インタビュー|Gus Dapperton アルバム『Orca』制作で気づけた、トラウマと向き合うことの大切さ

アルバム『Orca』リリース直前インタビュー。タイトルの意味、シングルのジャケットの色が表すこと、顔のタトゥーとアルバムとのつながりなどについて語ってもらった。「Post Humorous」の字幕付き楽曲解説もチェック!
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2020.09.11 03:55

Gus Dapperton(ガス・ダパートン)のアップカミングアルバム『Orca』は、現在の不安な状況においてこんなライフメッセージを伝えている。「人間はなんでも乗り越えられる。」


このアルバムを制作することで、Gusは苦しんでいる時、周りからの助けやサポートを受け入れるようになり、過去に経験したトラウマを認めないと心を開くことができないと学んだそうだ。『Orca』を通して精神的にも突き抜けたGusに、アルバム『Orca』について話を聞いた。



BTS from "Post Humorous" MV by Djordje Gasic(ジョージー・ゲーシック)


ーアルバムリリースまで数日ですが、今はどんな気持ちですか?


Gus Dapperton(以下Gus):すごく楽しみだけど、リリースに向けてまだやることがたくさんある。全てが終わるまで興奮する気持ちを少し我慢して、お祝いもリリースまで待ってるんだ。


ー完成したアルバムを聴いた時の最初のリアクションを教えてください。


Gus:少し泣いたね。自慢の作品。


ーアルバムのタイトルである『Orca』はあたなにとってどんな意味を持っていますか?


Gus:閉じ込められていて、独りぼっちの気持ちを表現するメタファーだよ。誰かの外見を見ただけでは、その人が何を経験しているかわからないよね?Orca(くじら)も同じ。Orcaは監禁されていて、その苦しみを自分の頭から消し去れないでいるんだ。


ーアルバムを作り始めた時は、どんなアルバムになると思っていましたか?


Gus:そうだね。一番最初に書いた曲は「Palms」で、すごくいい曲だと思っていたけど、作っていたときはこの曲をどう使うかまだピンと来ていなかった。その次に書いたのは「First Aid」で、この曲の完成によってアルバムのテーマやコンセプトがはっきり見えたんだ。


ー今回のアルバムは、自分のトラウマや心の中の悪魔に立ち向かうというテーマですが、このテーマを決めたきっかけとなる出来事はありましたか?


Gus:若い頃は自分のトラウマについて今よりもっと書いてたんだけど、いつの間にか書かなくなって、他のことを書いてきていた。「Palms」を書き終わったらすごく解放感を感じて、もっとこういう曲を書きたくなったんだよ。とりあえず書いてみて、自分がどんな作品を作れるかを知りたかった。


ー2年前のツアー中にアルバムを作り始めたと言っていましたが、メンタル的に一番弱かったときの世界ツアーはどんな経験になりましたか?


Gus:ライブでは最高にエモーショナルなハイを経験できる。ファンの前でパフォーマンスして、自分が書いた歌詞をファンが声の限りに歌い返してくれるのは世界で一番最高な気持ち。でもクレイジーなことに、その最高な気持ちが別の日には逆転するんだ。自分が歌えてないと感じたりテクニカルな問題が起きたことで、数ヶ月ダウンしちゃってた。ツアー中は気分のハイとローが激しくて、なかなか自分の気持ちをコントロールすることができなかったよ。ツアーは楽しいけど、ハイとローのバランスを取るのが難しい。だからもう少し短いツアーにして、定期的に家に帰ることが大事だと気付いた。今は、またツアーを始めてみんなの前で歌うのが待ちきれないよ。オンラインでパフォーマンスすることは、生でファンのリアクション見ることの比較にならないから。



ー「First Aid」はバンドメンバー、そして妹でもあるAmadelle(アマデル)に感謝を伝える、あなたにとって彼女の重要さについて書かれた曲ですが、彼女に楽曲を聞かせた時、どんなリアクションが返ってきました?


Gus:泣いてたね。いつも曲が完成する前に彼女に聞かせてるんだけど、この曲は彼女にとっても特別なインパクトがあったみたい。最近、「First Aid」を一緒に演奏してるビデオをアップしたんだけど、一緒に見返して二人で泣いたよ。1歳でも歳が離れてたら敵同士のような関係だったかもしれないけど、僕らは最初からベストフレンドなんだ。彼女は僕の一番大きなサポーターでもあるし、僕も彼女のサポーターだ。音楽を作る上での相性もいいから、僕が彼女の曲をプロデュースしたり、彼女も僕の曲で歌ってるんだ。忍耐力もあるし、お互い理解しあってるよ。



ーよく一緒に仕事をしているアーティストでは、過去のMVや今回収録されている「Post Humorous」のMVディレクターであり、あなたの親友でもあるMatthew Dillon Cohenマシュー・ディロン・コーエン)がいますね。どうやって二人で今回のMVを作りましたか?


