“超集中”でもっと仕事に没頭!『ENERGY MUSIC PROJECT』が目指す、音楽による働き方改革とは

音楽の力で働き方改革を目指す『ENERGY MUSIC PROJECT』がスタートした。プロジェクトメンバーが集まり公開実験を行った様子をレポート。
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2019.08.01 04:00

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが、音楽の力で働き方改革を目指す『ENERGY MUSIC PROJECT』をスタートさせた。「仕事に集中しやすくなる音楽“ENERGY MUSIC”」の開発を行うという。開発に先立って、プロジェクトメンバーであるウォンテッドリーCEOの仲暁子氏、集中力研究の第一人者 JINS MEME 井上一鷹氏、五感・完成を研究するKANSEI Project Committee 柳川舞氏、そしてm-floのVERBALと☆Taku Takahashiが集まり、公開実験とディスカッションが行われた。今記事では、そのディスカッションの内容をレポートする。彼らの考える「集中に導く音楽」とはどういったものなのだろうか。





司会:まずは仲CEOに「ENERGY MUSIC PROJECT」の目指すところをお話いただきたいのですが。


仲:ウォンテッドリーの理念は「シゴトでココロオドルひとをふやす」ことです。もっと具体的に言うと、仕事に没頭して成果を出し、その積み重ねによって成長実感を感じられる状態。


最近では働き方改革も叫ばれていますが、制度だけではなく、個人の生産性をどれだけ上げられるかも大事だと思っていて。そこには「没頭」「集中」ということが大きく関わってきますよね。その「没頭」に導くために音楽が効果的なのでは?と考え、このプロジェクトをスタートさせました。「超集中」に導く音楽で、もっと「シゴトでココロオドルひと」をふやしたい。音楽の力で「精神と時の部屋」を作るというのが今回のテーマですね。


司会:今回のプロジェクトで制作するのは「仕事に集中するための作業用BGM」。実際に2000人のビジネスパーソンに調査をしてみたところ、約7割の人が仕事中に音楽を聴くことに賛成しており、集中したいときに音楽を聴くという人も多かったんです。しかしながら、電話やメール、チャットツールなどによって集中を妨げられているという人も非常に多いことがわかりました。


今日は、五感・感性を研究されている柳川さんにもお越しいただいているので、「集中力と音楽」について知見をお伺いできればと思います。


柳川:そもそも「集中」という定義がけっこう曖昧なんですが、自分の力を100%発揮するための能力とか、余分なものを排除する能力という風に言えるかと思います。また、集中にも種類があって、クリエイティブな仕事なら深い集中が長く続くことが必要ですし、作業であれば必要なものだけを選択して集中することが必要。


今回目指したいのは「超集中」なので、その理想のゾーンにどうやって導くかということですが、五感に働きかけることが有効だと考えられます。


集中を妨げる環境要因として、視覚(部屋が散らかっているなど)、人(話しかけられるなど)、通信(電話やメールなど)、ノイズ(うるさい音など)が挙げられますが、集中するためにはそれらを遮断する必要がある。その遮断する方法として、五感を活用するのが効果的なのではないかと。五感って面白くて、古い家を新しく感じさせる匂いとかあったりするんですよ。脳内で自分を洗脳するというか。だから、理想的な仕事環境だと感じさせる「音」も作れると思います。


感性という点で集中に導けそうだと思うのは「月の上のオフィス」。月の上にデスクがあったら誰にも仕事を邪魔されないイメージができませんか?でも実際には月に音はないので、月がイメージできる音があれば面白いなと思います。あとは「水の中のオフィス」。赤ちゃんがお腹の中にいるときの状態は、人間の本来のリラックスや集中に繋がるという研究結果も出ているので。


月や水の中にオフィスがあるというイメージができると、リアルな会社の雑音環境から離脱できるかもしれません。




柳川:あとは、自然環境の中にある「1/fゆらぎ」という不規則なリズムもヒントになるかと。人間はもともと動物なので、そういった不規則なリズムに対してポジティブに反応すると言われているんですね。音楽だと、ジャズのリズムが1/fゆらぎと似ているという研究結果が出ています。


音楽のテンポについてですが、テンポによって何を感じるかは血液の流れと相関が高いと言われています。例えば、川のせせらぎは毛細血管を流れる血流の速さと一緒なんですね。だからそのテンポの音楽を聴くとリラックスできる。逆に、激流の川は大動脈の血流と一緒。人間が自然に恐怖を感じる速さだと言われています。曲のテンポによって気持ちよさや緊張感を感じさせることもできるのではないかと。


