Furui Rihoインタビュー|ゴスペルをルーツに持つシンガーが、今たどり着いた“ありのままの自分”で歌うこと

北海道出身・在住のシンガーソングライターFurui Rihoが語る、自身のルーツと転機。
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2020.08.11 08:00

北海道出身・在住のシンガーソングライターFurui Rihoが、早耳の音楽リスナーの間で話題になっている。7月には、2000年代初期のJapanese R&Bを感じさせるトラックに、透明感がありながらも力強い歌声がのった最新曲「I'm free」をリリース。今後の活躍を期待させるFurui Rihoに、彼女のルーツや転機、最新曲でタッグを組んだプロデューサー、Shingo.Sとの制作について話を聞いた。



Furui Riho(フルイリホ)
自身のルーツであるゴスペルから生まれた、ソウルフルな力強さそして透明感のある歌声を武器に、自身で作詞・作曲・編曲に携わる表現者。グルービーなサウンドだけではなく、心に訴えかけるそのリリックは彼女の人生そのものである。音楽作家としても活躍の場を広げこれまでには Digz,Inc.Group が主催するクリエイターズコンテストで総合グランプリを受賞したほか、 Little Glee Monster などのメジャーアーティストにも楽曲を提供している。 また北海道において「このまま君と」が JR タワー札幌 CM タイアップ曲 として採用され地元札幌で親しまれている。





ルーツはゴスペル。教会で観たライブに心打たれて、歌を始めた。


ーまずはFuruiさんのルーツについて聞かせてください。音楽を好きになったきっかけはなんですか?


Furui Riho(以下、F):うちは家族全員が音楽好きで、常に音楽がそばにあるような環境で育ったんです。本当に大好きになったきっかけは、小学校5年生のときに近所の教会でゴスペルライブを観たことですね。地元のファミリークワイアのライブだったんですけど、自分と同じくらいの子どもたちが楽しそうに歌ってるのを観て、私も仲間に入りたい!と思ったのを覚えています。


ーそこからクワイアに入ったんですか?


F:はい、大学生までずっとクワイアで活動してました。教会や老人ホーム、地元のショッピングモールで歌ってましたね。


ーそんな中で、Furuiさんが影響を受けたアーティストは誰でしょう?


F:たくさんいるんですけど、自分のルーツはやっぱりゴスペルの音楽。特にカーク・フランクリンという、グラミー賞を何度も獲った素晴らしいシンガーに影響を受けました。そもそもゴスペルというのは教会の礼拝で歌われるものなので、聖書から引用されている歌詞なんですが、彼はそのゴスペルをポップカルチャーと融合させるのが上手なんです。クリスチャンじゃない人でも共感できる愛とか希望のメッセージを伝えています。サウンド面でも、これもゴスペルなの?なんて思わせてくれるような、ちゃんとその時代のトレンドをしっかり取り入れて楽曲を作られていて、もうそれがとにかくカッコいい。




ちなみにシンガーとして声や歌い方が大好きだったのはマライア・キャリーですね。マライアのライブをビデオテープで観て、何度も巻き戻しながら彼女の歌い方を研究してました。「Emotions」が一番好きです。シンプルな楽曲なのに、いつ聴いても気持ちがあがります。


ーFuruiさんが思う、ゴスペルの魅力ってなんですか?


F:ゴスペルには目に見えないパワーがあって、私は最初そういうことも知らずに、「大きな声でみんなで歌って楽しいな、カッコいいな」くらいに思ってたんですけど。よくよく掘り下げていくとその歌詞に励まされたり、歌ってると時々言葉には表せられないような感動が押し寄せてくるんです。今のポップ・ミュージックのほとんどはゴスペル音楽にルーツがあると言われてますし、つくづくすごい音楽なんだなあと。


そんな音楽に影響されて、自分自身も今「愛」っていうテーマを大事にしているし、ゴスペル特有のグルーヴ感も楽曲に生かされてるのかなとも思います。ゴスペルに出会ってなかったら今の私はいないですね。




ークワイアで活動しつつ、ご自身でオリジナルの楽曲を作り始めたのはいつ頃からですか?


F:高校の音楽の授業中に、ピアノで作って友達に聴かせたのがはじまりですね。ピアノで簡単なコードをおさえて、つたない感じで作ってました。その頃の曲は、今じゃ恥ずかしくて聴けないです…。「行かないで」とか「会いたい」とかそういう系の、重めの歌詞を書いてました(笑)。


ー本格的にソロシンガーとして活動を始めたのはその後?