Gus:ある意味一緒に成長してきたから、Mattと一緒に仕事をするのは最高なんだよね。僕のベストフレンドでもあるけど、ディレクターとしての才能も持っている。Mattと一緒に仕事する時は、ディレクションして欲しい曲を聴かせて、その曲について一言伝えれば、彼がMVのストーリーを書いてくれる。「Post Humorous」に関しては、「この曲は、失うものは何もないと思う、人生をジョークのように扱う人についての曲だけど、ビートはわりとアップテンポでハッピーだから、僕がコメディアンの役をしたらおもしろいかな」と伝えたら、彼がそのストーリーでMVの物語を書いてくれた。今までアイデアがかみ合わなかったこともないし、信頼できる存在だよ。





BTS from "Post Humorous" MV by Djordje Gasic(ジョージー・ゲーシック)


ーシングルやアルバムのカバーを撮ったのは、過去のMVのディレクションを手がけているフォトグラファー、そして彼女でもあるJess Farran(ジェス・フラン)ですが、今回のカバーアートはどうやって作り上げましたか?


Gus:今回は、僕が考えたアイデアを彼女が実現してくれた。


ーそのアイデアについて教えてもらえますか?


Gus:カバーの色やフォントまで、ある程度コンセプトをまとめたムードボードをいくつか作って。「First Aid」は“2つの半分が全体を作る”というコンセプトがあって、私の“2つの半分”を表わしている。片方はトラウマを経験した青春から逃げられない自分、もう片方はポジティブなことを見られるようになった自分。「First Aid」の赤は出血を、「Post Humorous」の青は静脈を、そして「Medicine」の黄色は治りかけのあざを表しているんだ。


ー「First Aid」を最初にリリースした理由はありますか?


Gus:うん。どの曲を先にリリースするかについて結構時間をかけて考えたけど、「First Aid」はアルバム全体を表すようなサウンドで、5分くらいのスローな曲でもあるから、「First Aid」を聞いてもらって、どんなアルバムがリリースされるか期待させたかったんだ。


ートラックリストを見て、曲の順番にもストーリー性を感じましたが、順番にもこだわりましたか?


Gus:そうだね。そのために書いた曲もある。オープニング曲「Bottle Opener」もそうだし、“最後の言葉”や“最後の息”という意味を持つ「Swan Song」はクロージング曲として書いた。「Medicine」も「Antidote」も最後の方に、「First Aid」は最初の方に。順番も大事だね。


ービートのテンポ的に、この3曲はアルバム全体を表すと言えますか?


Gus:いや、アルバムはもっと幅が広いかも。ダンス寄りな曲もあるし、パンク寄り、ポップ寄り、R&B寄りの曲も収録されてる。同じような曲を作るのがあんまり好きじゃなくて。


ー自分にとって重要な曲は他にもありますか?


Gus:「Antidote」もすごく重要な曲だね。愛と助けを怖がっていて、過度に防御的になってしまう人の曲。曲内にも「You’re reaching for a hand to hold from a wild animal with no antidote」という歌詞があるけど、無秩序な人に近づくとリスクがあるという意味。


あとは「Bluebird」も好き。子供の頃の私と臨死体験がどう繋がるかについて書いた。アルバムに収録されてる曲はほとんどがそういったストーリーを持つけど、「Bluebird」ではそのストーリーをより鮮明に伝えている。「My grave puts all the weight on hold. This grave roots all the way back home」という歌詞が入っていて、子供の頃に考えていた“死”と、大人になってからのダークな時期と経験を結んでいる。4歳の僕はたぶん死の重大さについてわかっていなかった。葬式に行って「なんで聖職者がいるんだろう」と思っていたの覚えてるよ。


ーソングライティングや歌詞について色々と聞かせてもらいましたが、ソングライティングの前にプロデュースを始めましたよね。何を使ってプロデュースを始めましたか?そして、プロデュースすることは自分にとってどんなプロセスですか?


