【レビュー】OKAMOTO’Sのロック×トラップミュージック、DJ KANJIの新作など注目のリリース

6月17日(月)INSIDE OUT出演 DJ KANJIの新作、オカモトズ×TOKYO RECORDINGS×ヒップホップ新機軸リミックス、NORIKIYO×スタジオ石のニューMVをフィーチャー。
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2019.06.17 10:00

OKAMOTO'S 「ART( OBKR / Yaffle Remix )」 、『INSIDE OUT』最新回に登場するDJ KANJIのEP 『THE LIFE』、NORIKIYOが公開した「My Shot」のMVをチェックする。




OKAMOTO'S /ART(OBKR/Yaffle Remix) feat. Gottz,Tohji,Shurkn Pap:ロックとヒップホップの世界を繋ぐ天才とフィクサー



国内のヒップホップムーヴメントは、アジアをはじめとした海外に進出、交流している新しい世代を中心として、過去最高潮に盛り上がっている(ように肌で感じる)。そんな中で特に主流となっているトラップミュージックだが、個人的にトラックにギターサウンドが取り込まれていたりする楽曲が1周して新鮮だなあと、久しぶりに2000年代初頭のポップパンクや、その影響を受けた昨今のエモ・トラップなんかを聴き直していたところ、別方向の意識の外から僕の鼓膜に直撃したのがこれ。


OKAMOTO’Sの8枚目のアルバム『BOY』に収録された「ART(FCO2811)」を、iri(イリ)、SIRUP(シラップ)、宇多田ヒカルといったアーティストの楽曲プロデュースを手がけてきたOBKR(小袋成彬)とYaffle(小島裕規)による、TOKYO RECORDINGSコンビがリミックス。オカモトレイジとかねてから親交のあるKANDY TOWNのGottz(ゴッツ)、Tohji(トージ)、Shurkn Pap(シュリケン・パップ)の3人が参加している。


原曲「ART(FCO2811)」で印象的だった地獄のように歪んだギターのメロディが鳴り響き、それぞれのヴァース(ラップパート)では音数の少ないトラップビートが挿入され、アクの強い3人がラップを乗せている。そのラップスキルもさることながら、それぞれのヴァースで微妙にトラックが変化して展開していくのが聴いていて楽しい。それぞれの個性が際立つトラックメイキングとプロデュース、オカモトレイジとTOKYO RECORDINGS恐るべしである。


Lil’Peep(リルピープ)、lil aaron(リルアーロン)のようなUSのポップパンク、ハードコアパンクサウンドの影響を受けたいわゆるエモ・トラップとは一線を画し、異なった並行世界のもの。というのが僕の印象である。


僕が韓国と日本で活動するラッパーSKOLORを好きな理由に、彼が「Youth」やShurkn Papをフィーチャーした「Star Trail」で聴かせてくれたオートチューンラップとド直球パンクサウンドの親和性があるのだが、それとはまた違ったベクトルの魅力がある。


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いずれにせよ前述のSKOLOR、KOHH(コー)とONE OK ROCKのTAKA(タカ)による「I Want a Billion」、stei(ステイ)のTYO SiN(トキオ・シン)とTohjiを迎えた「lastnight」、そしてこの「ART(OBKR/Yaffle Remix) feat. Gottz,Tohji,Shurkn Pap」のようなギターサウンドとトラップが融合する楽曲が、ジャンルという概念をどんどん希薄にしていっていてとても新鮮だ。


Lil Nas XがUSのトラディショナルなカントリーカルチャーを取り込んで大ヒットしたように、日本のフォークソング、はたまた日本のトラディショナル歌謡スタイルである、演歌とトラップとかも聴いてみたい(クールなものならば)。PUNPEE(パンピー)によって昭和歌謡をサンプリングし、ヒップホップに落とし込んだ「お嫁においで 2015」とか、加山雄三はフォークソングではないものの、今思えばその感覚に近い気がする。そして日本のヒップホップが吉幾三に回帰していく。というのは飛躍しすぎか。


【Apple Music】https://music.apple.com/jp/album/art-obkr-yaffle-remix-feat-gottz-tohji-shurkn-pap-single/1465868817