F:大学1年生のときですね。ゴスペルを通じて知り合ったボイトレの先生のスクール発表会に出たのが、ソロで初めてのステージです。今でも覚えてますが、人生で一番緊張しました。でも終わった後は先生もお客さんも褒めてくれて。クワイアと違って、1人でステージに立って歌ったのを認めてもらえたのはとても嬉しかったですね。


ーそれからは札幌を拠点に活動していたんですよね。


F:はい。地元のライブハウスやショッピングモールで歌って、たまに東京でライブして、という感じです。最初は自作曲が少なかったので、マライアやアリシア・キーズのカバーも歌ってました。


ー楽曲はどんな流れで制作することが多いですか?


F:先に歌詞を書いて、その後に歌詞にあうメロディをつけることが多いです。メロが先だと、歌詞を当てはめる作業に時間がかかっちゃって。


ー歌詞のインスピレーションはどんなときに湧きますか?


F:最近は、日頃から自分の感情を書き溜めるようにしてるんです。今日だったら「取材してもらってありがたいな」みたいなメモとか。毎日違う感情が生まれていて、それを忘れちゃったらもったいないので。歌詞を書くときはそこから拾って書くことが多いですね。


ートラックもご自身で?


F:基本的には自分で。配信リリースしている曲は、私がベースを作って、それを元Galileo Galileiのメンバーの岩ヰフミトくんにブラッシュアップしてもらっています。彼と制作することが多いですね。あとはJazadocumentっていうラッパーとも一緒に活動してます。今までのMVはすべて彼が撮ってくれてるんです。


ーラッパーであり、映像ディレクターでもあるってことですか?


F:そうです。とてもマルチな人なんです。岩ヰくんもマルチで、写真も映像も楽曲制作もできるし、ソロのシンガーとして活動もしてる人なんですけど。そんな才能ある2人に支えられながら、ここ1年は活動しています。



ーFuruiさんが活動されてる札幌の音楽シーンについても少しお聞きしたいなぁと思っていて。札幌の音楽シーンにはどんな良さがありますか?


F:そうですね、最近気付いたんですけど東京は箱ごとにヒップホップ、ハウス、ってジャンルが分かれてる印象があるんですが、北海道は箱の数も少ないのでロックバンドが演奏したライブハウスでクラブイベントをやるとか、結構ジャンルがごちゃまぜになってるんです。なので、地元のアイドルさんたちが衣装とか片付けてる横で、サングラスとタトゥーのイカツイお兄さんたちが、「お疲れーす」みたいに入ってくる光景は、今考えたらめちゃ面白いなって思います(笑)。


ー箱でジャンルやコミュニティが固まってないというのは、新しい音楽やアーティストとの出会いが多そうですよね。今Furuiさんが札幌で注目してるアーティストはいますか?


F:HIPHOPだと、ざきのすけ。くんっていう19歳のラッパーがかっこいいですね。あとは、ネットでカバー動画をあげてる川崎桃佳ちゃんっていう子も好きで聴いてます。






音楽と真剣に向き合う覚悟を決めたら、取り巻く環境が変化し始めた。


ー続いて、Furuiさんの楽曲について聞かせてください。配信リリースされている一番最初の楽曲は「Rebirth」ですが、それ以前に作られた楽曲はCDでリリースされたりしてるんでしょうか?


F:そうですね。配信リリースは「Rebirth」が最初です。


ーなるほど。「Rebirth」って“それ以前”を暗に感じさせる単語だと思っていて。配信リリースの一番最初の楽曲にこのタイトルをつけたきっかけを聞きたいなと思っていたんです。


F:「Rebirth」は私の転機になった曲で、この曲の前と後では私の音楽に対するモチベーションが全然違うんです。この曲の以前は、結構ダラダラと音楽をやってきちゃって。「音楽で食べていきたい!」と言うわりには、数ヶ月曲を作らないとか、ライブをやらないとかもありました。音楽を真剣にやっていく覚悟ができてなかったんです。


今考えると、他に大切なものがあって音楽に集中できてなかったんだなって思います。その時に付き合ってた人がいたんですけど、彼はとても才能があって、自分を持っていて素晴らしい人でした。私の人生の大きな部分を占めていました。その人とお別れしたときに、もう誰にも頼れない、1人で歩いて行くしかない、「こんな私じゃダメだ!」って気づいたんです。


それで音楽に本気で向き合おうと覚悟を決めて出したのが「Rebirth」でした。この曲がなかったら今の私はいないと思うし、この曲のおかげで繋がりも増えて東京にも呼んでいただけるようになりました。彼にはとても感謝しているし、これからもずっと自分にとって大切な曲だろうなと思います。



ー変わる決意をして「Rebirth」というタイトルをつけて出したら、取り巻く環境が本当に変わってきたんですね。すごい。「Rebirth」以降、音楽への向き合い方が変わって、自分が作る楽曲にも変化はありましたか?


