DJ交代時、前のDJの雰囲気に寄せる?それともぶった切る?Q’HEYとREMO-CONが語る「フロアの空気の作り方」

この記事をシェア
TJOがナビゲートする、DJが主役の番組「IN DJs WE TRUST」。第2回目は、東京で最長寿のテクノパーティー「REBOOT」を主宰するなど、長年シーンのトップで活躍し続けるQ'HEYと、プロデューサーとしての活躍はもちろん、DJとしても世界各国のフェスに出演するREMO-CONが登場した。
トークトピックは「DJ中、何を考えている?」様々な現場を経験してきたベテランDJである2人は、DJ中にどんなことを考えているのか?その頭の中を覗いてみよう。
TJO:ズバリ、DJ中は何を考えていますか?
REMO-CON:これ僕、Q’HEYさんに聞きたかったです。
TJO:例えば、自分のDJがスタートするときには前のDJがプレイしてるじゃないですか。その選曲に合わせたプレイをするのか、それともBPMは繋げたとしても何かしら仕切り直すのか。
Q’HEY:そうですね。まず、流れはできるだけ汲みたい。前にblock.fmのパーティーがWOMBであったときに、僕、REMO-CONの後にやったんです。その時はめちゃくちゃBPMが速くて。REMO-CONは、俺がそのあと繋ぐと思ってなかったと。
REMO-CON:そうなんです。
Q’HEY:俺は繋いだんですよ。めちゃくちゃ速かったけど。140オーバーぐらい?
REMO-CON:150ぐらいあったと思います。
Q’HEY:REMO-CONは「なんだったらDrum'n Bassで終わろうかと思ってた」って。どうせ繋がないだろうし。でも俺はできるだけ繋ぎたい。ただ、流れは汲みつつも、BPMにしても雰囲気にしても、だんだん自分のセットに持っていく。それはある程度こだわっていきたいですよね。でも、現場にもよると思うんですよ。自分がヘッドライナー級だった時は、仕切り直しで入った方が喜んでもらえるケースもあると思うし。そこは現場によって変えていくかな。
何を考えてるかというと、自分がそのフロアで、自分がそこで踊ってたら、どんなふうな楽しみ方をしてるかな、この音を今どう楽しんでるかな、とかですね。自分のセットだから自分のかける曲はわかってるんだけど。家で聴いてるのと違って、現場は内装やフロアの空気、フロアにいるオーディエンスによって楽しみ方が全然違ってくるじゃないですか。
お客さんを楽しませる、お客さんの反応を第一に考えるっていうのがやっぱりDJだと思います。その中で自分らしさをしっかり持つことが大事かな。僕自身がフロアの中で、今これを聴いてたら、 次何が欲しいか、次何が来たら気持ちいいか、次何が来たら驚くかっていうのを考えてるかな。
TJO:面白いですね。 例えば持ち時間が90分のとき、前のDJから流れを受けて、大体何分ぐらいで自分のセットに持っていきますか?状況にもよると思うんですけど、 そういう指標ってあります?
Q’HEY:現場によるからね。スタートポイントがどれくらい自分のセットと距離があるかにもよると思う。距離があればあるほど戻す時間はかかるじゃないですか。
REMO-CON:僕の後みたいなね(笑)。
Q’HEY:そう(笑)。あのときはドッカンドッカン盛り上げた後で、ここから地味に持っていってもしょうがないから、自分の中では本当にあげていけるセットをやりました。自分らしさが芯にありつつもね。持ち時間も短かったし、修正とかじゃなくて、そのまんまの勢いで上げてく現場だった。
TJO:ブースに立ってる自分じゃなくて、フロアに自分が立ってたら次に何が欲しいかって考えるのは面白いですね。REMO-CONさんは?
REMO-CON:そうですね。やっぱりフロアを知らないDJはあんまりいいDJじゃないみたいなことを言いますけど、まあそういうことっすよね。あと、めちゃめちゃ遊んでるやつの方がいいDJになるとか。家でずっと練習してる人よりも。そこは大事な視点だと思う。
Q’HEY:REMO−CONはDJ中に何考えてるの?
