DJ座談会 vol.1|「2020年、クラブカルチャーはどう変わる?」

大沢伸一、ALI&(80KIDZ)、Maika Loubté、荒田洸(WONK)、☆Taku Takahashiが集まり、様々な話題について議論を交わす。
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2020.01.04 06:00

Twitterやnoteなどで個人の考えを発信しているDJも多いが、それをDJ同士でぶつけてみようと今回始まった「DJ座談会」。第1回目は大沢伸一、ALI&(80KIDZ)、Maika Loubté、荒田洸(WONK)という面々が集った。☆Taku Takahashi(m-flo)をモデレーターに、DJ論からクラブカルチャーの未来まで数々のお題について意見を交わす。


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■DJをするとき、1曲目はいつ決める?どう決めることが多い?


☆Taku:僕は“今日はこの曲で絶対始める”って日が結構あります。クラブ入る前からスタートする曲を決めてる。現場に行って思ってた雰囲気と違ってもあんまり変えないかな。


荒田:ある程度セットリストは決めますか?


☆Taku:自由にできるようには準備するけど、広すぎてもダメなんです。僕、病んじゃった時期があったんですよ。呼ばれたら全部出るっていう年があったんですけど、そうなるとTOP40メインの現場もある。そういったものもある程度対応できるようにしようとしたんですけど、それが無理だった。曲は嫌いじゃないんだけど自分のDJに納得いかなくなっちゃって。だからなるべく選択肢を広げすぎないようには気をつけてます。荒田くんは?


荒田:僕はある程度セトリを決めていくんですけど、行ったら全く違う雰囲気だったときは変えます。当日の午前中か昼くらいに1曲目は決めちゃいますね。


大沢:なるほど。僕は1曲目はほぼ決めないですね。現場で状況見てっていう感じではなくて、そのときの自分の気分を一番大事にしてる。自分がどんな気分になるかがわからないからあんまり決めないですね。セットリスト的な“今日はこれかけよう”っていうものは持っていくんですが、現場で気分が変わって結局その中から使わないことも多い。


ALI&:ちなみに、前にかけて気分が良かったっていう曲もヒストリーからかけたりしますか?


大沢:良く見ますね。そこからいくつか引っ張ってきたりとか。


荒田:どういう気分になることが多いんですか?


大沢:僕DJの回数減らしてるんですけど、正直、自分の中の“現場が楽しかった時代”が終わっちゃってて。それは自分自身やクラブ、お客さんに問題があるわけじゃなく、全体的にダンスミュージックが消費され消耗した結果、突出して面白い現場が10数年前に比べて少なくなってる気がする。そうなると、現場で自分がどんな気分になるのかがわからないんです。10年前なら自分のパーティーでも他の人のパーティーでも、現場の流れとか雰囲気、自分の気持ちも予測できたんですけど、今は予測がつかないんですよね。




☆Taku:なるほど。Maikaちゃんはどう?


Maika:私も1曲目は決めないですね。その日かけたい曲である程度セットリストは作るんですけど、順番とかも変わっちゃうことが多くて。“違う”って思ったら変えちゃいます。目の前にいる人たちから何かしら影響を受けて、自分の気分が変わってセットも変えるっていう感じですね。


☆Taku:前の人がかけてる曲が影響したりはします?


Maika:それはないですね(笑)。私は私、と思ってるので。


大沢:それに引っ張られるとキリないもんね。


☆Taku:めちゃくちゃ被ったりしたときは?


Maika:被る、っていう経験はないですね。


大沢:これからどんどん活躍の場が増えていくと被ることもあると思いますよ。前にやる人がMaikaちゃんの雰囲気に寄せてくるから。僕も最初は全然なかったんですよ。でもだんだん、なぜか僕みたいな雰囲気のDJを前の人がやってることが増えて。


荒田:前のDJからの繋ぎって結構楽しくないですか?


