インタビュー|Mac Millerの作品を手掛けたプロデューサー・DrewsThatDudeが新レーベル「We Had Our Time」を立ち上げた理由

プロデューサーになったきっかけ、Mac Millerと一緒に制作した経験、ライブ配信を成功させるための秘訣など語ってもらった。
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2020.12.29 01:00

マルチプラチナム、グラミー賞にノミネートされた音楽プロデューサー/キーボーディスト/ベーシスト。スムーズなR&Bサウンドが得意なAndrew LloydことDrewsThatDude(ドルーズダットデュード)。今まで、Mac Miller(マック・ミラー)、Bryson Tiller(ブライソン・ティラー)、EARTHGANG(アースギャング)、T-Pain(T-ペイン)といったビッグアーティストのプロダクションを手がけ、ソロリリースの再生数を見ればどれほど人気かがわかるだろう(大人気!)。


2016年の来日時にファンとして声をかけて、ラジオに呼び、2回もblock.fmのオリジナルミックスシリーズMIX BLOCKにエクスクルーシブミックスを提供してもらった。


MIX BLOCKs by DrewsThatDude 

https://block.fm/radios/472 

https://block.fm/radios/723


そんなDrewsThatDudeと久しぶりにキャッチアップすることができた。2020年をどう過ごしてきたか、過去作品についての想い、Mac Millerとのスタジオセッション、新レーベルについて語ってもらった。


DrewsThatDude · Cookiee Kawaii - Vibe (DrewsThatDude Remix)(if i back it up, is it fat enough?)


ー久しぶり!元気にしてる?


DrewsThatDude:元気だよ。久しぶりだね。見て、最後会った時に比べて髪もすごい伸びてるでしょう?


ーね。かなり長くなってる。最近はどう過ごしてるの?


DrewsThatDude:毎日、ほぼ1日中Twitchからライブストリーミングしてる(笑)。あとは、ビートを作ったり、新しいレーベルを立ち上げたり、音楽をリリースしたり。とりあえず、なんとか忙しくしてるよ。


ー今いろいろ起きてる中、アーティストはライブ配信や制作をする時間が多くなっているよね。ストリーミングを始めて何か新しく経験したことはある?


DrewsThatDude:ウェブやカメラの設置を今までやったことなかったけど、ストリーミングをするために自分で設置しなければいけなかった。インターネットもスピードが速いものに変えたし、動画の編集も自分でできるようになってきたし。自分が今やってることをよりレベルアップするためにいろんなことを試してる。グラフィックデザインも少し始めて、オールラウンドのクリエイターになってきた気がするよ。あとは、ストリーミングを通して、ファンと違う風にもっと深くエンゲージするようになった。もっと前から始めればよかったと思う。


ーアーティストによって違うけど、コロナ中にいろんなスキルを習い始めた人が多くて、コロナ後のクリエイティブ業界が変わりそうね。


DrewsThatDude:そうだね。お金についていろいろ見直したことも多いけど、今までみたいに、ちょっとしたプロジェクトのためにちょっとした金額でアートを頼んだりすることができない。そのプロジェクトの重要さを考えて、今後もっとしっかりお金のことを管理して行かないといけないし、どういうことを自分でできるかももっと考えなければならない。


ーなんでもできるクリエイティブのプロになってきたんだね。Drewと同じクオリティーでストリーミングをしたい初心者には、何から始めることをオススメする?


DrewsThatDude:まずは、しっかりしてるパソコンを持ってないと厳しいかも。元々持っていたパソコンは十分なスペックだと思ってたんだけど、ストリーミングをするにはギリギリのスペックだとわかったよ。あとはStreamlab OBS、OBS3というストリーミングソフトウェアかな。オーディオを配信するためのソフトウェアも必要で、私が使ってるのはasio link pro。それでパソコンのプログラムから出してる音を直接Twitchやストリーミングプラットフォームに届けるんだ。


ーファンとのエンゲージメントも深くなったと言ってたけど、どういう風に変わった?


