【レビュー】KOHHの最新曲をK BoWがリミックス、stillichimiyaによるオリエンタルトラップなど話題のヒップホップをセレクト

個性豊かな日本のヒップホップアーティストの最新曲をピックアップ。GWからライターがヘビロテしていた楽曲から、チェックしておきたい最新トラックまで。
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2019.05.20 07:00

日本のヒップホップアーティストの楽曲をライターの主観でピックアップ。個性を爆発させる気鋭の楽曲をセレクトした。




in-d/On My Way:孤独な夜から希望を見出す。ソロで魅せるクールでチルなin-dの世界観を凝縮




THE OTOGIBANASHI’S(ザ・オトギバナシズ)、CreativeDrugStore(クリエイティブドラッグストア:以下CDS)のメンバー、in-d(インディー)が5月17日にソロ作品となるEP『indoor』をリリースした。楽曲プロデュースには同じくCDSのVaVa(ヴァヴァ)、JUBEE(ジュウベー)を起用し、BIM(ビム)のアンセム的楽曲「BUDDY feat. PUNPEE」を手がけたRascal(ラスカル)、YUNGLEAN(ヤング・リーン)のプロデュースで知られるHoly Beats(ホーリービーツ)も参加。


タイトル曲でありEPのイントロ「indoor」と先行して楽曲のMVが公開されていた「On My Way」を手がけたのはVaVa。映像はUMMMIが担当した。GW中に筆者が聴いていた楽曲の中ではいいなあと思ったらVaVaのプロデュースしたトラックだったパターンが個人的には多かった。


例えば、親交のあるYENTOWN(エンタウン)kZm(カズマ)との「Yuki Nakajo」を手がけ(「Yuki Nakajo」はYouTubeでの公開が一時停止されていたが、VaVaビート完全版として再公開された)、田我流『Ride On Time』収録の「Cola」でもVaVaの存在感は光っている。





そんなVaVaの「渚」をin the blue shirt(イン・ザ・ブルー・シャツ)がリミックスした作品も推したい。block.fmの書き起こし記事でもお馴染み、ラジオ書き起こしの達人(超人)みやーんZZ(みやーん・ダブルゼータ)が出演したblock.fm プログラム「SUMMITimes」のアーカイヴで聴けるのでぜひ。


自身が好きであろうゲームサウンドをサンプリングしたビートに定評があるVaVaだが、「Yuki Nakajo」、「Cola」、そして今回のin-dの「indoor」、「On My Way」のように切な系のエモーショナルな、ジャジーでチルいビートを作らせてもピカイチである。むしろこっちが現在のVaVaの本懐だといえる。ローキーボイスの低音が気持ちいいin-dとの相性は抜群。声の良さを際立たせ、セクシーで哀愁ある世界観を展開している。


狭い部屋の中、書き綴ったメモ


と「indoor」の冒頭で歌うin-dは孤独な夜の中に希望を見出すように、優しくラップで語りかける。EP全体を通して、in-dの見た情景とその中で生まれた思考が詰め込まれている作品だ。in-dは滑舌も声も良いので(ルックスもね)キャッチーでスッと耳に馴染みやすい。おすすめ。カッコイイ。


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image by SUMMIT


▶indoor

アーティスト:in-d

リリース:2019年5月17日

フォーマット:デジタル

レーベル:SUMMIT, Inc.

品番:SMMT-126


Photo by Mayumi Hosokura

Design by MA1LL


Track List

1. indoor (Prod. by VaVa)

2. On My Way (Prod. by VaVa)

3. You (Prod. by Holy Beats)

4. VIEW (Prod. by JUBEE)

5. COMPLIMENTS (Prod. by Rascal)

6. 帰路 (Prod. by JUBEE)


Mixed by MO-RIKI (Nu Funk Factory)

Mastered by Isao Kumano (PHONON STUDIO)



【iTunes】https://itunes.apple.com/jp/album/indoor-ep/1463011073?l=ja&app=itunes

【Spotify】https://open.spotify.com/album/2c0bjaqtMYnV2Gio6vC5i3?si=LMT3WI31TP-IrLZqttlepw