Maika:わかります!どう変えようかなっていうのと、自分と同じような雰囲気が好きそうな人だったら“仲良くなれそう”と思ったり。


☆Taku:僕、大沢さんのエキセントリックな繋ぎ、好きなんですよ。130の曲を112に繋げたいとき、その人の曲を112に落として繋げるやり方。前の曲のテンポに合わせちゃう人の方が多いけど、大沢さんは前の人とコミュニケーションを取ってからそうやって繋げてく。


大沢:やりますね。最後までかけてほしいとか、どこで繋いでもいいですとか、そういうコミュニケーションは取るべきだと思います。礼儀というか、それを伝えないと次の人もわからないので。


☆Taku:大沢さんも良く言ってくれますよね。僕は見てて分かるようになったけど。


荒田:仲いい人とかよく一緒になる人は大体わかるかもしれないですね。


☆Taku:ALI&くんはどう?1曲目決めますか?


ALI&:80KIDZの2人でやってるんですけど、1曲目はほぼ僕なんですよ。何がきても割とその場で対応できる方なので。出番の10分前くらいに1曲目は決めます。前の人の2曲くらいを聴きながらフロアの状況見て正解を探るというか。もちろんその前からちゃんと聴いてますけど。1曲目は相方への合図の意味もあって。前の曲のノリに合わせるときと、最初からガツンって変えていくときは、それぞれ「こういう感じでいこう」っていう相方へのメッセージでもありますね。


大沢:1人でやったりはしないの?


ALI&:やります。やるときはめちゃめちゃ空気読みますね。


☆Taku:あ、それ次の質問に繋がるかも。





■DJはフロアの空気をどれぐらい読むべきか?


大沢:これ、“べき”とかはないんじゃないですか?


荒田:何が正解かはわからないですけど、僕は割と読みたいです。DJ Jazzy Jeffが大好きなんですよ。彼が大阪に来たときにオープンのDJをやらせてもらったんですけど、Jazzy Jeffのプレイ中は、400人くらいのお客さんを2時間踊らせっぱなしだったんです。曲を繋ぐ度に盛り上がるような感じで、これはすごいと思いました。僕の中ではDJとしてのヒーローなので、フロアの空気を読んでプレイするっていうのはかっこいいなと。僕はそれに憧れてるので、個人的には空気を読むことが多いかもしれません。


Maika:私は気にしないというか、読めないんですよね(笑)。他の人が何考えてるかわからないんですよ。わからないから自分が楽しいようにやるしかなくて、結果それが喜ばれたときが積み重なって、自分のメソッドみたいなものが出来てくる感じ。楽しませたいっていう目的はみんな同じだと思うんですけど、空気読めば必ず楽しくなるかって言ったらそうでもないとは思います。会話でもそうじゃないですか。


ALI&:空気を読まずに盛り上がる打率はどのくらい?


Maika:場所によるかな。スペインの場末のバーみたいなところでぶち上がったり、ファッションパーティーのときはそれほどだったり。自分の中で良くてもお客さんに通じないときもあるし。そういう意味では“プロDJ”と名乗るのはおこがましいなと思うんですけど。


荒田:この繋ぎは絶対盛り上がるっていうテッパンはないですか?


Maika:ありますね。そうやって積み重なっていくんですよね、きっと。


ALI&:僕も基本的には読まないですね。でも1人のときと、空気読まなきゃいけなそうな現場のときは読みます。みんな色々探ってるんだけど当たりがないみたいな現場ってありません?人はいるけど踊ってくれない、みたいなパーティーのときは、難しい問題を投げかけられてるような感じがして、正解を見つけたいっていう気持ちになる。ただ、すごく縛られるようなことはないですね。ジャンル的にもそうなのかもしれないけど。


☆Taku:次の質問にも繋がるかもしれませんが、アーティストDJとDJ専門の方、それぞれの責任って少し違うのかなと思っていて。



■アーティストDJとDJ専門の人の違いはある?