Gus:プロデュースも好きだね。ビートを作り始めたことが音楽を始めたきっかけだし。ドラムの使い方や音の配置、ベースの入れ方とか。MacBookが手に入る前に「Cakewalk」という面白いプログラムでビートを作ってたよ。高校生の時にやっとMacBookを買えて、Garageband、Logic、Abletonを使い始めるようになった。そこからMidiを購入してピアノを習い始めて、ギターの音が好きでギターも習い始めた。歌い始めたのはその後。最近自宅に新しいピアノを入れたから、そこでよく音楽を書いているよ。ギターやピアノのようなアコースティックの楽器を持ってると、何かを差し込んで充電する必要がないのは楽だね。パソコンで書き始める時もあるし、ドラムから始める時もある。でも今回のアルバムは、先に歌詞を全部書いた。以前は、歌詞を書きながらビートも作ってたけど。


ー顔のタトゥーも気になっていましたが、アルバムともつながりますか?


Gus:そうでもあるけど、そうでもない。アルバムのタイトルも、“Orca”は長く考えて決めたすごく重要な意味を持ってる言葉だけど、ただただ紙に書かれている見た目も好き。このタトゥーも同じように、重要な意味もあるけど、ただ見た目が好きというのもある。アメリカのFirst Aid(応急処置)のクロスでもあるし、宗教でよく見られるクロスの形でもある。僕は信仰的でもないけど、このアルバムではよく宗教について歌ってる。昔は“アンチ宗教”と言えるくらい、組織化されたグループが嫌だったけど、みんなそれぞれの信念を持ってるし、その信念は間違っているわけでもないから、昔の考え方はよくないと気づいた。むしろ、宗教を信じてる人に嫉妬してたのかも。何かに信仰を持っていて、それがあるからこそ安心できて、頼れるコミュニティーもある。僕にはそれがないと思ってた時期だった。今はヒューマニティーをすごく信じてる。人間は傷つくけど、回復することもできる。だから信仰の意味も持つFirst Aidのクロスでもあるんだ。もう少し表面的な意味だと、2年前に事故ってしまって、目の横に青い縫い跡があったんだよね。傷が治って縫い跡がなくなったら少し恋しくなって、その代わりに入れたタトゥーでもあるんだ。


ー今回のアルバムは、COVID-19の前に完成しましたか?自粛中、アーティストとして新しく生まれたことや気づいたことはありますか?


Gus:そう、自粛前に完成してた。カメラチームを呼ぶことができないから、今はカメラやビデオワークにチャレンジしてるよ。



ーさっき話に出たライブシリーズでやってたように?


Gus:そう!そのホームビデオシリーズ。妹と二人で歌ってる「First Aid」のコンセプトはJessが考えてくれて、「Post Humorous」は僕が考えた。COVID-19の前は、アートと音楽のための時間はいつでもあると思ってたけど、この数ヶ月そうでもないと気づいた。世界中いろんなことが起きてるのに、新曲でみんなの頭をいっぱいにさせるのは違うと思っていた。個人的に音楽はいつも必要だけど、周りにそれを押し付けたくない。今でも音楽は人をつなぐパワーを持っていると思うけど、それを聴かせるタイミングもあるよね。


ー今のタイミングはとてもいいと思います。メンタル的にこんな不安を経験したことがない人もたくさんいて、アルバムのメッセージがすごくサポートになっていると思います。


Gus:それこそ、「First Aid」をリリースして、ファンから「心の助けになった」というリアクションをもらったからリリースすることに決めたんだ。



【リリース情報】




Artist : GUS DAPPERTON(ガス・ダパートン)

Title : Orca(オルカ)

Release Date : 2020.9.18 (Fri)

Cat No : BRC-652 03. Price : ¥2,200 (+Tax)

Label : Beat Records / GUS DAPPERTON


01. Bottle Opener

02. First Aid

03. Post Humorous

04. Bluebird

05. Palms

06. My Say So

07. Grim

08. Antidote

09. Medicine

10. Swan Song

11. Steady *Bonus Track for Japan


【GUS DAPPERTON】

Official HP: http://gusdapperton.com/

Facebook: https://www.facebook.com/gusdapperton

Twitter: https://twitter.com/gusdapperton

Instagram: https://www.instagram.com/gusdapperton/

Beatink HP: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11265


「Post Humorous」の字幕付き楽曲解説もチェック!



"Post Humorous" Music Video BTS photos by Djordje Gasic (ジョージー・ゲーシック)

他のBTSはこちら:

https://www.instagram.com/p/CEo57bhjqP2/

https://www.instagram.com/p/CEpTz42jg-F/


Written by Amy







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