ここまで理論的な話をしてきたんですが、とはいえ一番大事なのは「音を楽しむ音楽であること」だと思います。「この曲が集中に効くよ」と言われても、そもそも聞く気にならないし音楽を楽しめない。だから音楽を聴いて問題を解決するというよりは、音楽を聴くことでより価値のあるものを生み出す、という意味での働き方改革のほうが広がりがありそうですね。


司会:ありがとうございます。次に、集中を測れるメガネ、JINS MEMEを開発された井上さんにもお話をお伺いしたいのですが。


井上:まずはJINS MEMEの機能について簡単に説明しますね。このメガネは目の動き、まばたき、姿勢からその人がどれだけ没頭しているかを測れるメガネです。


人間の黒目はプラスの電流をもっています。このメガネのノーズパットには電極がついていて、そこに黒目が近づくことで目の動きを測る。まばたきをするときは黒目が上に行くので、黒目が上下する動きを数えてまばたきを計測しています。


先程も集中の定義が曖昧だという話がでたんですが、僕たちは「ひとつのことにどれだけ専念できているか」と定めています。


例えばまばたきに関してだと、没頭していない時のまばたきは1分間に20回程度。それが没頭している時は1分に3、4回に減るんですね。それを、集中を測る指標のひとつにしています。


あとは心が安定しているとまばたきも安定するので、リラックスできているかどうかも計測できる。




井上:僕も実際にいろんなところで使って数値を取っていて。僕としては「ルノワール最強説」を唱えていたんですが、実際は土曜の昼の公園が一番集中できたんですよ。ルノワールは大人がうるさいから認知リソースを取られるけど、公園は自然音と子供の声だけ。自分との文脈がない分、ちょうど良い刺激になるのかもしれません。残念なことに、一番集中できないのがオフィス。僕だけじゃなくて延べ1万人くらいのデータから、95%の人の一番集中できていない場所がオフィスであることがわかっているんです。だから、今回のようなプロジェクトはすごく期待してますね。


司会:では、このJINS MEMEを使って実験をしていきましょう。5名のウォンテッドリーの社員さんにJINS MEMEをかけてタイピングソフトを使ってもらいます。音楽がない5分間と音楽がある5分間、それぞれで集中力を測定していきます。


☆Taku:まずは、まだリリースしていない曲を流しますね。


〜曲を流す〜




井上:ひとり90点になってる方がいますね。80点以上は普段の生活ではなかなか出ない数値で、“超集中”していると言えます。


☆Taku:次は「come again」です。


〜「come again」を流す〜




司会:調査では懐かしい曲を聴くと集中できる人が多いという結果も出ました。


☆Taku:「come again」は18年くらい前の曲だから、この人たちにとって懐かしいかどうかわからないけれど。


井上:30代だけ上がってるとかあったら面白いですよね。


〜音楽終わり〜


司会:今の実験結果は集計してのちほどお見せしますね。数値の上昇が見られた人がいましたが、音楽を聴くことは確実に集中に寄与します。その上で今回目指したいのは、より深い集中。没頭状態に連れていくものを作りたいと考えています。


VERBAL:「ルノワール最強説」は僕もわかります。昔よくルノワールで歌詞を書いていたんですよ。自分と接点のないサラリーマンとかが多いから、月にいるのと同じような状況なのかも。さっき「文脈」という言葉が出ましたが、場所に対して文脈があるかないかが集中に関係するのかもしれませんね。


制作に集中するためにm-floでグアム合宿をしたことがあったんですけど、僕と☆Takuはグアムに文脈とツテがないからすごく集中できたんです。でもLISAは友達がいるからまったく集中できなくて(笑)。これは集中力、ゾーンに入るためのポイントになりそうですね。


☆Taku:みなさんと違って僕が特殊なのは、そもそも音を作るのが仕事なんですよ。だから仕事中に音楽を聴くことができない。とはいえ、集中してる瞬間はあって。僕がゾーンに入るときは、追い詰められてるとき。完徹状態で、時間がなくて、でもそういうときにすごく没頭してます。


没頭を妨げる要因はいろいろありましたが、ひとつなかったのが「感情」の話ですよね。「こういう曲を作ったらどう思われるのか」「売れるのか」とかそういう雑念も関係するんじゃないかなと思いました。




VERBAL:確かに。デビュー当時は無知だからこそ潔く制作ができてたし、そうやってできた曲はファンにも喜ばれるよね。今だと雑念が入りやすいから、ピュアな気持ちで集中して仕事をするのは大事かも。


