イギリスのメジャーレーベルで働く男女の遥かに違う給与体系、賃金格差が明らかに

ユニバーサル、ソニー、ワーナーブラザーズといったメジャーレーベルでは男性に比べて女性の賃金が遥かに低いことが調査によって明らかになった。
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2018.04.10 13:00

昨今、エンタメ業界では、有名女性アーティストや女優たちによって、男性主導と言われる業界の変革や旧態依然とした体制、男女格差の是正が訴えられている。しかし、それは華やかな舞台に立つ彼女たちだけの問題ではなく、裏方として支えるエンタメ業界で働く女性たちにとっても決して無視できない大きな問題になっている。



3大メジャー音楽レーベルで明らかになった男女の賃金格差  


Music Business WorldwideとMusic Weekの調査レポートによると、イギリスではユニバーサル、ソニー、ワーナーブラザーズといった3大メジャー音楽レーベルで働く女性たちと男性たちとの間では明らかな賃金格差があり、女性は男性と同じ職務についていてもその賃金は大抵の場合、男性より低くなっていることがわかった。 


その格差はソニーで22.7パーセント、ユニバーサルで29.8パーセント、そしてワーナーブラザーズでは実に49パーセントとなっており、明らかに女性の賃金は男性に比べて低く設定されている。その結果は、ほかの業界と比較した場合、男女格差が最も少ないと言われているイギリス国営放送のBBCが10.7パーセントになっていることを考えると音楽業界は男女格差が大きいと言える。



3社ともで女性の賃金が男性よりも下回る  


ソニーの場合だと、従業員の賃金別に収入ボリュームを4階層に分けた場合、最も高い賃金を得ている層では男性63.3パーセントに対し、女性36.7パーセントとなる。また第2層で男性51.1パーセント:女性48.9パーセント、第3層で男性51.1パーセント:女性47.8パーセント、第4層で男性55.6パーセント:女性44.4パーセントとなる。ちなみにソニーの従業員のうち、イギリス人は359人で45パーセントが女性とのこと。


この結果から、男性と女性間の賃金格差があることは明らかだが、特に上級職の第1層ではその格差が顕著に見られる。また平均的な1時間あたりの賃金では、男性より女性の方が22.7パーセント低く、女性役員は男性役員よりもボーナスが45パーセントも低くなっている。しかし、ボーナスは男性の74.3パーセント、女性の75.3パーセントに与えられているとのこと。その点だけがわずかに女性従業員が男性従業員と比較した場合、女性が上回る部分だ。



ユニバーサルの場合も第1層の70パーセントが男性、30パーセントが女性となり、第2~3層は男性57パーセント:女性43パーセント、第4層で男性51パーセント:女性49パーセントとなり、平均的な1時間あたりの賃金も、男性より女性の方が29.8パーセント低い。ボーナスに関しては男女ともに74パーセントの従業員に与えられるものの、女性に与えられる額は男性より49.2パーセント少ないという。


そして、ワーナーブラザーズでも、第1層の74パーセントが男性、26パーセントが女性。第2層は男性56パーセント:女性44パーセント、第3層で男性59パーセント:女性41パーセント、第4層で男性53パーセント:女性47パーセントとなり、ほかの2社とほぼ変わらない結果になっている。同社ではイギリス人従業員の42パーセントが女性であるものの、平均的な1時間あたりの賃金は男性よりも49パーセント低く、女性役員のボーナスに関しては男性よりも82パーセントも低い。またボーナスを受け取る対象者の割合も男性85パーセントに対し、女性は74パーセントとほかの2社と比べて低い傾向になっていることも印象的だ。  


問題解決には女性の上級職従事者数の拡大や労働環境改善が不可欠  


イギリスでは4月4日までに250人以上の従業員を抱える企業は男女の賃金格差を明らかにする必要があるとのことで、こういった実情を踏まえ、3社とも賃金の男女格差について、上級職につく女性が少ないことを指摘している。その対策として例えば、ソニーは昨年の新入社員採用のうち、その半数以上は女性であったことや、マイノリティーグループ出身者を積極的に採用したと説明している。  


一方、ユニバーサルは、2009年から行っている有料インターンプログラムで400人以上のインターンを採用する中、その半数は女性およびキャリア開発メンタリングやコーチングを含む女性の上級職者育成に充てられると説明。他方、ワーナーブラザーズでも女性従業員の労働環境改善のために多様性や新しい行動規範、育児休暇制度の見直しなどに取り組むなど、3社とも現代社会が抱える社会問題の1つである男女格差是正のための取り組みを行なっていることを明かしている。



しかし、制度として女性の働き方改革に対する取り組みは確かにあるものの、今回の調査結果を見る限りまだまだ不十分な印象を受ける。特にこの問題を解決するためには高収入を受け取ることができる上級職への女性従業員抜擢を増加させる必要があるが、現状はまだまだ男性従業員によって占拠されている状態だ。


イギリスでは3月4日に大規模な女性の権利向上を訴えるキャンペーン”March4Women”が首都ロンドンで行われたばかり。その時はサディク・カーン市長も参加し、男女格差は女性だけの問題ではないと訴えている。



今後も男女格差は改善すべき問題として、社会全体でのさらなる取り組みが必要とされているため、引き続きその動向に注目していきたい。  


参考: 

http://variety.com/2018/biz/news/study-reveals-huge-gender-gap-in-pay-rank-at-british-major-labels-1202743677/

http://metro.co.uk/2017/03/05/thousands-join-march4woman-for-gender-equality-in-london-6489698/


Written by Jun Fukunaga 

Photo: Mike Licht




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