大沢:プロかどうかっていうのもあるし、難しいよね。ブッキングしてる人にとってはそこまで境界線がないと思うんですよね。DJできるから頼んでくれてるというか。とは言え、それぞれできることとできないことがあるから、何をやって欲しいかは事前に言って欲しいなとは思う。無茶苦茶はやらないでください、とか。


荒田:それ言われたら逆にやりたくなりません?


大沢:でも大体“おまかせ”って言われることが多いでしょ?それで正解を探そうとするんだけど正解なんてなくて。例えばさっきも出たけど、ファッションパーティーで人を踊らせるのはどれだけ腕があってもすごく大変なこと。それはDJの責任じゃなくて会場とか雰囲気にもよるから。


☆Taku:そもそも踊らせるものじゃないのかもしれないし。


大沢:それでなくとも人を踊らせるってすごくハードルが高いことだから。特に日本なんて、みんな羞恥心の塊でしょ。クラブの暗いところでもなかなか踊らないのに、明るくてみんなに見られてる場所で踊れる人は相当ハート強いから。そういう人たちが10人の中に1人いたらいいくらいかな。


☆Taku:そのハート強い人が踊ってると、周りが変な目で見たりすることもありますしね。


大沢:外国人の多いパーティーだとそういう努力はしなくてよかったりするし。だからそこはDJの責任じゃないかもしれないよね。


荒田:アーティストDJとDJ専門の方を分けるとすると、求められてるものがちょっと違う気はします。例えば僕だったら、Robert GlasperがDJするってなったら、Glasperが普段何を聴いてるのかっていうところに興味が湧く。


大沢:björkでもThom Yorkeでもそうだよね。スキルを求めるんじゃなくて、普段何を聴いてるかが知りたいと思う。


荒田:はい。ファンの視点で考えると、何を求められてるかが変わってくる気がします。


☆Taku:DJを専門にされてる方は“踊らせる”っていう義務がもう少し強いかもしれないですね。


荒田:そうですね。ファンが「björkは普段何を聴いてるんだろう?」って思ってbjörkのDJを聴くのは、結構限定された聴き方じゃないですか。でも、björkを全く知らない人であれば、そういう風には聴かないと思うので。


☆Taku:なるほどね。実は今回はアーティストDJのみなさんに集まってもらったんですけど、アーティストDJならではの質問も聞いてみたいです。





■自分の作る曲とDJするときの曲に“ねじれ”を感じるときはある?


大沢:みんなあるんじゃないですか。


☆Taku:あります?例えば、海外のアーティストって自然に自分の曲も溶け込ませてかけられるじゃないですか。僕もねじれを感じるんですけど、どうしてだと思いますか?


大沢:僕の場合は、単純に“隣の芝生”です。人が作ったものの方が優れてると自然に感じてしまってるし、そうやって自分の耳にも聴こえる。でも他の人からしたらそうじゃないことも知ってるんですよ。違うものになりたいと常に思ってるから、自分が好きでよくかける曲に対して引け目があるというか。


Maika:わかります。自分が好きな曲って自分にないものがあるから好きな場合が多くて。自分自身の曲は何かを参考にしたりしてないので溶け込みにくくなるというか。だから好きな曲の間に自分の曲を入れたいけど、なんか違うって思っちゃう。それこそ自分にないものを聴くっていうのが音楽への憧れでもありますよね。だから今の大沢さんの話を聞いてすごく納得しました。


大沢:僕は2009年から2015年くらいまで、ほぼ自分の曲をかけないDJの方が多かった。怖くてかけられなかったんですよ。最近はやっと払拭して、僕のことを好きで来てくれてる人に多少は聴かせてあげないとまずいなと思い始めたんだけど(笑)。


☆Taku:自分がDJブースにいるときの聴こえ方とフロアでの聴こえ方って違うと思うんですよね。僕らからしたら違和感があってもお客さんからしたら気持ち良いものだったり。好きなアーティストがDJしてて、その人の曲も聴きたいっていう気持ちもわかるんですけどね。80KIDZも最後は自分たちの曲で終わらせたりするけど、どうですか?