DrewsThatDude:本当に深くなったよ。2015年のSoundCloudのようなファンとアーティストのコミュニケーションが取れてる。TwitterとInstagramをSNSとして思えなくなっちゃうよ。Twitchはすぐフィードバックもらえるところが好き。配信を見てるみんなにその場で「この曲どこからリリースすればいい?」や「一番好きなストリーミングサービスは?」みたいに聞けて、新しい形でガイダンスを受けている。それこそ最近YouTubeに音楽をアップし始めたのは、配信中にファンが過去の作品を公開することを勧めてくれたんだ。普段SoundCloudにリミックスを上げてたけど、最近著作権で厳しくなってきて、あんまり上げられなくなってて。でも「YouTubeなら大丈夫だよ!」と教えてもらった。あ!あとPS4を送ってくれたファンがいるよ(笑)。


ーただファンというだけで送ってくれたの?!


DrewsThatDude:送ってくれたコージェイ、ありがとう!ずっとストリーミングで「PlayStation欲しいけど、PS5がもうすぐ出るならPS4を買いたくない…我慢できるかな」とぼやいてたら、彼が「PS4もう一台あるから送ってあげるよ!」と言ってきて。送料くらい出そうとしたけど、そこもカバーしてくれた。最初は見てるだけのサポーターだったのに、Twitchのおかげでいい友達もできたよ!


ーblock.fmのフォロワーやリスナーはMIX BLOCKやSNSでの楽曲紹介でDrewsThatDudeの音を知ってると思うけど、まだDrewsがどんな人なのか知らない人もたくさんいると思うんだ。音楽を始めたきっかけから自己紹介をお願いできる?友達が音楽制作をやってたから自分も始めたんでしょ?その話とかもう一度聞かせて。


DrewsThatDude:お姉ちゃんがピアノのレッスンを受けていて、辞めたかったのに、先生がお母さんの友達だったからなかなか辞めることができず。やっと辞めることになって、教室で辞めることについて話している間に私がピアノをいじっていて。そこから代わりにピアノのレッスンを受けることになったんだ(笑)。5歳からスタートしたんだけど、14歳でピアノには飽きちゃって、もっとかっこいいことしたいと思ってベースを習い始めた。ベースを始めて、音楽にすごく興味を持つようになったよ。サイケデリックロックやロックバンドをよく聞くようになって、音楽って本当にかっこいいと思った。16歳でバスケットボールを始めて、そこで出会った友達が音楽制作をしてて、彼がやってたことに魅了されたよ。「彼は特に音楽をやってこなかったのにパソコンから音楽を作れて、私はピアノもベースも弾けるのにビートが作れないってどういうこと?!」と思って。しかも彼は地元の近くにあるハーレムに行って、そのビートを数百ドルで売っていたから、自分もそれをやりたいと思った。あとは、ベースを教えてくれてた先生がサイケデリックのバンドをやっていて、バンドのプロデューサーの良い話をよく聞かせてもらってたから、プロデューサーになりたいと思ったんだ。



ー何人かメジャーなアーティストのプロダクションを手掛けているけど、今まで制作した一番好きな曲、そしてそのアーティストと一緒にスタジオで制作した経験について教えて頂ける?


