ゲームオブスローンズのドラゴンが一瞬で好きになる、見分け方とは? 丸屋九兵衛の七王国まで何マイル? 「GoTの歴史学」第12回

シーズン8放送直前!日本で唯一の『GoT』☓ファンタジー連載!今回のテーマは「ドラゴン」だぜ!
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2019.03.16 10:20

はっきりわかった。☆Taku Takahashi(m-flo)とわたしは、水と油だ。



わたしが4歳の時から憧れてきたファンタジーという世界。それを「僕の苦手な中世期っぽい世界観。レゴの宇宙シリーズは好きだったけど騎士シリーズは大嫌いだった」ですと……?!


今からでもまだ間に合う!m-flo ☆Takuが解説「ゲーム・オブ・スローンズ攻略法」block.fm


それならファンタジー主義者の意地を見せてやる! わははは!


というわけで、今回はファンタジー愛・全開で! 


そんな本コラムは、髪型がジョン・スノウ(第5シーズンまで)で髭はカール・ドロゴ、性的傾向はオベリン・マーテルだが、最近はサンサ・スタークがボーイ・ジョージと同一人物に見えて仕方ない丸屋九兵衛がお届けする『ゲーム・オブ・スローンズ』連載である。



さて、ファンタジーを象徴する動物は?


もちろんドラゴンだ!


1970年代に生まれたファンタジー・ロールプレイングゲームの元祖が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』と名付けられていることからもわかる通り。


「D&D」として親しまれるようになった『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に続いて、『トンネルズ&トロールズ』、通称「T&T」というRPGも世に出た。


名前こそ二番煎じ臭がプンプンするが、しかし、これはこれで工夫を凝らした独自の仕様が素晴らしく、「二匹目のドジョウ」呼ばわりは決してすべきでないRPGだ。


それでも! しょせん「トロール」なのだ。ファンタジーを象徴する「ドラゴン」には決して勝てない!


名匠ジョージ・R・R・マーティン(George R. R. Martin)が腕によりをかけて——過去のファンタジーの定石から外れつつ——新時代のファンタジーを定義したのが小説『氷と炎の歌』シリーズであり、そのドラマ版が『ゲーム・オブ・スローンズ』(通称GoT)。


だからだろうか、ここで大活躍するのもやはりドラゴンだ。




「……ドラカリス」


シュボッ!




デナーリス(Daenerys Targaryen)の命令で、炎を吐き出すドラゴン(たち)。この瞬間に心踊らない者がいるだろうか? しかもデナーリスはヴァリリア語(High Valyrian)で命令を下す時は決まって、ウェスタロス共通語(という名の英語)を喋る時よりもドスを利かせて話すのだ。アンサリード(the Unsullied)相手でも、ドラゴン相手でも。あの発声がいいのよねえ。


とはいえ、とっても規格外なファンタジーであるGoTは、ドラゴンの扱いも変わっている。


作品内世界の皆さん(デナーリス周りの人たちは除く)の共通認識はこう。「ドラゴンが存在したことは事実。でも絶滅したよね」。


これだけだと我々にとっての恐竜と変わらんように思えるが、ドラゴンの絶滅はGoTの物語開始時点からわずか150年前。2019年の我々に置き換えて考えると明治維新の頃、あるいはアメリカ南北戦争の頃だ。だから「近現代史」の出来事なのである。


さて。


『ニーベルンゲンの歌』といった神話・伝説から、『ホビットの冒険』(J・R・R・トールキン著)、『メルニボネのエルリック』(マイケル・ムアコック著)、『ドラゴンランス戦記』(マーガレット・ワイス/トレイシー・ヒックマン著)、『魔法の国ザンス』(ピアズ・アンソニイ著)等のファンタジー小説まで、ドラゴンの活躍もしくは狼藉三昧は枚挙にいとまがない……が、それぞれ微妙に設定が違うことは明記しておくべきだろう。


『ドラゴンランス戦記』は、先に挙げたファンタジーRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』から派生したものなので、その系列の分類がなされている。


プラチナ・ドラゴンを筆頭に、ゴールド・ドラゴンやシルバー・ドラゴン等、いわば「金属系」のドラゴンが善玉。レッド・ドラゴンやホワイト・ドラゴン、ブルーにグリーンにブラックといった「色彩系」ドラゴンが悪モン、というわかりやすさ!


