DJ KAORI × ☆Taku Takahashi(m-flo)対談|生身でカルチャーを体感すること、世界に視野を広げること。

DJ KAORIとm-flo ☆Taku Takahashiが、最新リリース『DJ KAORI DISNEY MIX』制作についてや、DJ/アーティストとして今感じていることをトーク。
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2020.12.01 09:00

『DJ KAORI DISNEY MIX』をリリースしたDJ KAORIと、m-floの☆Taku Takahashiによる対談が実現。どの世代でも楽しめるDISNEY MIX制作話から、DJ KAORIと☆Takuが初めて会話したときのエピソード、NYの第一線で活躍してきたDJ KAORIだからこそ語れる、現地でカルチャーを体感することの意味など、貴重な話をたくさん聞くことができた。



意外と知らない?“踊れるディズニー楽曲”をチョイス


☆Taku Takahashi(以下、T):KAORIさん、お久しぶりです!こうやってゆっくりお話できる機会って今まであまりなかったので嬉しいです。


DJ KAORI(以下、K):こちらこそありがとうございます!久しぶりですね〜!


T:今回はディズニーのMIX CDをリリースされたということで、まずはそのMIXについてお話聞きたいんですが。今までもいろんなMIX CDを出されてますけど、ディズニーは初めてですか?


K:リミックスはあるんですけど、MIX CDは初めて。自分でも正直、作る前はうまくできるか不安だったんですけど、いろんなバージョン、いろんなタイプの楽曲を聴かせてもらって、逆にすごくやりやすかったですね。今は世代によって聴く音楽やチェックするメディアが違うし、すごく多様化している中で、“みんなが知ってる”ディズニーの音楽ってやっぱりすごいなと思いました。子供から大人まで楽しめて、内容もポジティヴで。




T:確かに、家族でも友達同士でも楽しめるなと思いました。今回のMIXはクラブリミックスされてる曲が中心になってるんですよね。僕も意外と知らないバージョンがあって。


K:そう。踊れるリミックスを集めたので、フレッシュな感じで楽しんでもらえるんじゃないかなって思います。


T:KAORIさんって現場はもちろん、MIX CDでのムードの作り方がすごくうまいなと思ってて。今回のMIXで大沢伸一さんの「Main Street Electrical Parade」をどこに入れようか、とかって考えたりしました?僕、この曲の出し方が一番好きです(笑)。


K:あはは!今回は割とスムーズに決まりましたけどね。



T:MIX CDって現場と違って残ることが前提だから、流れを考えたりするじゃないですか。そのプロセスをどうやってるか知りたかったんですよね。


K:う〜ん、曲を聴いたら流れが出てくるって感じですかね。


T:並べて繋げてみて「ここ気持ちいいな」とか、「違うな」とか?KAORIさんは感覚的にやってることだと思うから答えづらいですよね。


K:現場の感じはありますね。自分が上がるかどうか、みたいな。聴いて盛り上がるようになればいいなというのは意識してます。


T:あとはm-flo feat. Matt Cabの「A Whole New World」も使っていただいて。ありがとうございます。



K:私、m-floの大ファンなので。20周年のライブも行きましたよ〜!日本の宝ですよね。常にエッジィなことをやりつつ、ポップカルチャーを20年間日本で牽引してきて。前にm-floのMIXも作らせてもらいましたけど、あのときもすごく楽しくて。いい曲がたくさんあるし、リミックスも豊富だし。あのMIX CD、気に入ってくれました?(笑)


T:そう、その話したかったんですよ〜!m-floの楽曲ってBPMがバラバラなんだけど、あのMIXではすごくきれいな流れを作ってもらってて。ついこの間も聴き直して、さすがだなぁと思ってたんです。


K:嬉しい〜(笑)。



リアルで体験しないとわからないカルチャーはたくさんある


T:KAORIさんと一番最初にお話したのはm-floがデビューする前、DJ HIRO nycさんと電話してたとき「今DJ KAORIがいるから電話かわるよ〜」ってKAORIさんを繋いでくれて。僕がm-floを始めることを話したら、KAORIさんが「細かいことは気にせずに、あなたたちのやりたいことをやればいいのよ」ってエールを送ってくれたんです。


