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    「歌うようなボーカルチョップを追求している。」in the blue shirtに聞く、制作へのこだわりとその手法

    2019/05/22 (Wed) 10:00
    admin

    2ndアルバムをリリースしたばかりのin the blue shirtこと有村崚に、あのエモーショナルなボーカル・チョップと制作の志をインタビュー。

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    大阪在住のプロデューサー有村崚によるプロジェクトin the blue shirt。2016年のファーストアルバムから、『電影少女』サウンドトラックへの参加やCM音楽への楽曲提供など近年の華々しい活動を経て、今年4月には満を持してセカンドアルバム『Recollect the Feeling』をリリースした。

    クラブ・ミュージックのトレンドのワン・オブ・ゼムから、既にひとつの固定されたテクニックとして確立した感のあるボーカル・チョップ。その中でもとりわけ、一度標本化=サンプリングされたボーカル・トラックををみずみずしく「歌う」ようにエモーショナルに組み立てるin the blue shirtのスタイルは非常にオリジナルなものだ。そのサウンドの由来、手際、そして情熱をKOTETSU(STUDIO MAV/ピクニックディスコ)が訊く。

    「カレー作りは暇つぶしを兼ねている。」

    ──tofubeatsさんのTHREE THE HARDWAREで、一週間分のカレーを作りためてそれを毎日食べてるっていう非常にミニマルなライフサイクルを披露されていましたが、連休中も同じように過ごしていたんですか?



    有村 凌(以下、有):いや、連休はイベント出演が続いてあんまり家にいなかったので、外食のみです。カレー作りは暇つぶしを兼ねてるんですが……延々と玉ねぎ炒めてます(笑)。玉ねぎを炒めるのは、習字の前に墨をするみたいな良さがあると思います。

    ──そうなんですね(笑)。現在の音楽の制作環境について教えていただけますか?

     

    有:PCはApple MacBook(2016)で、DAWはPreSonus Studio One 4です。MIDI鍵盤でRoland A-800PRO、あとハード機材でKORG ARP ODYSSEY Module(Rev 1)。

    ──ARP ODYSSEYはYMOも使ってたアナログシンセですね。YMOのはRev 3(オレンジ×黒)で、Rev 1は白いボディですが。あと、70年代のハービー・ハンコックとか。

    有:この色が好きで買ったみたいなところがありますね。あと、普通はピッチベンドってバーとかホイールでやるんですけど、これはボタン押し込みなんですよ。力入れて押し込むとピッチ上がるのはほぼチョーキング、(力むほど音が変わるので)顔で弾けます(笑)。

    ──それだけ肉体的なインターフェイスの楽器である、と。DTMや作曲について、チェックしているフォーラムや動画はありますか?

    有:DTM動画は時間がある時に見てますが、特定のチャンネルというと……強いていうならAgainst The Clockですね。

    ──制限時間10分以内でトラックを作る過程を追う人気企画ですね。YaejiとかZaytoven、MJ Coleなど、ジャンル問わず若手もベテランも色んなプロデューサーが出演していますが、誰の回が好きですか?

    有:Danny L Harleの回ですね。参考になるというより、異質過ぎた(笑)。音色選びとか、あと謎の水やり。

    「Seihoさんのスタジオでいろんな話を聞けたことが一番ためになった。」

    ──オフラインの場で情報交換する場所や、鍛えられた現場などはありますか?

    有:京都のVOXN CAFEっていう音が出せるカフェで、Seihoさんがプロジェクトファイルとかを見せて解説したり打ち込みのTipsについて語る、DTM教室って感じのイベントとかもありましたが、それとは別に、Seihoさんのスタジオに通ってた時期が大きいですね。

    ──それはいつ頃ですか?

