それで、他に行きたいところ考えたときに2人ともイタリアだったので、初めて行ってきました。


☆Taku:なにが面白かった?


iri:ナポリですね。想像ではおばちゃんがパスタ作って“食べなさ〜い”って言ってくれるような家庭的なイメージだったんですけど、実際は超イケイケな街でした。自分の想像とギャップがありすぎて、逆にワクワクしました。今回は2日しか行けなかったので、次はもっと長く行きたいですね。




☆Taku:楽曲はどういう過程で出来上がることが多いですか?


iri:基本的には、最初に自分の中にイメージがあって。こういうビート、こういう音色でとか、歌はラップっぽくとか、ゴスペルのテイストを入れたいとか。そういうイメージをトラックメイカーさんやプレイヤーさんと相談して、土台を組み上げていってもらう。そのベースができた段階で私が歌をのせて、ブラッシュアップさせて出来上がってく感じです。


☆Taku:トラックの方向性によって曲のテーマはあとで決まっていくタイプ?


iri:曲のテーマは基本的に決めないですね。


☆Taku:感じたまま、そのまま書いていくんだ。


iri:そうです。トラックを聴いてイメージする景色をそのまま書いていく感じです。


☆Taku:例えば「SUMMER END」もそうですか?


iri:あの曲は、「恋愛ドラマな恋がしたい」っていう番組のEDテーマを作ってくださいっていうお題をいただいて書いたんです。TAARくんと作ったんですが、2人で「恋愛番組だから切ないシーンもたくさんあるだろうし、番組の最後にかかったらみんながグッとくるような曲にしよう」って相談して。☆TakuさんはTAARくんとお知り合いでしたっけ?


☆Taku:はい、メンヘラ友達です(笑)。


iri:あはは!私もTAARくんから恋愛系の話をよく聞いてるんです。彼、“超乙女”じゃないですか。お互いに恋愛の話をすることもあったので、曲を作るときに表現したい“エモさ”みたいな部分がすごくわかりあえたんですよ。それがすごく曲に反映されてるんです。最初はSoundCloudにあがってたトラックをTAARくんにシェアして「ちょっとLo-fiな感じのヒップホップのトラックがいい」って話して、そのイメージで作ってもらいました。コードからもうエモかったんで、すぐ歌をのせてできあがったんですよね。


☆Taku:あの曲は、泣けないわけがない。でも、今までのiriさんの曲とはまた少し違うなという印象でした。それはお題とか2人の“エモモード”の影響なんですかね。ただ、“エモい”って言えばiriさんの曲はどの曲もエモいですよね。


iri:そうですね。それは大事にしてます。



☆Taku:喜怒哀楽や緩急をつけるのがうまくて、すごく虜になるんです。アルバム1曲目の「Clearcolor」。あのアレンジは僕的に「あ、こうきたか!」って感じで。USっぽいけど、でも少し違う解釈で作ったのかなって。音色も前半はUSヒップホップのテイストを感じたり、後半は4つ打ちになって声遊びが入ったり。それが1曲目に来てるのはなにかの意思表示なのかな?って思ったんですけど。


iri:あぁ、そんなつもりはないです。テンション的に、あの曲を最初に持ってきたかったという感じで。あの曲はTokyo RecordingsのYaffleくんと一緒に作った曲なんです。今までも何曲か作ってるんですけど、今回は私から「ちょっと変わった構成の曲を作りたい」っていう話をしてて。かなり悩みながら、最終的にはスタジオでYaffleくんとパズルみたいに組み合わせて完成させた曲です。


☆Taku:自分の直感、感覚を信じて作ってくタイプなんですね。メロディと詞はどういう順番で作ることが多いですか?


iri:基本的には同時に書くことが多いです。あとはメロディと一緒に出てきた適当な言葉を少しずつ拾ったりとか。


☆Taku:どこで書いてるんですか?


iri:家か、ファミレスか、喫茶店。


☆Taku:へえ!ファミレスで生まれてる曲もあるんですね。店で口ずさんだり?店員さん気にならない?


iri:店員さんに「こいつはやばい」って思われてるかも(笑)。


☆Taku:あはは(笑)。僕もカフェで曲作ってめちゃくちゃノリノリになってるときあります。ゾーンに入っちゃってると周りも気にならないんだよね。


iri:そうなんですよ。追い込まれてるときとか、全然気にしてないです。


☆Taku:けっこうギリギリまで粘るタイプ?


iri:そうですね。


☆Taku:僕も一緒です。追い込まれると降ってくることありますよね。


iri:あります!奇跡が起こることありますよね。不思議です。




☆Taku:今までのアルバムも好きなんですけど、今回は飛び抜けた感じがするのと、自由度が高まってるように感じました。今回のアルバムを作ってる中で、自分にとってのチャレンジってなんでしたか?


iri:プロデューサーは今まで一緒に作ったことのある方がほとんどなんですけど、今回は自分がやりたいことをやれるだけやろうと思って作りました。例えば6曲目の「Freaking」は、今まで見せてこなかったキャラクター性みたいなものを出せたなと思います。今までは私に対して“ストイック、クール、人の背中を押す”、みたいなイメージを持つ方が多いと思うんですけど、そこから一回抜け出したかったんです。「Freaking」のようなロックな感じとかファンキーな感じを今までやってこなかったので、何が正解かわからないこともありましたが、最終的には自分の感覚を信じて。今まではその正解っていう部分をトラックメイカーさんがある程度判断してくれて、気になったところを自分が言うっていう感じだったんですけど、今回はそこまで自分で。



☆Taku:今まで以上に自分の意見を強く出したと。ディレクションしてくれる人と自分のOKポイントが違ったりすることはあります?


