田我流 7年ぶりとなる新アルバムより、収録曲「Changes」と「Ride On Time」をレビュー

2週連続リリースとなった「Changes」と「Ride On Time」をレビュー。5月にはstillichimiyaが地元山梨で自主企画イベントを開催。アルバムツアーも行われる。
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2019.04.18 10:30

田我流待望のサードアルバム『Ride On Time』の発売を前に、収録曲「Changes」とタイトルトラックとなる「Ride On Time」が2週続けて配信リリースされた。




アルバムへの期待がさらに高まる、エモーショナルな「Changes」とセルフプロデュース曲「Ride On Time」


『B級映画のように2』以来、ソロ名義としては7年ぶりとなるサード・アルバム『Ride On Time』が4月24日(水)にリリースとなる。


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いちファンとしては待ち遠しい限りだが、先週4月10日アルバムから「Changes」を先駆けて配信リリース。「ゆれる」や「夢の続き」といった名曲を生みだしてきた盟友EVISBEATSとKazuhiko Maedaをプロデュースに迎え、田我流が差し掛かった人生の岐路についてをエモーショナルなトラックとともにラップしている。


「Changes」が予感させる音楽の旅路


出会いと別れ、変わっていく環境、自分ではどうにもできない時間の流れに対峙したとき、それでも一歩を踏み出して進んで行く意志と覚悟を感じさせるリリックが「Changes」のハイライトだ。田我流は、

「この先で、また会おうな」

とフックで聴く者にもエールを送る。アウトロには飛行機の離陸音が収録されており、新しい人生の旅立ちを予感させる展開が胸アツだ。


「Changes」が収録される『Ride On Time』は故郷一宮だけでなく全国各地を(釣りをしながら)渡り歩き、制作されたという。文字通り旅をして作られたアルバムだ。


マスタリングに至っては日本を飛び出し、ロンドンの名門マスタリングスタジオMetroporis MasteringのStuart Hawkes(スチュアート・ホークス)を起用。このスチュアート・ホークスはAmy Winehouse(エイミー・ワインハウス)のマスタリングを手がけたことで知られる名手。Amy Winehouseのグラミー賞受賞作品『Back to Black』、Avicii(アヴィーチー)の『Stories』や、日本のアーティストでは大橋トリオ、MONKY MAJIKなどもスチュアート・ホークスが手がけている。






時代を乗りこなすファンクトラップが炸裂する「Ride On Time」


さらに、アルバム発売を1週間前に控えた4月17日、満を持してタイトルトラックとなる「Ride On Time」がリリース。イントロからブチアガるファンキーなトラックが最高。のっけから

「尊敬するバシタカ ノリだけ意味マジでない リリック書くのマジ嫌い」

と自らをシニカルに揶揄しつつ、昭和生まれ平成育ちド真ん中世代のハートを撃ち抜くパンチラインをカマしている。


“ノリだけ”と“ノリタケ(木梨憲武)”の芸風とのダブルミーニングもあるのかと勘ぐりつつ、終わりに向かう平成へのオマージュとしてとんねるずに憧れた幼少期を過ごした筆者としてはニヤニヤがとまらない。


stillichimiyaのアルバム『死んだらどうなる』収録「ズンドコ節」で見せたドリフターズパロディもそうだが、昭和〜平成のお笑いのユーモアを継承しつつヒップホップに落とし込むスタイルは、stillichimiyaならではのセンスだ。昭和生まれ世代には懐かしく親近感を抱かせ、平成生まれの若者世代には新鮮でヒップなものとして映っているかもしれない。


昨年のりんご音楽祭でも見せたX JAPANオマージュや、stillichimiyaのキラートラック「やべー勢いですげー盛り上がる」のサンダーバードや特撮ヒーローモノのオマージュもまた然り。