KAORIさんに言われた一言が、自分の中ですごく響いたんですよ。日本にいると「ヒップホップはこうじゃなきゃいけない」っていう日本独特の雰囲気がある中、NYの第一線でやってる人にそう言ってもらえるってすごく嬉しかったんです。




K:m-floは日本のマーケットだけじゃないエッジィな部分もうまく取り入れながら成功したアーティストだと思いますよ。本当に日本の宝。


T:KAORIさんに言われたことは、ヒップホップに敬意を示しつつも自分のやりたいサウンドをどうやって作るかっていうところに繋がった言葉なので、今でもありがたく思ってるんです。KAORIさんはNYのFUNKMASTER FLEXとかレジェンドにも認められていて。しかも女性で、日本から来ていてネイティヴじゃないのにDJシーンのトップで活躍されていて、

本当にすごいなと。


K:ヒップホップごりごりの場所でね(笑)。英語も下手で毎日泣いてましたよ(笑)。スラングとかもわかんないし。カルチャーも違うし、ヒップホップってメンズワールドだから、仲間になかなか入れてもらえないところはあって。そういう意味では大変だったけどいい経験だったし、感謝してますね。


T:ごりごりのヒップホップからR&B、今はエレクトロニック・ミュージックもすごく積極的に取り入れられてるじゃないですか。そういう部分はどう変化していったんですか?


K:現場を盛り上げたいっていう気持ちが一番なので、そこまで意識したわけじゃないんですけど。日本に長くいるようになって、日本での共感性を考えたときに変わってきたのかなぁ。ヒップホップ自体がローカルなものというか、NYの箱ではNYのヒップホップが盛り上がって、ウエストにいけばウエストの曲、ヨーロッパに行けば有名なラッパーがアメリカとは全然違うし。


結局、自分の身近な人間のレペゼンしてる話を聞きたいんだと思う。だってみんながアメリカのラッパーみたいな生活してたら全員逮捕されちゃいますからね、ジャパンだと(笑)。だから結局、アメリカのカルチャーやライフスタイルと同じように生きるっていうのは難しいし、日本には日本のマーケットがあるわけだから。そうなると自分も変わってくるのかなと。




T:普段聴くものも変わってきたり?


K:そう、聴くものも変わるし、気持ちのやさぐれ度合いもね。NYの現場にいたときは一緒になってやさぐれてたけど、日本は平和だからそこまでやさぐれなくても(笑)。そこまで警戒して生きてかなくていいわけで、、。NYだとね、そういうのあるから。みんな臨戦態勢でいるわけじゃん。


T:あはは!確かにNY行くと僕もちょっと気張りますね。


K:でしょ?『人を信用しちゃいけない』っていうのがベースにある。まあ色んな意味で自分も、、、、、、、、かなって(笑)。そういう意味で自分もジャパンのメンタリティーにいい感じで戻ってきたのかな、って。でも今、日本で平和に育ってたらアメリカにわざわざ行きたいって思わないんじゃないかなって、最近思うんだよね。すごくバイオレントで緊張感漂ってて。


T:今はそう思いつつも、KAORIさんは実際行ったわけじゃないですか。そういう風には思わなかったんですか?


K:全然思わなかったね。若さかな(笑)。


T:武者修行したい!とかそういう感じだったんですか?


K:そこまでじゃない。「英語でも喋りたいな」くらいの軽い気持ち(笑)。音楽が好きだったし、レコードも安く買えるじゃないですか。道端でレアな盤が数ドルで売ってるし、クラブ行っても音楽で盛り上がってる。ラジオでは24/7いい音楽が聴ける。若かったからなんにも気づかなかったよね〜。ブロンクスのクラブとか、ジャマイカでみんな拳銃持ってるパーティーとか、今考えるとよく行けたよね(笑)。


T:音楽が好きっていうパッションと、プラス若さですね(笑)。怖いもの知らず。今の若いジェネレーションって、そういう部分が僕らの若かった頃とちょっと変わってきてるなって感じるんですけど。