iri:そこは、自分が良かったと思うものはディレクターさんもそうだね、って言ってくれてましたね。あとは曲の構成が結構大変でした。今まではトラックメイカーさんが考えてくれてたものを、今回は自分で流れを考えて作ったので、そこは苦労しましたね。


☆Taku:なるほど。ライブに関しても聞きたいんですが、『Shade』ツアーでは日本だけじゃなく中国にも行ったとか。いろんな場所でライブすることが増えてると思うんですけど、印象に残った場所はどこでした?


iri:どこも印象深いですが、中国や台湾はお客さんが日本語をある程度知ってて、歌詞も覚えて歌ってくれてたのが嬉しかったですね。日本のお客さんと変わらないノリだなって。2018年にフランスのフェスに出たときは、また雰囲気が全然違いました。野外フェスで日本のアーティストが出るステージで歌ったんですけど、ワンマンを聴きに来てるわけじゃないからいろんなお客さんがいて。歌詞はわからないけどずっと踊ってる人もいれば、腕組みしながらじーっと聴いてくれてる人もいたり。


☆Taku:面白いですね。結構ステージから観客が見えるタイプなんだ。自分の中で「今日のライブよかったな」って感じるのはどういうときですか?


iri:お客さんと距離が近づけたなって思ったり、お客さんも同じように感じてくれてるなってときですね。表情や動きですごくわかるので。「今日は盛り上げきれなかったな」っていうときもお客さんの表情をすごく見ます。


☆Taku:そこは感じやすいタイプ?


iri:そうですね。でも、それは次に活かそうと思って。


☆Taku:自分では盛り上げきれなかったと感じてても、お客さんから「めちゃくちゃ良かった」ってコメントもらうこともありますしね。




☆Taku:iriさんに似ているアーティストっていないと思うんですよ。インタビューする前に何を聞こうかって悩むくらい。これはiriさんの強さなんですけど、声と歌詞、そこがもう一番最初に浮かんでくるというか。初めて「Come Together」を聴いたとき、男性が歌ってると思ったんですよ。でも女性で。その歌い方はいつごろから今のスタイルになったんですか?すごく引き込まれるんですよね。


iri:歌い始めたころから今の感じですね。七尾旅人さんを見て弾き語りを初めて、自分で曲を作り始めたときからこういう声で歌ってます。


☆Taku:七尾旅人さんに影響を受けて、でも旅人さんとはまた違う方向性じゃないですか。ダンスミュージック寄りというか。その方向性はどこから?


iri:最初は弾き語りで、座ってギター弾きながら歌うようなイメージで活動するつもりだったんです。だから昔はチルい感じの曲ばかりで、尖った音楽やビート強めのサウンドはあまり聴いてなかったんですよね。ただ、座って弾き語りだけだとあまり幅が広がらないなと思って、色々やってみようと。DJセットで、ハンドマイクで歌うとか。そうすると今まで聴いてこなかった音楽も聴くようになって、インプットが増えた分やりたいことも増えて。それで、いろいろやってみたけど結構迷っちゃって(笑)。そこから最終的に落ち着いたのが今の『Sparkle』に結構反映されてるかなと思います。


☆Taku:なるほど。いろんな音楽を聴くようになった中、今はPrincess Nokiaが好きだとか。どういうところが好きなんですか?


iri:曲がまず好きですし、映像で観るライブもかっこいい。MVでの表現力もすごく好きです。スキルは高いけど狙ってないというか。自分のやりたいように自由に表現してる感じがあって。それでいてチャーミングさもあるし、彼女のいいところが音楽に反映されてて、それがすごく素敵だなと思ってます。


☆Taku:それをそのままiriさんにお返ししたいです。僕はそれをiriさんに感じてるので。今回のアルバムは特に。今までも自由にやってる感じはしたんですけど、いい感じで力が抜けていて素晴らしいなと思います。





【リリース情報】




iri『Sparkle』

初回限定盤 CD+DVD VIZL-1751  ¥3,800+tax

通常盤    CD VICL-65352 ¥3,000+tax


【収録曲】

1. Clear color 「Zoff Rock 2020」キャンペーンソング  

2. Runaway

3. Sparkle ソニー ワイヤレスヘッドホン CMソング

4. Coaster

5. miracle

6. Freaking

7. 24-25 セイコー ルキア 25th Anniversary広告「あなたの好きを、もっと。1995-2020」篇CMソング 

8. SUMMER END  Abema TV「恋愛ドラマな恋がしたい ~Kiss to survive~」主題歌 

9. COME BACK TO MY CITY

10. Best life


【プロフィール】




iri

神奈川県逗子市在住。自宅にあった母のアコースティックギターを独学で学び、アルバイト先の老舗 JAZZ BAR で弾き語りのライブ活動を始め、2014 年、雑誌「NYLON JAPAN」と「Sony Music」が開催したオーディション「JAM」でグランプリを獲得。HIP HOP 的なリリックとソウルフルでリヴァービーな歌声で、ジャンルレスな音楽を展開。2016 年 10 月アルバム「Groove it」でビクター・カラフルレコーズよりデビューし、iTunes Store にてトップ 10 入り、ヒップホップ / ラップチャートでは 1 位を獲得。 2017 年 3 月には、Nike Women「わたしに驚け」キャンペーンソングとなったシングル「Watashi」をリリース。続く 11 月、 EP「life ep」をリリースし、再び iTunes Store のヒップホップ / ラップチャートで 1 位を獲得。ドノヴァン・フランケンレイターやコリーヌ・ベイリーレイのオープニングアクトを務め、Chloe や VALENTINO のパーティーにてパフォーマンスを披露するなど、多方面から注目されている新進女性アーティストである。


Photo by Ki Yuu

written by Moemi




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