『FREE MEEK』人気ラッパーを縛り続ける壊れた正義とは。Amazonプライム・ビデオより配信開始

Meek Millの半生を追ったドキュメンタリーが公開に。Jay-Zを始めヒップホップ界全体が抗議の声を上げていたMeek Millの逮捕。彼は19才の時より11年間もの執行猶予を受けていた。
SHARE
2019.08.20 09:00

アメリカの人気ラッパー、Meek Mill(ミーク・ミル)。その荒々しいラップと真っ直ぐに見つめる目線が彼の特徴だ。そんな彼はアメリカでも有名な犯罪都市、ペンシルバニア州ノースフィラデルフィアで生まれ育った。貧困地区に生まれた彼は類にもれず、壮絶な幼少期を過ごし、危険なコミュニティに入り込みラッパーとしての活動をスタート。今ではラッパーとして何万人ものファンから歓声を受ける彼だが、そこまでの道のりは簡単なものではなかった。いや、その戦いはまだ続いているのだ。


8月9日にAmazonプライム・ビデオ限定で配信が開始されたMeek Millの半生を追ったドキュメンタリー『FREE MEEK』では2007年の銃と薬物がらみの事件に端を発したフィラデルフィア 、強いてはアメリカ全土に蔓延する壊れた正義についての現状を知ることができる。






突きつけられた19項目の罪状


2007年1月。従兄弟たちと住んでいた家から深夜に外へ出たMeek Millは駆けつけた警官によって逮捕された。その時、銃を所持していたことは認めているが発砲はおろか、警官に向かって構えてもいないと話す。しかしその逮捕によって裁判所に提出された罪状には脅迫、過失傷害、規制薬物の所持をはじめとする19項目もの罪が記載されていた。「テロリストでもない限りありえない」。Meek Millはインタビューでそう応えた。ドキュメンタリーの後半でも話されることだが、仮に黒人の若者が警官に向けて銃を構えていたとすれば、結果がどうなっていたか。近年の警官による市民への発砲事件を考えればわかることだろう。


家族の助けもあり保釈金を支払うことができたのは逮捕から7ヶ月後。しかしそこから10年以上にも渡る執行猶予生活が始まった。皮肉なことに、この件による将来の不安からMeek Millは以前にも増して音楽に没頭していくことになったと話す。弁護士を雇ったものの、司法制度の知識もなく裁判に向けた十分な準備ができないことは貧困層ではよくある話で、彼も例外ではなかった。


最初の裁判に出席した際、判事が黒人な事を幸運だと思ったMeek Millだが、ここから担当判事であるBrinkley(ブリンクリー)裁判官との長い戦いが始まることとなった。





成功を縛り続ける制度


最初の刑期を終えてから10年の保護観察生活が始まったMeek Mill。この間、あらゆる行動において裁判所への報告が必要になる。ミックステープの人気で名前を上げた彼はマイアミの人気ラッパー、Rick Ross(リック・ロス)の目に留まり彼のレーベルと契約に至った。その後Jay-Z率いる「Roc Nation」とマネジメント契約も果たし、Rick Rossもフィーチャリングで参加しているMeek Millの代表曲のひとつ「Ima Boss」の大ヒットで順風満帆なアーティスト生活を送るかに見えた。


2012年、デビューアルバム『Dreams and Nightmares』のライブで移動を続けていたMeek Millはニューヨークを襲った台風の影響で地元フィラデルフィアからジェット機でアトランタに向かおうと進路を変更していた。道中で警官に止められた彼は立ち寄る予定のなかった街にいた事を理由に裁判所に呼び出され、その後市外に出ることすらも禁じられたのだ。2012年から2014年の間で保護観察中の審問が8回、遵守事項違反3回、違反行為0回。それでもこの制度は彼を縛り続けた。




#FreeMeekMill


刑務所、自宅拘禁、保護観察生活の繰り返しの中で2017年11月のニューヨークでの逮捕を皮切りに事態は社会現象にまで発展する。Meek MillのビジネスパートナーであるJay-Zも自身のFacebookページにて「不当で高圧的な判決だ」と裁判官を批判した。そうして多くのアーティスト、ファンを中心に「#FreeMeekMill」 運動は広がり、テレビ局も取り扱うほどに。


検事による、裁判官の有罪判決には信憑性がないという主張が認められ、2018年4月に釈放されたMeek Millはその足で地元フィラデルフィアのNBAチーム76ersの試合会場へ向かい多くの地元ファンから歓迎された。そして2018年11月にリリースされたアルバム『Championships』はビルボードでも堂々の第1位となりここ日本でも多くのリスナーが耳にしたことだろう。




ようやく生活の安定を手にしたかに見える彼だがまだ戦いは終わっていない。現在Jay-Zや76ersのオーナーでもあるMichael Rubin(マイケル・ルビン)らとともに司法制度改革に向けた組織「REFORM Alliance」を立ち上げ、活動を続けている。自身の経験を踏まえ、同じ経験を同じ境遇にある他の家族にさせず、不当な判決で人々が苦しめられることのないように。


現在アメリカの成人逮捕者で施設に入っている人数は約223万人。保護観察下、仮釈放中の人数はおよそ2倍の454万人にものぼる。



written by BsideNews


source:

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07VVMLLWK/ref=cm_sw_tw_r_pv_wb_nCbWN0BXQ05Bx


photo: meekmill.comwww.amazon.co.jp




SHARE