KOHH/I Think I'm Falling (K BoW remix):甘いムードを継承しつつ、バウンシーなJursey Club仕様にリミックス




モデルだけでなくDJ、レコードディガーとして細野晴臣とも親交のある水原佑果とKOHHが共演したMV。ロマンチックがたっぷり詰め込まれてて最高だった。こんなシチュエーション、夢で見れただけでも御の字である。




エナジードリンク「Monster Energy」とのコラボレーション楽曲「I Think I'm Falling」はゆったりとしたトラックと、KOHHの甘いムード漂うまどろむようなフロウと声が気持ちいい。ハードなシャウトするラップから、チルでウェイビーな楽曲まで、あらためてKOHHの音楽性の幅広さを感じることが出来た楽曲だ。


そんな原曲を、筆者が大好きなDJ/トラックメイカー/プロデューサー、K BoW(ケーボウ)がJursey Club仕様にリミックス。絶妙なボーカルカットアップとJursey Club特有の疾走感あるトラックが気持ちいい。曲中の変調も唸りたくなるカッコよさだ。原曲もリミックスもGW中めちゃくちゃ聴いた。天気の良い日には最高である。


K BoWはSound CloudでTohji(トージ)など日本のヒップホップアーティストやElla Mai(エラ・メイ)のようなUSアーティストの楽曲まで、Jursey ClubなRemix作品を数々発表している。プロデュースワークでは山梨のYUNGYU(ヤンユー)の「201」、K BoWと同じ埼玉を拠点に活動するクルー、AWAZARUKAS(アワザルカス)のメンバーTaku-t(タクティー)の「全部楽勝」を手がけた。聴いていただければ分かると思うが、リミックスワークだけでなくオリジナルの楽曲もめちゃくちゃイケてるのだ。大好き。


    



【K BoW Sound Cloud】https://soundcloud.com/djkbow


KOHH/I Think I’m Falling

【iTunes】https://itunes.apple.com/jp/album/i-think-im-falling-single/1460234974

【Spotify】https://open.spotify.com/album/1ubEjSy7nBJQ7PNk0x7zNY?si=Xu934XMnTiu4XNKnX3dMZA



stillichimiya/3000:大三千世界の宇宙へ導く、stillichimiyaによるシルクロードトラップを聴け




スケールがデカすぎる、危険なアジアントラップビートがゲリラドロップされた。ご存じ、山梨は一宮町が生んだstillichimiya(スティルイチミヤ)の最新トラックである。とはいえ、昨年からライヴなどで披露されていたのでファンにとっては既知の曲であったが、先日、突如ネット上に映像と音源がアップされたのだ。


「あいつらは1000! 俺らは3000!! 」stillichimiyaはそう叫ぶ。これを言語化するのも野暮な話だが、例えるならガンダムでいうニュータイプ。そんじゃそこらのヤツとは別次元の存在なのだ。1000より3000。ドラゴンボールの必殺技、界王拳でも3倍は相当強い。小学生でも分かる理屈を、アジアの風を感じさせる壮大なトラックに乗せてラップする。


仏教の世界に置ける三千世界とは全宇宙のことを指すように、3000は仏教に置いては重要な意味を成す数字である。とにかくめちゃくちゃ大きな単位なのだ。ローカルを代表するヒップホップクルーから、アジア全土へとその根を広げる世界観とスケールの大きさに圧倒させられる。


いちばん驚かされたのは、この音源をいち早くキャッチし、Twitterにポストしていたのがtofubeats(トーフビーツ)だったこと。筆者もtofubeatsのおかげでこの衝撃的な1曲をライヴ以外のちゃんとした音源で聴くことができた。「tofuさんの新曲かと思ったら全然知らない人たちだけどカッコイイですね」というリプがあり、tofubeatsファンもstillichimiyaの魅力の虜になったに違いないと、勝手にそんな手応えを感じてしまった。




それにしても映像の音ハメ、見事である。もしかしたら、音ハメでなく現在のstillichimiya本人たちかもしれない。その真相を確かめるには、5月25日に山梨は塩山市の神金村で開催されるstillichimiya謹製、温泉入り放題野外フェス、「Kamikane 3000」へ足を運んでみてはいかがだろうか。大三千世界の極楽浄土を疑似体験できるだろう。








written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


photo:Studio Ishi MMM YouTube




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