【AWA】https://mf.awa.fm/2RlfE9n


【Spotify】https://open.spotify.com/album/2YVoQOAXDrtcTZrPdvKW9B?si=k5RcUz1JQQ65Uq2Gj9rk6A






DJ KANJI/THE LIFE EP:ありのままのライフスタイルをパッケージングした珠玉の7曲


 



ラッパー/シンガーのYo-Sea(ヨーシー)のライヴDJを専属で務め、MARZYらProperpedigree(以下:PRPR)との交流や、WREPの「Friday Night Mix」やAmebaによる「Abema Mix」などのメディアに注目されるDJ KANJIがEPをリリース。


DJCHARI&TATSUKI(DJ チャリ&タツキ)がYo-SeaとRy-laxをフィーチャーし、プロデュースした「22VISION」を、XLARGE®とコラボしYoung Cocoを迎えたリミックスを手がけ、YANOが参加した「白い恋人」をEPに先行して配信。ヒットトラックを収録し、加えてJin Dogg(ジンドッグ)、J $tash(ジェイ・スタッシュ)、Elle Teresa(エルテレサ)、Merry Delo(メリーデロ)、など国内外の注目アーティスト、トラップスターが一堂にパッケージングされたEPとなっている。


アーティストのキュレーションとタイトルについて、本人にDMで聞いてみた。


DJ KANJI:普段からプライベートなどでも関わってる友達に参加してもらってるんですが、皆それぞれ個性があり、各アーティストと話をしていくうちにライフスタイルの共通点や、互いに共感する点があるアーティストに参加してもらいました。自分の生活の中で交流のある仲間とともに作った作品であること、自分のライフスタイルそのものを落とし込んでいることから『THE LIFE』にしました。


YANOとの「白い恋人」は、原曲に加えて新たにJin Doggが所属する大阪にHibrid Entertainmentのエンジニアを務める3CH(サンチャン)とのリミックスを収録。アフロビート調にアレンジされ、フロアで踊れる仕様にリミックスされている。


この楽曲は切ないラブソングなのだが、視点を変えてみるとまた違った曲に聴こえる作品になっている。こういったユーモア溢れるギミックにも、彼らのライフスタイルが反映されている。日常生活から得たインスピレーションをポジティヴなバイヴスに変換し、楽曲として具現化する。DJ KANJIのクリエイティビティ溢れる『THE LIFE』EPはぜひ通して聴いてほしいと思う。


DJ KANJIは今夜のblock.fmプログラム『INSIDE OUT』にゲスト出演。渡辺志保/DJ YANATAKEを通じて、作品のより詳細なディテールとエピソードが聴けるはずなのでチェックだ。




▶block.fmプログラム

『INSIDE OUT』

EVERY MONDAY 22:00〜23:00

https://block.fm/radios/8


6月17日 23:00 追記


サーバーダウンのため、急遽、配信プラットフォーム ペリスコープでの配信、視聴となった今夜の『INSIDE OUT』だが、DJ KANJIのバックボーン、『THE LIFE』のアートワーク、MV制作に関連するDJ KANJIの地元・浜松のクリエイター、アーティストについてや、客演アーティストとのエピソードなど密度の濃い内容が展開された。聴き逃してしまったという人は上記URLにアップされる配信アーカイヴを参照してほしい。


本日18時に、『THE LIFE』収録のMerry Deloを客演に迎えた「BOUNCE」のMVが公開となっている。Merry Deloのフリーダムなフロウ、ユーモア溢れる言葉遊びがバウンシーなトラックの上で炸裂。フロア映えするであろうタイトル通りのアッパーな楽曲が、ビビッドな原色の世界観で映像化されているMVは必見だ。







▶『THE LIFE 』EP/DJ KANJI


配信開始日:2019年6月13日

収録曲:

1. 22VISION (Remix) [feat. Yo-Sea & Young Coco]

2. JUST FOR FUN (feat. J $tash & Elle Teresa)

3. BOUNCE (feat. Merry Delo)

4. SAMURAI (feat. Jin Dogg)

5. TOKYO (feat. Young Coco)

6. 白い恋人 (feat. YANO)

7. 白い恋人 (3CH Remix) [feat. YANO]