☆Taku:グアムで余計なことをあまり考えずに作った曲があるんですけど、その曲をLISAとVERBALもすごく気に入ってくれて。そのあとは「周りの人がどう思うか」よりも、自分たちがやりたいことに集中できるようになった感じがします。


VERBAL:ゴールが明確だといいのかな。「かっこいい音楽を作り続けるんだ!」みたいなパンクな気持ちだと、良い集中状態で居続けられるのかも。「売れなきゃ」とか気にしすぎると、本来の意図からブレてしまうのかなって。


柳川:感性の研究から見ても「リラックスできる」とか「集中できる」って理論だけで考えた音楽はあまり効果がないんですよ。人間に対して作用させたいから、自由に感じるものがそこにないと。


司会:先程「月の上のオフィス」という話がありましたが、m-floさんには「仕事用の宇宙 Space For Work」というテーマで楽曲を作っていただきたいと考えているんですね。


☆Taku:「Space」に宇宙と場所という2つの意味がかかってるんですね。面白い。


VERBAL:僕ら二人とも宇宙ネタ、SFが大好きなんですよ。小さい頃から宇宙にロマンや期待、想像を掻き立てられていたので、楽曲でも宇宙をテーマにしているんです。宇宙のヒップホップ、宇宙での恋愛の曲って今までの枠組みにはないもので、自分たちの架空の世界を作れる。そこが魅力的なんですよね。


☆Taku:昔のSF映画ではテルミン的な音を使って宇宙を表現することが多かったですよね。月は石の塊だから「ゴーッ」って感じの音かな?


VERBAL:デッド(残響が少ない音)が良いんじゃない?無音のスタジオでノイズキャンセルのヘッドフォンをすると「超デッド」になってすごく不思議な感覚になるじゃん。


☆Taku:デッドな瞬間をうまく演出できたらいいのかも。リヴァービーにしてからデットにして、デッドをより体感させるとか。いいかもね。自分しかそこにいないような感覚を作る。


VERBAL:そうだね。月の音って「ゴーッ」って感じか「超デッド」かどっちかなイメージがする。


☆Taku:無音感を感じで、そのときに自分を感じるみたいな、そういう瞬間を入れられたら面白いかもね。


司会:歌詞に関してはどうでしょう?


仲:リンキン・パークみたいなシャウト系、その勢いで仕事に入れるみたいなこともありますか?私はそういうのを聴くと集中できるときもあるので。


VERBAL:僕の奥さんはオフィスで朝から爆音でヘヴィメタ聴いてますよ。それが上がるんだって言ってました。


☆Taku:人それぞれ集中できるものは違いますもんね。


井上:日本語を使ってるときは日本語の曲を聴かないほうが集中できるっていう人もいますよね。


VERBAL:確かに、僕もレストランで自分たちの音楽かけられることあるんですけど、食事に全く集中できなくなっちゃいます(笑)。もっとこうすればよかった、とか考えちゃって。




柳川:音として言葉を聴ける曲であればそれほど影響はないかもしれませんね。


☆Taku:意味のない言葉を並べても面白いかも。楽曲としてはストーリーテリングをしなきゃいけないんだけど。ラップだったらフロー重視で韻を踏んでるだけとか。


VERBAL:僕たちは話す時、英語と日本語がちゃんぽんになるし、歌詞を書いてても混在する。日本語と英語で、韻を踏まなそうな言葉で韻を踏んだりすると不思議な感覚になるかも。いい意味で掴みどころがないような。


柳川:宇宙語を入れるのとかはどうでしょう?


☆Taku:スターウォーズでも宇宙語が出てきますよね。タトゥイーンのジャワイーズ語とか。作ったことないけど面白そう。意味がわからなくても韻は踏んでる音がいいな。


VERBAL:意味がわからない言葉だけどキャッチーなフレーズがあったら面白いね。ジャンルや曲の構成も含めて、今までにないもののほうが宇宙感が演出できそう。


司会:ここで先程の実験の結果ですが、4人中3人の方が、音楽ありの方が集中力が上がったという結果が出ました。


☆Taku:11点から51点に上がってる人がいる!一番うれしいかも。


井上:音楽によって80点以上を作り上げたのもすごいですね。一日に5分くらいしかできないゾーンなので。


☆Taku:今日のディスカッションでこれから作る音楽がだいぶイメージできました。もしかしたらみんなが想像するものと違うかもしれないけど。今日のヒントを元に作ってみようと思います。


仲:ロジックでガチガチに決めるんじゃなくて、聴いて楽しいっていう感覚が一番大事かもしれませんね。完成を楽しみにしてます!



『ENERGY MUSIC PROJECT』について

https://m-flo.withwantedly.com/

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