FPM田中知之、☆Taku Takahashi・i-depナカムラヒロシと共に2018年のクラブシーンを語る

FPM田中知之とi-depナカムラヒロシ、☆Taku Takahashiと共に2018年クラブシーンを振り返る。
SHARE
2018.12.19 10:00

毎月block.fmで放送中の、日本を代表するDJの二人、FPM田中知之とナカムラヒロシ (i-dep)がお送りする、DJ視点によるクラブミュージックシーンのラジオ番組「「温故知新」。今回の番組では、☆Taku Takahashiをゲストに迎え、2018年のクラブシーンを振り返りました。




アーカイブ放送はこちらで聞けます。


「温故知新〜own kool, check things…」


https://block.fm/radios/102



配信日:毎月第一木曜日 22:30 - 24:00



DJ:田中知之 (FPM)、ナカムラヒロシ (i-dep)



☆Taku:オーディエンスのレーダーが…まあ毎年そうなんですけど、今年は空振りかホームランかがすごい激しい年だったなっていう。



田中知之:DJの時のお客さんのリアクションっていうことですね。いや、おっしゃる通り。僕もそうですね。



☆Taku:僕、結構覚えているんですよ。今年ホームランだったのは、加賀温泉郷フェス。加賀温泉郷は完全にホームランでした。あとはね、僕はageHaがあんまりヒットしないんですけど、ageHaの『ASOBINITE!!!』がなぜか、めちゃくちゃホームランになった。しかも、僕のスタイルって僕っぽいのがあるじゃないですか。ハードなエレクトロもかけるし、テクノもかけるし、ドラムンベースも。いろいろと混ぜるのが好きじゃないですか。幕の内弁当感がすごい好きで。しかも、BPMが違う幕の内弁当みたいなのをするのが好きなんですけど…でも、すごくテクノ的なものもいい感じに。『ASOBI』って、これは誰かDJが言っていた名言があって…「ヤスタカ地蔵」っていう(笑)。



田中知之:ヤスタカ地蔵ね。ヤスタカ地蔵尊ですね(笑)。



☆Taku:これ、ヤスタカさんは全然悪いわけじゃなくて、中田ヤスタカさん待ちでずっと陣取っていて動かない人たちがいる。DJたちが頑張ってかけるんだけど…これ、ヤスタカさんだけじゃなくて「外タレ地蔵」もいっぱいいるんですけど。どっちかっていうと外タレ地蔵の方が多いかもしれない。ヤスタカさんのファン、だいぶ最初の頃よりもすごく…。



田中知之:地蔵じゃなくなってきた?



☆Taku:うん。その日丸々楽しむ様になっていったっていう、これはまあ『ASOBI』の歴史でもあるんですけど。みんなが積み上げてきた歴史だと思うんです。そう。あの日は僕、ホームランだったのと、あともう1つぐらいだったな、ホームラン。どこだっけな?まあ、ホームランは3つぐらいですよ。



田中知之:もちろん本人だから厳しめにジャッジをしていると思うけど。で、僕はホームランは神社ですね。



☆Taku:ああ、神社ね!あれ、すごかったっていう。



▼FPM田中知之が、富知六所淺間神社でしか味わえない奉納DJの盛り上がりを語る

https://block.fm/news/fpm_tomoyukitanaka_fujiroku



田中知之:富知六所淺間神社。俺、あそこはタクとかも紹介したいね、本当に。この番組でも言わせてもらったけど、町をあげての盆踊りですよ。お盆の日、8月15日。おじいちゃんもおばあちゃんも子供も来ていて。で、雨が降って、止んで。奉納をしてDJをやって。で、みんな「なにしてんのやろ?」って見に来ていて。で、サウンドシステムはわがままでトチボリさんに入ってもらって。eastaudioのVOIDっていう、それこそULTRAにも入っているような。この間、DIPLOがDJしたDiorのショーの会場にも入っていたような、そういうちゃんとしたサウンドシステムを神社の境内に組む。で、そこにナカムラくんも見に来てくれて。



