ソニーミュージックが開発した、人工知能搭載の音楽制作ツールは、アーティストの敵か味方か?

ソニーが開発したAIがクリエイターの音楽制作のパートナーになる次世代ツールが注目を集めている。
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2019.03.11 11:00

現地時間3月8日から3月17日にかけて行われる最新音楽、映画、テクノロジーなどのショーケースイベント「SXSW 2019」。その中で、次世代の音楽制作に関する展示が音楽クリエイターたちの間で注目され、話題になっている。



AI x 人間による新しい音楽制作環境を生み出す「Flow Machines」 


話題になったのは、ソニー・ミュージックエンタテインメントとソニーCSLが共同で開発したミュージシャンの音楽制作支援を目的にしたプログラム「Flow Machines」だ。


公式サイトによると、同プロジェクトは、AIアシスト作曲技術を搭載することにより、アーティストのクリエイティビティを拡張することを目指す研究開発及び社会実装プロジェクトで、最先端の機械学習や信号処理技術により、アーティストとともに様々なスタイルの新しい音楽を生成することに取り組むものとのことだが、その中心は「Flow Machines Professional」というAIアシスタント楽曲制作ツール。 Flow Machines Professionalは、様々な音楽を解析し構成された音楽ルールに加え、先端ソフトウエア技術を用い、クリエイターの構想のもと、多様なスタイルのメロディーを自由自在に生成することが可能。そして、クリエイターの指示により、新しい楽曲のメロディー、コード、ベースが生成され、そこからインスピレーションを得て生まれたメロディーを交えながら楽曲制作が可能になっている。



そこからの音楽制作のプロセスとしては従来の音楽制作と同じで、ミュージシャンは、音楽制作ソフトなどを用いてアレンジを行い、歌詞の作成や楽器を演奏したり、ミキシング、マスタリングなどを経て楽曲を完成することになる。そのため、Flow Machinesは、フルオートメーションの音楽制作ツールではなく、音楽を作るクリエイター側がアイデアとインスピレーションを得るための”より創造性を拡張するためのツール”であることを目標にした、AIによる人間の音楽制作を支援するツールという印象を受ける。



AIを作曲の“パートナー”にすることで、クリエイターがより創造力を発揮できるように 


またAV Watchのインタビューで同社のブランド戦略部統括部長の森繁樹氏は、音楽を制作する中で”人の手を掛けることに音楽の良さがある”のは譲れないものであるが、作業の中にはルーチン的な部分もあり、そこに人間のクリエイティビティの時間を割くのではなく、AIを作曲の“パートナー”にすることで、クリエイター側はもっと「音楽の在り方」や「表現の在り方」にクリエイティビティを発揮することができるという考え方を示している。


そのことからも単なる全自動の音楽制作ツールではなく、AIであるFlow Machinesがルーチン的な部分を補うことで、クリエーターの音楽制作におけるより人間の感性、アイデアが必要な部分における創造力を拡張させることに重きをおいたアシスタントツールであることがうかがい知れる。




SXSWでのソニーブースの様子をアーカイヴでチェック  


ちなみにソニーは、Flow Machinesの説明が行われたソニーCSLの北野宏明とソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ) の今野敏博、矢森達也によるSXSWでのトークセッション「“What is the future of musical creativity?”」の様子もライブ配信しており、現在はアーカイヴを視聴可能だ。



なお、AIによる作曲支援を元に作り上げた音楽アルバム『Hello World』も昨年には発売。収録された全15曲のトラックは、フランス人作曲家Benoit CarréがFlow Machinesを使い作り上げた作品で、R&B、ソウルやEDM、エレクトロ風のものなど多岐に渡るジャンルで構成されている。



またFlow Machinesの公式サイトでもいくつかのサンプル曲を試聴することができるので、気になった人は是非チェックしておこう。


written by Jun Fukunaga

source:

https://www.sony.co.jp/brand/event/sxsw/

https://www.flow-machines.com/

https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1172176.html

https://sleepfreaks-dtm.com/sale/ai-flow-machines-hello-world/


photo: prtimes.jp



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