インタビュー|Dance Systemが語る、新しいサウンドを開拓するために必要なこと


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4月1日にニューアルバム『In Your System』をリリースするDance Systemがblock. fmのレギュラー番組「TCY Radio」にゲスト出演!
長年彼のファンでもあるナビゲーターの☆Taku TakahashiとTJOが“Dance System”というプロジェクトが生まれた背景や楽曲制作のこだわり、そして新しいアルバムについてインタビューを行った。

ーあなたは元々L-Vis 1990名義で活躍していたことでも知られていますが、Dance Systemというプロジェクトはどうやって生まれたんでしょうか?
Dance Systemの作品を作りはじめたタイミングは、2013年にレーベル<Night Slugs>からEP『Ballad 4D』をリリースしたときだったんだけど、実はL-Vis名義のときからハウスを意識していたんだよね。1st EPはアシッドハウスだし、<PMR Records>からリリースしたアルバム『Neon Dreams』もハウスもしくはディスコ。Night slugsの『Club Construction』はゲットーハウスだ。でもあの頃は、L-Visのアブストラクトでグライミーな部分が世間に注目されていて、ハウスのイメージから離れていたんだと思う。それはそれでよかったんだけど、それほど複雑になったL-Visのサウンドの中で、ハウスの曲を作ってリスナーを混乱させたくなかったんだ。
ー2012年の『Club Constructions Vol.1』がサウンド的にも今のDance Systemスタイルに通じる先駆けだと思っています。
『Club Constructions Vol.1』はアルバム『Neon Dreams』の後に作ったんだ。あの頃、DJの時はグライミーな感じだったり、Night Slugs的なものをやっていたから、ある部分はすごくうまくいきつつ、でも同時に混乱する人もいて。でもそういったハウスなサウンドはいつも僕のビジョンの中にあった。 その後にもっとアンダーグラウンドなものをやろうって思ったのと、その時はゲットーハウスにもハマっていて、ハードウェアのシンセをゲットし始めたんだ。それからDJツールになるような作品を作っていって、それが『Club Consrtructions Vol.1』になった。
この“Club Consrtructions”は当初EPの名前にしてたんだけど、色々なアーティストが自由な気持ちでクラブに特化したトラックをリリースするために良いなと思って、シリーズ化したんだ。Dance Systemも同じように、自分のイメージを気にせず、ストレス発散ができて、あまり難しく考えずに楽しくダンスフロアで身体を動かしたくなるものを作るというコンセプトで生まれたよ。
ー“Dance System”という名前はどうやって付けたんですか?
夢の中でいきなり「Dance System!」っていう言葉が出てきたんだよ。朝起きて「いや、こんな名前は誰かしら使っているだろう」と思って、Discogsで検索したらなんと、ひとりもいなくて。「これは運命だ! これこそ新しいプロジェクトに完璧な名前だ!」ってなったんだ。僕自身、名前を考えるのは苦手だからこれは天から授かったものだと思ってる。
ーDance Systemが生まれた2014年からどういった変化や進化がありましたか?
ここ最近は過去のDJとしての自分や、自分がDJに憧れた気持ち、過去にハマっていた音楽なんかを深く掘り起こしていて。それこそ初期のDance Systemはシカゴハウスや、<Dance Mania>、<Underground Construction>などのゲットーバイブスで始まったんだけど、今のDance SystemはDaft Punk、 Cassius、Armand Van Heldenなど、僕がダンス音楽にハマる影響を与えてくれた人たちをモチーフにしている。こういったサウンドが最近は少なくなったから、それを次の世代に知ってもらいたいと思って、僕が興奮してハマったあの頃の体験や興奮をみんなに共有できたらなと思っているよ。
ーBBCで放送している1ヶ月の限定番組「Radio 1’s Residency」で自身のルーツやインスピレーションになった曲をたくさん紹介していて、とても楽しく聴かせてもらっています。2020年代において、あなたのサウンドは世代によっては懐かしかったり、またはとてもフレッシュに聴こえますが、あなたにとって一番影響を受けたアーティストやサウンドはどういったものですか?