ナカムラヒロシ:そう、行って。



田中知之:僕もどんなDJをすべきか?ってすごく考えて。たとえば「みんなが知っているような曲をいっぱいかけるべきなんじゃないだろうか?」とか。「歌謡曲をかけるべきなんじゃないだろうか?」「おばあちゃんもいるし、演歌をかけるべきなんじゃないだろうか?」って。結局下した決断が、自分が作ったオリジナル、もしくは自分がリミックスで携わった音源だけでセットをやろうっていう風に、DJを始める寸前、5分ぐらい前に決めてやったんですけども…まあ、見事にハマりましたね。



ナカムラヒロシ:もう記憶に残るプレイやった。僕、遊びに行っていて思ったんですけども。なんでかっていうと、雨も上がって、プレイが始まって。



田中知之:ちょっと神がかっていた感じもしたよね。



☆Taku:出た、晴れ男説(笑)。



田中知之:でもね、途中で降るんですよ。最高潮の時に。もうフェスやん。富知六所浅間神社でFUJI ROCKやなっていう話で、まさにそうなって。だから、結局言い方は悪いけど、いちばん自分が…もう、そこで変な話コケても誰も責めない現場でしょう?言うたら。そこがいちばんよかったんですよ。で、そういうことを考えると、もはやクラブでなくてよくね?みたいな話がやっぱりいろんなところで聞かれるわけですよ。



☆Taku:はいはいはい。



田中知之:そうだからっていうわけじゃないけど、この前、大沢(伸一)くんと、その友達とか知り合いだけを招待したシークレットパーティーをやったんですよ。



☆Taku:あの携帯を預かるっていう?



田中知之:はい、そうです。水曜日にやったんで、『Big Wednesday』っていうタイトルで。これはみなさん、行きたくても申し訳ないことになかなか、みなさんをお呼びできないパーティーなんですけども。そこはもう、携帯電話を入り口で預かることにしていて。過去、大沢くんはそういうパーティーを何度かやっているんだけど、今回もそのコンセプトで行こうって。もう携帯が取り上げられるだけで、音楽・ダンスミュージックに対する集中度ってめちゃめちゃ上がって。で、みんなが完全にもう音楽にも集中してるんですよ。



☆Taku:うんうん。



田中知之:で、もうめちゃめちゃ盛り上がったよね。すっごい。



☆Taku:まあ、その携帯ね。それこそ、どっちかって言うと自分のプレイ中とか動画を撮って拡散するのは大歓迎なんですけど、やっぱりなんか、撮られてるより踊っていてもらいたいなーっていうのは…。



田中知之:そうなのよ。だから、結局自分もその反省点があって。その、やっぱり何か音楽に陶酔するとかはまり込んで行くとか、ダンスミュージックの海に飲まれてウワーッ!って気持ちいいとかっていうのが、やっぱり一旦これ(携帯)が気になると、遮断されるじゃん? それが「LINE入りました(ピコリーン♪)」っていう音なのか。



☆Taku:っていうか、たまに最前列で文字打っている子とかいますからね。



田中知之:いるいるいる。だから結局、自撮りをすることだけに集中して、アーティストが怒ったみたいな話が今年もニュースになってたじゃないですか、ライブで。だからそういうことで、やっぱりこっち(携帯)がメインになっちゃうとか。その現場でエクスペリエンスを楽しむんじゃなくて、ここに記録を残すっていうことがメインになってしまっているんじゃないか?っていう話になって。だから、面白いよ。待ち合わせ1つできないですよ。いま、本当に。