DrewsThatDude:Mac Millerのために手がけた曲は全部好き。「Face In The Crowd」とか。あとは、Trey Songz、ELHAE、Jay Princeに作った曲も全部気に入ってる。あとは、Mac Millerのアルバム『Swimming』のスタジオセッションがめちゃくちゃ楽しかった。最終的にプロダクションを手がけたのが「So It Goes」という曲だけど、アルバム制作中に何度も彼の家を行ったり来たりして、仕事とは思えないくらい楽しい経験だった。2010年くらいからの親友なんだよね。Rest in Peace。


ーよく伝えてるけど、私もよく聞いてる曲!(笑)


DrewsThatDude:ね、いつもありがとう。でも正直に言うと、自分が制作したものに自信持てるようになったのはつい最近。他のアーティストが前に選んだビートは正直あんまり気に入ってないかも。今振り返ると、絶対もっと上手に作れたと思ってる。アーティストに数ビート送っても、自分が一番気に入ったものが選ばれないことがよくあるんだ。もちろん、その中から一つでも使われるのは嬉しいけど、「え!それにするんだ!」と思う時が多いね。


ー自分は気に入ってたけど、他のアーティストに使われなかったビートは最終的にどうするの?


DrewsThatDude:それがセルフリリースの活動を始めたきっかけなんだよ!かっこいいビートがたくさんあって、使わないのはもったいないし。


ー使われてない、セルフリリースしてるビートは「Vault」のシリーズに収録されてる曲だよね?最近3枚目の『Vault III』がリリースされたけど、このプロジェクトが始まったプロセスや今後の予定教えてもらえる?


DrewsThatDude:そう!Spotifyのようなストリーミングサービスが始まった時に、どうやってリスナーを集めようかと考えて。まだリリースしてない曲がたくさんVault(ボールト)に入ってると思って、そこからこのプロジェクトが始まった。3枚まではリリースしたいとずっと思ってたけど、5枚まで作ろうかなと最近考え始めた。4枚だと違和感感じるから、やり続けるなら5枚(笑)。このプロジェクトを始めた時、事前に制作をどのくらいするか大体決めて、1年経ってから何を入れるか決めてる。



ー『The Vault』と『The Vault 2』から、『Vault III』で制作プロセスを変えたところはある?


DrewsThatDude:収録されてる6から7曲は、Twitchのストリーミング中に制作した曲。今年1月に『Vault III』をリリースすることはわかってたけど、Twitchを通してビートを作るとは思っていなかったよ。


ー今までVaultのシリーズで一番好きな楽曲は?


DrewsThatDude:ちょうどこの前久しぶりに1枚目の『The Vault』を聞いてたんだけど、色んなことを思い出した。「こんな人とコラボレーションした」とか「これはSoundCloudで人気が出て嬉しかった」とか。でも正直15曲の中で、今は4曲くらいしか好きじゃない。あの時は一曲一曲好きだったけど、時間が経つと違う風に聞こえてくる。恋愛のような感じ。付き合ってる時は相手が大好きだけど、今になって「あの時の相手どうだった?」と聞かれても「ん〜いい経験だったよ」としか思えない。でも、今振り返ってポジティヴに見れる恋愛もある。例えば、「Salute Remix」は大好きだし、Cavalier(カヴァリア)と作った「Flirt」も今でも好きだし。自分も一番いいと思う曲は、ファンも一番いいと思っている曲。それは数字を見ればわかる。


ー音楽を作れない私にとって、この音は好き、もしくは好きじゃないと言う二つの選択肢しかないけど、あなたはどういったところで好きか好きじゃないかを判断してる?


DrewsThatDude:使うプログラムや機材が変わってるんだよね。でも、過去に作った曲はもう好きじゃなくても、その曲を聞いて「あ、ここはいいけど、もうここはだめだ」と思えるだけで、自分がプロデューサーとして成長したことがわかるし、成長できたと気づけることはすごく嬉しい。


ープロダクションスタイルはどんなことからインスパイアされている?


DrewsThatDude:旅行が大好きなんだよね。いつも旅行中のシーンを思い浮かべて制作してる。場所とか想像して。あとは、女性も大きなインスピレーション。女性にはたくさんのエレメントがあって、クラブ、ストリップクラブ、踊り、そういったところからインスパイアされている。あ!あとアニメーション。自分はカートゥーンとか描けないけど、見るのは大好き。アニメーションで見た色や動きにもすごくインスパイアされている。アニメの筋書きにも影響される時があって。戦いするシーンとかもすごくインスピレーションになる。



ー最新作の『We Had Our Time』はどんなものを思い浮かべて制作した?


