DJ BoringがLo-fi House制作に使用した機材を解説。Roland Cloudなしでは成立しない!?

シーンを代表するDJの制作環境はシンプルで合理的!
SHARE
2019.10.31 09:00

ディープハウスを中心に90年代のアンダーグラウンドなハウスミュージックシーンの空気感を横断したかのような、ありそうでなかった質感のハウスミュージックLo-fi House。90年代初期ー中期といえばDAWは普及しておらず、シンセやドラムマシン、MTRにサンプラーなどのハードウェアが制作の主軸だった。そのころの質感を現代のトラックメイカーはどのように再現しているのだろう。


シーンを代表するアーティストDJ Boringが音楽メディアFactの企画動画『Against The Clock』 では、彼が制作に使用している機材が惜しげもなく公開されており、Lo-fi House制作の手法や機材を考えるうえで一つの指針となりそうだ。




制作環境はAbleton LiveとPush


動画に移るスタジオ機材構成はシンプルで、ラップトップにコントローラー、そしてドラムマシンがセットされている。制作の土台となるDAWがLiveでコントローラーはAbleton純正のPushと、Lo-fiでアナログ的なサウンドからは想像がつかないほど今時のクリエイターの王道的な組み合わせ。ループを聴きながらフレーズや音を足しつつ組み立てるスタイルも定番の使い方。ループを止めることなくシンセを演奏し、録音したフレーズの一部をループさせてリフを作り、ライブパフォーマンスのように曲が構築されていく。ちなみにスタジオデスクの左下には唯一のLo-fiらしい機材、AKAIのヴィンテージサンプラーS2000が見受けられるが、今回は使用する様子はなかった。使用しているハードウェアは驚くほどシンプルでLo-fiの気配がない。


ドラムはRolandのハードウェアTR-8が主軸


メインのドラムループにはおなじみのRoland ARIAシリーズよりTR-8を使用。Rolandの808や909のサウンドであれば、見た目的にオリジナルに忠実な再現機のTR-09やTR-08も選択肢となりそうだが、TR-8はボタンやスライダーが大きく操作性が良いうえ、TR-808、909の両音源が使え、さらに拡張音源でTR-707、727、606と歴代名機の音色がそろう合理的でお得な機材。





シンセはサブスクリプションのRoland Cloudプラグインのみで完結


TR-8のオーソドックスなハイハットのループに重ねてまずはJuno-106、そしてJupiter-8と定番ヴィンテージシンセのビヨビヨとしたサウンドを重ねていく。その後も登場するシンセは全てRoland Cloudのプラグインと、潔いほどのRoland依存症ぶり。サブスクリプション方式のみで月額¥2,190という価格設定もあり賛否あるものの、Roland本家が80〜90年代の豪華すぎるシンセたちを惜しげなくソフトウェア化しており、ハードで揃えるのはほぼ不可能であろうRoland博物館状態のシンセたちが便利なプラグインとしてDAWに立ち上がるのは改めて凄い話だ。90年代のハウスシーンへの憧憬をサウンドにする上で、DJ Boringにとってこれ以上の選択肢はなかっただろう。


例えばNative InstrumentsのKompleteなどに代表される昨今のプラグインメーカーがリリースする音源にもアナログ風なプリセットやソフトシンセはあるものの、ここまで完全に90年代的な質感に近づくのはRolandの純正サウンドだけを積み重ねた結果ではないだろうか。ソフトウェアでの再現といえど、他社が再現したシンセだけでは成し得ないサウンドの統一感があるように思える。


Rolandの往年の名機がダンスミュージックの歴史を作り上げたのと同様に、DJ Boringの楽曲もまたRoland Cloudの存在が大きな影響を及ぼしたのではないだろうか。




​ダンスミュージック中の808はロックにおけるギターくらいの存在として処理


もう一点制作途中で興味深かったのはドラムの処理。Lo-fi Houseの特徴の一つとなる歪んだドラムの音色は、Native instrumentsのギターアンプシミュレーターGuitar Rigの使用していた。途中でTR-8のドラムにプラグイン版の808のドラムループを重ね、さらにGuitar Rigで歪ませることで、テープの歪みを極端にしたような効果を加えている。メインのTR-8のドラムパターンとは違うグルーヴが違う質感のサウンドで重なっている様子は、90年代に見られたブレークビーツ+四つ打ちの関係と近いけど少し違うような質感になっている。ドラムにアンシミュという組み合わせ自体はたまに聞くが、Lo-fi Houseでも有効な手段のようだ。


歪ませて重ねて、、ダンスミュージックでは808・909がロックにおけるギターくらいの重要な要素として処理されているのも面白い。


そんなわけでDAWさえあればLo-fi Houseの機材は月額¥2,190ではじめられるRoland Cloudだけで、シーンを代表するDJとほぼ同等の環境がそろってしまう。ドラムマシンのTR-8に関しては、あるに越したことはないものの、そこはRoland Cloudに含まれる808, 909でも代用できるだろう。


DAWがなければ先日紹介したRoland製のDAW、Zenbeatsは無償で始められフルバージョンでもリーズナブル価格。Lo-fi Houseだけに限った話ではないが、トラックメイカーを目指すのに金銭的なハードルやプロとの制作環境の違いはほとんどなくなりつつある。


DJ Boringが愛してやまないRoland Cloudはこちらから。



written by Yui Tamura


source:

https://www.rolandcloud.com/

https://www.youtube.com/watch?v=cEuxusDqEAk


photo:

https://www.rolandcloud.com/

https://www.youtube.com/watch?v=cEuxusDqEAk





SHARE