ナカムラヒロシ:携帯がないクラブの何がいいって、何もできないのがいいんですよ。



☆Taku:っていうか、いわば90年代トレンディドラマすれ違い体験ができるんですね(笑)。



田中知之:そう!できるできる!入ってきても、「来ないから帰ろう」って帰ったその直後に来たりとかして。それを俺ら、見ているから。「うわっ、お前、みんな待っていたのに、もう帰っちゃったよ。」みたいな話をしていて。でも、そういうすごいアナログな感じがめちゃめちゃ新鮮で。



ナカムラヒロシ:「お久しぶりです。連絡先を交換しましょうよ」ができないっていう。



☆Taku:でも、紙とペンの方がまたイケてる感じ、しますよね。



田中知之:そういうことになったりとかしてね。だから、それはクラブというほどの場所でもないような、クラブのようなっていうね、ちょっと場所も秘密なんで言えないんですけど。まあ、そういう体験をしてもらおうというパーティーをゆるりと始めたのが大沢くんで、僕もゲストに呼んでもらったっていうのがちょうどこの1ヶ月にあったんですけど。



田中知之:だから、本当にダンスミュージックRadio Stationとしてblock.fmが「ダンスミュージック」っていうものを、まあクラブ限定で発信していかないからこそ、こういうところにあって。で、タクちゃんがやっぱりそのblock.fmとしてのパーティーもいま、109の上のところの…。



☆Taku:MAGNETね。109メンズ館がMAGNETに変わって。



田中知之:そう。MAGNETでなんかパーティーをやっていきましょうって。あれもまあ、言ったらルーフトップですよね、場所は。



☆Taku:ルーフトップ、夏はね。あれ、ルーフトップのところはすごく雰囲気がいいですよね。



田中知之:だから僕もクラブじゃないところでパーティーをやりたいっていうのをずっと思って。いまURBAN RESEARCHっていう、ずっと昔から一緒にやらせてもらってるセレクトショップの斎藤くんっていうPRのトップと一緒にいろんなところでやってて。それがたとえば、京都の祇園のビルの屋上にあるルーフトップバーだったり、今度は電車の中でやろうとか言っていて。



☆Taku:なんか、『HYPER SOCIETY』のスピンオフみたいな感じですよね?



田中知之:そうなんです。まさにそうなんですよ。だからそういうことをやってきている中で、それはもうクラブっていうことを否定するわけじゃないけど、じゃあクラブじゃないところでもそういう音楽体験、DJ体験、クラブ体験をできるんじゃないか?っていうところからスタートしたけれども。いま、逆に軸足がそっちにあるんじゃないか?ぐらいなことになってきているっていう。だからそれはもう、なかなか悩ましい現状でもあるんだけど。そういうところで、大人の人も変なところで会った方が燃えるっていうかね。



ナカムラヒロシ:うん。



田中知之:たとえば、京都のWORLDの17周年を琵琶湖の上の船でやったんですけど。だから、そういう体験には大人の人は重い腰を上げて来てくれます。じゃあ、それが同じ17周年がクラブ、WORLDで普通に行われた時に、これだけのメンツが集まってくれたんだろうか?っていうのはすごく…。



☆Taku:まあ、「本能」と「煩悩」がなきゃダメだと思うんすよ。それこそ、ATOMに行く子たちとかってやっぱり、それぞれ出会いを求めて来ている人たちが多いし。あとは音箱に来てる人たちって新しい音の刺激を求めているんですけど。で、歳を取っていくと、だんだん本能と煩悩がくすぐられづらくなってくる。だんだん不感症になってくるっていうか。で、なおかつ「若い子たちがギラギラしてるのもちょっと違うよね」とかっていう感じになるし。じゃあ、いまの若い子たちの音箱っていうところのその本能がすごく刺激されるようなサウンドっていうのは、ちょっと外タレ寄りになっちゃっているのかな?っていうところが、クラブっていうのが本能と煩悩的に言うと、今難しいところなのかなって感じたりするんですよ。



