あなたの大剣度は?ゲームオブスローンズの武器のチートシート 丸屋九兵衛の七王国まで何マイル? 「GoTの歴史学」第11回


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前回取り上げたビザンティン帝国の「グリーク・ファイアー」——『ゲーム・オブ・スローンズ』のワイルドファイアーの原型——に限らず、「現代の科学技術をもってしても作れない、再現できない」ものは結構ある。
インドはデリーにある錆びない鉄塔とか、インカ帝国の精密すぎる石材建築とか。
その手の話題になると必ず出てくるのが……ダマスカス鋼(Damascus steel)というやつだ。
というか、この鋼鉄で作った刀剣類、いわゆるダマスカス刀(Damascus steel blade)だな。木目に似た特徴的な模様が浮かぶ美しい刀身は、高い硬度を有しながらも非常にしなやか。錆びないし折れない、欠けることもない。そして恐るべき切れ味。
だが、その製法は歴史の中で失われ、今ではダマスカス鋼/ダマスカス刀を新たに作ることは不可能だという。
……どこかで聞いたような話ではないか? 君が『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンであれば。
というわけで本コラム。髪型はジョン・スノウ(第5シーズンまで)で髭はカール・ドロゴ、性的傾向はオベリン・マーテルだが、最近はサンサ・スタークがボーイ・ジョージに見えて仕方ない丸屋九兵衛がお届けする『ゲーム・オブ・スローンズ』連載である。

ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(通称GoT)の世界というのは……「ポスト・アポカリプティック」(post-apocalyptic/大規模な戦争や自然災害によって文明が滅んだ後)とは言わないまでも、「かつて栄えた文明にはふんだんにあったものが失われてしまった時代」ではあると思う。
その文明とは、ターガリエン家(House Targaryen)の起源である一大文明「ヴァリリア」。そのヴァリリアン・フリーホールド(Valyrian Freehold)が誇った特産物(?)の一つがドラゴンであり、もう一つがヴァリリアン・スティール/ヴァリリアン・ソードだ。
その名の示す通り、「スティール」の方はヴァリリアで作られていた鋼鉄であり、「ソード」はそれを用いた刀剣類である。
その製法はトップ・シークレットであり、ヴァリリアが滅亡して以来、その秘密は失われた。よって、ヴァリリアン・スティールを新たに生み出すことは不可能なのだ。
一説には、ドラゴンが吐く火で鍛えた上に、魔法を混ぜ合わせて鍛えられたとかなんとか。GoTの世界でも「眉唾もの」と片付けられてしまいそうだが、誰も製法を知らない以上、否定も肯定もできない。
そんなヴァリリアン・ソード。とりあえず劇中に出てくるものとしては……

ロングクロー(Longclaw)
本来はモーモント家(House Mormont)で代々受け継がれてきたもので、柄頭はクマさんだった。ジェオー・モーモント(Jeor Mormont)総帥が弟子のジョン・スノウ(Jon Snow)にプレゼントする際に、柄頭をオオカミに変えた(……が、それほどオオカミらしい顔ではない)。サイズ的にはバスタード・ソード!

ハーツベイン(Heartsbane)
ターリー家(House Tarly)の象徴的な剣。だが、シタデルへの入学の途中で実家に寄ったサムウェル(Samwell Tarly)が、それを持って逐電! サイズ的にはロング・ソードか。

アイス(Ice)
スターク家(House Stark)の先祖伝来・家宝的な剣。サイズ的にはツヴァイヘンダー(両手剣)、つまりめちゃめちゃでかい。
アイスの最後の持ち主エダード・スターク(Eddard Stark)がラニスター勢力によって謀反人として処刑された結果、この剣もラニスターに没収されてしまう。
先に書いた通り、ヴァリリアン・スティールを新たに生み出すことは不可能だが、現存するヴァリリアン・ソードを溶かして、鍛え直すことはできる。そんなわけで、アイスは無残にも溶かされてしまい……巨大なツヴァイヘンダーだったので、そこから2本の剣が生まれた。

オースキーパー(Oathkeeper)
タイウィン・ラニスター(Tywin Lannister)が息子ジェイミー(Jaime Lannister)に贈ったが、ジェイミーはブリエンヌ・オブ・タース(Brienne of Tarth)に渡す。「もとがエダード・スタークの剣だったのだから、彼の娘を護る者が持つべきだ」と言って。サイズ的にはロング・ソード。
ウィドウズ・ウェイル(Widow’s Wail)
タイウィン・ラニスターが孫のジョフリー(Joffrey Baratheon)の結婚式で引出物として渡したが……いかんせんジョフリー。その直前にティリオンからもらったばかりの歴史書を破壊するのに使っただけ! のちにジェイミーが所有することになる。サイズ的には短めのロング・ソード。
ちなみに。
原作小説『氷と炎の歌』シリーズにおけるヴァリリアン・ソードには物凄い特徴が2つある。

①黒ずんだ刀身。ということは……GoTの画面上では、他の刀剣と変わらない輝きを帯びているように見えるヴァリリアン描写は、それだけで原作から逸脱していることになる。

②さらには「ヴァリリアン・ソードは研ぐ必要ナシ」とされている。ということは、ウィンターフェル(Winterfell)城内の庭で砥石でアイスの刀身を優しく研ぐエダード……というGoT初期の名場面もありえないということか!
なお、今現在も刃物ショップ等で、「ダマスカス鋼」ナイフというものが売られている。

しかし! これは例の特徴的な「木目っぽい模様」を人為的に再現し、「ダマスカスっぽく」見せたものだという。
つまりこの模様、アナログレコードをサンプリングしたわけでもないのに無理やり挿入された針ノイズみたいなもの。ムード演出のための小細工である。
それを好むのも自由ではあるが。
【七王国まで何マイル?連載シリーズ】
第1回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-1
第2回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-2
第3回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-3
第4回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-4
第5回:ホワイトウォーカーとワイトの違いって何? GoTビーストを一挙総括
第6回:ジョフリーの剣に込められたGoTファンタジーの意外な流儀とは?
第7回:衝撃の「別惑星」説! なぜGoTはファン心理をくすぐるのか
第9回:ミリオタが「ゲーム・オブ・スローンズ」の”長槍愛”を語る
第11回:あなたの大剣度は?ゲームオブスローンズの武器のチートシート
第12回:ゲームオブスローンズのドラゴンが一瞬で好きになる、見分け方とは?
第13回:GOTの大いなる伏線! スタークとダイアウルフで分かる重要設定とは?
第14回:スターク家の後継者はサンサかジョン・スノウか?GoTの王位継承制度とは
▷『ゲーム・オブ・スローンズ』視聴はこちら
https://warnerbros.co.jp/tv/gameofthrones
https://www.happyon.jp/game-of-thrones
https://www.star-ch.jp/drama/gameofthrones
https://www.amazon.co.jp/dp/B017S14BBW/ref=cm_sw_r_cp_ep_dp_WGxuBb34GA673
written by 丸屋九兵衛(https://twitter.com/qb_maruya)
photo:YouTube, Amazon
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