僕の親がすごく音楽好きで、特に父親がたくさんレコードを持っていたんだ。12歳か13歳の頃かな、父のレコード棚から変なサウンドやエレクトロニック・ミュージックを聴くのが好きだった。The Human LeagueやDevo、Kraftwerkなどを聴いていたよ。あとは僕が住んでいた町にダンスミュージックが好きな友達がいて、彼のお兄さんがレコードを集めていたから、Daft Punkのメンバーがやっていた<Roulé>や<Crydamoure>というレーベルの作品をたくさん聴かせてもらっていた。さらにそのお兄さんからBBCで流れていたDaft PunkのEssential Mixをミニディスクでもらったり、アルバム『Homework』をもらったりしていた。そこから自分の道が開けてハマっていったんだ。
ーメインストリームではない音楽が好きだったと思いますが、クラスメイトと音楽で話が合わなかったりしましたか?
確かにそういうことはあるよね。でも、90年代のイギリスは今と違ってダンスミュージックがもっとメインストリームな時期でもあったんだ。有名番組の「Top of the Pops」や土曜日のお茶の間で流れるような番組でもCassiusの「1999」のビデオとかArmand Van Heldenの「You Don’t Know Me」とかが普通に流れてたから、その影響は大きい。
90年代のイギリスのポップシーンは今よりクールで革新的で、どこでもダンスミュージックがかかっていた。僕が住んでいた町はFatboy Slimの出身地、ブライトンの近くだったんだけど、僕や僕の友達はいつもダンスミュージックを聴いていたよ。The Prodigyもそうだし、 Armand Van Heldenもポップスのチャートに入っていた。そういったクオリティの高いダンス音楽がチャートの1位になって、本当にどこでも流れている時代だった。友達もそういった音楽を聴いたり、若い頃からDJを始めたり、パーティをしたりしていたよ。
ーDance Systemでは、L-Vis時代の作品よりもサンプリング・ループを使ったものが増えたと感じています。
なぜかわからないんだけど、L-Visの作品ではサンプリングすることを避けていたんだ。逆にそれがDance Systemでサンプリングをするきっかけになったと思う。ただ、L-Visの時もUKの90年代のR&Bスロージャムをサンプリングしたサウンドを同時進行で作っていて、今もそれがまだ眠ってるんだよね。
ー影響を受けた音楽はサンプリングを多用しているのに、L-Visでサンプリングを避けていたのはなぜですか?
どうしてだろう? 当時作っていたサウンドはサンプリングを必要としていなくて、ドラムパターンやキックパターン、ベースラインがメイン、ほんの少しだけ色付けとしてサンプリングはしていたんだけど、フレーズサンプルとかはうまくハマらなかったんだ。当時はいかに新しいものを出すかを大切にしていて、サンプリングよりシンセを演奏しながらファンクを表現していくことの方がしっくり来ていたんだと思う。
ー今なぜこの質問をしたかというと、実は初めてDance Systemを聴いた時に、これがL-Vis 1990の別名義だと聞いてびっくりしたからなんです。
そうだよね(笑)。僕は自称“フィルター名人”的な感じで、エフェクターのフィルターを演奏するように使うのが好きだし得意なんだ。曲の中で誰もサンプリングしないようなところを見つけてグルーヴを作って、そこにアナログのフィルターを使う。オートメーションでプログラミングするんじゃなくて、リアルタイムでフィルターを演奏したものを録音するんだ。そうすることで電子音楽の中にも人間的なグルーヴが生まれると思う。それは90年代のクリエイター達がやっていたことだし、機械と人間の融合という感じが今の時代とのリンクでもあるんだ。
ーインスタで「Bring The Noise」のHow To動画をアップされていましたが、サンプラーは何を使っているんですか?