田中知之:そうだね。だからもちろんアンダーグラウンドなシーンはあるし、いまだにそういう部分では頑張っているDJもいるから、一概にすべてを決めつけることはできないと思うけど、概ね僕もタクの意見。それに僕は本当に賛成だね。だから、残念ながらそこの煩悩と本能を刺激するようなコンテンツをクラブサイドもDJサイドも出しきれてないっていうね。



☆Taku:だってね、もうこれが生まれて30年?もっと経っていません?40年とか…。



田中知之:そら、そうなるわっていう話やな。



☆Taku:ハウスが生まれてもう40年近くじゃないですか。そうなると、だって2020年でしょう?で、ハウスって80年ぐらいからできているでしょう?もう40年近くなって。ターンテーブルがあって、ミキサーがあって…って、もう当時はなんかもう革命的な「ディスコと違うよ!」っていうのが生まれて。そこからいろいろとそういう視覚効果、VJを入れるようになったりとか色んなことが起こってきてるけど、結局ちょっとルーティン化しすぎちゃったのと、あとはリクープするポイントが「集客をこれくらいしないと黒字にならないよ」っていうところがちょっと上がっちゃってて。そこがねじれちゃってるっていうか。そこがあるんじゃないかな?



田中知之:当然、あるね。だからその、結局アンダーグラウンドなところはちっちゃい収支で賄えるし、そこの世界観っていうのでまあ、ひとつの決着ができるっていうかさ。でも、大きな箱はそれが決着できないじゃないですか。で、結局アンダーグラウンドなものからオーバーグラウンドの中のなんか厚い層を賄えないっていうか。結局。で、やっぱりたとえばでっかいフェスとか…ロックフェスはそこらへんがうまい具合に機能しているっていう。たとえばFUJI ROCKとか。それは別にFUJI ROCKじゃなくてもいいんですけど、ロックフェス。で、大小のステージがあって、そこが全体的にうまい具合に巡り巡りになっている。



☆Taku:循環する感じね。



田中知之:そうそう。循環する感じで。たとえば、日頃は300人ぐらいの規模でライブ演奏をしているバンドがフェスの時には3000人の前でできましたとか、そういう画が昔、ダンスミュージックにもあったじゃないですか。でも、今それがなかなか生まれにくいというかね。そういうのを思うんだよね。



☆Taku:外タレ地蔵になっちゃっているところが僕、すごく気になるんですね。で、外タレ地蔵になっちゃっている人も別に悪じゃないんですよ。外タレも悪じゃないし。誰も悪ではないんですよね。でも問題はあって。それはなにかというと、やっぱりリンクをちゃんと作ってないのが問題だと思うんですよね。



田中知之:ほうほう。と、言うと?



☆Taku:要は、外タレ目当てで来ています。で、その外タレ目当ての客の前で、その前のDJたちがどんなに頑張って、どんなにいい選曲をしても、みんなボーッと立っている。そういう現場、田中さんも僕も体験したことがあるし。それこそ、2manydjsの時とか、「この人の方が全然面白いDJしていると思うのにな」って。まあ、2manydjsも面白いんだけど、そういうのがあったりして。で、お客さんたちは「これ、目指してるから!」って他のDJでは踊らないみたいなのがあったりしたんですけど。そこでたとえば、これは簡単なことじゃないんですけど、その外タレと日本のアーティストをもっとコラボレーションさせたりとか。



田中知之:ああ、そういうことね。



☆Taku:もっと、「繋がるよ」っていうことをやっていくと、もともとじゃあ「KASABIANが好きで来ました」っていう人も、KASABIANと☆Taku Takahashiでもいいし、誰でもいいんだけど…。コラボレーションをやっていたら、「ああ、俺の好きなKASABIANはこの人とも一緒にやっていて、その人はDJで出ているんだ。それ、親和性があるよね」っていう。その親和性をちょっとここ5年、ちゃんと作り切れてなくて。その瞬間の「今この外タレが人気だから呼んで集客する。その外タレはめちゃくちゃ高いから、なんとかそのリクープポイントを探して、プロモーションもなんとか頑張ってする」っていう、そっちの方に頭が行っちゃっていて。外タレが来れるのって年に1回とか2年に1回ぐらいじゃないですか。そこを刹那的にするんじゃなくて、その外タレが来るタイミングで、どうやって外タレじゃない日本のアーティストともっと親和性を作っていくか?っていうのがちょっと欠けていたんじゃないかなって。



