GREENROOM FESTIVAL'21レポート|リアルの場で音楽を楽しむ喜びが横浜に響いた2日間

アジカン、Nulbarich、SIRUP、TENDREら総勢26組が出演した「GREENROOM FESTIVAL'21」のステージをレポート。
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2021.06.08 11:00

総勢26組のアーティストが出演し、5月22日(土)・23日(日)の2日間にわたって開催された「GREENROOM FESTIVAL'21」のステージをレポート。





音楽と潮風に揺られながら。コロナ禍で行われた「GREENROOM FESTIVAL'21」


マスクの着用、消毒と検温の徹底、歓声をあげることは禁止、ソーシャルディスタンスの確保、アルコールの提供は一切なし。コロナ禍の中で行われた野外音楽フェスティバル「GREENROOM FESTIVAL'21」。昨年は開催断念となり、2年越しに開催されたGREENROOMはずいぶんと久しぶりの気がしたが、そこに充満していたピースな空気は以前のままだった。


ニューノーマルな野外フェスのあり方


開催規模は縮小され、1日の入場人数は5000人に制限。会場内のステージも例年のようにRedbrickやHummingbird、Paradise ShipなどGREENROOMの名物的ステージはなく、GOOD WAVE、BLUE SKY 、Port Loungeの3ステージ構成となった。


観覧エリア内はさらに入場人数が制限され、ソーシャルディスタンスを保っての観賞がスタッフの誘導のもと徹底されていた。


歓声を上げることができない代わりにオーディエンスは拍手やハンズアップでレスポンス。その光景はコロナ禍での音楽イベントにおいて珍しいことではなくなったが、野外フェスの規模感でそれを目の当たりにするのは初めてだ。


アーティストは「声は出せなくても心の中からのみんなの声が聴こえてくるよ」とオーディエンスに寄り添い、観客は精一杯の拍手でそれに応える。コロナ禍にあっても音楽を通じたつながりと思いやりは変わらない、そんなことを強く感じた2日間だった。




自然と体が揺れるTENDRE、SIRUPのグルーヴ


Day1は昼過ぎからSPECIAL OTHERSや平井大、LUCKY TAPESといったアーティストが横浜の地に気持ち良いサウンドを響かせる。


少し日が落ちてきた頃に登場したTENDREはAAAMYYYをコーラスメンバーに迎え、その柔らかい歌声で会場を彩った。「LIFE」から始まり「PIECE」「HOPE」とGREENROOMのキーワードをそのまま体現しているかのようなセットだ。声を出せない状況で聴く「HANASHI」は優しくも切なく響く。最後の「RIDE」はスペシャルバージョン。オーディエンスは最後までTENDREの歌声の余韻を味わっていた。




その余韻を残したままBLUE SKYに登場したのはSIRUP。「Overnight」「POOL」など人気曲に続いて披露された「HOPELESS ROMANTIC」は、低音が前面に出たサウンドとSIRUPのグルーヴ感あるボーカルが相まって強烈な印象を残した。「PLAY」ではTENDREもサプライズで登場し、観客からは一層大きな拍手が。さらに「SWIM」ではMaroon 5の「Sunday Morning」をマッシュアップし代表曲「Do Well」に繋げるなどサービス精神も満載のステージに、観客も思い思いに体を揺らしていた。




Charaが繋ぐ思いと堂々のヘッドライナー、Nulbarich


BLUE SKYと対をなすステージGOOD WAVEではCharaが登場。一曲目から名曲「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」で、会場からは声にならないどよめきが起こる。小さな子どもを連れたファミリーが幸せそうに聴き入っている姿が印象的だった。おそらく年齢的には筆者と同じくらいか少し上くらいだろうか。子どもを連れてCharaを懐かしむほどに時が経っているのかと感じたのだが、目の前のCharaは変わらない柔らかな雰囲気と茶目っ気をまとったCharaのままだった。Charaの実の息子であるミュージシャン、HIMIも登場し、2人の共作曲「私を離さないで」でステージを盛り上げた。「やさしい気持ち」では、手をつなぐことはできずとも会場の気持ちをひとつに繋いだのは間違いない。




Day1のトリを務めるのはNulbarich。GREENROOMではここ数年常連だったが、今や日本を飛び出して世界で活躍するアーティストである。しかし本人は飄々と、良い意味でいつも通りに「やっとトリを任されるようになった」とGREENROOMとの歩みを噛み締める。安定感のあるパフォーマンスと心地良いメロディが、陽も落ちて少し冷たくなった風と横浜の夜景にフィットしていた。「NEW ERA」で始まり、「Zero Gravity」では映画やドラマの中の世界に入っているような陶酔感と幸福に包まれる。「Super Sonic」「Lonely」、最新曲の「CHAIN」、その歌声に思いをのせて1曲1曲を丁寧に歌い上げていく。


そしてセットの終わりが近づいた頃、Mummy-Dがサプライズ登場。RHYMESTERの出番と間違えたわけじゃないと笑いながら「Be Alright」ではその貫禄を見せつけた。ラストは「TOKYO」を夜の横浜に響かせ、Day1を締めくくった。






