カメレオン・ライム・ウーピーパイ インタビュー|1st EP『PLAY WITH ME』にインスピレーションを与えた“5つの遊び”

Spotify「RADAR:Early Noise 2021」にも選出された注目のアーティスト、カメレオン・ライム・ウーピーパイに、1st EP『PLAY WITH ME』について“遊び”をテーマにインタビューを敢行。
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2021.02.19 09:00

おもちゃ箱をひっくり返したようなバラエティに富んだサウンドと、音の中に埋もれることなく響き渡る透き通ったボーカルが魅力のアーティスト、カメレオン・ライム・ウーピーパイ。ヴォーカルのChi-を中心に、Whoopies(ウーピーズ)1号、2号が仲間として、楽曲からMVまで全てのクリエイティヴを3人で生み出すアーティスト・ユニットだ。


2021年に躍進が期待されるアーティストをSpotifyが選出する「RADAR:Early Noise 2021」にも選ばれた彼らに、まずはその手応えを聞いてみた。


「やっとスタートラインに立てた気がします。曲を出すまでの3年間は評価されてこなかったから。」


とオレンジ髪がアイコンのChi-は淡々と語る。2019年に初となるシングル「Dear Idiot」で突如脚光を集めたプロジェクト、という印象があるかもしれないが、その実、音源を出すまでには3年間の修業期間があったのだという。


「Whoopiesと出会ってから、最初の1、2年間はストリートライブをほぼ毎日やっていました。誰にも評価されない期間が続いて、しんどかった。でもその修業がなかったら今の自分たちはいないと思う。」


修行の理由は自分たちのスキルアップと“カメレオン・ライム・ウーピーパイ”としてのスタイルを固めるため。自分たちの“カタチ”を見つけるための時間だったと振り返る。ストリート、ライブハウス、あらゆる場所であらゆる音を実験的に鳴らし、だんだんとその“カタチ”が見えてきたのが活動を始めてから3年目。


そのときに制作されていたのが「Dear Idiot」だった。それまでの自分たちの中でいちばんイケてる曲だと手応えを感じていた。


「Whoopiesからトラックが来たときにイイ曲だなと思った。ここに辿り着いたって気がしました。」


本人たちの予想以上に「Dear Idiot」は世界中の人々の耳を虜にし、様々なプレイリストにもピックアップされる。



そして2月17日には初となる作品集『PLAY WITH ME』をリリース。“一緒に遊ぼう”というテーマの元、先行配信曲「Normal Luck」を含む、R&B、ヒップホップ、トラップとロービート、エレクトロやフューチャーベースをイイ意味でゴチャ混ぜにした、カオティックだが洗練を伴うサウンドと、Chi-のシグネチャーである“ネガティブ・ポップ”を炸裂させた5曲入りのEPである。


「Whoopiesと一緒にいつも遊びの延長で作品を作ってきた。EPのタイトルとしていちばん自分たちらしいワードだと思ったし、リスナーにも曲で遊んでほしいです。」


とその思いを語る。独特で強烈な存在感を放つEP『PLAY WITH ME』の制作において、彼らはどんなものから影響を受けてクリエイションを加速させたのか。“遊び”という切り口からインスピレーションの源を探り、作品の魅力を紐解いていこう。



「Normal Luck」「Where Is The Storm」:百人一首と映画『Snatch』




「『Normal Luck』は日本の昔のおもちゃに影響を受けました。MVではけん玉や紙風船、百人一首を小道具として使っていますが、特に百人一首がお気に入り。絵やデザインが繊細で、日本にしかない感性を感じるんです。」


海外のアーティストを追随するだけではない“日本らしさ”を意識し完成した「Normal Luck」。小さな絵を描くのが好きというChi-は自分の描いた絵をタトゥーシールとして手の甲に散りばめ、カラフルな羽織を羽織ってときに気だるく、ときに子供のような表情で歌い踊る。




海外にも通じる音楽性と日本的なコンテクストを併せもったカメレオン・ライム・ウーピーパイの魅力を冒頭からリスナーに提示する「Normal Luck」で幕開けるEPは、次曲「Where’s Is The Storm」でガラリとその表情を変える。


「『Where’s Is The Storm』はガイ・リッチー監督の『Snatch』に影響を受けています。Whoopiesがガイ・リッチー作品が好きで、勧められて観ました。」


『Snatch』の冒頭、かの有名なオープニングクレジットの直前、ベニチオ・デル・トロ演じるフランキーがダイヤ強盗を行う際に繰り返し放つ「Where Is The Stone? (ダイヤはどこだ? )」をそのままモジり、タイトルにしたという。