REMO-CON:大前提として、イベント内容やセットにもよりますけど。多分、性格出てると思うんですよ。僕はどっちかというとぶった切る派で。その日アーティストモードでDJするか、DJモードかで結構変わるんですけど。それこそヘッドライナーで呼ばれてる時はどっちかというとアーティストモードでいくので。なんで前のDJの感じで俺がやんなきゃいけないんだっていうのがまずある。
TJO:(笑)
REMO-CON:知らねえよ、俺の前のやつが何しようが、こっからは俺の時間だ、みたいな。いい意味でね。別に前のDJをディスってるわけじゃなくて(笑)。
Q’HEY:ヘッドライナーで呼ばれてるときは、その人の世界をみんな楽しみに来てるからね。だからそれはそれで正解だと思う。
REMO-CON:しかも最近だと、100%自分の曲しかかけないセットも多いので、さらにそういう感じになっちゃうし。さっきのQ'HEYさんには申し訳ないんだけど、後の人のこともあんまり考えない…(笑)。
Q’HEY:(笑)
REMO-CON:だからどっちかというとコンサートとかそういう感じになっちゃうのかな。そういう時はフロアにいる人のことも考えるけど、選曲もそんなに考えることもなくバンバン行くかな。
TJO:REMO-CONさん名義だとアーティストモードだと思うんですけど、最近はTETSUYA TAMURA名義もあるじゃないですか。 ハウスとかやるときは自分の曲だけっていうわけにもいかないと思うんですけど。
REMO-CON:そういう時は普通にパーティーとして考えるんで。何時頃プレイするかもあるし、流れも重視する。何を考えるかというと、基本的に選曲のことを考えてるのが1番ですかね。次何かけようかな、どういう展開にしようかな、とか。
あとは、トランスやってたからだと思うんですけど、曲のキーを結構気にするんですよ。 例えば今、Aマイナーの曲がかかってるとして、このままAマイナーと、Cメジャーもいけるな、みたいなことを結構考えたりします。そこで迷うのが、ここ次Aマイナーだから同じくAマイナーの曲をかけた方が綺麗に行くんだけど、DJ的には全然キーが合わない不協和音のあの曲をかけたほうが、この場は絶対盛り上がる。そういう2つのルートができた場合は、DJの方をとる場合も結構ある。
TJO:面白い。
Q’HEY:すごいね、そういう発想は、テクノのDJにはない。しかもさ、元々ディスコでリクエストすらバリバリ受けてるようなDJのところから、自分の曲しかかけないアーティスト的なスタンスのところまで、振り幅がすごいよね。なかなかそこまで振り幅持ってる人っていないんじゃない。
TJO:確かに。
REMO-CON:それがいいところでもあるし、悩みどころでもあったりするんすけど。ディスコの癖が抜けない時がたまにあるから。
TJO:フロアの顔色伺っちゃうみたいな?
REMO-CON:そう。多分これ欲しがってんだろうな、みたいなやつの方に行っちゃうとかね。
TJO:そうですよね。 逆にQ’HEYさんの方も、メロディー感よりかは、音の厚みとか音の強弱をしっかり判断しながら、増やしたり少なくして全体の流れを作るじゃないですか、テクノって。それって逆に他のジャンルじゃ味わえない醍醐味ですよね。パーカッションが入って、次なくなってとか、そういった細かいことで急にガッと盛り上がる時があるじゃないですか。僕はあれ、ほんとにもう魔法みたいな瞬間だと思ってて。
Q’HEY:なんだろうね、ハイハット当てるだけでわーってなるときあるもんね。
REMO-CON:そう!あれぞ究極のフロアなんじゃないかって俺は思いますね。
トークのフルバージョンを聴きたい方はこちらから。
【番組情報】
IN DJs WE TRUST
40年前に誕生した「DJ」という表現。機材やプレイスタイルが進化する中で、DJたちはどんなことを考え、何を感じているのでしょうか?
この番組では、時代を築いてきたDJたちの思考とプレイの裏側に迫ります。
MC:TJO
配信日時:金曜日21:00~
番組ページ:https://block.fm/radio/idjwt