田中知之:そうね。だからそういうところに、僕らはもしかしたら担ぎ出されたら行きたいなっていうのがあるけども、そういうのが呼ばれる空気すらないよね、もはや。だから昔、たとえばちょうどULTRAのフェス…ULTRAを悪く言っているわけじゃなくて、ULTRAは素晴らしいフェスだと僕は思うし。でも、ULTRAに代表されるああいう、いわゆるEDMがメインとなるフェスのその前には『Big Beach Boutique』っていうノーマン・クックがやっているフェスがあって。で、僕はさっきもかけたように、ノーマンとは本当に仲良しだし。



☆Taku:親和性、あるじゃないですか。



田中知之:彼がレコード屋さんに行く時、俺が一緒について行ったりとかしていたし。それどころかノーマンが幕張メッセでDJをやった時、僕はノーマンの後でDJをやったんですよ。もう10何年前の話だけど。やっぱりノーマンが終わったら、みんなブワーッと帰っていくんですよね。すっごい光景の中で俺、「伝家の宝刀だ!」って思って、作ったばっかりのニルヴァーナの自分のブートのリミックスをかけたら、全員がクルッとこっちを向いて戻ってきたんですよ。で、ノーマンまで踊ってくれて。そういう画が見えたんですよね。



ナカムラヒロシ:なるほどね。



田中知之:クラブって、そういう下剋上まではいかないけど、そういう伝説みたいな、今まで予想しえなかった状況が生まれる場所みたいな感じが…。



☆Taku:まあ、そういう意味ではフェスに近いっていうか、新しい出会い…たとえばこのバンドを目当てで来たけど、他のバンドも見てみようかみたいな感じになるっていうのは。



田中知之:そうだね。だからそれが今、分断されてるっていうのは、特にダンスミュージックのシーンはあるよね。結構ぴったりぴったり、俺、覚えてるんだけど『Road To ULTRA』に行って、ブースにいたらその前のDJのやつが逆リハをやっているのに、「置いている機材、一切触るなよ!」とかっていう風に言ったりしていて。「あ、そんな感じ?」って。だから本当に「日本人のDJを蔑んだ発言しやがって」とか思って。黙って触ってやったんだけど(笑)。



一同:フハハハハハハハッ!



田中知之:いやでも本当にそういう感じなんよ。それこそ、俺今でも覚えてるわ。タクちゃんとやった時、某外タレがDJする時の契約書に、「日本人がやる時よりも何デシベルか(音量を)上げろ」っていう条項があったって。それがいまのULTRAに採用されているかどうか、僕は知らないし。他の大きなフェスに採用されているかわからないけど、前座の我々DJとメインのヘッドライナーのDJの外出しの音量がデシベル数で決められているっていうのは、なんかもう結局、ハンデ戦でしょう?



☆Taku:まあ、やっぱりヘッドライナー、トリじゃないですか。トリがいちばんよく見えるようにするっていうのは、それこそどっちかっていうとクラブで始まったことじゃなくて、フェスでもそういうことはあると思うんですよ。最後の人まで絶対に上げないようにしておくとかって絶対にあると思うんですね。



田中知之:まあ、それはあるよね。たとえば、照明とかまさにそんな感じだよね。



☆Taku:それは、やっぱりそのトリを取っている人にその実力があるっていうか、それだけ人気があるのはしょうがないっていう風に思うとしましょう。で、僕はなにが問題か?っていうと、夕方まで日本人、それ以降は外タレオンリー。僕はこれ、反対なんですよ。