「ガイ・リッチーの映像はどこを切り取ってもカッコイイ」とChi-は話すが、彼の作品からインスパイアされたこの楽曲も疾走感があってファンキー。ハードボイルドなガイ・リッチー感を匂わせながら、ベニチオ・デル・トロ顔負けの「Where Is The Storm? 」と歌う部分も聴き逃せないポイントだ。




「Play With Me」:Whoopiesとの出会い、作っては壊す粘土遊び




タイトル曲にもなっている「Play With Me」はEPのコアであり、カメレオン・ライム・ウーピーパイにとっても重要な楽曲である。


粘土遊びが好きで、作っては壊すという行為を繰り返しているというChi-が、粘土をこねているときに浮かんだアイデアを具現化したのが、MVのモチーフとなっているピエロの仮面。


「音楽を始める以前、私には何もありませんでした。生きている意味を感じられず、死ぬ前にひとつ好きなことをやって終わりにしようと思って音楽を始めたんです。」


失うものが何もない状態からのスタートだったからこそ、彼女は強かった。音楽をやろうと決めてすぐ、配信アプリ上に自作曲をアップし、ライブに出るためギターを手に住んでいた地元から東京へ通った。(ちなみにピアノをやっていたが、持ち運べないからギターにしたとのこと)。


同時期、歌い手を探していたWhoopiesの2人は、ネットでChi-の歌声を見つけ一目惚れ。ライブでChi-に「一緒にやらないか」と声をかけ、Chi-もウーピーズとの活動を快諾。Chi-が音楽を始めてから2ヶ月目の出来事だったという。


「Play With Me」で印象的な歌詞として登場する「食べてあげよう」という歌詞はChi-がキャリア初期に制作した「ピエロ」という楽曲で歌われていたフレーズ。それをWhoopiesがリビルドして完成したのが、この「Play With Me」である。



「当時自分で作った曲、私自身は嫌いなんです。でもWhoopiesは褒めてくれる。嫌いだった曲が『Play With Me』として生まれ変わって、素直にWhoopiesの才能に感動しました。作って壊して、また新たな形に作り変えることができた。大好きな曲です。」


お互いの才能を認め合っていたものの、出会ってすぐは人見知り同士で距離感に戸惑った時期もあったそうだ。初めての音源をリリースするまでの3年の間に、ひたすらにライブをこなし楽曲やMV制作を手掛けているうちに、少しずつではあるが自然と打ち解けていった3人。


Chi-はもう1人ではない。Whoopiesがいるし、自分たちだけの音楽がある。嫌だった過去の自分も飲み込んで、今ではおどけてピエロの仮面もあえてかぶろう。そんな意志と覚悟が伝わってくる楽曲である。





「Sweets Room」「Kila Kila Kill Me」:88risingライブとスマホサンプラー


EPの中で一際異彩を放つ「Sweets Room」は中国語の歌詞が取り入れられている。過去作である「Unplastic Girl」や「MANabUUUU」のサウンドからも中国的なフィーリングを感じ取ることができるし、自分が誰なのかを模索するというテーマの楽曲「Who am I」は香港の大スタージャッキー・チェンが記憶喪失の主人公を演じる『Who am I? 』という作品を彷彿とさせる。



様々な楽曲に中国を感じさせるエッセンスが散りばめられている理由は、アジアのカルチャーを世界に発信する88risingに影響を受けているからのようだ。


「『Sweets Room』は2年前にツアーで来日した88risingのライブに行ったことがインスピレーションになっています。日本だけでなく、海外からもファンがライブを見に来ていて、その日の一体感や熱量は今まで経験した中でも本当に突出していました。」


大いに刺激を受けたカメレオン・ライム・ウーピーパイの3人は、この頃からヒップホップ的なアプローチを多く取り入れるようになった。実現はしなかったが、当時中国ツアーの話が持ち上がっていたこともあり、グローバルなサウンドを意識し始めたきっかけにもなっているという。


「一味になるというよりは、88risingと一緒にライブとかできたらイイですね」。


Chi-は虎視眈々と野心を抱く。


EPのラストに収録されている、後半のボーカルカットアップが特徴的な「Kila Kila Kill Me」はスマホアプリのサンプラーから生まれた。Chi-がスマホで仮歌を録音し、Whoopiesに送った際、ボーカルをアプリのサンプラーに入れて遊んでいたところ、イイ感じになったのでそのまま曲に取り入れてたのだという。


