ゲームミュージックからインスパイアされた海外DJやプロデューサーとは?

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音楽を感じる場は、それぞれあるかもしれないが、ゲームも音楽を感じるその一つの場。
今となっては、ゲーム機と育った世代が大人になるにつれ、ゲームを通じて音楽を発信するのも広がりつつあるだろう。意外にも、日本のゲームから影響を受け、ゲーム音楽にも提供しているプロデューサーやDJもいるのだ。
『インベーダーゲーム』からサンプルし名曲を産んだ伝説のテクノユニット
70年代~80年代に流行りだしたパックマンやインベーダーゲームから、8ビットサウンドが多くの人たちの耳に残るようになった。伝説のテクノユニット、Yellow Magic Orchestra(イエロー・マジック・オーケストラ)は、当時人気のアーケードゲーム『インベーダーゲーム』のゲーム音を利用し、曲を作るという革命的な音楽制作をした。
日本を代表するRPGやリズムゲームの名曲は、海を越えて多くのミュージシャンたちを魅了した
また、RPG(ロール・プレイング・ゲーム)が栄えてきた頃には、『ドラゴン・クエスト』シリーズや『ファイナル・ファンタシー』シリーズでは、音楽がより一層そのRPGの冒険の世界をプレイヤーたちに惹きつけたのである。今ではメジャータイトルのアイコニックなゲーム音楽のオーケストラ公演などもあり、チケットはすぐさまソールドするほどの人気でもある。音楽プロデューサー兼DJで活躍するFlying Lotus(フライング・ロータス)は、『ファイナル・ファンタジー』の曲からも影響を受けたと公言するほど、現役ミュージシャンたちへのゲーム音楽から影響は強い。
そして90年代後半から2000年代前半では、音楽が主流となったゲームも人気となった。『ダンス・ダンス・レボリューション』、『パラッパラッパー』、『beat mania(ビートマニア)』、『pop’n music(ポップンミュージック)』などのリズムゲームが流行り、ゲームと音楽がより一層密接するようになった。このようなリズムゲームでヒップホップ、トランスやテクノなどのジャンルを知るようになった人も多くいるだろう。現在、VIRTUAL SELF(バーチャル・セルフ)としても活躍しているアメリカ出身のDJ兼プロデューサーのPorter Robinson(ポーター・ロビンソン)も、アーケードゲームの『ダンス・ダンス・レボリューション』からダンスミュージックの存在を知り、独学で作曲をするようになったと公言している。このように、若手のDJやトラックメイカーたちは、ゲーム音楽からクラブミュージックへの入口となったと声が多い。
ゲームファンでもあり、ゲームミュージックも提供するDJたち
ゲームミュージックコンポーザー以外にも、様々なフィールドで活躍するアーティストやミュージシャンたちも、ゲームでのサウンドトラックに参加したり、監修を行っていることもある。例えば、言わずと知れた、ダンスミュージック界の鬼才でもあるSkrillex(スクリレックス)自身も、ゲームのサウンドトラックに参加している。 日本未発売のPS3のFPSゲーム『Syndicate』のメインテーマを手掛け、また日本発のゾンビアクションゲームの『ロリポップ・チェーンソー』ではSkrillexの名曲「Rock n Roll (Will Take You to the Mountains)」が収録されている。Skrillexの楽曲は欧米のみのタイトルだけではなく、日本のゲームクリエイターの中でも評価されていることが分かる。
Syndicate - Skrillex
Lollipop Chainsaw OST - Rock n Roll (Will Take You to the Mountains)
アンダーグラウンドミュージックの席巻者ともいえるHudson Mohawke(ハドソン・モホーク)も、人気ゲームシリーズのサウンドトラックを手掛けている。UBISOFTの『ウォッチ・ドッグス』は主人公がハッカーとなり、繰り広げるミッションをクリアして行くという、ゲーム性が複雑かつやりがいのあるシリーズであり、多くのゲーマーから高い評価を得ている。そのデジタル世界により没入させるためにも、Hudson Mohawkeのアンダーグラウンドのグリッチホップのサウンドが相まって、さらにデジタル感を増すのである。
Hudson Mohawke - Watch Dogs Theme
Hudson Mohawke - Play N Go
今まではゲームは批判の対象として扱われてきたが、このようにゲームによって新たなアーティストたちにインスピレーションを与えている。私たちの遊びをより一層楽しませてくれるゲームミュージックは、大きなエンターテイメント作品と成り立っているのだ。ゲームを遊んでいる際には、少し耳を傾けてみるのもいいかもしれない。
Photos:
https://www.pexels.com/photo/reflection-playstation-pad-gaming-18174/
Written by 編集部