【Apple Music】https://music.apple.com/us/album/the-life/1465548815

【AWA】https://mf.awa.fm/31EkG5y

【Spotify】https://open.spotify.com/album/1XQb60bMeQALPX9onqghrl?si=ILioVjHtQ42JmOVnavfHng






NORIKIYO/My Shot:スタジオ石監修、NORIKIYO主演の上質なヒップホップノワールを堪能する




近作『平成エクスプレス』からではなく、昨年リリースされた前作『馬鹿と鋏と』から「My Shot」のMVが公開された。前作、とはいえ、『馬鹿と鋏と』から『平成エクスプレス』までは半年と間をおかないフルアルバムのリリースだったので(合間には9曲入りのEP 『O.S.D. 〜Old School Discipline〜をリリースしており、『平成エクスプレスまで』およそ3ヶ月ごとにまとまった作品をドロップしている)、この2作は長編小説の上下巻のような地続きの作品とも言える。


NORIKIYOはこの2作を合わせた「馬鹿と鋏と平成エクスプレスツアー」を現在敢行中。8月23日(金)川崎CITTAのツアーファイナルへ向け、6月第1週には「Attitude」のMVを公開したばかりだ。ハードワークなライヴスケジュールもさることながら、そのストイックな制作ペースとクオリティの高い作品群は、僕たちのようなイチリスナーにすら畏敬の念を抱かせるのに充分すぎる説得力を持つ。




今回公開された「My Shot」の舞台は山梨。監督はスタジオ石/stillichimiyaのMr.麿が手がけた。MVではとある喫茶店で働く男の日常が、甲府盆地の風景とともに映し出される。喫茶店の店主役を演じるのはNORIKIYO本人である。NORIKIYO本人が持つ黒く鈍い光を放つ圧倒的な存在感は、何気ない日常の光景に溶け込みながらノワールムービーのような様相を呈す。平穏な日常に影を落とすような、どこか不安をかきたてられるこの雰囲気はNORIKIYO本人だからこそ演出できるものだろう。


この楽曲は人の業、カルマを歌う。簡単に解釈すると過去の出来事、人に対して、口にした言葉や行動自分のしたことは回り回って自分に返ってくるということだ。それは本人が忘れたころに思わぬかたちで自分の前に現れる。人生とはなんと皮肉で、奇妙なものなのか。Mr.麿が切り取る美しい日常のライフストーリーとともに、冒頭で不意に差し込まれるカットがラストシーンへとつながっていき、タイトルと直結していく。MVというよりはある男が辿る顛末を、NORIKIYOの綴るリリックとともに俯瞰して見つめる、短編映画のような作品である。


かねてより今回のMVを監督したスタジオ石のMr.麿、ひいてはstillichimiyaと交流があったNORIKIYOであるが、映画『バンコクナイツ』でロカルノ映画祭を始め数々の海外映画賞を受賞、仏教と3.11震災以降の人々の信仰を題材とした新作「典座-TENZO-」がカンヌ国際映画祭で特別上映された映画監督、冨田克也と交流し、ともに東南アジア・フィリピンマニラのラップクルー、トンドトライブとコネクションを構築しているなど、グローバルな動きを見せているのも注目だ。


また、7月10日(水)にはAKLO(アクロ)と共同名義のアルバム『New Drug』をリリース予定。こちらは、全編プロデュースをBachLogic(バックロジック)が担当しており、鋼田テフロン名義(BachLogicのシンガー名義)の参加曲も。スキルとクオリティを兼ね備えた面々が集結する下半期の期待の1枚である。






▶NORIKIYO ワンマンライヴ「馬鹿と鋏と平成エクスプレス Tour Final」

8月23日(金)神奈川県 川崎 Club Citta 

開演:19:30~ (開場 18:30~)

オールスタンディング:4,500円

チケット販売ページ :e+ https://eplus.jp/sf/detail/2246570001-P0030002P021001?P1=0175


【Apple Music】https://music.apple.com/jp/album/my-shot/1435891402?i=1435891628

【AWA】https://mf.awa.fm/2KlzpwV

【Spotify】https://open.spotify.com/track/0KSvsJTJqW96lgrTOTpRIZ?si=V0AVR8V9TRWUoLGJ6kKHVg


written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


photo:OKAMOTO'S Official YouTube Channel



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