銃声に会場騒然!? EMINEM出演フェスでのパフォーマンスが物議を醸す

EMINEMがBonnaroo Festivalで行ったショーに対してさまざまな意見が飛び交っている。
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2018.06.12 02:30

週末に行われたBonnaroo Festivalでの“THE EMINEM SHOW”が物議を醸している。EMINEM(エミネム)が出演したBonnaroo(ボナルー)はカリフォルニアのコーチェラ、シカゴのLollapalooza(ロラパルーザ)と並ぶテネシー州の巨大野外フェスである。一体何が起きたのか。




本物の銃声と勘違い!? EMINEMの演出が物議を醸し炎上中


問題のシーンは2000年にリリースされたセカンドアルバム『The Marshall Mathers LP』収録の「Kill You」を演奏する際のこと。


タイトルも物騒だが、過激な歌詞もハンパではない。EMINEMのオルターエゴ「SLIM SHADY」が“お決まり”の母親批判に始まり、あらゆるものをメタクソにディスした挙げ句フックで「ぶっころしてやる! 」とシャウトする曲だ(デビューしてからはしばらくずっとこんな調子で、暴力的なキャラクターがEMINEMの人気の由縁だったのだが)。



そんな懐かしの曲のラストにEMINEMは銃声を用いた演出を行った。この時の動画がSNS上に挙がっており、パフォーマンスを批判する声が挙がった。







批判の先頭に立っているのはソーシャルメディア・スターのAndrea Russet(アンドレア・ラセット)だ。


現在、Tweetを削除してしまったようだが彼女は


「銃撃音を聞き、本能から床に伏せるのを見るのは面白いものではありません。 これは私たちが生きている悲しい現実です。 これはおかしなことではなく、冗談を言うべきことさえありません」


と発言。これらのTweetに対し




“EMINEMの「Kill You」の最後は(少なくとも)ここ6年間はいつも銃声だけど、こんな不満を聞いたのは初めてだ”



“銃声がムリならEMINEMのコンサートには行かない方がいいわ”



“2002年から銃声を使用しているEMINEMにマジで怒ってんの? ”



とEMINEMを擁護する声も多い。




過激なリリックとスキャンダルで人気を得たEMINEM


過激な発言やリリック、プライベートでの家族との確執。デビュー当時から物議を醸してきたEMINEM。彼は差別社会のアメリカにおいて、ブラックコミュニティが主流のヒップホップ業界で、マイノリティながらプロップスを集めもっとも成功した白人ラッパーとなった。というか、人種は関係なくもっとも成功したラッパーのひとりである。


一方でプライベートでは一時期ズタボロになっていた。銃で元奧さんを脅したり、実の母親を名指しで批判して訴訟問題に発展し泥沼化。「I'm Sorry Mama」と歌いながらタイトル通りひどかった家庭環境をぶちまけた「Cleanin' Out My Closet」は衝撃的な楽曲だった。







同じクルーで活動し同郷の親友D12(ディートゥエルヴ)メンバーのProof(プルーフ)の死など、音楽的な成功に比例してさまざまなトラブルがEMINEMを襲った。


友の死や困難を乗り越え、EMINEMはトラブルの元となるドラッグやアルコールをやめた。先日、ドラッグと酒を断って10年経ったことを自ら祝している。






問題視される背景にテロ事件が関わっている


最近ではポリティカルな発言でも注目を集めるようになりそのスキャンダラス性はナリを潜めていたが、そもそもEMINEMにモラルやコンプライアンスなんて求めても。と古くからのファンならば思ってしまうところだろう。


「無神経だ」と声を荒げる人がいる背景には、世界各地で起きたフェスでのテロ事件が大きく関わっている。


昨年ラスベガスで起きた「Route 91 HARVEST Country Music Festival」の銃乱射事件では58人が死亡。546人が負傷するというアメリカで発生した単独犯による銃乱射事件では史上最悪の事件となった。犯人は会場の頭上に位置するホテルの32階客室から、2万人に向けて数千発の銃弾を放ったという。


UKイングランドで起きたマンチェスター・アリーナ爆発物事件では、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)のツアー中の出来事だ。終演後、観客がエントランスに集中する時間に入り口付近で爆発が起き、実行犯を含む計23名が死亡。59名がけがを負って病院に搬送されている。


このような事件が立て続けに起きていることから、EMINEMの銃声演出にはさまざまな意見が飛び交い物議を醸すこととなったのだ。




銃社会アメリカのリアルな恐怖。日本でも絶対安全とはいえない


幸せととらえるか平和ボケだととらえるかは人によるだろうが、日本国内のフェスで銃声のエフェクトを聞いたとしてもリアリティを感じることはないかもしれない(日本でもフェスで何らかの事件が起きる危険性がないとはいえない)。


アクション映画では俳優が軽快に拳銃をぶっ放している姿を見られるが、日本の一般的な人にとっては馴染みはない。実際グアムの射撃場で筆者が初めて9mmを撃ったとき、小さな銃でさえこんなにもデカイ音と反動がするのかと驚いた。拳銃を普通に持ち歩ける社会を想像して恐怖すら覚えたほどだ。


EMINEMの暴力的なキャラクター性は世界中の知るところではあるが、先述したような惨劇が事実起きている以上、神経質にならざるを得ないことも理解できる。ましてや銃社会であるアメリカではなおさらだ。しかし、EMINEMの銃撃音のパフォーマンスで傷付いたという人がいる反面、EMINEMがラップするのはリアルなアメリカ社会の現実という皮肉が騒動の根の深さを物語っている。




“アンドレアがPTSDを抱えていて、今回のライブで友人たちとひどい思いをしたかもしれない。けれどEMINEMの音楽はドラッグの乱用と銃撃とともに生きてきた彼の人生そのもので。それがリアルな現実だ”






EMINEM騒動と別にBonnarooで男性の遺体が発見される


今回EMINEMの銃声演出とは全く関係がないがPitchforkによると今年のBonnarooでは観客の男性が車内で死亡しているのが見つかった。Bonnarooでは2015年も同様に死亡事故があったとのこと。死亡の原因は不明で現在警察が捜査中だそうだ。


Bonnarooに限らず、音楽を楽しむフェスやライブツアーで事故や事件など本来はあってはならないことである。パーティドラッグのオーバードーズでハイになりすぎて死んでしまった観客がいたとしたら、本人は幸せなのかもしれないが、フェスにとってはリスクであるし、遺族の悲しみは計りしれない。


可能な限り純粋かつ安心して音楽を楽しめるようなフェス運営が求められる。



written by Tomy Mochizukiy


source:http://time.com/5307667/eminem-bonnaroo-gunshot-effects/

https://www.billboard.com/articles/news/8460176/eminem-criticism-realistic-gunshot-sound-effects-bonnaroo-festival-route-91-mass-shootings?utm_source=twitter

https://pitchfork.com/news/person-found-dead-at-bonnaroo-2018-report/

https://www.tennessean.com/story/entertainment/music/bonnaroo/2015/06/13/man-dies-bonnaroo-music-festival/71198748/


photo:Eminem Music(YouTube)





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