なぜアメリカでFacebookをボイコットする人が増えているのか? 「#deletefacebook」の真相とは?

先月起きたFacebookの個人情報不正利用問題に端をなすFacebook利用のボイコットキャンペーン「#deletefacebook」。なぜ人々は今、Facebookから離れようとしているのか?
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2018.04.04 03:00

先月の発覚後から大きな話題になっているFacebookの個人情報不正利用問題は、5000万人にも及ぶ個人情報が流出していたと言われており、今回のスキャンダル発覚直後の3月19日には7%近く株価が下落するなど、ビジネス面でも同社が被った損害は大きい。 


Facebookボイコットの流れを作った個人情報不正利用問題 


そして、個人情報の流出発覚とともに、その流出したデータが2016年のアメリカ合衆国大統領選挙での現職ドナルド・トランプ大統領勝利に影響を与えた可能性が高いと報じられたこともあり、同国では#deletefacebookというタグを使い、SNS上でFacebook利用をボイコットすることを主張するユーザーが増えている。




そのため現在、人々の怒りの矛先になっているFacebookなのだが、今回の個人情報流出は厳密には同社がハッキングされたことによるものではない。この流出については、イギリスのビッグデータ分析会社のケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)が、2014年にケンブリッジ大学の研究者アレクサンドル・コーガンに性格分析アプリの作成を依頼。そして、ケンブリッジ・アナリティカはそれを使い、Facebook内部で個人情報を取得していたという。


個人情報を収集するアプリとFacebookの規約


Mediumによればアプリの登録ユーザー数は27万人だったというが、アプリは、そのユーザーのプロフィールとつながりがある「友達」のアカウント情報を同意なしに取得。その結果、報道されているような5000万人もの個人情報が不正利用されることにつながったそうだ。


また今回のスキャンダルの問題の1つは、Facebookの利用規約がそういったサードパーティー開発者に対して非常に寛大だった点だとNews Weekは指摘している。現在は規約は変更されているものの、当時はアプリに登録したユーザーの「友達」のデータを開発者が収集することも許可。そういったビッグデータの販売は、無料でユーザーで利用させるFacebookにとっては重要なマネタイズ手法になっており、2015年段階までは、これが同社の通常のビジネスだったとのこと。  


その性格分析アプリに関する問題点は利用者が、商業目的ではなく研究目的に使われると考えて個人情報の提供に同意していたことにあり、これは重大な規約違反になる。またこのことについてもNews Weekは、2015年に発覚した時点でFacebook側はケンブリッジ・アナリティカにデータ破棄とその確認を要請したそうだが、本当にそのことを確認する方法があったかどうかは不明だと疑問の声を上げている。




Facebookとフェイクニュース 


そして、今回のスキャンダルでアメリカ人が怒りを露わにしている理由の1つは、その不正利用された個人情報が、先述のアメリカ合衆国大統領選挙におけるトランプ勝利に関わっていると言われているからだ。Harbor Businessによるとデータを不正入手していたケンブリッジ・アナリティカは、以前から”ビッグデータを用いて選挙などへの戦略的アドバイスや効果的なPRを行うプライベートカンパニー”として知られており、アメリカ大統領選以外にも、イギリスのBrexitに関する国民投票で離脱派のPR戦略を担った企業だったとのこと。  


また”SNSでのPR戦略に長けており、シェアや「いいね」の傾向からその個人のプロファイリングを行い、それをベースにユーザーに合わせた自陣営に有利なターゲティング広告を表示させたり、効果的に拡散させることで、自陣営に有利なネット世論を構築させるシステムを持っている”そうで、例えば、その戦略上で有権者に対し使用された偽情報”フェイクニュース”がトランプ勝利につながったと見られている。



現代ビジネスによるとその時にSNS上で拡散されたフェイクニュースは、「ローマ法王がトランプ支持を公式に表明した」、 「民主党候補のヒラリー・クリントンは、テロ組織IS(自称イスラム国)に武器を売却した」、「クリントンは、トランプが勝った場合には内戦を始めるつもりだ」といったいずれもトランプ陣営支持に結びつくようなものだ。そういった情報が当時のFacebookでは乱立しており、いずれも大きなバズになっていた。



その影響力は、”大手メディアが掲載した上位20記事へのエンゲージメントは約736万7000件。一方、フェイクニュースの上位20記事については約871万1000件”とのことで、数字を見れば、いかにそのエンゲージメントが高かったかがよくわかる。そして、そういった偽情報は、アメリカの成人44%がニュースに触れる場として使われているFacebook上で拡散されていたことを考えると非常に恐ろしい。  今回のスキャンダルは、Facebook上で不正に取得したビッグデータが、一国の未来を決める大統領選に影響を及ぼすようなことに悪用されたと見られているためにアメリカの多くの人々はFacebookに対し、不信感を頂き、ボイコットを叫んでいるようだ。 


Facebookだけが悪なのか?  


しかし、Mediumは、ケンブリッジ・アナリティカが行なったことは大統領選挙に影響を与えた1つの要因かもしれないが、それは他のPR会社や有権者に対し政治的な勧誘を行う会社が行なってきたことと特別違うといった類のものではなく、トランプが勝利したことに対しては、ロシアによる選挙への干渉やヒラリー・クリントン候補の私用メールスキャンダルなどほかにも様々な要因が上げられることなどを指摘。




また同社は確かにFacebookの規約違反を行なったことは明らかであり、Facebook側もまたNews Weekが指摘する”膨大な数の個人情報を整理してパケットにし、何らかの商売に使わせる”Facebookのビジネスモデルや第三者側の開発者がユーザーの個人情報を容易に取得できるような体制を続けていたことは問題ではあるが、世間ではこのスキャンダルのせいで、これらの企業に対する悪いイメージが誇張されすぎているきらいがあることも指摘している。  


なお、今回のスキャンダルを受けて、REUTUERSは、Facebookが個人情報の管理方法の「微調整」を行なったことを報じている。それによると、この改良でユーザーは、これまで変更方法が複雑だったため、利用者の間で不満が出ていた個人情報の設定を”個人情報の設定を1ページにまとめて簡単に変更できるようにし、アプリによる情報の利用をより直接的に差し止められるようにした”とのこと。 


またForbesでは、Facebook離脱の機運が世間から高まってはいるものの、コミニュケーションツールとしてまだまだ必須であり、アカウント削除できないというユーザー向けに、ウェブブラウザの「Firefox」が、Facebookによるデータ追跡を制限するアドオン「Facebook Container」を追加したことも報じている。



今回のスキャンダルは改めてフェイクニュースやSNS上での個人情報管理など、ネットを利用する際に注意すべきことについて考えさせられるが、起こってしまった出来事を過熱気味に報道するメディアなどのことを考えると、我々は今後、情報に関するリテラシーをさらに高めていく必要があるのではないだろうか?


参考:

https://medium.com/@CKava/why-almost-everything-reported-about-the-cambridge-analytica-facebook-hacking-controversy-is-db7f8af2d042

https://jp.reuters.com/article/facebook-cambridge-analytica-idJPKBN1H506V

https://forbesjapan.com/articles/detail/20386

https://hbol.jp/162844

https://japanese.engadget.com/2018/03/21/facebook-24/

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9849_2.php

https://blog.mozilla.org/firefox/facebook-container-extension/


Written by Jun Fukunaga
Photo: geralt



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