田中知之:いや、それはもうずーっと言っているけど、結局、そういう風にしかならないようにできてるやないですか。完全に。



☆Taku:契約とかいろいろとあるだろうし。



ナカムラヒロシ:契約でそうなっているのもある。



☆Taku:要は、海外ブランドのパーティーだから、海外はそういう風にブランディングしたいっていうのはあるから、それはしょうがないっていうのはあるんだけど。僕ね、ヘッドライナーの1人手前は日本人で行くとかっていうことに…。



田中知之:それは話が通せてないよね。



ナカムラヒロシ:そう。なぜそこに行けないか?っていうと、オリジナルが日本人、爆発的に世界中に出していないっていうことですよ。



☆Taku:まあ、その結果でもありますよ。そこは真摯に受け止めるというか、まあそういうものなんだって。



ナカムラヒロシ:でも、そのパイプみたいなものはいま、日本に実際にあるのかな? EDMっていう世界に。タクちゃんからして、それ感じる?



☆Taku:EDMの世界で言うと…うーん。僕は日本人が行けないことはないと思うけど、そこに住まなきゃダメですね、思うに。ヨーロッパなりアメリカなり、やっぱり住まないと絶対ダメだと思う。



ナカムラヒロシ:じゃあ、やっぱり東京から面白い音楽を作っていくっていう気概は…。



☆Taku:でも、僕最近はまさにそこに溶け込むっていうよりかは、日本ブランドを再ブランドする方が面白いかなって。もちろん、海外の面白いものはもともと…block.fmってその海外の面白いものが日本であまり広がってないから、それを紹介するっていうのでスタートしたと思うんですけども。



田中知之:今その考え方を逆にするっていう気持ちもなんとなく僕は…タクちゃんの今海外でやっていること。まさにあるよね。



☆Taku:すごくあります。海外の面白いものを紹介するけど、日本のアーティストが面白いよっていうのをどんどんプッシュしていくことはすごく大事なことかなって思ってますね。



田中知之:で、たとえば海外に出ていって日本の面白い人たちの音楽を紹介する時に、向こうの音楽との親和性みたいなものが必要なのか、それともまったく不必要なのかっていうのは、タクちゃんの前の意見を俺、聞いて。たとえば、m-floっていうものに対して言うと、m-floっていうのはアメリカにも代わるアーティストとか音が全くないから、その熱狂的なファンがすごくいて。で、「FPMもそういう人だから、そういうところをちゃんと突いていってやればいいんじゃないの?」みたいなことはタクちゃん、僕に言ったこともあるし。



☆Taku:うんうん。



田中知之:そういうことを自覚しながら、もしかしたら今も、その次のm-floっていうのをそういう形で出そうとしているのかどうか。そこから時間もたっているから、果たしてどういう風に思っているんだろうな?って思ったりもするし。だから、EDMみたいなキーワードばっかり言っちゃっていて恐縮だけど、なにかそういうことなのか、まったく別物なのか、みたいな。僕らは90年代末に渋谷系、ラウンジみたいな、海外であんまりなかったものが日本ですごい増殖して。それが海外的に面白がられてイニシアチブを取ったのが数年間あって。



☆Taku:ありましたよね。



田中知之:その数年間を俺は見ているから、自分で体験もしたし。だから、ああいうことなんだろうなっていうのは自分では思うんだけど。それが果たして、そのまま今のこの時代にもう1回、同じようなマジックみたいなことが起こるのかどうかっていうのはどうなんだろうな?っていうのは…。



ナカムラヒロシ:なんか音楽の作り方もさ、今、YouTubeで見たら全部音色の作り方わかるし。プリセットもあるよね。「どうやってやっているのか?」その魔法がもはや、僕たちが真摯にスタジオの中で実験をしない限り、魔法なんかもうないっていう。