K:今は情報があるからね。昔は情報を渇望してたじゃん。


T:行ってみないとわからないことがいっぱいありましたよね。


K:カルチャーって、その場所に行ってみないとわからないことが結構ありますよね。情報は入ってきたとしても。例えばダンスホールとか、知らない人からしたら全部同じに聞こえちゃうと思う。でも現地に行って聴いてみると、その独特なカルチャーがあって。「あ、こういうことね」って気づくことがある。今は情報が溢れてるからそれで満足してる部分はあるんじゃないかな。


T:無理して行けとは言わないけど、行ったら楽しいでしょうね。香りや感情、ムードとか湿度とかを肌で感じること。そういう経験って大事。日本でトラップ聴くのと、LAやアトランタで聴くのは全然違う。不思議ですよね。




K:逆に、日本には日本のカルチャーがある。今の時代だからこそ、どんどん日本から発信していくことも可能になったわけだから、日本のアーティストたちも日本のマーケットだけに満足する必要もないのかなと。可能性は広がってるから、いろんな経験をして、いろんなところに行って視野を広げるのがいいと思う。日本だけにいると視野が狭くなる部分もあると思うんだよね。周りの目を気にしちゃったり、ちょっと道を外れると過剰にバッシングを受けちゃったり。


T:例えばNYで、まっ黄色の服着て変な踊りしてる人がいても、いい意味で無関心でみんな通り過ぎちゃう。変な人がいるのがデフォだから。それが日本だと変な目立ち方しちゃうっていうか。


K:そういう意味で視野を広げられる機会があれば、いろんな生き方があって、世界は広いんだっていうことを知れるんじゃないかな。



自分を決めつけすぎず、素直にやりたいことにチャレンジしたい


T:最近DJでよくかけるジャンルってあります?


K:ジャンルというより、“みんなが上がるもの”。でもそれが難しい。最近は日本語ラップとかレゲトン系も多いですね。“踊れる”って言っても、カルチャーを知らないと踊れない曲と、自然に体が動く曲があるんだけど。でも、クラブでビッグチューンかけるのも難しいよね。☆Takuさんなんて結構とんがった曲かけてるでしょ?


T:最近だと僕、逆張りもするようになってて。和モノを結構かけるようになってます。久保田利伸さんの曲や、KUWATA BANDとか。クラブでかかる曲のアンチテーゼ的な曲をかけることも最近は好きですね。


K:崩し始めたってことですかね。大人になってくると自由になってくるのかもしれないですよね。トレンドだけじゃなくて、広い視野で見ながら自分がいいと思ったものをかけられるというか。


T:なったかも。というか、温故知新になってきた部分もあります。


K:わかります。私も最近90年代、2000年代の曲聴いたりします。実際にその時代の音やファッション、カルチャーが戻ってきたりもしてますよね。「Timberlandのブーツ、今履いてるの?」みたいな。


T:テクノのアーティストがレイヴ回帰してたりとかね。


K:2000年くらいのUKで流行ってた2stepフレーバーの曲も最近だと多いですよね。「ああ、こうやって時代は巡っていくのかな」って感じる。80年代のハウス、90年代〜2000年代のヒップホップ、そこからEDMが出てきて、またハウスの時代に戻って。デフレになると四つ打ちが流行るっていうのは本当ですかね?(笑)


T:あぁ〜、確かに(笑)。


K:80年代後半のNYもデフレで荒れてて。今は景気が良くなったからヒップホップが流行ってる、とか。音楽って社会を写す縮図でもあるので、経済と音楽って意外と密接に関係してたりするのかなとか考えますね。




T:本当にそうですね。今年はコロナの影響で、DJの現場は少なくなってしまったじゃないですか。KAORIさん的には影響を受けた部分はありますか?


K:自分を見つめ直すいい機会になったかな。NY時代から毎週末現場でDJして、20年以上同じ生活を続けてきたから。「私、今まで結構頑張ってきたじゃん?」みたいな。


T:ずっと走ってきたんですもんね。


K:そうそう(笑)。これからどうやって音楽に関わっていくかとか、考える部分は増えたけど、いい機会なのかもしれないなと思いますね。


T:僕自身、DJのために曲をチェックしたり、曲を作るために研究したりはずっと続けてるんですけど、プライベートで音楽を聴く時期と聴かない時期があるんですよ。KAORIさんはどうですか?