それに比べるとGoTのドラゴンたちは...


ドロゴン(Drogon):黒を基調に赤が混じった体色。体は兄弟たちよりやや大きい。ひときわ乱暴者だが情に厚い(?)


レイガル(Rhaegal):緑系に黄色〜オレンジが混ざったカラーリング


ヴィセリオン(Viserion):クリーム色が基本だが、赤っぽい部分も。ただし第7シーズンでえらい変貌を……



(左からDrogon、Rhaegal、Viserion)

 

興味深いのは『エルリック』シリーズのドラゴン。「火を吐く」のではなく「空気に触れると発火する毒液を吐く」という設定なのだ。



ここでGoTファン諸氏、特にBlu-ray等でGoTを見ている皆さんは、ドラゴンの開口シーンでフリーズ&凝視してほしい。


口腔内の左右にそれぞれ管が開いているのがわかる。左右の管がそれぞれ別種の化学物質を放ち、その2種が化学反応を起こして——1液と2液を混ぜ合わせることで効力を発揮する接着剤のように——炎となるのだ……というのが専らの噂である。




この設定、『エルリック』の影響下にあるのではないか?


ジョフリーが新たにもらった剣を名付けようとするシーンでも、さりげなく『エルリック』の剣の名「ストームブリンガー」が引用されていた。ファンタジー界の大先達『エルリック』(というか、作者マイクル・ムアコック)に対するリスペクトがところどころに感じられるのも、ファンタジー読者としては好感度倍増である。










ところで。


GoTに出てくるドラゴンたちが「生物学的に正しいドラゴン」であることはご存じだろうか?


前提として、西洋のドラゴンが往々にして「4本足に加えて、1対の革の翼を持つ」姿で描かれることをご承知いただきたい。

手足(腕&脚、もしくは4本の脚)の総称として「四肢」という呼び方があるが、それに対してこうしたドラゴンたちは「6肢」だ。ウルトラ非科学的と言おうか……(いや、ファンタジーなんだから、科学を超越しても構わんのだが)。


魚の一種である肉鰭類(シーラカンス等、ヒレが肉々しいタイプ)から両生類に進化して以来、脊椎動物は四肢だ。そこから数が減ることはあっても、それより増えることは基本的にない。だから、6肢の脊椎動物種族はありえないのだ。


だが、GoTのドラゴンは——恐竜時代の翼竜や現代のコウモリ同様に——「翼=前脚」となっている。つまり明らかな四肢動物! 「科学的」「生物学的」に正しいのだ。地球ではない別の世界(季節が不規則だし)を舞台にしているGoTが地球の科学に忠実なのは、ちょっと不思議な気はするが。




こういう「翼=前脚」というタイプのドラゴン。確かにドラゴンには違いないが、サブカテゴリーとして分類名がついている。それはワイヴァーン(wyvern)だ。


日本では一部のファンタジー好きしか知らない名称だが、お隣・韓国ではプロ野球のチーム名にもなっている。その名は「SK Wyverns」。2000年発足、仁川広域市を本拠地とする球団である。



▷「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」は4月15日(月)午前10:00から世界同時放送




▷「ゲーム・オブ・スローンズの歴史学」バックナンバーはこちら


第1回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-1

第2回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-2

第3回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-3

第4回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-4

第5回:ホワイトウォーカーとワイトの違いって何? GoTビーストを一挙総括

第6回:ジョフリーの剣に込められたGoTファンタジーの意外な流儀とは?

第7回:衝撃の「別惑星」説! なぜGoTはファン心理をくすぐるのか

第8回:コスプレイヤー視点でGoTの服を考える 

第9回:ミリオタが「ゲーム・オブ・スローンズ」の”長槍愛”を語る 

第10回:GOTが「熱くなる瞬間」は何時?

第11回:あなたの大剣度は?ゲームオブスローンズの武器のチートシート 


▷☆Taku Takahashiのドラマ・コラム「bfm海外ドラマ部」バックナンバーはこちら

第1回:今からでもまだ間に合う!m-flo ☆Takuが解説「ゲーム・オブ・スローンズ攻略法」



▷『ゲーム・オブ・スローンズ』はこちらで視聴可能

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written by 丸屋九兵衛(@qb_maruya) 

photo:YouTube, Amazon

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