カルヴィン・ハリス、サマソニ東京で披露した『Funk Wav Bounces Vol.1』モードではない”DJ Set”が物議を醸す

観客の間で賛否両論となった”DJ Set”、求められていたのはポストEDMか、それとも?
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2017.08.20 11:00

求められていたのはポストEDMか、それとも? 


8月19日(土)、EDMシーンの最高峰に君臨するDJ、プロデューサーのカルヴィン・ハリスが幕張メッセで行われたサマーソニック東京初日・マリーンステージのヘッドライナーとして出演した。  


今年もフォーブス誌が選ぶ「世界で最も稼ぐDJランキング」で5年連続となる1位に輝いたことも記憶に新しいカルヴィン・ハリスは、サマソニへの出演が決定した時点で、多くの日本のファンの間でそのプレイに注目が集まっていた。  


通常ならば従来のEDMファンにとっては何の問題もなく、むしろヘッドライナーらしい華々しいステージを見せてくれるであろう彼のプレイに期待がかかるところだが、彼に対する注目は今年6月末にリリースした新作アルバム『Funk Wav Bounces Vol.1』をリリースしたことでEDMファン以外の間でも高まることになる。 


 ・関連記事:アーティストとしての驚異的進化、カルヴィン・ハリス「Funk Wav Bounce Vol.1」はなぜFunk?




同アルバムは、一言でいえば、彼のこれまでの”EDMプロデューサー”としてのイメージを変える革新的なアルバムだ。そのサウンドは、バンギンでバウンス系の従来のアッパーなEDMという感じではなく、EDM人気が高まりだした4年前にリリースされたダフト・パンクのグラミー受賞アルバム『Random Access Memories』が、当時のトレンドとは違ったアーバンでファンキーなディスコ調のサウンドで切り開いた近年のディスコ・リバイバルの延長線上にある、ポストEDM時代の到来を感じさせるものとしてファンはもちろん、それ以外の音楽好きの間でも注目されるものになっていた。



また、アルバムが注目を集めた理由は従来のEDMではないそのアーバン系のサウンドだけでなく、フィーチャーしたゲスト陣にもある。アルバムに参加したのは、現在、アメリカを中心にEDM以上の人気を誇り、ヒットチャートを席巻しているヒップホップシーンを代表するミーゴス、ヤング・サグ、フューチャー、トラヴィス・スコット、スクールボーイ・Q、リル・ヨッティなど人気のラッパーたちだ。 EDMのスターが新たに提唱した『Funk Wav Bounces Vol.1』は、レイドバック感と甘くメロディックな内容が印象的な、音楽的にも次のトレンドを感じさせる、まさにポストEDM時代の作品と呼ぶにふさわしいものであり、2012年のサマソニ以来5年ぶりとなる、そのアルバムを引っさげての来日に期待が高まっていた。


  

しかし、当日のカルヴィン・ハリスの”DJ set”では、EDMフェス仕様のバンギンな曲を中心としたものとなり、時折ヒップホップの曲をプレイするものの、自身の曲はこれまでのEDMヒットチューン「I Need Your Love」、「Blame」などとなり、期待されていた新作アルバムからは、フランク・オーシャンとミーゴズをフィーチャーした「Slide」のみとなった。



そのため、今回の彼のプレイに関して、SNS上では主に新作アルバムで見せたポストEDM路線を期待してファンからは落胆した、期待外れだといったような声が多く上がったが、従来のEDMファンからは、先述の自身のヒット曲や、リアーナとの「We Found Love」などEDMフェスでプレイされるような曲がかかったことで大いに楽しんだという声もあがるという賛否両論のセットとなった。



内容的にはアルバムリリース後にラスベガスで披露し、一部肩透かしとの声があがったEDMを中心としたDJ Setに近いものになった今回の彼のプレイ内容だが、一方、『Funk Wav Bounces Vol.1』的ライブは、先述の豪華ゲストがあってこそとの彼を擁護する声も少なくない。



そのことについては、邪推かもしれないが、同じく今年、現在、人気のラッパーであるヴィンス・ステイプルス、ダニー・ブラウン、D.R.A.M.らをフィーチャーしたアルバム『Humanz』をリリースしたゴリラズがそのお披露目シークレットライブで実際に多くの豪華ゲストを招いたこともあり、その影響からか、そういった内容でのライブを期待してしまったということも少なからずあるのでは?と考えないこともない。  


何にせよ、今回のDJ Setは、『Funk Wav Bounces Vol.1』がいかに革新的でトレンドの先を行く音楽ファンからの期待値が高い作品だったかということがあらためて証明され、確実にポストEDM時代がここ日本にも到来しているということを実感させられた出来事でもあった。 


参考: 

https://togetter.com/li/1141946https://forbesjapan.com/articles/detail/17284?cx_hamburger=CoverStory


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Written by Jun Fukunaga 

Photo:Carlos Delgado


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