「評論家ぶったやつとかPussy、Bitch Don't Kill my Vibe 無視」

と皮肉とユーモアたっぷりにラップしつつ、混沌とした時代をノリこなすサバイヴの手段を田我流が指南する。そして「要はクソなノリ」と不敵に笑い飛ばす。

「敵はつくらずに無敵 陽気に振り切る仕組み」

と田我流が歌うフックの一節は、いつしか社会から忘れさられてしまった“寛容”さを思い出させてくれる。


Falcon a.k.a. Never Ending One Loop名義のセルフプロデューストラックは、トラップとファンクサウンドが融合。バウンシーで強烈なフロアバンガーとなっている。曲中“ミヤのPIMP C”と田我流は自身を形容しているが、Three 6 Mafiaを彷彿とさせるダーティサウスなトラックにJuicy JさながらのバイヴスでRide On。愛する妻と我が子を乗せ、サードアイを開眼させた田我流がハンドルを握り、カオスな荒野をマッドマックスよろしく爆走する。イラストレーターNEHANBROWNが描いたアルバムアートワークの世界観をそのまま落とし込んだ、タイトルトラックに相応しい楽曲になっている。






stillichimiya自主企画イベントが5月開催。『Ride On Time』全国ツアーも


『Ride On Time』への期待値が高まりまくったところで、stillichimiyaが昨年開催した山梨での自主企画イベント「KAMIKANE 3000」を今年も開催することがアナウンスされた。



メンバーであるYOUNG-G(ヤング・G)がTwitterでアナウンスしている通り、温泉付きのスペシャルなロケーションで行われるゲリラ的野外イベントは多くの人を集めた。筆者は昨年別取材で行けなかったので、今年は必ず行きたい。


また、田我流の今までの音源をまとめたプレイリスト『田我流 Complete Playlist』も公開された。『作品集-JUST-』、『B級映画のように2』のオリジナルアルバム2作に加え、田我流とカイザーソゼ名義のアルバム、客演曲まで網羅している。アルバム発売前に音源を聴き直すにはうってつけのプレイリストだ。






今夏には山梨・甲府から始まる『Ride On Time』の全国ツアーも予定しているそうなので、翌週のアルバムドロップ以降も目が離せない。だって「Ride On Time」をライヴで聴けるかもしれないってだけで、ワクワクするだろ? 1回来てみろ! 




タイトル: Ride On Time

発売日:2019年4月24日

レーベル:Mary Joy Recordings

流通: Space Shower Music

CD: DDCB-19004 (定価: 2,300yen +tax)

iTune他, 各ストリーミングサービスより配信


Track List:

1. Wasuremono (Intro)

2. Hustle (Produced by Ace-up & Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

3. Broiler (Produced by Automatic)

4. Vaporwave (Produced by Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

5. Cola (Produced by VaVa)

6. Back In The Day 2 (Produced by Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

7. Simple Man (Produced by DJ UPPERCUT)

8. Small Talk From KB (Skit)  (Produced by Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

9. Ride On Time (Produced by Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

10. Hands Up (A Cappella)

11. Deep Soul (Produced by DJ UPPERCUT & Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

12. Wave feat. C.O.S.A. (Produced by DJ UPPERCUT)

13. Sign (Produced by Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)

14. Changes (Produced by EVISBEATS, Kazuhiko Maeda)

15. Anywhere feat. NTsKi (Produced by KM)

16. Takarabako (Outro) (Produced by Falcon a.k.a. Never Ending One Loop)



photo:Yukitaka Amemiya


▶田我流


山梨県笛吹市一宮町出身。趣味は釣り。尊敬する人は松方弘樹。高校1年でHiphopに出会い、リリックを書き始める。2004年に地元の幼馴染とラップグループ=stillichimiyaを結成し、2008年にファースト・ソロ「作品集~JUST~」を発表、2012年4月に発表したセカンド・アルバム「B級映画のように2」でその評価を確固たるものにする。2015~16年はバンド・プロジェクト「田我流とカイザーソゼ」として数々のライブをこなす。その頃から更なる音楽性の向上の為、Falcon a.k.a. Never Ending One LoopとしてBeat Makeも始める。 野蛮さと繊細さを兼ね備え、アッパーな楽曲からコンシャス、叙情的な楽曲まで幅広く乗りこなす作詞力と音楽性、ガツガツと畳み掛けるエモーショナルなライブパフォーマンスには定評がある。4月24日には自身の原点回帰を計るべく新しいプロデューサー陣と制作した待望のサード・アルバム「Ride On Time」を発表。初夏には甲府から始まる全国ツアーも予定している。


written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


photo:Mary Joy Recordings



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