【レビュー】再注目されるレイヴのヴァイヴスを今に届けるGuchon『Dogs of The Future』

Maltine Recordsから5年ぶりのリリースとなる本作では、90年代ダンスミュージックがレイヴをテーマにまとめあげられている。
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2019.04.10 08:00

東京を拠点に活動するプロデューサーのGuchonが、Maltine Recordsからのリリースとしては5年ぶりとなるEP『Dogs of The Future』をリリースした。  


Guchonの音楽的ルーツである90年代のテクノ、ハウス、トランス、ブレイクビーツを下敷きにその多幸感や高揚感を反映した”レイヴ”の再解釈ともいえる本作は、近年のレイヴリヴァイバルに対する彼からの回答的作品を4曲収録。現代のクラバーにとっては伝承のようにして伝え聞く”90sレイヴの記憶”を今に呼び起こすかのようなレイヴマナーに沿って仕上げられている。 



再注目されるレイヴのヴァイヴスを4曲のトラックで今に伝える  


1曲目「Anywhere Door」は、レイヴィーなリフとブレイクビーツといったレイヴミュージックの基本に加え、アシッドなTB-303ベースが特徴的なトラックになっている。本作のオープニングとしてレイヴへの憧憬スイッチをオンにしてくれる、そんな仕上がりだ。2曲目「Welcome to My Dungeon」もまたベーシックなレイヴリフを前面に押し出しながらも1曲目に比べてよりブレイクビーツに比重を置いたトラックになっている。全体的に音数は絞られている印象だが、フロアの気分を盛り上げる90s感のある声ネタ使いに作り手のこだわりを感じる。個人的には空想した”あの頃のレイヴ”を本作収録曲中、もっとも想起させてくれる曲だと感じた。 


3曲目「Dream Island Seaside Line」は、アーメンブレイク系のビートを採用。ビートのフォーマットから90sレイヴの高揚感を感じさせてくれるトラックに仕上げられている。それ以外にも呪術的な声ネタ使いに加え、後半のブレイク明けから始まるシンセのリフはバレアリックな陶酔感を聴き手に与えてくれる。4曲目「Dogs of Paradice」は、個人的に本作のハイライトに挙げたいトラック。ルーピーなエレピのリフがまさに”多幸感”というイメージを演出。ハウシーなビートもフロアで踊るクラバーのステップを推し進めてくれそう。またDJならパーティーが空ける前の朝方、クロージングのための1曲の候補に入れておきたいトラックだ。



またレーベルサイトには「犬が世界を統治していた時代、石版に刻まれていたこの音楽でまだ人間は踊れるのでしょうか…?」というメッセージがあり、その世界観を見事に表現した禺吾朗による遊び心のあるアートワークもポップでトラック同様に秀逸なものになっている。 



90年代のインディーズテクノレーベルにリスペクトを込めて 


昨年、ソニマニで来日したRoss From Friendsのアルバム『Family Portrait』やDJ SeinfeldのDJミックス作『DJ KICKS』など、Lo-Fiハウス以降のトレンドを作ってきた若手プロデューサーたちがそれまでの90sハウスへの憧憬をさらに広げて、レイヴ的なアプローチに接近することがクラブミュージックのトレンドのひとつになっている。その意味では、本作は日本からのそういった潮流に対する回答的な作品のようにも思える。


 Guchonは本作についてTwitterで「テクノもハウスもブレイクビーツもトランスも一緒だった頃の未来感と懐かしさを同時に感じてくれたら嬉しいです! 90年代のインディーズテクノレーベルにリスペクトを込めて」と発言している。


本作は多くのジャンルがレイヴというキーワードでまとめられていた時代のクラブミュージックに対するオマージュ的作品であり、クラブの現場における今のトレンドにも対応する”レイヴ”な作品だ。


▶︎リリース情報
Guchon『Dogs of The Future』[MARU-174]

Label: Maltine Records


Tracklist

1. Anywhere Door

2. Welcome to My Dungeon

3. Dream Island Seaside Line

4. Dogs of Paradice


ダウンロード:http://maltinerecords.cs8.biz/174.html


written by Jun Fukunaga


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