ALI&:僕がねじれもなくかけられるのは相方が作った曲ですね。自分が作った曲は絶対かけたくないんですよ。逆に、相方は自分が作った曲を僕がかけようとすると「いいよ、かけなくて」って言うんですよ(笑)。さっき大沢さんがおっしゃった通りなのかもしれません。


☆Taku:荒田くんのDJとWONKのスタイル、ジャンル的に違うときもあると思うんですがどうですか?


荒田:全然違いますね。僕、WONKの曲は1回もかけたことないです(笑)。アーティストDJというものがあるとしたら、さっき言った「普段どんな曲を聴いてるのか」を求められると思っているので。選曲で攻めたいですし、WONKの曲は僕のDJセットに組み込んでも盛り上がらないから、絶対にかけないです。


☆Taku:なるほど。では次もアーティストDJに聞きたい質問です。





■SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスが自分の作品に影響を与えることはある?


荒田:☆Takuさんはどうですか?


☆Taku:僕はありました。完全に乗っかりたくはないんだけど、意識はしちゃいました。自分がSpotifyを使ってどんなときに次の曲も聴きたくなるかとかを改めて意識して、アルバムの曲順を考えましたね。例えば、最初のインタールードが3分になっちゃったんですけど、今の時代で3分のインタールードはきついなと思って。だからそれを曲にして、別で1分くらいのインタールードを作りました。“リスナーの体験”っていうところを考えて、影響を受けちゃってますね。


大沢:僕はあんまり考えたことないですね。曲の長さはストリーミングサービスの影響というより世相というか、全体的に長い時間に耐えられるような時代じゃなくなってる。なんでもスピードが速いし。そうすると例えば、明け方にどこかのフロアで8分のハウスを気持ちよく聴くっていうのはあるかもしれないけど、日常で8分の曲をたくさん聴くっていうのはあんまりないと思うんですよね。そういう意味で言うと曲が短くなってきてると思いますが。僕自身はマーケットを読むようなことをできるだけやらないようにしてますね。


☆Taku:m-floのワンマンライブではMaikaちゃんとALI&くんにもサポートに入ってもらったんだけど、5,6分ある過去の曲は3分くらいにして。それがむしろ気持ちよかったんですよね。最近、自分の気持もそういうふうになってるなと思っていて。


Maika:私も制作にはあまり影響は受けてないですね。


ALI&:Maikaちゃんの曲って結構長いよね。


Maika:長いかなぁ?あんまり考えてなくて。昔の曲が好きで、Spotifyで聴いたりもするじゃないですか。だから、長いか短いかっていうよりは、作品として面白いかどうかだと思うんです。綺麗事に聞こえるかもしれないんですけど。


ALI&:例えば2番がある曲って、歌詞的にもうひとまわし何かを伝えたいと思って2番を作ったりする?


Maika:いや、通して聴いて何が一番気持ちがいいかなっていうところで。すごく感覚的に作ってるのかもしれないですけど、それがストリーミングサービスと関係するかはちょっとわからないです。


荒田:僕らは、シングルにする曲は基本的に3分くらいで収めるようにしてます、あえて。僕らはメジャーレーベルの力をそんなに借りてるわけではないし、自分たちで戦略の部分をしっかり考えないと勝負できないなって思ってるので。僕らはそうは思ってないんですけどジャズと言われることも多くて、一般的に認知がされにくい音楽だと自分たちでも思っていますし。それをどう広めるかって考えたときに、今の世の中の流れを読んで構成とかを考えることはありますね。シングルにする曲はある程度そういった部分も考えながら、そこに自分たちのニュアンスを入れていく。アルバムであれば1曲じゃなく全曲聴いて欲しいので、そのために一つひとつの繋がりを考えて構成します。


