「EDMは死んだ」プロディジーのリアム・ハウレットが発言。そして、次に来るジャンルとは?

以前からトレンドとしてのピークが過ぎたといわれていたEDMだが、現在のイギリスでの状況は?
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2018.11.01 09:08

以前、UKのダンスミュージックシーンにおけるトレンドセッターであるPete Tongも最近は縮小傾向にあると語っていたEDMブーム。そんなEDMについて、同じくUKのベテランアーティストグループThe ProdigyのメンバーであるLiam Howlettが、最新のインタビューで彼らの母国イギリスでは「EDMが死んだ」と発言した。




UKで「EDMは死んだ」といわれる理由は?


Liam Howlettは、アメリカではまだ人気があるとは思うが、少なくともイギリスではもうトレンドの最先端ではなく、今ではUKラップに取って代わられていると発言。彼曰く、現在のUKラップが台頭するUKシーンは、3年前よりも良い状況になっているとのこと。 


確かにイギリスでは、近年、グライムリヴァイバルブームが起こり、グライムシーンの人気MCのSkeptaは2016年にイギリスの権威ある音楽賞であるマーキュリー賞を受賞、また同じく人気MCのStormzyは、2018年にブリットアワードで「最優秀ブリティッシュ・アルバム賞」を受賞するなど、今やEDMはおろかロックやポップスすら凌ぐ勢いで同国のシーンを席巻している。



また世界的なヒップホップ人気が単純にイギリスにも伝播しているだけでなく、人気ラッパーのDrakeは、UKのグライムMCやラッパーたちとの繋がりも深く、彼の大ヒットした”ミックステープ”『More Life』には、UKヒップホップ屈指の人気ラッパーGiggsが参加、またSkeptaは昨年、かねてから親交があるA$AP RockyらをフィーチャーしたEPをリリースするなどイギリス国内でラップの人気が台頭するには十分な環境が整っている状況だといえる。




そんなUKラップについて、Liam Howlettは、「UKラップはストリートミュージックで、UKシーンは再びそういったものを取り戻し、そのシーンやプロデューサーたちにも注目している」、また「韻を踏む”ライム”でなくビートが自分にとって感銘を与えてくれる」と語っている。 


新進気鋭のUKラッパーが現在を語る 


EDMシーンが以前ほど勢いがなくなっているのは確かだと思うが、まだまだ世界的には人気があるジャンルだということは間違いなく、年間を通して大規模フェスは行われている。またLiam Howlett自身は以前からEDM嫌いを公言しているため、若干の私情も含まれていることも大いに考えられる。 


しかし、筆者が以前、現在のUKラップシーンで活躍する人気若手ラッパーのLoyle Carnerにインタビューを行った際、実際のUKラップが現地でどれくらい人気かとたずねてみたところ、若者たちの間では先述のGiggsに代表されるUKラップのジャンルのひとつである”UKドリル”は、現在、特に人気のあるジャンルになっていると答えていただけに、あながちLiam Howlettが語ったことは間違いではないないはずだ。  


◼︎関連記事:次世代のUKラッパーLoyle Carnerインタビュー「UKヒップホップはお金に甘やかされていない」


また現在、イギリスでもアメリカと同じように次々に新しいラッパーが登場し、人気を獲得していることも確かだ。 


 ◼︎関連記事:グライム、USとも違う新世代のUK Hip Hopとは?




ヒップホップとの交流が進む現在のEDMシーン  


なお、IMS Business Reportによると、EDMの最近の成長率はわずか3%に留まっているとのこと。この数字を単純にEDMシーンの人気の衰退とみるか、ジャンルとして完全に定着した”安定期”的な成長とみるかは意見がわかれるところだと思うが、IMS Business Reportが、「完全に弾けたとは言わないが、現在はパンクしているような状況であり、ブームは縮小傾向で、他の表現でこの状況を説明すると”パーティーが終わった”状況だ」と説明している点は、非常に興味深い。 


◼︎関連記事:「EDMブームは縮小傾向」ダンスミュージック界のトレンドセッターPete Tongが語る


ただ、そのようにいわれるEDMも最近は、ヒップホップシーンとの繋がりを強化するような動きも多く、有名EDMプロデューサーと有名ラッパーたちによるコラボも盛んだ。そういう意味では、フェスティバル仕様の音楽と、Liam Howlettがいうストリート仕様の音楽の交配も実際には行われているので、お互いに相乗効果を生み出しながら発展しているというのが、現在のシーンの姿ではないだろうか?



それだけに今後は、両シーンがどのように発展していくのかにも注目が集まりそうだ。


written by Jun Fukunaga


source:

https://www.independent.ie/entertainment/music/british-music-better-now-edm-is-dead-says-the-prodigy-cofounder-37478686.html

http://rollingstonejapan.com/articles/detail/25524/2/1/1


Photo: Patrick Savalle




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