    有:2016年ぐらいですね。大阪に「地下一階」っていうライブハウスがあって、そこの上の階をSeihoさんが制作スタジオとして借りてた時期があったんですよ。そこに、ピザとるからみんな来て!ってSeihoさんが言い出すタイミングがあって。Metomeさんとかオカダダさんとかも集まってSeihoさんと話してて、僕はそれを横でふんふん聞いてただけなんですけど、それが一番ためになりましたね。

    ──そのメンツだとなかなか濃い会話がありそうですね。

    有:あんまり話の中身は覚えてないんですけど(笑)。何かしらのトピックに対して自分の考えを持つのが重要、というか。Seihoさんがよく「話すとわかる」っていうことを言っていたのが印象的で、自分の中で考えが仕上がってない内に人に喋りまくって、喋りまくっている内に自分の中で考えがハッキリまとまっていくっていう。

    ──そこでは具体的な打ち込みTipsみたいな話もあるんですか?

    有:具体的な技術の話はあんまり無かったと思います。ただ、機材幻想というか、プロはプロしか知らないTipsを持っている的な幻想が自分の中でなくなったのがデカいですね。当時自分のモニター環境がYAMAHA MSP3とAKGのK240とかで、アマチュア環境だし曲もそのレベルなんや……みたいな気持ちが心のどっかにあったんですけど、でもそんなものはなく、まだまだ自分の実力がないだけってはっきり自覚できたのは良かったです。とにかく自分の耳で判断して結論出す、と。

    ──実際そうやって自分の耳でジャッジしていって、これは使えるな、と思うプラグインや機材というと何がありますか?

    有:GoodhertzのVulf CompressorとTrem Control、それからFabFilter Pro-Rですね。

    Pro-R

    source:https://www.fabfilter.com/products/pro-r-reverb-plug-in

    ──Pro-Rはスペクトラム・アナライザーが前面に出たUIで、解像度の高い調整の出来るリヴァーブのプラグインですね。

    有:メインに使うリヴァーブをずっと探してて、Pro-Rが一番しっくり来ました。もともとはWavesのTrue Verbっていうの使ってて、リヴァーブ音とリフレクションを別のフェーダーを使って音量を調整できる仕組みになってて、リフレクションだけ使うっていうのをよくやってたんですよ。Pro-Rはその機能がない上にパラメータも独特なんですけど、リフレクション用にPro-Rを使ったらめちゃくちゃしっくりきたんですよね。今回のアルバムを作る時、全曲リバーブを3チャンネル立てて、それぞれリフレクション用、ルーム用、テイル長いホールorプレート用の3つへセンドで音を作るんです。これは完全に手癖になってますね。

    「1分以上あるボーカルサンプルはほぼ全部聴いた。」

    ──今回のアルバムも然り、一貫してin the blue shirtのスタイルとしてボーカルチョップが挙げられると思うんですけれど、元ネタとなるボーカルは何を使っているんでしょうか。

    有:Spliceですね。

    ──定額制のサービスで、ライセンス・フリーのサンプルがダウンロードできるサイトですね。ドラムとかコードとかいろいろ落とせますが、ボーカル音源も使えるサンプルが多いんですか?

    有:僕はとにかく長いボーカルサンプルが欲しくて。アカペラ・データのような一曲まるまる歌ってるサンプルがあれば、充分なフロウと音程がそこに含まれてるんで、組み換えでかなり自由にやれるんですよね。なので同じ声色で3分歌ってるサンプルが理想なんですけど。

    ──声ネタというか「ウゥ~イェイ~!」「アッオー」みたいなワンショットの音源は豊富でしょうけど、1曲分ボリュームのアカペラとなると、Spliceにはあまり無さそうですね。

    source:https://splice.com/

    有:Amazonとかで「これぞ理想!」っていうアカペラ音源もあるんですけど、有名な曲のカバー集だったりして流石に使えないんですよ。そもそもサンプリング用じゃないし。Beatportでも探したんですけど、どれを買っても短いんです。一時期はEDMのサンプルパックとかで作例として1曲サンプルがあって、それのステムが収録されているパターンの音源集を探せばフル尺のボーカルが手に入ることに気づいてそれをひたすら集めていたんですけど、数が確保できなくて。

    ──それは相当、涙ぐましい作業ですね(笑)。

    有:結局Spliceにあるボーカル音源を長さ順でソートして、1分以上ある音源を全部ダウンロードして、暇なときに全チェックして使えるものをリストアップしてます。Splice上の1分以上あるボーカルで、聴いたことない音源はほぼないです(笑)。今回のアルバムは絶対に権利関係をクリアにしたかったんで、Spliceですね。