RHYMESTERが魅せたベテランの矜持と、ほとばしるDragon Ashの熱き魂


Day2は真夏のような日差しの中、PUFFYやKANDYTOWN、Vaundyらが登場。


午後になっても照り続ける太陽のもと、颯爽とステージに現れたのはキング・オブ・ステージことRHYMESTERだ。「Tシャツ1枚で出られるなんてKANDY(TOWN)みたいな若者たちの特権ですから。我々、みすぼらしくなってしまう」と先ほどまでBLUE SKYでパフォーマンスしていたKANDYTOWNにシャウトアウト。自虐を交えながらもめかしこんできた装いに負けない一級品の掛け合いを見せる。「いろいろある中、来てくれてありがとう、キングオブお客さん」なんて言葉も飛び出した。


意外にもRHYMESTERはGREENROOM初登場。色あせることのない「B-BOYイズム」で魅せれば、横浜を代表するアーティスト、クレイジーケンバンドのフロントマン横山剣を召喚し「肉体関係 part 2」と濃厚なステージで圧倒した。剣さんの「イーネ!」で万事OK。スペシャル感満載のステージはキングオブステージの名に違わぬ迫力と説得力があった。




RHYMESTERのバイヴスを引き継ぎつつ、こちらも意外にも初登場のDragon Ashがステージに出現。参加者からの期待の声も一際大きかった彼らは、「静かな日々の階段を」からスタートし、合間のMCで「東京・世田谷から来ましたDragon Ashです。」と殊勝な挨拶をする。夕陽に染まる海にふさわしい「Sunset Beach」といった隠れた名曲に、静かなオーディエンスを見つめその感触を確かめながら「few lights till night」をあたたかく包み込むように歌い上げる。


「俺たちができることって少ない。ライブハウスの扉をあけて、出て行くときに少しでも満たされた気分になってほしいと思ってる。RHYMESTERも言ってたけど、俺たちにとってもみんなにとっても音楽は必要で、だからみんなこれからも、いろいろなフェスやライブハウスに足を運んでほしい」とKjは熱い思いを吐露した。ギアを上げて、自由を勝ち得るために主人公が拳ひとつで道を切り拓いていくアニメ『セスタス -The Roman Fighter-』のOPに起用された「エンデヴァー」を披露。


最後の「運命共同体」では歌い出しをアレンジして「横浜に咲いたfreedom 枯らさないで行こうぜ yours and my way」と歌い、未知なる明日への航路を照らすような希望に溢れたパフォーマンスでステージを締めくくる。その熱き魂を言霊に乗せ、音楽への愛とともにロックバンドとしての貫禄を見せつけてくれた。




大トリASIAN KUNG-FU GENERATION渾身のライブ 「帰るまでがGREENROOM」


2日間の大トリはASIAN KUNG-FU GENERATION。「センスレス」「ソラニン」など人気曲を演奏し、MCで“アジカンは横浜の大学で結成されたバンドだ”と振り返りつつデビュー曲「未来の破片」を披露。待ちに待った「リライト」を聴きながら2日間を振り返る。コロナ禍以降、個人的には最大級のフェスへの参加だった。声は出せないし、制限はいろいろあるけれど、音楽が大きな音で流れていてステージ上のアーティストと心を通わせる。月並みな感想だが得も言われぬ幸福感に満ちあふれていた。そして、それは参加者がみな感じていた想いだと思う。ラストはアンコールの「海岸通り」で今年のGREENROOMはフィナーレを迎えた。




スタッフ、オーディエンスの地道な工夫と努力が実を結び、計26組に及ぶアーティストたちの祭典は幕を閉じた。GREENROOMを皮切りに夏フェスシーズンが始まっていく。パーティの終わりは次のパーティの始まり。去年までとは違う新しい夏がやってくる。先に行われた「VIVA LA ROCK」「JAPAN JAM」では開催後2週間が経ち、感染者が出なかったことが報告され話題となった。実に喜ばしい出来事であり、各地で安全なフェスの再開へ向け大きく事態が動いていくだろう。GREENROOMを含めこれら大型フェス開催の動きは、昨年から不要不急、加えて不謹慎といわれのない批判すら受けてきたイベントの価値観や運営方法をアップデートする勇気ある試みだったのではないか。コロナ禍という特殊な状況が当たり前になった社会で、個人一人ひとりの行動が大きなムーブメントを起こすさざ波のひとつなのだという当事者意識を自覚して参加していた人が多かったように思う。


Gotchは「帰るまでがGREENROOMだから」と言った。もっと言えば家に帰ってからも、心身ともに健康でい続けることがGREENROOMなのである。そして最後にあらためてひとつ伝えることがあるとすれば、どんな人でもウエルカムな雰囲気を持ち、誰でも音楽とアートを楽しめるGREENROOMは、コロナ禍においても健在だったことは間違いない。





Written by Tomohisa Mochizuki


GREENROOM FESTIVAL:https://greenroom.jp/





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