K:全然ありますよ。仕事として長いことやってるとそういう部分はありますよね。あと、若い時は人生が音楽とDJだけだったけど、人生が1回って考えたらいろんなチャレンジもしてみたいっていう部分も出てきましたね。“自分はこう”って決めないで、その時々の自分に素直になりたいなとか。等身大の自分で生きてみたいと思う気持ちと、DJ KAORIとして維持していきたい気持ちと両方あって。NYと日本でやってきたところが第1章と第2章だったら、次は第3章の幕を開けないとな、とか。


T:僕も、KAORIさんが今おっしゃった“素直になること”が、☆Taku Takahashiとしても高橋拓としても大事だと思っていて。音楽を仕事にしてると、ひとりよがりになってしまったり、自分としてはこだわってる部分も他の人からしたらひねくれて見えてしまうことがある。あと僕の場合は天の邪鬼になったりとか。音楽でもプライベートでも、そういう天の邪鬼な部分を直していけば、新しくやりたいこともさらに見えてくるのかなって考えてたので、今のKAORIさんの話はすごく響いた。


本当は今年たくさん曲を作るつもりだったんですよ。でもコロナの影響で、実際はアウトプットじゃなくてインプットが多くなった。オンラインフェスの開催や、今日みたいに他のアーティストと対談させてもらう機会がすごく増えて、いろんな感覚、価値観を吸収することができた1年でした。いろんなことが学べて結果的によかったなと思ってます。アウトプットは来年に、ソロを出したいなと思ってるんですよ。




K:m-floでも歌を歌ってましたもんね。わかります、素直になって自分のやりたいことをできる年齢になりましたよね。カッコつけずに。


T:自分が歌うなんて昔なら絶対考えられなかったんですよ。「自分の美学に反する!」みたいな(笑)。でも最近は、歌詞の聞こえ方も大事だなって再認識してて。そういったメッセージが伝えられるものがもっと作りたい。


K:素直にね〜、大事ですね。☆Takuさんのソロも楽しみにしてます!


T:今日はゆっくり話せて楽しかったです。またぜひ会いましょう!



【リリース情報】



©Disney


DJ KAORI DISNEY MIX


発売日 / アルバム配信日:2020年11月4日(水)

品番:UWCD-1091

価格:税込¥2,970(税抜:¥2,700)

リンク:

「DJ KAORI DISNEY MIX」

https://lnk.to/DJKAORI_DISNEY


「DISNEY SONGS by Selected by DJ KAORI」(※NON MIX)

https://umj.lnk.to/Disney_by_Kaori


家族で、ドライブで、パーティーでホリデーシーズンに楽しめるノリノリの一枚☆

ディズニー初、DJによるノンストップミックスCD!

DJ KAORIによる全曲ディズニー楽曲NON STOP DJ MIX CD


ナオミ・スコット「スピーチレス」(アラジン)、「サークル・オブ・ライフ」(ライオン・キング)など最新のディズニー映画オリジナル楽曲や、洋楽/邦楽のアーティストによるカバー、英語/日本語楽曲、ダンスアレンジされた楽曲など数あるディズニーの名曲の中から、今年活動20周年を迎えたDJ KAORIならではの選曲が光るオールジャンル・ベスト。

初収録となる「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに(エンドソング)(DJ KAORI Remix)」(アナと雪の女王2)他、最新楽曲含む全25曲。





【プロフィール】




DJ KAORI


単身NYへ渡り、マーク・ロンソンらと共に当時のNYCクラブシーンで活躍。週5本のレギュラーを抱え、マイク・タイソンやマイケル・ジョーダン等スーパーセレブのパーティーDJのオファーを受けるまでになる。NYのNO.1 HIP HOP DJ 集団Big Dawg Pitbullsに唯一女性DJとして迎え入れられ、日本人初めて、HOT97、BET, FOX等の番組でDJプレイする。

現在は東京に活動の拠点を移し、精力的にMIX CDをリリース。トータル売り上げ枚数は460万枚を突破。言わずと知れた日本を代表するパーティーDJ!!

 TOKYO-FMでラジオ番組715も絶賛放送中!(間違いない!w)


instagram:djkaori_official


twitter:DJ_KAORI_staff




photo by:Ki Yuu

written by:Moemi


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