☆Taku:「魔法がなくなった」って面白いですね(笑)。



ナカムラヒロシ:音色の魔法がね。みんな答えが出ているんだから。っていうことは、やっぱり真摯に実験をしているということが僕、欠けていると思っている。今の音楽には。



田中知之:そうだね。だからやっぱり、いろんな仕事での注文で「あんな風にしてください」っていうのが、テンプレの音色でテンプレのアレンジだよね。だからそういうのをみんなが求めていて。で、本当にそこにどんだけ近づけるか?っていう。インターナショナルマーケットに入っていくために、まさにその音色、音圧、そのアレンジじゃないと…っていう。たとえば、エレクトロハウスなのか、いまはビッグルームっていう名前になっているのかな? Beatportだったら。そこでベスト100を聞いた中で、誰がやっているのかどうかっていうのが「この音を出しているから、こいつだ」っていうのがほとんどわからないというかさ。



そういう状況で、たとえばその中で、トロピカルハウスみたいなのが出てきたら、みんながトロピカルみたいな感じで、同じようなアレンジをして、同じような音色で…っていう決まりがあって。もちろんそれは2ステップの時もあったし。



☆Taku:まあそれを言うと、リル・ルイスの『French Kiss』が出た時も、その『French Kiss』が出た後にみんな…。実はそれって変わってないと思うんですよ。



田中知之:そうかそうか。ずっとそうだね。雨後のタケノコ的なのはね。



☆Taku:その、誰かが新しいフォーマットを作って、それがヒットになって…。



田中知之:それがダンスミュージックの伝統でもあるっていうことだよね。



☆Taku:ただ、今デジタル時代で前よりも曲数が圧倒的に増えているのと、あとは当時はメディアがアナログしかなかったじゃないですか。



田中知之:所有できる枚数も限られていたから、きっと気づけてないんだよね。



☆Taku:デジタルになって、すごく変わったのがもうひとつあって。そのリル・ルイスの音を作ろうとしても、作るのがすごく大変だった。さっきこれ、兄やんが言っていた話につながるんですけど、今はもうパソコンで音楽できるようになってから、いろいろとそのゲームの仕方が変わったなっていう。



ナカムラヒロシ:そう。作り方が変わったと思ったのが、プリセットってあるでしょう? 昔から売っていたけど、安いわ、そのまんま鳴るわって。この間、800円とかで試しに落としてみたら、「ああ、これはこの音やん」って。



☆Taku:よくできているもんね!



田中知之:いや、すごいよ。だから本当に、ものすごいハイエンドの機材ですごい高いコンプとか、すごい高いEQとかでブチ込んで、やっとこさ作れる音がプリセットで入っているんだもんね。だったらそれ、若いやつは使うわっていうね。



☆Taku:で、そういう時代だからこそ…昔はそのワールドワイドなサウンドを作るにはすごい技術が必要だったんだけど、今は割とそういう風にイージーにできるようになったからこそ、僕はその日本で生まれるオリジナリティーで行った方がいいんじゃないかな?って思うんですよね。



田中知之:なるほどね。まあまあ、でも本当になんかこの議論は尽きないし、そう言っている間にもうあと10分で終わりですよ(笑)。



▷ block.fmラジオプログラム



温故知新〜own kool, check things…



放送日:毎月第一木曜日 22:30 - 24:00



DJ:田中知之 (FPM)、ナカムラヒロシ (i-dep)




日本のクラブシーン黎明期から活躍するFPM田中知之とi-depナカムラヒロシが毎回ゲストをお迎えしてルーツを探るマンスリープログラム。




https://block.fm/radios/102





田中知之



http://www.fpmnet.com/profile/



https://twitter.com/tomoyukitanaka



https://www.instagram.com/tomoyukitanaka/





ナカムラヒロシ



http://i-dep.tokyo/



https://twitter.com/hirossinakamura



https://www.instagram.com/hirossinakamura/




written by みやーんZZ

SHARE