「ライブでスマホのサンプラーを使ったこともあるんですけど、接続が大変なのと、機材トラブルを考えると恐くて最近はやってないです(笑)。」


とはいえ、“遊び”こそカメレオン・ライム・ウーピーパイの真骨頂。ちゃんとリスクヘッジした上で、またチャレンジしたいという意志を伺わせてくれた。




「ネガティブでいることは最強にポジティブ」Chi-とWhoopiesが仕掛ける壮大な遊び


積み重ねてきた数々の“遊び”から自分たちのスタイルをかたちづくってきたカメレオン・ライム・ウーピーパイ。2021年は引き続き好きなことをやりつつ、自分たちを広めて行くことを意識したいとChi-は語る。


「EPを出すまでの4年間、あらゆることを試し、挑戦してきたことでやっと楽しくなってきた。2021年は私たちが感じている楽しさをフェスやイベント、ライブでもっと多くの人に共有したいです。」


その思いが今回のEP『PLAY WITH ME』にも集約されている。


「私の書く歌詞は、何かを肯定した次の瞬間それを否定するような、矛盾がどうしても出てしまう。これでいいんだろうかと悩んだ時期もあったけど、その表裏一体を表現するのが私の歌詞の個性だとWhoopiesから言われたんです。感情の起伏、変化は誰しもありえること。何事にも矛盾があって普通だし、それが自分らしさだと受け入れたときからなんでも楽しくなりました。」


「私が音楽を始めたのも、ネガの反動。ネガティブでいることは最強にポジティブな行為かもしれない」と不敵に笑う。ネガティブな感情すらおもちゃにして、音楽という遊びに夢中な彼女はまさに無敵だ。


カメレオン・ライム・ウーピーパイは2月28日22:00から「MANabUUUU」のMVの舞台であり、楽曲のモデルとなったChi-のオレンジ髪を染め上げるスタイリスト・Manabu在籍のヘアサロン「cyez」より配信ライブを行う予定。『PLAY WITH ME』を産み落とした彼らが、ライブという場でどんな“遊び”を体現してくれるか楽しみにしていよう。



【リリース情報】




▶1st EP『PLAY WITH ME』

2021.2.17 OUT (Download & Streaming)


Spotify:

https://open.spotify.com/artist/1uP5mPkWII7Tcxp7xtqPmj?autoplay=true


Apple Music:

https://music.apple.com/jp/album/play-with-me-ep/1545327084


各種配信サイト:

https://CLWPRecords.lnk.to/PLAYWITHME


収録曲:

1. Normal Luck

2. Where Is The Storm

3. Play With Me

4. Sweets Room

5. Kila Kila Kill Me



【ライブ情報】




ストリーミングライブ

1st EP "PLAY WITH ME" Release Streaming Party『ウーピーと遊ぼう!!! at cyez』

日時:2021.2.28(日) START 22:00

YouTube配信URL:https://youtu.be/LJ8eNZHwAK0


※リマインダー設定をオンにするとライブ配信開始時に通知を受け取れます。



【プロフィール】




カメレオン・ライム・ウーピーパイ

Chi-によるソロユニット〈カメレオン・ライム・ウーピーパイ〉。

オレンジの髪が特徴的なChi-。そして仲間にWhoopies1号・2号がいる。

作詞や作曲、レコーディングはもちろん、映像もアイデア出し、小道具を集めるところから、撮影、編集までありとあらゆるものを全て3人のみで手掛け、常に新しいクリエイティヴを生み出し続ける次世代型アーティスト。


2019年末に1stシングル「Dear Idiot」を配信リリース。結成から3年、水面化で磨き上げ、満を持して出した楽曲がSpotifyの公式プレイリストに選ばれ瞬く間に日本のみならず、世界中のリスナーから注目を集める。その後のリリース楽曲も、各ストリーミング・サイトで軒並みピック・アップされ、国内外のレーベルから問い合わせが殺到。ネットには彼らの素性と活動の全貌を知りたいという声が溢れる。


カメレオン・ライム・ウーピーパイの音楽性を一つのジャンルに定義することは非常に難しい。

Chi-が幼少期から親しんできたブラック・ミュージックのオリジネーターたちからの影響が軸にありつつ、そこに80〜90年代のオルタナティヴ・ロックのエッセンスも香る――雑多な音楽的ルーツを、ヒップ・ホップやR&Bなど現行の最もヒップな音楽ジャンルに落とし込んでいるという言い方が正しいのかもしれない。


懐かしくも新しい、既存のルールに囚われない、強いて言うならば”ネガティヴ・ポップ“という新たなジャンルをカメレオン・ライム・ウーピーパイは体現している。


◉YouTube オフィシャルチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCP9dFgrskFYoSXX52K2xAyw


◉オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/chameleon.lime.whoopiepie/


◉オフィシャルTwitter:https://twitter.com/chi_clw



Written by Tomohisa Mochizuki

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