    ──言ってみれば、誰でもSpliceに登録さえしていれば、in the blue shirtと同じ音源でボーカルチョップものを作れる、ということですね。ちょっとしたCMとかジングル、それこそTBSラジオ『ハライチのターン!』のジングルとかもフューチャーベース風で澤部さんの声が刻まれてたりするんですけど(笑)。ボーカルチョップって今すごく人気のあるスタイルだと思うんですが、他の人のボーカルチョップものと比べて、自分のこだわりみたいなものはありますか?

    有:僕はとにかく(ボーカルチョップを)歌ってる風にしたいので、歌声のリリースをぶつ切りするエディットとかは意図がない限りしないんですよね。

    ──それは非常に独特ですよね。そういうスタイルのプロデューサーや曲って他にあるんでしょうか。影響を受けたアーティストなど……。

    有:1枚目のアルバム(Sensation Of Blueness)を出した時に、すぐ誰かがもっと(歌ってるようなボーカルチョップの手法を)上手くやると思ってたんですけど、意外とそうでもないまま今に至ってます(笑)。最初に意識したのはDÉ DÉ MOUSEさんと、Cashmere Cat、それからSeihoさんの「I Feel Rave」など……。

    有:あと昔、Yoshino Yoshikawaさんが、ボーカルエディット手法まとめみたいなタイトルでブログエントリを書いてて。当時、英語圏ではスタッターエディットって言われていたのとか、それを見ながら最初はやってたんですよね。もう消えちゃってるけど。あとニコ動のこれとか。他にも「残酷な天使のテーゼ」を切る動画とかもあったような気がするんですけど、それはタイトルが思い出せません。

    「音楽のヤバいところは、プレイヤーの人数だけ個性があるところ。」

    ──そう言えば先日、PARKGOLFさん主催の『森で合宿』っていうイベントに参加されてましたよね。

    有:あれはパーゴルが過去に何回かやってて、ただ人集めて勝手に曲作るだけの企画なんですけど。札幌芸術の森っていう施設のアトリエ・ロッジで、製作スペース向けの小屋って感じのスペースですね。今回も札幌のイベント出演のためにパーゴルが(北海道に)帰ってたので、そのタイミングで企画して。自分も札幌にいたのでついでに参加したという感じです。

    ──高校生の参加者がPARKGOLFさんの作業を横で見てる動画をあげてましたよね。ああいった企画は作曲に興味のある人にとって非常にいい機会だなあと思うのですが。

    有:打ち込みの向き不向きってある程度やってみないとわからないので、その“ある程度”の部分のハードルを下げられればな、と思います。

    ──有村さん自身も5月末に関西で、NC4Kのストーンズ太郎さんらと一緒にDTMのイベントを京都でやられる予定ですよね。今のタイミングでこういう企画をやろうと思ったきっかけはあるんでしょうか。


    有:ずっと(こういう企画を)やりたいって言ってて、言うだけでなんにもしてなかったのをストーンズ太郎が見かねてcafe la siesta(会場)を押さえてくれたんです。初回なのでどうなるか不明ですが……(笑)。

    ──基本来るもの拒まずで、「興味あるんですけど~」っていう人にはオープンマインドでいく感じですか。

    有:そうですね。音楽のヤバいところは、プレイヤーの人数だけ個性があるところなので。人数は多ければ多い程いいと思ってます。自分は秘伝のタレというか秘密にしたいレシピとかはないので、知ってることは基本全部公開して、それが誰かの役に立てばいいなと思ってます。ほっといてもヤバい曲を作る若い子は出てくると思うんですけど、それ以外にもきっかけ一つで何かを掴む人はいると思うので。あとは自分のためですね。人の技術をパクりたいし、友達も増えたらいいなと思います。

    in the blue shirt 2ndアルバム「Recollect the Feeling」

    Photo source: http://intheblueshirt.com/biography/

    Writer: KOTETSU (STUDIO MAV/ピクニック・ディスコ)

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