七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-3

bmr編集長、丸屋九兵衛氏が『GoT』を鋭く考察する好評連載、第三章。日本での初ブレイクはここから...!
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2018.08.26 09:17

 やあ、板橋のオベリン・マーテルこと丸屋九兵衛だ。本連載は、そんなわたしがドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(通称GoT)に関するアレコレを語っていくものである。


連載第1回:https://block.fm/news/gameofthrones7_1

連載第2回:https://block.fm/news/gameofthrones7_2




 本家オベリン・マーテル(Oberyn Martell)に股間をワシづかみにされた男といえば、艶めかしい笑顔が素敵なオリヴァー(Olyvar)。この美青年は、のちに「花の騎士」ことロラス・タイレル(Loras Tyrell)とねんごろになる。


 わたしが好きなのは、彼らがピロウ・トークに興じるシーンだ。


 情事の後と思しく、全裸でベッドに横たわる彼ら。ロラスの下半身のアザを見て、その形を「ドーン(国名)に似てる」と決めつけたオリヴァーは、そのあたりをまさぐった挙げ句に、「ドーンに行きたいねえ。僕の経験から言うと、ドーンでは素敵な時間を過ごせると思う」と(例によって)艶めかしく笑う。


 そこにロラスの妹マージョリー(Margaery Tyrell)が「ちょっと兄さん! 王とのディナーの時間よ!」と乱入したことで、このピロウ・トークは唐突な終止符を打たれるのだった。残念至極である……。



 さて、なぜ「ドーンに行きたい」なのか?




 ドーン(Dorne)は七王国(Seven Kingdoms)の一つで、ウェスタロス(Westeros)大陸の最南部に位置する国。そしてもちろん、オベリン・マーテルの故郷だ。


 オベリン・マーテルとオリヴァーの会話を思い出してみよう。ファースト・コンタクトである「股間ワシづかみ」事件ではなく、互いに相手の体を味わった後でのこと。つまり、これまたピロウ・トークである。



オリヴァー「オベリン様は男も女も同じように好きなんですか?」

オベリン「驚くようなことか?」

オリヴァー「両方いける人でも、どちらかというと男好きとか、女好きとか……。誰にだってかたよりというものはあると思います」

オベリン「じゃあみんな損してるな。神々は女性を作った、最高だ。神々はこれも作った(オリヴァーの尻をピシッと叩きながら)、こちらも最高だ。戦争となれば俺はドーンのために戦うが、恋愛では陣営を選ばない」


 これがオベリン節だ!



 もちろん、ドーン人(Dornishme)が全員、揃いも揃ってオベリンみたい(な性豪)と決めつけるのは早計だ。しかし上記のシーンは、男性陣がオベリンとオリヴァー、女性陣が(オベリンの愛人)エラリア・サンド(Ellaria Sand)と売春婦2人という総勢5人体制によるくんずほぐれつである。なんと自由な……。


 また、オベリンが東方の貴族との間に作った娘、ナイメリア・サンド(Nymeria Sand)は双子の女性とベッドを共にしていた……と原作『氷と炎の歌』にはある(ドラマには出てこないが)。


 さらには、貴族の女性が夫以外に公然と愛人を持つこともOKらしいのだ。

 性に寛容な国。それがドーンということか。



 ドーンが寛容で開放的なのは、性的指向に関してのみではない。なんというか、社会全体が他の地域より大らかに見えるのだ。

 最高なのは、他の地域と違ってバスタード(私生児)が蔑みの目で見られないこだ。「私生児は両親の情熱ゆえに生まれた存在。だろ?」とは、オベリンの名セリフである。


 ……あ、結局はこれも「性に対して寛容だから」か?



 ここで、ドーンの相続法を見てみよう。


 その基本は「長男相続」ではなく「長子相続」。つまり、第一子が優先されるのは事実だが、素晴らしいことに男女平等なのだ。例えば、当代のドーン領主はオベリン・マーテルの兄ドラン・マーテル(Doran Martell)だが、その地位は母親から継いだもの。なぜなら、母がその先代のドーン領主の第一子だったから、だ。




 また、原作ではドランの第一子は娘Arianne Martelであり、彼女が次の領主と決まっている。


 とはいえ、他の地方に女性領主がいないわけではない。例えば、ベア・アイランド(Bear Island)を治める少女領主リアナ・モーモント(Lyanna Mormont)が治めるが好例だ。しかし、こうした女性領主登場の背景には、たいてい「先代領主に男児がいなかった」「兄も弟も死んでしまった」等の事情がある。つまり、彼女以外の選択肢がなかったから、ということだ。




 サンサ・スターク(Sansa Stark)も、弟ブラン(Bram)に向かって言っていたではないか。「エダード・スターク(Eddard Stark)の息子であるあなたが、ウィンターフェル(Winterfell)を治めるべき。娘である私や、ハーフブラザーとはいえ私生児であるジョン・スノウ(Jon Snow)ではなく」



 七王国のメインストリームから明らかにズレてるスターク家ですら、この体たらく。なのに、「最初に生まれた女子が家督を相続」と定めているドーン。なんと進歩的なことか……。


 では、なぜドーン社会はこうなのか?


 一説によれば、その起源はドーン人のルーツにあるという。次回は、そこをワシづかみしてみたい。



▷『ゲーム・オブ・スローンズ』視聴はこちら


https://warnerbros.co.jp/tv/gameofthrones

https://www.happyon.jp/game-of-thrones

https://www.star-ch.jp/drama/gameofthrones

https://www.amazon.co.jp/dp/B017S14BBW/ref=cm_sw_r_cp_ep_dp_WGxuBb34GA673



written by 丸屋九兵衛( @QB_MARUYA ) 


photo:YouTube , Nerdist


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