F:より楽曲に対してシビアになりました。このメロディは歌詞とリンクしてるかとか、サウンドは今っぽいかとか。北海道だけじゃなく全国で戦えるレベルの曲になっているかっていうのを考えながら作るようになりました。


ー最新曲「I’m free」は、ありのままの自分でいることへのメッセージを歌った楽曲とのことですよね。このテーマで曲を作ろうと思ったのはどうしてですか?


F:私、頭の中に浮かんだ映像に合わせてメロディや歌詞を作っていくことが多くて。この曲のトラックはプロデューサーのShingo.Sさんからもらったんですけど、初めて聴いたときに“女の人が自由に青空の下で踊ってる映像”が浮かんできたんです。なにかから開放されて喜んでる、そういう気持ちを歌った歌にしたいと思って作りました。


ー「I'm free」の歌詞のように、ありのままの自分でいることの大切さを感じたご自身の体験はありますか?


F:大学1年生くらいの時、今とは違う意味ですごく自分に自信があったんです。ソロで歌い始めてからみんなにチヤホヤされて。バイトでも認められて東京で表彰式に出たりとか、「自分ってやれば出来るんじゃん」って思って調子に乗ってました(笑)。でもその後いろんな出会いがある中で、自分よりもすごい人にたくさん出会って、がっちり鼻をへし折られたんですよね。


そこから自信をなくしてしまって、自分自身を誰かと比較したり、誰かの目を気にして本当のこと言えなかったり。本当に長い間自分探しをしていました。でもカナダに1年間留学したのをきっかけに「自分を許してあげる」ということを学んだんです。自分はダメなやつだけど、世界に1人しかいない自分だから。しょうがないからありのままを愛してやろうと思いました。そう思ってから生きるのがすごく楽になりましたね。




ーそういった過去の経験がこの曲でも活きているんですね。プロデューサーのShingo.Sさんとはどういう経緯で出会ったんですか?


F:7、8年前、私が東京でライブをしたときに観てくださったのがご縁です。いつか一緒に曲を作りたいとずっと思ってたんですけど、最近満を持してお願いしてみたら、「ぜひやろう!」と言ってくださって。すごく嬉しかったです。


ー最初にトラックを聴いたときの印象って覚えてます?


F:懐かしさを感じました。Shingoさんいわく、少し前のJapanese R&Bをイメージしたそうです。そこに「今っぽいメロを載せて」と言われて。これは難しいぞ、って思いました(笑)。


ーその懐かしい感じに引っ張られそうですよね。


F:まさにです。本当に引っ張られたメロになっちゃって、何度も作り直しました。


ー制作の中で印象的だったことはありますか?


F:Shingoさんに「Rihoちゃんはライブでノリやすい曲を持ってないよね」と言われたことですね。「みんながのれる曲はライブで絶対必要だよ」と。今までは自分の好きなようにしか作ってこなかったんだな、と改めて気づきました。楽曲制作も客観的な視点が必要なんだと勉強になりましたね。あとは、この曲は本当に完成するまで難しかったので、制作面でも鍛えられたかな。懐かしさを感じる部分と今っぽさの融合で本当に苦労したので。出来上がったときは達成感がすごかったですね。



ー今後はどのような形での活動を予定していますか?


F:8月のなかばに配信ライブとリリースパーティーを予定しています。ライブはやっぱり楽しみですね。札幌から東京に来ることも楽しいです。東京に来るとアーティストとして自分と同じような悩みや考えを持ってる人がたくさんいて、みんなキラキラというか、いい意味でギラギラしてるので、それがすごく刺激的なんです。


ーその刺激がまたいい曲を生みそうですね!リリースの予定はありますか?


F:EPのようなまとまった形での作品を、年末か来年には出したいです。産みの苦しみを乗り越えられるように、がんばります!




【ライブ情報】


2020年8月13日(木) 20:00

 “Bringly up Online -vol.2-“


〈LIVE ACT〉 Furui Riho / さとうもか

¥1,500 (+tax)

配信チケットの購入はこちら

https://qumomee.toos.co.jp/products/0813bringlyup_vol-2




2020年8月20日(木) 20:00

aimi × Furui Riho

– Double Release Party –





20:00 ~ LIVE STREAM

¥1,500 (+tax)

【限定15名】会場観覧プレミアムチケット


¥4,000 (+1order1drink)

配信チケットの購入はこちら

https://muser.link/#0820-1

 


Furui Riho


OFFICIAL WEBSITE

http://www.riho-music.com


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photo by Ki Yuu


written by Moemi






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