Wu-Tang Clanの強面ラッパー、Ghostface Killahと Hip Hop史に残るデビューアルバム『Ironman』

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Ghostface Killah、伝説的なアルバム『Ironman』の魅力を紹介
Ghostface Killah(ゴーストフェイス・キラー)は、90年代のHip Hopシーンを代表するラップ集団Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のメンバーだ。そんなGhostface Killahのデビューアルバム『Ironman』は、数あるHip Hopアルバムの中でも名盤とされている。このアルバムは、豪華仕様の復刻版が販売されるほど人気がある。ここではその魅力を紹介しよう。
Wu-Tang Clan屈指の強面ラッパー、Ghostface Killah
Ghostface Killahはアメリカのヒップホップ最強グループ、Wu-Tang Clanのメンバーである。Wu-Tang Clanは、Hip Hop黄金期といわれる90年代のミュージックシーンを代表するグループ。メンバーの中では強面として知られており、ハイトーンな声が耳に残るラッパーだ。本名はDennis Coles(デニース・コールズ)、1970年5月9日生まれのニューヨーク州ニューヨーク市スタテンアイランド区出身のラッパーである。別名はTony Starks(トニー・スタークス)。ワラビー・シューズが好きなことでも有名だ。
Ghostface Killahは1993年にリリースされたWu-Tang Clanのファーストアルバム『Enter the Wu-Tang(36 Chambers)』でデビューした。その3年後に自身初のアルバム『Ironman』でソロデビューを飾っている。ソロデビューしたのは、メンバーの中では5番目である。Wu-Tang Clanでのデビュー当時は個性派のメンバーがいることであまり目立たない存在であったが、Raekwon(レイクォン)のソロ・アルバムに参加したことで人気を得ている。その後『Ironman』が大ヒットし、確固たる地位を確立する。
Wu-Tang Clanには個性的かつ実力派なラッパーが多くいるが、その中でも切れ味鋭いラップを聴かせるハイテンション・ラッパーだ。Ghostface Killahの作品でキーとなっているのが、独自の変わらないスタイルである。そのスタイルの元となっているのが、デビューアルバム『Ironman』で披露したオリジナルのストーリーテーリングだ。エピソードなどを使用し聴き手に強く印象付ける手法と、卓越したラップ・スキルの融合により独自の世界観を作り出している。
プラチナ・ディスク認定、Hip Hop史に残るアルバム『Ironman』
Ghostface Killahのソロデビューを飾ったクラシック・アルバム『Ironman』。1996年10月に発売され、初週で15万枚の売り上げ、その後たった4ヶ月で50万枚を突破している。ゴールドディスクに認定されたのち、2013年にはプラチナ・ディスクにも認定されている名盤だ。発売当時Billboard200では2位ににランクイン、そしてTop R&B/Hip Hopアルバムチャートではもちろんトップに君臨している。ソロデビューしている他のメンバーも、圧倒的な人気を誇るWu-Tang Clan。そんなメンバーが発表したアルバムの中でも、最高峰に位置するアルバムとなっている。また日本版CDの邦題は『ムキムキ・マン』。
『Ironman』は、Wu-Tang Clanの総帥であるRZA(レザ)が全曲プロデュース。参加メンバーにはRZAをはじめ、同じくWu-Tang ClanのメンバーであるRaekwon、Method Man(メソッド・マン)、Masta Killa(マスター・キラ)、U-God(U・ゴッド)、Cappadonna(カパドンナ)などが参加している。またメンバー以外でもMary J. Blige(メアリー・J. ブライジ)、The Delphonics(デルフォニックス)、Force MD’s(フォース・エム・ディーズ)が参加しており、メンバーだけを見ても豪華なアルバムになっている。中でもRaekwonやCappadonnaは多くの楽曲に参加しており、2人との共演によって繰り広げられるライム・オペラが特徴的なアルバムである。
またラップ・スキルだけでなく、トラックの雰囲気も注目されるアルバム。Hip Hopの楽曲においてフックをR&Bシンガーが歌うことを「ラップとクソの融合」と言い放ったWu-Tang Clan。しかし『Ironman』は、Hip HopとSoul・R&Bが見事にマッチングした作品となっている。Soul・R&Bの要素がHip Hopの良さを消すことなく、融合した楽曲が収録されている。トラックの雰囲気は暗い雰囲気の中に妖しい感じを漂わせており、ザラザラとしたトーンは1970年代のソウルなどの、サンプリングネタを使用したことから生まれている。
シングルとしても名曲として有名な、トラックリスト11番「Daytona500」は、サンプリングネタの金字塔である、Bob James(ボブ・ジェームス)の「Nautilus」をサンプルした楽曲。そのソウルフルな印象を、最も表現した楽曲といえる。『Ironman』はGhostface Killahの高いラップ・スキルと、Soul/R&Bの要素を融合した聴くものを圧倒する至極の1枚だ。
『Ironman』がゴールドディスクの豪華仕様で復活
Hip Hop界で、伝説として語り継がれるGhostface Killahの『Ironman』が、2013年5月29日にゴールドディスクで復活。付属品も多数あり豪華仕様で復刻されている。チェリーウッド製のトロフィーボックス型の収納箱や、24カラットのゴールドディスクなど、かなり高級感のある仕様。またリマスタリングもされているため、発売当時よりも音質が良くなっている。48ページにも及ぶハードカバー・ブックも付属。アルバムを解説しているライナーノーツに加え、歌詞カード、12”シングルのジャケット・アートワークなどが記載されている。ライナー・ノーツは有名な音楽ジャーナリストであるChris Faraone(クリス・ファラオネ)が書き下ろしたもので、誰もが納得のいく豪華な内容になっている。
written by 編集部
photo: https://www.facebook.com/pg/GhostfaceKillahOfficial/photos/?ref=page_internal