☆Taku:うん。僕らもそうやって作ってるし、できればみんなに通して聴いてもらいたいですよね。でも、そうやって聴いてもらえないことも多い。アルバムじゃなくて、気に入った曲を集めて自分だけのプレイリストを作って聴く人たちの方が増えてるので。


大沢:それもまた変わっていくんじゃないですか?どんな風にでも変わる可能性はある。例えばサブスクのストリーミングサービスだって永遠に続くかはわからないし、時代によって変化すると思うんですよ。もっと便利なものができるのか、もっと単曲しか聴かなくなってしまうのかはわからないけど。それを考えると、荒田くんが言ったように時代を読みつつも自分たちのやりたいことをやらないと意味がないのかもしれないね。


Maika:例えば人工知能がすごく発達して、個人の心の音楽ツボをすごく精度高く把握するようになったら、インディーズで作ってる音楽だとしてもピンポイントで届くようになるじゃないですか。そうすると、どのプレイリストに入っただとか、再生数だとかは全く関係なくなって、いかに人の心に深く刺さるかが一番大切になりえるなって思います。


大沢:それはすごく期待してます。


荒田:最近のSpotifyとかは結構個人のツボをおさえてきてますよね。


ALI&:僕らは、もともと3分半とか4分くらいで終わってる曲が結構多いんですよ。クラブミュージックとして作ってるアルバムのトラックはわざと長めに作るんですけど、自然に表現すると3分半〜4分くらいが昔から多かったので。だから、時代の流れはそうなってますけど、むしろ助かるというか。だからあまり意識したことはないですね。


荒田:時代が追いついてきたということですね。


ALI&:いやいや(笑)。時代と仲良くできそうになったって感じかな。


☆Taku:時代と仲良くできるときとそうじゃないときがあるもんね。では最後の質問です。





■2020年は今まで以上に海外から来た人たちがクラブに足を運ぶと考えられるが、クラブカルチャーやクラブはその影響を受けて変化していくのか?


大沢:もう変化してるんじゃないですか?多分、日本人でクラブに毎週行くっていう人は減ってるし、夜遊びの主役はもう日本人じゃない気がしてます、僕は。


ALI&:僕も、テクノ・ハウスに関しては年齢層も少し上がったのと、外国人がめちゃくちゃ多いなって感じてますね。


☆Taku:その一方で、BATICAとかの小箱には若いお客さんが来てますよね。


大沢:そこがホープなんじゃないですか。そこにしか希望がないというか。


☆Taku:いわゆるディスコ箱には、出会いを求めてという意味も含めて遊びに行く人もいる。逆に音箱と言われてる場所は年齢層が高くなり外国の方が増えてる。この原因ってなんだと思います?


ALI&:僕は、ディスコ箱に行ってる若い子も本当は音箱に行きたいんだと思うんです。僕ら定期的にオールジャンルの箱でDJがあって、ハウスとテクノをかけてるんですけど、お客さんの年齢層がすごく若い。その人たちが、もちろん自分の知ってる曲はめちゃくちゃ踊るんですけど、そうじゃない曲でも踊るときがあって。そういう人たちが何を考えてるか知りたかったので「なんで踊ってたの?」って聞いてみたら、「めっちゃかっこよかったから」っていう普通の答えが返ってきて。でも僕がかけた曲は、ヒット曲でもない普通のテックハウスだったんです。それを聞いて「音楽に詳しいわけじゃないけど、これがいいものなんだと思って踊ってる人もたくさんいるんだな」って思って。だから、EDMのフェスは単純に遊べるから行ってるだけであって、これからこういう人たちが音楽を深く知っていったらまた変わっていくのかなと思ったんですよね。


大沢:うーん、難しいよね。大きなくくりで言うと、音楽に対してみんなそこまで興味がなくなってて。ディスコ箱に行ってる人で音楽だけを求めてる人ってあんまりいないと思う。その人たちが何かをきっかけにもっと音楽が好きになって、他のクラブにも行ってみようっていう体験に繋がるほど世の中暇じゃなくなってきちゃってるし。音楽がかつて持っていた刺激を失ってるんじゃなくて、それ以上に刺激の多いもの、誘惑が増えちゃってる。


☆Taku:それはスマホが影響して?