AKAIのS3200を使っているよ。たぶんこれが最後に日本で作っていたサンプラーで、その後は中国に移っちゃったんだけど。これはリアルな温かみのあるフィルターが入った最後の機体で、そのあとの機材は少し音が細く感じて深みも足りないから、この機材を使っているんだ。
ーサンプリングしているんだけど、そのサンプルをサンプルとしてではなく、シンセの発信音みたいに使ってるところがすごく興味深く感じます。
その通り。そのままディスコのループを作ってラジオで流してもらうこともできるけど、それは僕にとってクリエイティブなサンプリングじゃない。僕は変なループポイントや、 どの曲かもわからない部分からグルーヴを見つけて、それを演奏する感覚で使うのが楽しいんだ。それに、アウトボードのエフェクターを使うのが好きで。そこにマジックが宿って、オーガニックなフィーリングを出せると思ってる。
ー2020年の『Where’s the Party At?』は全曲コラボレーションのアルバムで、僕にとってもその年の最高なアルバムの一つでした。どうしてコラボアルバムにしようと思ったのですか?
ロックダウンの影響があったと思う。みんな時間もあったし、インターネットで盛んにチャットをしていた。フランスのTeki Latexや他のアーティストたちとデータやアイデアを送り合っていたよ。その中からいくつかトラックを作っていって、いろんな友達のクリエイターと曲に仕上げていったんだ。僕は曲作りが早いから、彼らが送ってきたらすぐに返して、2回くらい交互に送り合って曲が出来上がっていった。
ロックダウンのタイミングはすごくコラボにオープンで一体感もあったし、コラボレーションに刺激を感じていたんだ。この企画は今だったらできなかったと思う。総勢16人とのコラボレーションを4ヶ月から6ヶ月くらいで作るのも無理だと思うし。当時はローマの彼女の家にいたんだけど、ラックが埋まるくらいビンテージの機材をゲットして、デスクの上でがんがん作ったよ。KORG MS2000もこのタイミングにゲットした。それが僕のロックダウンの過ごし方だった。
ー90年代と比べて現代のダンスミュージックでは、サンプリングなどのアプローチが受け入れられない時期もありました。今はそのムードが変わってきていると思いますか?
間違いなくムードは変わってきていると思う。Dance Systemを本格的に始めて3年になるけど、このサウンドやプロジェクトを知ってもらうためにすごく頑張ってきた。90年代のシーンが僕のスタート地点だけど、今それを進化させながら新しい領域に持っていこうとしているんだ。過去をしっかりと理解しないといけないし、Dance Systemでも当時の曲を作っていた人たちのサウンドの作り方や、なぜかっこよく聴こえるのかを研究したりもしている。僕の制作プロセスを見せたりすることもあるんだけど、そのプロセスは僕が過去から学んだことでもあり、同時に今回のアルバム『In Your System』は新しい音の開拓地でもあって、新しい領域を描いている。新しく進んでいくにも、過去を見ることが大事なんだ。
ー今後はどのようなリリースや計画を考えていますか? またコラボも考えていたり、コラボしたい相手はいますか?
4月1日に新しいアルバム『In Your System』がリリースされるんだけど、この作品ではあえてコラボレーションはせず、僕自身を出している。僕が2年間温めてきたダークなクラブのサウンドのコレクションを、自分の中にあった宿題として出したような感じ。ポップス的な規模の大きさではなく、DJでかけるための作品だと思う。それにこの後ワールドツアーが始まって、シドニーやメルボルン、 ヨーロッパ中でプレイするんだ。アジアでもプレイしたいんだけど、今はまだプレイできるところが制限されてるんだよね。
それと実は、同時に新しいアルバムも制作していて、今のところ10曲くらいデモが出来上がっているよ。こっちの方はコラボレーションが多くて、もっとボーカルも入ってる。アルバムを作っているときはテーマなどのアイデアを大切にしていて、それを今まとめているところ。あと、Junior Sanchezとのコラボも決まってる。他にもいっぱい作ってるんだけど、まだそれは明かせないから、楽しみに待っていてほしいよ!

【リリース情報】

Dance System – In Your System
2022.04.01 Release
Pre-Save/Pre-Order:https://systemrecords.lnk.to/IYSpreorder
Dance System
Twitter:https://twitter.com/DanceSystem
Instagram:https://www.instagram.com/dancesystem/
System Records
Website:https://www.systemrecords.uk/
Instagram:https://www.instagram.com/system.records/