DrewsThatDude:大好きな都市を思い浮かべて制作した。自分の中でトップの都市はトロント、パリ、東京、出身地だからあんまり言うの好きじゃないけど、ニューヨークも。あとはロンドン。各地の雰囲気とサイケデリックな気持ちを合わせて制作したかった。カバーアートもそうだけど、サイケデリックな日本風の都市のアニメーションにした。


ー『The Vault III』は新しいレーベル<We Had Our Time>のファーストリリースとなるけど、このプロジェクトを始めたきっかけは?


DrewsThatDude:今までやってきたことをもっとわかりやすいプラットフォームでリリースしたかった。個人でよくリリースしたり、もちろんHuh What&Whereもあるけど、自分の音をもっとしっかり確立したかった。あとはコミュニケーションをよりスムーズにさせたかった。やっぱりブランドとかと話すときにアーティストとして話すより、レーベルのエグゼクティブとしてコミュニケーションを取ると、それだけで十分相手からのコミュニケーションも変わってくる。自分のことをもっと真剣に見てくれる。ありがたく、今のマネージャーJoeがレーベルの裏側のマネージメントも管理してくれるし、リリースしたいと言ってくれるアーティストもいて嬉しい。


まずは、この前リリースした『The Vault III』から、次にリリースを予定してるのはアルバム『We Had Our Time』にフィーチャリングしたThe CrushboysのEP。それを私がプロデュースする。それを2021年前半にリリースできるように今準備してる。その次に、私と友達のジョイントプロジェクトをリリースする予定。できるだけメインにR&Bをリリースしていきたいけど、ヒップホップもリリースしていく予定。あとは、インターナショナルなアーティストも入れて行きたくて、今ブラジルのアーティストと連絡をとっている。何よりもやりたいことは、リリースしたい音楽がたくさんあって、一つにまとまった場所に集めて行きたい。レーベルを通したり、他のアーティストのために音楽を作ると待たされることが多いから、自分のペースで制作とリリースできるようにしたい。


ー自分が手がけた作品以外にもリリースする予定?


DrewsThatDude:そうそう。もちろん今後他のアーティストの作品もリリースして行きたいけど、最初は自分が手がけた作品をリリースして、それでレーベルのサウンドを設立して行きたい。サウンドのブランディングもあるけど、初めてレーベルの主宰者になったから、もし今後他のアーティストがリリースするなら、彼らのためにもレーベルを運営してきたい。


ー楽しみだ!今日はありがとうございました。


【DrewsThatDude】

ニューヨーク出身のプロデューサー。 グラミー賞に2回ノミネートされ、Lil Wayneの「Tha Carter IV」のプロデュース、Mac Millerの「Swimming」のボーカルを手掛けた。その他に、ScHoolboy Q, Omarion, Jacquees, Trey Songzのようなアーティストのプロダクションも手掛けている。DrewsThatDude名義で出している自身のトラックは合計2千万以上ストリーム再生されている。デビュー作品「En Amor EP」はHuhWhat&Where Recordsにてリリース、2016年にレーベルメイトTek.lunと「No More Favors」をリリース。アメリカだけではなく、ロンドン、アムステルダム、パリや東京にもツアーを行う。今夏「We Had Our Time」がリリース決定している。


 www.drewsthatdude.com/

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Bandcamp: https://drewsthatdude.bandcamp.com/

Soundcloud: https://soundcloud.com/drewsthatdude/

Spotify: https://open.spotify.com/artist/36UnfzYd835ufc9ajoT9Kk/

Apple Music: https://music.apple.com/us/artist/drewsthatdude/1008641757/

TikTok: https://www.tiktok.com/@drewsthatdude5/





Written by Amy





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