大沢:僕はスマホの影響が大きいと思いますね。


ALI&:そういう人たちが何かのきっかけでもっと音楽に興味を持つ可能性もゼロではないですよね。


大沢:ゼロではないけど、何かが根本的にひっくり返るような、例えばアノニマスがライフラインに関わるもの以外のネットワークをすべて破壊してしまうとかがない限り、人々の考え方は変わらないと思う。これだけ“デジタル・デトックス”って言われててもみんな毎日iPhoneを5,6時間使ってるわけでしょ。起きてる時間が大体16時間くらいで、そのうち3分の1はこの小さいデバイスの中で生きてる。自分の好きなものに向ける余暇時間が削がれてる気がするんです。


☆Taku:ただアイロニーなのは、スマホは僕らが音楽を届ける重要なアイテムでもありますよね。


大沢:それもこれから変わるかもしれないですよ。どういう形かはわからないけど。


☆Taku:クラブに話を戻すと、音箱が流行った理由って、音箱で活躍しているアーティストDJたちの曲がヒットしてたことが大きいと思うんです。エレクトロシーンが盛り上がったあとはEDMの時代になって、海外のアーティストのヒットはあるけど日本のアーティストのヒットがなかった。それが、集客が少なくなってきてることに繋がってるんじゃないかなと考えていて。


大沢:僕はちょっと意見が違うかな。個々のアーティストの力が及ばない大きな流れが原因だと思う。




荒田:音箱が流行ったのっていつですか?


☆Taku:90年代後半〜2000年代初頭に盛り上がり初めて、震災までがピークだったかな?


大沢:そうですね。


☆Taku:震災、プラス風営法問題で下火になってしまったと思います。


荒田:僕、震災の年に19歳だったので、震災前のクラブの様子を全く知らなくて。


☆Taku:すし詰めでしたよ。客層も、フォトグラファーとかアートディレクターとか、クリエイティブな職種の人たちが多かったですよね。


ALI&:美容師やアパレルの人も多かった。


大沢:かっこいい人が多かったよね。今はプライベートでクラブに行ったりする?


☆Taku:最近は行くようになりました。行く理由は、今の若手アーティストが面白いから。魅力のあるアーティストがいて、ファンも集まってる。そのひとつの良い例がVISIONの「trackmaker」かなと思ってて。BATICAで始まってどんどん大きくなってVISIONとかでイベントを開いて、そのイベントは面白いし集客もできてる。そこに、渋谷系が爆発した時代の前夜みたいなものを感じるんですよ。


大沢:それはすごく良い例で、さっき「そこにしか希望がない」と行った通りなんだと思います。そういう熱量のある若者の活躍の場が人を惹き付ける。人数の問題じゃなくて、熱量があるかどうかですね。何万人も集まるフェスでみんながハンズアップしてる絵っていうのは世界中で何億万枚も写真が撮られて、もうみんなそれには飽きてしまった。逆に数十人しか入らない小箱でも、そこで聴ける音楽が楽しいから熱量が高まってムーブメントになっていく。その部分を培養していくことがこれから必要なのかもしれませんね。



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今後もblock.fmでは様々なメンバーに集まってもらい、定期的に座談会を開催する予定。今回のディスカッションへの意見・感想や、今後トークして欲しいテーマなどがあれば、block.fmのTwitter(@blockfmjp )DMまで。



written by Moemi





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